『見つめられると』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
見つめられると
じっとこちらを見つめる、金の瞳。
暗くて、鬱々とした心地だった私は、現実に戻される。
「何?ご飯?」 「ニャーウ」
無垢のようで、何もかも見透かしているような、金の瞳。
暖かくて柔らかい毛が、心のモヤモヤを晴らす。
「君に見つめられると、私は私に戻れるんだ」
そんなことを言っても、猫の君はお構いなしで。
さっさとキッチンに行ってしまう。
私もご飯の準備をしようと、キッチンに向かった。
『時が紅潮している』
大粒の涙なんて暫くぶりだな こんな時フローリングが鏡のように煌めき光る 時計の針 30分が永遠 時が紅潮している
【見つめられると】
男性としていくつになっても、電車の中、
街を歩いてすれ違う見知らぬタイプの
年頃の美少女、美女に見つめられると、
ドキドキしてしまう・・・。
不思議なものだ。
身近にいる美少女、美女に見つめられても
ドキドキすることは、あまりないのだが・。
私は残念ながら、生理学、心理学の知識は
乏しい・・・。
そのため、見知らぬ美少女、美女に
見つめられると不思議とドキドキして
しまう。初対面でも同じである。
その理由はわからない。
このドキドキするという感覚は、
生きているから味わえるのである。
自分の魂がドキドキするのか、
借り物の肉体が反応するか、
わからない。
貴重な体験として、世の女性たちに
感謝したい。
君を見つめると
君は恥ずかしがる
そんな君を見つめていたい
「見つめられると」
今日は珍しく暇だ。いつもはやかましい自称マッドサイエンティストも騒いでいないし、やることもしたいこともない。
ため息をついて、外を見る。どんよりとした空が広がっていた。
見るものも無くなってしまったので、目の前で謎の機器類を散らかしている「チョーカガクテキソンザイ」の動きを見ることにした。
揺れるミントグリーンの髪。
サイズの合っていない白衣。
それから、星を宿して輝く……というかなんかギラギラした目。
「何見てるんだい?」
いや、暇だから目で追ってただけだ。
それにしても、こいつ不思議な目をしてるよな。
なんというか、見るたびに色が変わっているような気がする。
「よくお気づきで!!!流石ボクを認知出来るだけある!!!ボクの目はニンゲンのそれとは違って高性能なのさ!!!詳しく知りたいだろう?!!」
いや、別にそこまで知りたく───「ボクの目はミクロからマクロまで、ぜーーーんぶお見通しなのさ!!!例えばこのイチゴの種!!!このくらいに拡大できるのさ!!!」
そう言いながら壁に相当精細なイチゴの種を投影した。すげー。
「それから、この星の姿を映してしんぜよう!!!」
たしかに、自分が暮らす星が映し出されている。
これは目というよりもむしろ超能力とかの類では……?
「この目は可視光スペクトルの値をランダムに映しているのさ!!!」
可視光スペクトル……?へー……??
最初は嬉々として自身の目について説明していたが、長く一緒にいるうちに段々にんげんくさくなっていった。
「……なんだい??見つめられても何も出ないぞ??」
にんげんくさく、にんげんくさく。
「なんだよ〜!!!そんなに見つめられると照れちゃうだろ?!!ボクの瞳にカンパイなのかい?!!そうかそうか!!!」
「……こほん。あー、これはボクによるニンゲンへの『最適化』された行動であることをお忘れなく!なんてね!!!」
見れば見るほど、不思議で綺麗な瞳だな。
「キミもいい目をしているじゃないか!!!黒は可視光スペクトルに含まれない色だからね!!!」
いつもはそんなこと言わないくせに。
見つめられても、何も出ないぞ?
でも、見つめられると少し嬉しい。
とあるアパートのとある部屋で、男が机に向かって勉強をしていた。
彼はレベルの高い大学に入学するため、アパートの一室を借り勉強に励んでいるのだ。
お金を出してくれる親に感謝しつつ、絶対に恩返しすることを誓う。
いい大学に入って、いい会社に入る。
それが男の目標であった。
そしてある日の事。
いつものように男が勉強に励んでいると、ふと背後から視線を感じた。
後ろを振り返ってもなにも無く、あるのはボロい壁だけ……。
男は壁を少しの間見つめた後、机に戻って勉強を再開する。
その間も男は視線を背中に感じているにも関わらず、さらに集中を深め問題集を解き進めていく。
この視線の正体は何か?
