━━━━━━━━━ 蝶よ花よ ━━━━━━━━━
春風がそよぐ日女の子が花畑に来ました。彼女の名前はリリー、両親を早くに亡くした子です。
リリーは春になると家族で行った丘の上の花畑にいつも遊びに行きます。そこで家族で歌った歌を歌ったり家族で作った花冠を作って過ごしています。
その日は丁度、リリーの15歳の誕生日です。そこでいつも通り歌を歌っていると風が少し強くなり花が揺れます。それはまるで、リリーの歌に合わせて踊ってるかのようでした。リリーも楽しそうにくるくる回りながら歌っていました。
リリーは歌を歌い終わった後花冠を作り始めました。すると蝶がリリーの傍にやってきます。リリーの周りを穏やかに飛んでいます。その時リリーは、懐かしい気持ちになりました。
そこで、リリーは思い出します。まだ両親が生きていてここに遊びに来ていた時、父はリリーが歌う歌に合わせてクルクル回りながら踊っていたこと。母は、リリーが花冠を作っている時穏やかな口調で教えながら傍にいた事を。
それに気付いたリリーは「……お母さん……?」と蝶に向かって問いかけます。すると、蝶はそれに答えるかのように嬉しそうにリリーの周りを飛び回ります。その時花が揺れま始めました。リリーはまた「お父さん?」と問いかけます。その瞬間リリーの周りの花が一斉に揺れ始めました。リリーは嬉しそうに笑いながら泣きながら「お父さん…!お母さん…!」と呼びました。
その瞬間大きな風が吹きました。あまりの強さに目を閉じたリリーその瞬間
「「お誕生日おめでとう」」
両親の声が聞こえてきました。風が止みリリーが目を開けると先程いた蝶は居らず花も動きませんでした。
リリーは少し寂しそうに目を下に向けましたが、目先にはつけていないはずのペンダントが首から下げられていました。蝶と花の形をしたペンダントです。リリーは嬉しそうにペンダントを優しく握りしめ空に向かって
「ありがとう」
微笑みながら言うと風がリリーの頬を撫でました。それは、両親の手の温もりに酷く似ていました。
8/8/2024, 10:52:21 PM