『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
XXXX年X月9日
霧が薄くなった頃合いを見計らい警察署の探索に向かう。
『幻創病』が原因と見られる怪事件の資料を探すためだ。
先日の事もあり警戒しながら移動するも、道中例の巨大な影は出現せず特段問題なく目的地に到着した。
南側工業地帯の開発で都市面積が拡大したことにより組織規模拡張のため一度移転が行われたという警察署は比較的新しく綺麗な状態で残っていた。当然資料室も大きく調べるには骨が折れるかと思われたが、想像以上に丁寧に管理されていたため資料は容易に揃えられた。
資料のスキャニングをする合間に少し調書に目を通したが、直視したくないような不可解で陰惨な事件が写真付きで多数並んでいた。後で検めるのが既に憂鬱だ。
事件調書の一つにカルテで見た患者の名前を見つけた。どうやら患者は当時の権力者のご令嬢であったらしく、被害者はその家族や使用人のようだ。蝶よ花よと育てられた令嬢の生み出した化物が身近な者を襲ったとは、なんとも皮肉なものだ。
「蝶よ花よ」
蝶よ花よ。
庭に蝶がきた。庭に咲いている。
花の蜜を吸っている。
私は蝶は綺麗だな。花の蜜はおいしいのだろうか?と思った。
「蝶よ花よ」 #8
君は誰なんだ…。
君は蝶よ花よと育てられたであろう。
蝶や花よりも儚く美しさを持っている君。
ミステリアスな雰囲気ももつ君。
僕はもっと君のことを知りたいだけだ…。
蝶よ花よと愛でながら
育てた娘も第2次反抗期…
いやあれは中間期だったのか
口を開けば「うるさい」
親に反抗できるなんて
なんて可愛らしい
側にいられる残り少ない時を
蝶よ花よと愛でさせて
✴️113✴️蝶よ花よ
あとがき
本格的な第2次反抗期は
やってくる?…お手柔らかに🤣
あ どんだけ待ったか
い だから、ごめんて
あ こないだだってさ…
い 二度としない
あ ふむ…
い 今日の分、奢るから
あ 別にそういうのは良いから
い え、良いの?
あ だから!
『蝶よ花よ』
愛し愛されたあの子は
蝶よ花よと育てられて
綺麗な人形になった。
傷をつけてしまったら
私の命はなくなりそう
彼女は大きな口で
笑わない。
笑うっていうか
微笑むって感じ
あの子をもっと
知りたいな
─────『蝶よ花よ』
━━━━━━━━━ 蝶よ花よ ━━━━━━━━━
春風がそよぐ日女の子が花畑に来ました。彼女の名前はリリー、両親を早くに亡くした子です。
リリーは春になると家族で行った丘の上の花畑にいつも遊びに行きます。そこで家族で歌った歌を歌ったり家族で作った花冠を作って過ごしています。
その日は丁度、リリーの15歳の誕生日です。そこでいつも通り歌を歌っていると風が少し強くなり花が揺れます。それはまるで、リリーの歌に合わせて踊ってるかのようでした。リリーも楽しそうにくるくる回りながら歌っていました。
リリーは歌を歌い終わった後花冠を作り始めました。すると蝶がリリーの傍にやってきます。リリーの周りを穏やかに飛んでいます。その時リリーは、懐かしい気持ちになりました。
そこで、リリーは思い出します。まだ両親が生きていてここに遊びに来ていた時、父はリリーが歌う歌に合わせてクルクル回りながら踊っていたこと。母は、リリーが花冠を作っている時穏やかな口調で教えながら傍にいた事を。
それに気付いたリリーは「……お母さん……?」と蝶に向かって問いかけます。すると、蝶はそれに答えるかのように嬉しそうにリリーの周りを飛び回ります。その時花が揺れま始めました。リリーはまた「お父さん?」と問いかけます。その瞬間リリーの周りの花が一斉に揺れ始めました。リリーは嬉しそうに笑いながら泣きながら「お父さん…!お母さん…!」と呼びました。