それは二体の幽霊である。
この部屋に住みつく幽霊たちが彼を見ているのだ。
だが男に向ける彼らの視線は怨嗟に満ちたものではなく、諦めと感心が入り混じった複雑なものであった。
男に霊感があまりなく、自分たちの姿に驚いてくれない……というのもある。
それ以上に、幽霊たちは男の根性に驚嘆していたのだ。
「今日も反応薄いっすね、センパイ」
チャラそうなコウハイ幽霊がセンパイ幽霊に声をかける。
「ああ、そうだな」
特に感情を込めずに、センパイ幽霊は短く答える。
「あの、もう一度確認なんすけど、あの男はオレたちに気づいてるっすよね」
「それは間違いない。あの男は確実に俺たちに気づいている。霊感が無いゆえに、視線しか感じないようだが……」
「おかしいすよね。普通逃げるっすよね、幽霊なんていたら……
オレ幽霊になったばかりだから分かんねえすけど、こういう事ってあるんですか?」
コウハイ幽霊の疑問に、センパイ幽霊は少し考えた後答えた。
「そうだな、俺は色々な人間を見てきた。
俺たちの存在に気づいた奴の反応は様々で、泣き叫ぶヤツ、霊媒師を呼ぶヤツ、逃げないヤツや無視するヤツもいた。
だが、この男のようなヤツは初めてだよ。気づいたうえで、俺たちを利用する……そんなヤツはな……」
センパイ幽霊はため息とともに吐き捨てる。
「やっぱり、そうすよね。この男がおかしいんですよね」
「ああ、そうだ。この男がおかしい。
誰もいないと、勉強をサボってしまう。
しかし誰かに見つめられると途端にサボれなくなる。
だからこうして見られてる方が都合がいいというのは、さすがに……」
「ですよねえ」
二体の幽霊はため息を吐きながら、男を眺めていた。
その幽霊たちの視線の先で、男はより一層集中を深めていた。
今日も今日とて、幽霊たちの背中に視線を受けて、男は勉学に励む。
時折、幽霊のため息を感じながら、粛々と問題集を解き進めるのであった
〝見つめられると〟
誰かから見られることなくてなかったから、
見つめられると、どうすればいいのか分からなくて、
つい目を逸らしてしまう。
嬉しいのに、上手く伝えられない。
見つめられると
いい意味でも
悪い意味でもドキドキする
見つめることも
見つめられることも苦手
でも好きな人のことは
見つめていたいよね…
本当は照れるけど
私を
私だけを見つめて欲しい
あんまり言ってくれないけど
可愛いね♡って言われたいなぁ…
私はいつも言うのにな…
たまには言ってよ!
逸らす。
見つめ返す
見て見ぬふりをする。
この目ひとつで分かるでしょう。
私の言葉が。
題 見つめられると
著 塵芥詩歌
見つめられると緊張する。
心臓が鼓動を早めて、きゅう、と締まる。
喉が引き攣って、ろくに声も出なくなる。
こんなので私、生きていけるのかな。
今日こそは、って覚悟を決めて来たのに
駅前で人混みを眺めていたあなたの目が私を捉えた瞬間
ああ、ほらもうダメだ
今夜もまた絶望を繰り返す
お願いだから、そのナイフで私の心臓ごとひと思いに突き刺して。それが無理なら二人で地獄行きの片道切符を買おうか。
——見つめられると
『見つめられると』
こんな伝説がある。
何百年も前、とある田舎の村の外れにある森の中で、体長10メートルは越える大蛇が住んでいた。その大蛇に見つめられると命を奪われてしまい、肉も骨もなくなってしまう。
森に入った村人の多くがその消息を絶ったという。
しかしある日、徳の高い僧侶がやってきてその大蛇を岩に変えて封印したのである。
再び大蛇が解き放たれないように村人はその岩を祀り、また年に一回は意思を継いだ僧侶の子孫が、その封印を再度行い続けなければならない。
――懐中電灯の灯りが夜の大蛇岩を照らす。
二人の少年が蛇の腹から頭に向かって歩みを進める。しかし一人は、もう一人の少年の体にくっついて怯えた表情をしている。
「ねぇ、よっちゃん、もう止めようよ……」
そう消え入るような声で囁いた少年に、よっちゃんと呼ばれた少年は怪訝そうな顔をして振り向く。
「まだ怖がってるのかよ。ハル、少しは男になれ!」
「だって、蛇が動き出したらさ……」
「……あのなぁ」
よっちゃんは足を止めてハルを引き離す。
「あんなのただの言い伝えじゃん。そんなのを信じて怯えてるお前は異常だって」
「で、でも……毎年お坊さんが鎮魂祭するじゃない。言い伝えだったらする必要、な、ないでしょ?」
「昔からの伝統だから、真実か嘘かなんて分からなくてもやるもんなんだよ。そういうもんだ」
「で、でもっ、明日が鎮魂祭だし今晩は、一番封印が弱まる時だって……に、兄ちゃんが言ってた」
「あー、もう! そんなに怖いならそこにいろよ! 俺だけで行くわ」
バカバカしいとばかりに、よっちゃんは一人で先へ進み始めた。
だいたい、伝説通りなら蛇に遭遇して誰も生きてないってことだろ?
