『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花束なんて自分自身がもらうことはないのだけれど、贈ったことならある。
大学に進学して遠く離れた祖母に誕生日プレゼントとして花束を贈った。祖母は物欲がないし、しかし花は好きで花ならきっと喜んでくれるだろうと思った。案の定とても喜んでくれた。想像以上に喜んでいた。孫のために表向き喜んでいるとかではなく心から喜んでいるのがわかった。
この場合は成功したけれど、プレゼントで花束を贈られることを嫌がる人も多くいるらしい。花瓶にいけるのが大変とか、枯れていくのを見るのが悲しいとかそういう理由らしい。プレゼントを選ぶのって難しいと思わされる。
私はというと花を贈られたらとても嬉しいと思う。花が部屋にあるとの心も華やぐ。私はむしろ消え物をもらう方が好きだしそれに花はなかなか自分では買わない贅沢品だからそういう点でも嬉しい。
考え方は人それぞれ。一番は気持ちだろうからなんだかんだでもらったら嬉しい人が多いのではないだろうか。
大切な人のお祝いに
お花をよく選びます
自分へのご褒美にも
お花をよく選びます
ひとつひとつを見て
輝いて見えるものを
束にしていくのです
花は癒しの力があり
寄り添ってくれます
花瓶に入れる前には
茎の根元を水の中で
少しだけ、切ります
長持ちする秘訣です
花は優しさのエッセンス
愛を全て分け与えてから
静かに眠りにつくのです
「花束」
永遠の
別れにおくる
花束で
ポイントカード
たまる悲しみ
お題☆花束
『花束みたいな恋をした』という映画を当時のバイトの先輩と見に行った。
昔は実写の恋愛映画が好きではなく、漫画のセリフを人間が喋っているとなんだか座りが悪くなっていた。だから普段はアニメ映画か洋画しか見ない。(なぜか外国人が芝居くさく話しているのは平気)けれども人に誘われたのでまあ映画には興味はないがこれもコミュニケーションの一環だと思って見に行った。
結論から言うとそこまで居心地悪くなく見ることができた。映画のおかげなのか年をとって耐性がついたからなのかはわからない。
私という人間は嫌いなものが多い人間である。好きなものよりもずっと嫌いなものの方が多い。だから嫌いなものでアイデンティティを作ってきた。
あれが嫌い、これが嫌い、それが私。
けれど年をとって嫌いを口に出すのが面倒になってきた。嫌いだと言って反発するよりも黙って受け入れてしまった方が早い。
嫌いなものが減ってきた、否、減ったわけではない。けれど主張はしなくなった。「嫌い」で作ったアイデンティティが壊れてゆく。
10年前の私を知る人と今の私を知る人は同じ「私」を見ているだろうか。
花束
生まれて初めてもらった花束は、
抱えきれないくらいの真っ赤な薔薇とかすみ草
それをくれたのは、彼だ
誕生日とかクリスマスとかじゃなくて、
何でもない日に花が欲しいと言ったのは私だ
言った本人はすっかり忘れていた
ある日学校から帰ると、
興奮した母親が〝何かこんなの届いたんだけど!〟と視線の先には大きな花束
〝私に届いたと思ったら、sarang宛て
私でももらった事ないのに!〟
それをもらった時、私はまだ高校生笑
最近ふと2人で思い出して、話していた所だ
やるなぁ、俺…と彼
私以外に花束をあげた事はまだないらしい
彼は昔も今も、本当に私に甘い
本来、そんな人ではないけど、
何故か私にはすっごい甘い
眠ければ眠い
怠ければ怠い
と正直に言う人だと思う
私の前では眠かろうが、怠かろうが無理をする
私って、そんな怖いの?笑
花束 ①
君は花が好きだったから、誕生日には花を渡した。
毎回渡す花を変えると、毎年違う笑顔を湛える君。
君はもうこの世にいないけど、
お墓にお供えする花は、命日じゃなくて誕生日に持って行くよ。
花束 ②
フィギュアスケートの選手が花束を抱えている。両手で抱えきれない程の花束だ。
だけどこのスケーターはジャンプの着地を失敗しているのに。失敗しているのにぃ。
私は自分の仕事にプライドを持っています。ミスなど決して犯さないし、日本で最高の技術を持っている。だけど誰も私を評価してくれない。死人が相手の仕事だからだ。わたくし、住職をしております。
私が念仏を唱える時はしっかりと気持ちを込めている。故人へのお悔やみを述べ、死後の幸福を祈り、そして俺の念仏の素晴らしさを褒めてくれないかなぁ。と。
そして日本最高の能力を持つ私は、遂に死者会話をする能力を身に付けた。
「お坊様、あなたの念仏は本当に素晴らしい。おかげで極楽浄土に行けそうです。」
「ならば、私を讃えるために花束を渡してくれないか?」
「花束と言われても困りますが、息子の枕元の立って葬式用の花を住職に渡すように伝えます。しかし、お坊様、あなた煩悩多過ぎです。」
もし貴方から、色鮮やかな花束を貰えたら
私はどんな反応をするんだろう
綺麗?良い香り?嬉しい?