その瞬間大きな風が吹きました。あまりの強さに目を閉じたリリーその瞬間
「「お誕生日おめでとう」」
両親の声が聞こえてきました。風が止みリリーが目を開けると先程いた蝶は居らず花も動きませんでした。
リリーは少し寂しそうに目を下に向けましたが、目先にはつけていないはずのペンダントが首から下げられていました。蝶と花の形をしたペンダントです。リリーは嬉しそうにペンダントを優しく握りしめ空に向かって
「ありがとう」
微笑みながら言うと風がリリーの頬を撫でました。それは、両親の手の温もりに酷く似ていました。
喋よ花よ
蝶よ花よと甘やかされるのは
嫌いじゃないけど
蝶よ花よと甘やかすのも
嫌いじゃない
大皿にからあげがひとつ。
これが「日本人」だ。
その横の皿にはキャベツが一口分。
反対の皿には刺身がひと切れ。
「次何飲まれます?」
はす向かいに座る同期が先輩に明るい声で気を利かせている。
そう、何を隠そう私は「気が利かない奴」である。
でも本当の心を言えば、私は気の利かない人間ではない。ただスピードが人より遅いのだけなのだ。
そういう心がそもそもないのなら私が冷えていくからあげを放って置くわけがないのだ。
誰かが手を付けていないかもしれない、実は狙ってる人がいるのかもしれない、気が利かない私が食べるのは忍びない。
しっかり考えているのだ。許してほしい。そう心の中でつぶやいた。
目線のやり場に困らないよう、ジョッキに唇を付けるだけを繰り返していると、先輩はお手洗いに席を立った。
先輩が奥の扉に消えると同期2人からこちらへ冷たい視線が送られる。
「お前ももう少し気を使って行動しろよ」
返す言葉もない。私がどんなに考えていようと行動として見えていなければ考えていないと同じなのである。わかってはいる。
だが、同期らから送られるあまりに冷たい軽蔑の視線に怒りを募らせてもいいではないか。私をそんなに否定するな。
私はこの怒りを爆発させるべく、ついに口を開いた。
「ごめん…そういうの苦手で…」
心の中の私は大声で泣いた。もうボロボロだ。帰りたい。これ以上長引いたら私がもたない。
すると先輩がお手洗いから帰ってきた。
同期の方を見るやいなや、二本指を立てた手を口元に当てるジェスチャーをして合図を送った。
同期らはそそくさと席を立ち店の外へと消えていった。
大きなテーブルと周りの喧騒が私の孤独を強調するようだった。
暗闇へ落ちていく心を引き止めるべく、私はキャベツと刺身を口に放り込み、最後にからあげでフタをした。
愛し子に
「サルム。こちらへおいで」
とある日の夜。魔女様の部屋に入った僕はベッドの上に座る魔女様に手招きされる。優しいその声に僕の心がとろりと溶けていくような緩やかで、穏やかな気持ち。
魔女様の足元に跪けば、魔女様は「こっちよ」と言って自身の隣を指差す。
「……魔女様。従属を寝台の上に招くのはどうなの?」
「あら、私が許可しているからいいじゃない。さぁ、おいで」
手招きされて、僕はおとなしく魔女様の隣に座る。魔女様は僕の頭を撫でる。いい子、いい子と言われて、喉が勝手にきゅぅ、と鳴いた。
もっと、もっと褒めてほしい。僕を見て。
僕のことを愛してほしい。
「嬉しい?」
「……うん」
恥ずかしくて思わず俯くと、魔女様の細い指が僕の顎を優しく掴む。そのまま視線が魔女様の青い瞳と合う。
「ふふ。可愛いね、サルム」
「僕のことを揶揄わないでくれるかい?」
「私は本当のことを言っているだけよ?」
にこりと微笑む魔女様。
その青い瞳をじっと見つめていると、心の奥の奥まで見透かされそうな気がした。僕が魔女様に向けているこの愛情も欲望も。この全てが魔女様に知られてしまうのは怖いと思うけれど、知ってほしいと思っている僕もいる。