じゃあ誰がそのことを伝えたんだよ。
よっちゃんはそう思っていた。
肝試しと称して友達を何人か誘ったが、ハル以外は誰も来なかった。皆ビビっている。ハルは断れない性格だから来たのはわかっていた。
だけどこんなにビビり散らかして足を引っ張るなら置いてきたほうがマシだと思ったのだ。
大蛇岩の正面に来たとき、よっちゃんは懐中電灯の光を大蛇の顔に当てた。
夜は初めてだったが、昼間と変わらず大蛇は岩としてそこにあるだけ。
「やっぱりただの岩だっつ―の。おーい、ハル! 来いよ! 何も心配いらねぇか――」
ハルは地面に尻餅をついた。
大蛇岩の腹がうねったように見えてビビったのだ。
――いや、見えたのではない。事実、うねった。
顔を上げるとやっぱりそれはうねっていて、ハルは恐怖で声が出なかった。
よっちゃんがさっき呼んだ気がしたが、もうそれどころではない。
漏らしたかもしれないと感じたが、ハルは構わず立ち上がって震える足を必死に動かした。
逃げなければと。
今までにないくらい走って、森を抜け麓の寺院に駆け込んだ。震える声で騒ぎ立て、住職に話をしたところ大騒ぎになった。
ハルにはどういう経緯でそうなったかはわからないが、気付いたら警察やハルの親……よっちゃんの家族が来ていた。
警察に事情聴取をされ、よっちゃんの家族は泣いているし、自分も震えが止まらなかった。
その後、警察や捜索隊に大蛇岩は大蛇岩としてそこにあったし、動いたなんてありえないと告げられた。
幻覚を見たんだと言われた。
ハルが大人になった今も、よっちゃんは行方不明のままである。
終わり
見つめられると
一緒にいると
幸福感に包まれるけれど、
同時に
「いつまでも」は叶わないことを痛感する。
私にはあなた1人しかいないけれど
あなたにとっての「たった1人」は私じゃないから。
逃げられない。逃げたい。どうすればいいのかわからない
人の目とは様々
時に安心 時に不安
使い分けはご自身で
見つめれば、相手の汲み取り次第でどうこうなります
妖しく見つめれば、相手は頬を赤らめ目を逸らす
憎たらしくすれば、相手は嘯きながら目を逸らし
人の目とは様々
時に愛情 時に物騒
使い分けはご自身で
見つめれば、相手の汲み取り次第でどうこうなります
優しく見つめれば、相手は笑い暖かく見つめる
気味の悪くすれば、相手は冷や汗流し動けなく
人の目とは様々
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嘯く(嘯き)────うそぶく(うそぶき)
*豪語する、偉そうに大きなことを言う。知らんぷり
知らぬ顔をする*
見つめられると
その日は雨が降っていた。午前零時を秒針が刻んだ頃、背の高い人影が第四倉庫の片隅で一つ目のついた紅く小さいモノを見つけた。そのモノは、拾い上げた彼の手の中でトクントクンと微かに脈打っていた。
彼はヒトを名乗り、モノは心臓を名乗った。
ひとりぼっちの彼と紅いモノは、その日に友達になった。
心臓は真ん中についた黒い目を瞬かせ、彼に『望み』を尋ねた。心臓は、彼の願いをなんでも叶えようと思っていた。けれど彼は首を振る。
「何もないよ。僕に望みなんてない」
その言葉が嘘と知るに、彼の瞳はあまりに雄弁だった。彼の飢え乾いた瞳の色を満たしたくて、心臓はそう尋ねたのだから。
けれど彼は、「そんなことどうでもいい」と、およそ嘘とは思えない口ぶりで言う。
「そんなことより、僕は君の望みを叶えたい。僕の持ち物は少ないけれど、持っているものならなんでもあげる」
「……何を、持っている?」
