「無色の世界」
人々は色がなくなり混乱した。
手を取り合い嘆き、子供を抱きしめ、色を求めた。暖かく安心するものを。
僕はそれを見ていた。
なぜ自分達が色がないのに求めるのか。
少しずつ色を失ったのはあなた達だろう?
それがこの世界の色となった。
僕は光となって他へ行く。
この世界は求めるだけのもので黒になる。
与える事はないならば。
黒の濃淡が現れる
どちらが広がるか
見届けるつもりはない
「夢見る心」
一気に年老いた気分だ。
たまに取る栄養素も多くはなく若さを維持するには足りない。
そうなると入手もしにくいとなる。
まさに負の連鎖だ。
海を見おろす公園は人気もなく寂しい。
まったく最近の若いもんは電子の海とやらで語らうらしい。
自然の中に来い。
今日はいい天気だろう?
よく晴れ…て…暑いがな。
動く気力も削がれ、屋根のある東屋のベンチに座り、海を眺める。
若い頃に戻りたい。
ハッとする。
これだ。これがいけないんだ。
私は若いままだ。
肉体が精神の弱さで老けてしまったのだ!
海で泳ぐ私 スカートの裾をなびかす私。
心がときめく。
「いたいた。また抜け出して。帰りましょうね」
肩に手を置いたのは最近入った職員だ。
目が合う.
「あ!夢見てましたね。その心の高揚。美味しいんですよ』
やられた。私が食べられるのか。
「星空の下で」
明るく照らされている。
作業がしやすい。
今、僕は新しい体に乗り換えた。
だから、以前の体は土に還す。
そのための穴掘りだ。
僕が抜けた体はもう動かない。
でも、誰かが見つけたら取られてしまう。
再利用されても困る。
誰でもは出来なかった事を思い出し、苦笑した。
一応、名の知れた顔だ。
地位もあった。家族もいた。
だからってそれは足を止めるものではない。
とりあえずの情報収集は終わった。
だから、行方不明者になる。
何度も繰り返している。
いい加減、乗り換えないで済む方法はないのだろうか?
あぁ、そうしたらずっとそのままか。
それも嫌だな。面倒だ。
最近、監視されている感がある。
リスクは避けたい。
土をかぶせるとそこに木の苗を植える。
成長が早い。養分もあるからな。
星空からの光も栄養だ。
さぁ、一休みしたら次の情報対象のもとへ行こう。
この惑星を我等のものにするために。
[1つだけ]
ある日、神さまが言った。
「1つだけです」
欲しがる者たちは何を得ようか考えた。
財産、知識、愛しい人、健康、強さ…
「では、欲しいもののところへ並びなさい」
人は並んだ。
得た。
「なぜ、並ばない?」
神さまは並ばない一組の家族に尋ねる。
「欲しいものはないのか?」
家族の長は答えた。
「私達は命をいただきました。命があるからこの体があり、家族がおります。何を求めるかならば幸せです。今、幸せですので何もいりません」
人はまた望んだ。
更に更にもっともっと
神さまは何も与えなかった。
約束は1つだけだから。
「幸せに」
時空警察に就職した。
あの日、面接に遅れそうだった。
変な揺れに巻き込まれた半ギレの私をニコニコして
採用とあの人は言ってくれた。
すぐ研修に連れて行かれた。
時空の歪みを検知する能力
紛れ込んだものを元の世界へ戻す対応
仲間と連携する方法
乗り物の扱い方
ありとあらゆる技術
詰め込まれた 詰め込まれた
アパート(あの日、出かけた)のベットに戻ったのはあの日だった。時空を通った事で起点に戻ったらしい。
「君、一人スカウトして来てくれる?」
初めての任務は人材確保だそうだ。
どうしよう。
先輩の声が呪いのようにリフレインする
技術の中のなりすましを使って、ターゲットを探す
大学の構内で見つけた。
古代史キャラ好き。
講義室でさりげなく隣に座る。
鳥獣戯画のイラスト入り修正テープ
土偶のリフレクター
埴輪イラストのボールペン
見えるように置く、使う
食いついた!
なんとか神社へ連れて行く。
「これ、リアルで見たいと思わない?」
こいつ、ここで想像するだけで満足だとぉ!
ここまで来て逃すものか!
乗り物に押し込むと移動の圧で気絶した。
「スカウトしたんだ」
なかば拉致だった事は黙っていた。
「やぁ、ようこそ時空警察へ。」
あのニコニコ顔で取り込んで行く。
私は報告書を作成する。
「よくやったね」
ニコニコしている。やった事バレたかも。
「幸せの為の努力だね」
私は黙っていた。
先輩が研修に連れて行こうとしている。
私は後輩に声をかけた。
「幸せに」