「可愛いね、サルム。私の従属。ずっと私の側にいてくれるでしょう?」
「もちろん。僕は君の側にいる。何があってもね」
「ふふ、ありがとう」
魔女様が僕のことを抱きしめる。
それがまた嬉しくて、僕の喉が勝手にきゅぅ、とまた鳴いた。
「ねぇ、魔女様」
「なに?」
「魔女様の言葉一つ一つが僕の心を満たしてくれるんだよ。僕はそれがものすごく心地良いんだ」
「うん、知っているよ」
「魔女様に従うのは、従属としての喜びを感じる。でもね、褒められたらもっと嬉しいんだ」
「そうね」
魔女様の温もりに包まれて、僕の頭はまるで水の中にいるかのようにふわふわと浮かれていた。僕の両手は魔女様の肩を掴んで、彼女を少しだけ離して、魔女様と目を合わせる。
「どうしたの?」
「魔女様」
「?」
「ねぇ、今夜は沢山僕に命令して?抱きしめてあげるし、キスもしてあげる。愛の言葉が欲しいなら、沢山囁いてあげる」
「その前に、渡さなくてはいけないものがあるの。左手を出してくれる?」
言われるがまま、僕は左手を差し出す。魔女様は僕の左中指に深い青色の宝石が嵌められたシルバーのリングを嵌めた。
「これは……」
「大切な君に、私からの贈り物。私の魔力を込めたお守りよ。大事にしてくれる?」
「もちろんだよ、魔女様」
僕が返事をすれば、魔女様は笑って懐からもう一つ指輪を取り出した。デザインも僕のものと同じで、少し小さめの指輪だ。
「魔女様も着けるの?」
「ええ。だって、お揃いじゃないと嫌でしょう?」
そう言って魔女様は左中指にその指輪を嵌める。細くて白い指に青い宝石がよく映えていた。
魔女様のお揃いのものがあるというだけで、気分が高揚する。自分で思っているよりも僕は魔女様に心酔しているし、魔女様のことが好きなのだと感じる。
僕は魔女様の左手を取り、手を繋ぐ。僕の左手には揃いの指輪が光っていた。
「その指輪、魔女様によく似合ってる」
蝶よ花よ
(本稿を下書きとして保管)
2024.8.8 藍
蝶よ花よと大事にされてきた記憶は無い。だからと言ってそれを他人に押し付けることはしたくない。自分でなんとかするしかないから、自分を責めることも誰かから注意を受けることも全部必要な事だったそうするしか無かったから。
かつりこつりと柱時計の秒針の足音
流れ落ちるこれからの道
かつりこつりと悪魔の足音
砂となり流れ落ちるここまでの道
かつりこつりと柱時計の秒針の足音
砂に埋もれた誰かの宝物
失われた時間(5/13お題)
この子に力を授けて下さい
瞳から優しさを知るように
鳥たちの歌声が届くように
柔らかな音色で話すように
美しい景色が見れるように
わたしに力を貸して下さい
この子を守り育てる強さを
梟が鳴いた空には満天の星
透明が通り抜けたわたしを
『蝶よ花よ』
蝶よ花よ
私の前に立っている方はとてもお怒りでいらしているのだけれどどうしてなのかが分からず。世話係の者に目線を向ける。
お嬢様。お手伝いでしたら私どもが参りますので、どうぞ旦那様のお近くにい…
その言葉が終わる前に食い気味に言われる。
こちらは手が足りないのは確かですが、足手まといになる方はいりません。
何を言っておられるのでしょうか?私は出来る事はお手伝いしたいと言っておりますのよ。
私、わがままを申し上げてはおりません。何もせずにいられないからこうして参りました。
殺伐として、混乱している物資仕分けを横目に見る。
私、蝶よ花よと育ちましたわ。でも、蝶や花とて食べないといけないのです。私、差配しますわ。どういう配置ですの?混乱してますわ。
先程よりも乱れてきたようですわ。こんな事で時間を使うのは無駄というもの。
私が家の女主人としての手腕をここで使わなければ。
そこ、仕分けに時間がかかりすぎです。あなたはあちらの方と連絡し合って、人数の把握、よろしくて?
