とぅるとぅるな酢飯

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「花になりたい」
故郷の花畑はとても美しかった。とある果樹園を営む夫婦が趣味で作ったその花畑に何度も訪れた。ここの植物は全てが生き生きしていて、毎年すくすくと育つ。きっと沢山の愛情や暖かい陽の光を浴びているのだろう。その夫婦がつくるはまるで絵に描かれたリンゴのような色鮮やかな赤色で、とても美味しかった。

そんなある日僕は花畑にマッチをを投げ入れた。リンゴをほおばっている時に頭を撫でてくれたもみじの葉はよく燃えた。石畳の上に敷き詰められた葉が燃えていくときに通行人が通りかかり火が鎮火された。

夫婦は犯人となった僕の顔を見て涙を流した。どうしてこんなことをしたのか問い詰められた。羨ましかった。平等に暖かくて優しい愛情を受けてすくすく育つ花々の姿が。血の繋がった他人と比べられて見捨てられた僕とは住む世界が違いすぎたんだ。僕が夫婦に答えられる言葉は1つ「嫉妬心です。僕は優しい光をみんなと浴びれる花になりたかった。」

9/17/2023, 1:56:36 PM