蝶よ花よ
私の前に立っている方はとてもお怒りでいらしているのだけれどどうしてなのかが分からず。世話係の者に目線を向ける。
お嬢様。お手伝いでしたら私どもが参りますので、どうぞ旦那様のお近くにい…
その言葉が終わる前に食い気味に言われる。
こちらは手が足りないのは確かですが、足手まといになる方はいりません。
何を言っておられるのでしょうか?私は出来る事はお手伝いしたいと言っておりますのよ。
私、わがままを申し上げてはおりません。何もせずにいられないからこうして参りました。
殺伐として、混乱している物資仕分けを横目に見る。
私、蝶よ花よと育ちましたわ。でも、蝶や花とて食べないといけないのです。私、差配しますわ。どういう配置ですの?混乱してますわ。
先程よりも乱れてきたようですわ。こんな事で時間を使うのは無駄というもの。
私が家の女主人としての手腕をここで使わなければ。
そこ、仕分けに時間がかかりすぎです。あなたはあちらの方と連絡し合って、人数の把握、よろしくて?
あっけに取られながら、皆指示に従ってくれた。
後で世話係がいうにはまるで蝶が花の間を飛んでいるようだったと。働いていなかったらしいので仕事を増やしてあげました。我が家のモットーは率先ですの。お父様なぞ、泥だらけでお戻りでしたのに。
助け合いなさい。お母様がいつもおっしゃってましたわ。蝶よ花よと言われるのは何もない時だけ。
8/8/2024, 10:10:24 PM