「昼の世界と時間と、それから心」
心臓が持たないものばかりだった。そして、心臓の望むものばかりだった。
心臓は、乾いていたのは己だったことを知った。
多くの人間が心臓に望みを告げ、多くのものを欲しがった。けれど、唯一願いを叶えたいと思った彼だけが心臓に何も望まなかった。それがどんな意味を持つのか、心臓には分からない。
そして今、彼のその瞳を見て、ようやく気がついた。
数多の望みを叶えてきたのに、心臓は己の望みを叶える方法だけを知らないのだった。
大嫌いなメンソールの香りがする煙が部屋に充満していく。喉が痛いと訴えても、タバコを吸うのをやめてくれない。そのせいで咳も止まらない。
それでも隣から離れることができなくて、我慢しながら座っている。目の前のテレビから聞こえる主人公の自惚れた愛のセリフに、鳥肌が立つ。気持ち悪い。愛の言葉はこんなまわりくどいものよりも、まっすぐな言葉の方がいい。そうは思っていても、私の彼氏は愛の言葉すら囁いてくれない。
映画の愛されている悲劇のヒロインに腹が立ちながら、私はデスクの上に放り出されたタバコの箱に手を伸ばす。開けると最後の一本が入っていた。それを咥えて火をつける。
「咳出てるならやめた方がいいんじゃないの」
あんたのタバコのせいだよと思いながらも、私は深く煙を吸い込んだ。やはり、喉が痛くなって咳き込んでしまった。それでも、吸うのをやめられなくて涙目になりながら、再び煙を吸い込む。
「なんか怒ってんね」
「やっと気づいたの」
鈍感なこのバカを殴りたくなったが、それは我慢した。再びタバコを口に咥えると、彼氏が私の後頭部に手を伸ばして顔を近づけた。すると、お互い咥えたタバコ同士をくっつけるように合わせた。まつ毛の長いその伏目を見つめながら、ドキドキしていた。
「これ、シガーキスって言うんだって」
下を向いていた目が私の顔を捉えた。煙でベールがかけられたかのようなその顔に見つめられると、心臓がドキドキしてうるさかった。
「その表情、好きだよ」
私が咥えていたタバコをスッと奪い取られ、灰皿に捨てられた。彼氏も自分のタバコを捨てて、苦味の奥にあるメンソールの香りを感じながら深いキスをした。
まだ、太陽は昇らない。
わたしたちの神様は
くろい蛇の姿をしていて
くびにまとわりついては
嘲笑い、ときに囁くのだ
「お前の生になんの意味があるのか」と
たにんから見れば
それはきっと悪魔なのでしょう
それでも どうしようもなくそこにある
わたしたちの神様なのだ
希望を見捨てたわたしたちの神様
「深淵を覗く時、」
わたしたちの神様は
かたちのない黒の塊で
ただそこにあるだけで
憂鬱な気持ちにさせるのだ
「頑張る生になんの意味があるのか」と
たにんから見れば
それはきっと悪魔なのでしょう
だから 言ってあげたいのだ
良いも悪いもないのなら
「すべてがそれでいい」のだと
絶望を見捨てたわたしたちの神様
見つめられると(お題)
見つめられると?私は見つめ返すでしょう
君だったのか、、
そう、言われるまでそっと、見つめ、ずっと見守るでしょう
きみのまぁるい目は わたしの心を見透かすようだ
どうせ分かりやしないだろう、そう思っていても
「全部わかってるよ」と瞬く度に告げているようだ
見ないフリをするかのように 背を丸めてその眼を閉じたきみは「ぼくの目がくろいうちは 悪いことなんかさせてやらないからな」フン、と短くため息をつく
それはきっと本能なのだろうが わたしにはまるで呆れているようにきこえて
きみに嘘はつけないなあ わたしはくすくす笑って
柔らかな毛並みをゆるりと撫でた