あっけに取られながら、皆指示に従ってくれた。
後で世話係がいうにはまるで蝶が花の間を飛んでいるようだったと。働いていなかったらしいので仕事を増やしてあげました。我が家のモットーは率先ですの。お父様なぞ、泥だらけでお戻りでしたのに。
助け合いなさい。お母様がいつもおっしゃってましたわ。蝶よ花よと言われるのは何もない時だけ。
私は4人兄妹の末っ子で、
兄が3人いたので紅一点の女の子は
それは大切にされて「蝶よ花よ」と
育てられた…
な〜んて事は一切無い…むしろ逆だ
生きる為の生存競争は厳しい
女の子だから、妹だからなんて
甘やかしはなかった…
田舎育ちの私は、おやつと言えば
家周りや山々の木々が付ける果実だった
幼い私も野山を駆け巡りたくましく育った
両親も4人を育てるのに必死だったから
とにかく生きる為には自立が必須だった
けれど、ひとつだけ特別な事があった
それは、可愛い服を身に付ける事
兄たちは皆お下がりだったが
女の子の私だけはいつも新品の服を
買ってくれた…
この点においては両親も私を優遇し
「蝶よ花よ」だったのかもしれない…
それなりにちやほやされて育てられたと思っている。
仲間や友人にも恵まれたほうだろう。
世の中がきな臭くても、この小さなパブでは、皆何でもない風を装っている。
結婚がうまくいかなかったとは思っていない。
夫は悪い人ではなくいつも優しかった。
恋心は持っていなかったが、夫を愛していた。
帰って来ないと知ったとき、枯れたと思っていた涙が流れた。彼のために泣けるまでの心がまだ残っていたのね。
今日も、パブに立つ。
お客さんたちはわたしを待っている。
いっときすべてを忘れて、店主を持て囃すことが、彼らの心の安寧に繋がる。夜のパブにしか来ない客もいる。
わたしはあの空間が好きだ。
『蝶よ花よ』
私はぬいぐるみが好き
だからね
お母さんのように
ゲームセンターのクレーンで取ったあと
机の本棚に
かわいいねって飾って
ほこりまみれにしておくのが
とっても
許せないの
ぬいぐるみは生きているから大切にしないとね
わたしがそう思っている限り
大切にしないといけないし
可愛がらないといけない
とても哀しいけれど
ご飯もあげられないし
トイレのお世話もできない
それでもわたしは
どんなペットよりも
わたしにはあなたが居てほしい
幼い頃から私は両親の愛を受けて
蝶よ花よと育てられた
おかげで今の私がある
知らない世界も多いし
世間知らずの私は
多分に漏れず
人を困らせて来た
あれこれ
わからないことが多くて
両親共に年を経た今も
迷惑をや心配をかけて居る
だけれども
育ってしまったからには
生きてゆかないわけにいかない
だから
静かに今日も
修行だと思いながら日々を過ごして居る
蝶よ花よ
「お嬢様 お待ちください」そう声を掛け
私は、お嬢様を追いかける。
あの頃のお嬢様は、何にでも興味を持ち
好奇心旺盛で、じっとして居られず
野原や花畑を掛け回り
綺麗な服を良く泥んこにしていた。
気に入らない事があると良く癇癪を起こし
手足をジタバタとさせ 我が儘を言っては、周りを困らせた。
しかし 喜んでくれると花の様な笑顔を見せてくれ 私達もその笑顔にほだされ
ついつい甘やかしてしまう....
こうして、幼少時に蝶よ花よと大切に
大切に育てられた お嬢様は、
成人すると 我が儘は、どこへやら
すっかりなりを潜め 立派なレディーへと
成長を遂げた。
こうして 貴族の子息の元へ嫁いで行った
私達のお嬢様は、一男一女を設け
妻として、夫を支え 立派に家を盛り立てた 大人になったお嬢様だが
あの花の様な笑顔だけは 幼少の時から
変わる事無く 私達や周りの人達の
心を何時までも 何時までも和ませている。