『花畑』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花畑
まるで、空の上にいるようだと思った。
「お前にも見せてやりたいなぁ」
花を揺らす風に紛れて懐かしい声が聞こえた気がして辺りを見回せど、当然ながら姿はない。そもそもその姿すら曖昧な記憶の中に佇んでいるだけで、はっきりと思い出すのは彼が書いて寄越す手紙の几帳面な文字だった。
空の上は、それはそれは綺麗な青色で。海の中にいるようでもあって不思議な心持ちになるのだと、それを私達にも見せてやりたいと、兄は何度も葉書に綴っていた。
「──どう? おばあちゃん」
「そうねぇ。とても綺麗だわ」
隣に並ぶ孫が教えてくれたネモフィラ畑は。見渡す限りを青に塗られた世界は。どうしてだか歪んで見えた。
彼の所へ来た。
待ち望んでいた彼が、私に向かって笑顔を浮かべている。
後悔なんてする意味が見つからない。
会えたんだから。
今だったら、何でもできる気がする。
"ねぇ、空飛んでみようよ"
そう言って見せると、驚いた様子の彼。
もう、分かってるよ?
自分が現実には居ないこと。
"飛んでみるか"
優しく言った。
夏の思い出
頭の中の花畑には
いまだにひまわりが満開だ
後悔と眩しさを栄養に
咲き誇る
※花畑
ここは何処だろう
辺りは明るい
空間全体が柔らかな金色に包まれている
暑くも寒くもない
足元を見ると一面の花畑
白い花たちが光を浴びて柔らかな金色に光る
もしかして死んだのか?
そう思い至ったが如何せん記憶が無い
少々困ったが致し方無いので歩くことにした
花畑に寝転がるという選択肢もあった
だが歩かなければならない気がしたので歩くことにした
歩き始めてはみたものの何の変化も無い
歩けども歩けどもずっと明るい空とずっと輝く花畑が続く
どこまで歩くか悩み始めたその時
突然
花畑が途切れた
途切れたという言い方は正しくない
さっきまで見えていた花畑が消えたのだ
歩みを止め振り返るとそこにはちゃんと花畑がある
さて何が起きたのか
何が起ころうとしているのか
しばらくその場に佇んでいると雨が降り出した
柔らかな金色の光を浴びて黄金色に輝く雫が降り注ぐ
すると虹が架かった
丁度足元から空へ吸い込まれるように上へのびる虹の橋
これを渡ったら完全に生が終わる
そう思うと虹の橋を渡ることが躊躇われた
ふと花畑が途切れた先を見るともう1本の虹の橋が見えた
丁度足元から深淵へ吸い込まれるように下へのびる虹の橋
水面も無いのにまるで反射しているかのような2本の橋
何となく下から呼ばれているような気がした
好奇心が勝った
どうせ生が尽きるならと腹を決め下の橋へ歩を進めた
―――死神洞窟ツアー [序]
#69【空が泣く】【花畑】
私は小さい頃、秋になると通っていた場所があった
少し家から遠いコスモスの畑である
そこは広く、当時130cm位だった私の身長では、ここで迷子になると絶対帰り方が分からなくなる
そう思いながら、いつも通りコスモス畑を歩き回っていた時にふと、見慣れない道を見つけた
日頃から来ている私の目は誤魔化せない。
私は興味本位でその道に入ればたちまち光に包ま、れ、気がつけば私は多くの花が連なる大きな花畑に来てしまっていたのです
その時私は呑気だったのか無知だったのか、帰り方なんて考えることなくひたすら、そこにある花たちを見ていたのでした
そこには覚えてる限りですが、
桃色のスズラン
黄緑のムスカリ
青の彼岸花
等など実在するはずのない花達が確かにそこにはあったのです
(書いていたのが夜中なので力尽きましたすみません)
(1つ目)
花畑
目の前に広がるのは、一面の花畑。
赤、水色、紫、桃色、黄色、そして緑。
色鮮やかな花たちが、寄り添うように咲き誇っている。
そうだ、ここの花を摘んで、花束を作ろう。
彼に「おかえり」って言えるんだ。想像もつかないくらい、盛大に祝おう。
数年後、いや、十年後、二十年後に。今日は素晴らしい日だったと、語り合えるように。
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シクフォニ すちくん、復帰おめでとうございます!
花畑でハサミ虫踏んだ
なんとなく下を見たときに足の下に
咎めない良心に心が痛んだ
僕はいつからか際限なくカッコつけ
これからもそうするのだろう
たとえ一歩進むごとにハサミ虫を踏んでも
澄ました顔で歩きスマホしてさ
花畑の寛容に甘えていたけど
きっと僕はここに立ち入ってはいけない
花畑で歩いていいのは花から目を離さない人だけ
花畑
辺り一面に咲いた花の絨毯の上で、少女は天使のように微笑んだ。水のように透き通った声で、少女は唄う。
希望と祝福のそれは、風に乗って遠くへと伝わっていく。
最後の一音を伸ばして、唄い終えた少女は、花が咲くみたいに笑った。
伝書鳩は
足首に結ぶ言葉も無く
それでも飛び立ち
空の青さに迷う
花畑
花びらがくっついてる植物。
沢山あると、もっと心が踊る。
きれいだなって、沢山思える。
「俺,この花,好きなんだ!花言葉が”終わりのない友情”,俺たちにピッタリだろ?」
照れているのだろうか,恥ずかしげに言いながらアイツは一輪のローダンセを見せる。
「おまえはホント,花に関しては博識だな」
「いつか花屋になってお客を笑顔にするのが俺の夢だからな!!」
希望に満ちあふれた笑みを浮かべながら話すアイツは,俺の幼なじみにして初恋の人だった,しかし俺はこの思いを伝えられず数年も胸に秘めたままだった。
「おまえだったらなれるよ,なんなら最初の客は俺がなってやってもいいぜ?」
こんなたわいのない会話を最後にアイツはその短い生涯を終えた,居眠り運転による交通事故だ。
「…花屋になるんじゃなかったのかよ」
アイツの葬式,色とりどりの花が手向けられ寝ているかのように眠るアイツを見,俺は柄にもなく大声で泣いてしまった。
この瞬間,俺は幼なじみと初恋の人を同時に失ってしまったことを痛感した。
そして今,
「おまえの夢,俺がかなえちまったな…」
誰もいない店の中で俺のつぶやきだけが響く。
今日,ついに俺はアイツの夢でもあった花屋をオープンする,小さな店の中で他の花に負けじと咲き誇るマリーゴールドはまるでアイツの生まれ変わりかと思えるほど美しかった。
チリリン
ふとベルがなり,二人組の男子高校生が店に入ってきた。
まるで花畑みたいだな,とつぶやきながら見てまわっていると突然,一人の男子高校生が聞き覚えのある言葉を口にした。
「俺,この花,好きなんだ!花言葉が”終わりのない友情”,俺たちにピッタリだろ?」
なぁ,聞こえるか?おまえと似たやつが店に来たぞ…
花畑
少し冷たさが残る春の風に揺れる花々
その真ん中まで歩みを進めると、
空の上に登ったような錯覚を覚える。
優しい甘さを含んだ風が頬を掠め、
ポカポカと太陽が見つめている。
鼻から鼻へ蝶は飛び回り、蜂はせっせと花粉を集める
花々と空の境界線さえ曖昧になり、
時間の経過によって、
それらの同色と夕暮れの橙、
夜空の藍から黒へと、
そのコントラストもまた綺麗に映る。
寂しさも、幸せも、
全てを包み込み、優しく慰めるような景色が
瞳に映っている。
そんな場所、唯一の場所…
花畑
どこも続く秋桜の波…そこに立つ貴女は、カメラに向かって微笑んでいる…あの頃よりも、ふっくらした面影、明るい目元…そして、その顔は、妹と同じで…二十年振りに会ったお母さん…当時も、母さんが出て行った理由に納得していたけれど、突然の別れと、家族でなくなる、母さんと言える人が眼の前からいなくなる…捨てられる…色んな想いが交差した…小学校の卒業式直前の出来事…50も後半になろうとする今も、お母さん、と云う言葉を聞くと、切なく、哀しく、そして怒りが湧いて来る…初孫を見せたくて、漸くとった連絡、そして再会、でも、その時のお母さんの一言が、親子の再会の喜びで無く、怖いものを見る目で放たれたことが、今でも夢に出て来る…大好きな花と、この世にたった一人の存在の写真…
本を読むのが好きなんです
小さい頃、父親が本をたくさん読むようにと
色々買ってくれたり
図書館に連れて行ってくれた
父親は放任だったので
買い与えるだけ
連れて行くだけ
だったけど、それが別に嫌じゃなかった
本を読んでいると
自分の孤独が忘れられるというか
とにかく
少しだけ前進できる気がするのです
今日も初めて行った図書館で
セロトニンでまくった
私にとってのお花畑だった
空と花畑の関係は不思議だね。
空が泣いたら雨が降る。
でも雨が降らないと花畑はつらくなる。
どうすればいいのか‥
天気雨ならいいのかな。
空は明るいけど、雨が降るからきっと空は嬉しくて泣いているのだろう。天気雨が終われば虹も出る。
空も喜んでるし、きっと花畑も喜んでるに違いない。
最近良く夢を見るんだ .
大好きなキミと花畑に行く夢 .
繋いでいたキミの手をふと離した時 、
キミが花畑の奥へと消えていく悪夢を .
『 ねぇ見て 、 このお花キレイだよ── 』
「お花畑」という夏の季語があることを初めて知った。夏のわずかな時期に群生する高山植物に敬意を込めて、ということであるならば、私が昔から富士山のことをこっそり「富士さん」と呼んでいるのと一緒かな。
花畑
川を渡れば二度と戻れないが
その先にはこの世のものとは思えないほど美しい花々が咲いている。
決して花を摘んではいけない。
それが此処のルールだ。
摘めば摘むほど体は崩れ落ち、記憶と心が抜け落ちていく。
なんとなく当たり前のことであるように感じる。
人から奪ったのだから、奪われて当然なのだ。
君が言った
「はなって名前、素敵だね。
お花畑みたいに周りの人を
幸せにする君にぴったりだ。」
その言葉だけでどれだけ私が自分の名前を
好きになったか君はわかってる?
「花畑」
「花になりたい」
故郷の花畑はとても美しかった。とある果樹園を営む夫婦が趣味で作ったその花畑に何度も訪れた。ここの植物は全てが生き生きしていて、毎年すくすくと育つ。きっと沢山の愛情や暖かい陽の光を浴びているのだろう。その夫婦がつくるはまるで絵に描かれたリンゴのような色鮮やかな赤色で、とても美味しかった。
そんなある日僕は花畑にマッチをを投げ入れた。リンゴをほおばっている時に頭を撫でてくれたもみじの葉はよく燃えた。石畳の上に敷き詰められた葉が燃えていくときに通行人が通りかかり火が鎮火された。
夫婦は犯人となった僕の顔を見て涙を流した。どうしてこんなことをしたのか問い詰められた。羨ましかった。平等に暖かくて優しい愛情を受けてすくすく育つ花々の姿が。血の繋がった他人と比べられて見捨てられた僕とは住む世界が違いすぎたんだ。僕が夫婦に答えられる言葉は1つ「嫉妬心です。僕は優しい光をみんなと浴びれる花になりたかった。」