きっとその時の気分と、並んだお花で
感想が変わるかもしれない
でも、今の私には
貴方程、目を引くくらい綺麗で
ふわっと漂う素敵な香りがして
会えた時に嬉しくなっちゃう人なんて
この世にはいません
私が欲しいのは、
その辺で買える花の集まりじゃないんです
愛がしっかり開花して
貴方の色に染まった、1輪の花が好きなんです
花束
夜鴉はなにを盗られてしろがねの光をまとい朝となるのか
#花束
枯れた花束さえも
美しく、大切にする人
1000度で焼かれて小さな骨壷に入ったわたしは、あなたの膝の上で眠る。
雨粒のように眦から流れ落ちる雫がとても綺麗だと思った。
きっと、いくつもの夜が明けたら、またわたしは風になってあなたの元を訪れるでしょう。
抱きしめて、その指先に、頬に熱を灯しましょう。
この花束のような口付けに、あなたはただ笑っていて。
わたしは
ひとりで咲いていたい
その方が
いい匂い
束になんて
しないで
「花束」
花は、美しく咲き誇る。
だからこそ、よわった心を癒やし、よわった心に元気を与える。
最愛の貴男に咲き誇る、美しき花々を贈る。
大切な貴男に、たくさんの愛情とたくさんの祈りを込めて。
どうか、少しでも多く、貴男の体調が良好な日々が在りますように…と。
どうか、少しでも多く、貴男とともに生きられますように…と。
年に一度、貴男を想う気持ちと感謝の気持ちを…貴男に贈ります。
花束と言うと彼女にプレゼントするものを想像します。例えば、カーネーションやひまわりなどの様々な花を集めそれを花束にする。そのようなものを想像しましたね。
花束
梅の花が見頃となっている。
紅梅、白梅、蝋梅。
目の楽しみはもとより。
木の近くを通る時は、良い風を期待する。
芳香をこちらに運ぶ、絶妙の向きの優しい風。
かぐわしい梅の香を感じた日は、ちょっと幸せを感じる。
春は良い。
街全体が花束みたいだ。
『花束』
花束と言われ思い浮かぶものは何ですか?
貴方にとって花束とは何ですか?
私にとっての花束は、母へのサプライズです。
母への感謝の気持ちを込めて、母のイメージに合わせて
贈りました。
花束は、奥深く色や本数、花の種類によって全く違う意
味を持つ。よく動画で見るのが花束と一緒にプロポーズ
をするというもの。
例えば赤い薔薇4本 一生愛し続けます。
40本 真実の愛。
99本 永久の愛。
とても素敵で、いつかこういった事をされてみたいと思
ってしまいます。
花束にはいろんな言葉がありますが、言葉だけではなく
気持ちも大切にして、忘れられない素敵なものにしたい
ですね。そして、花束にはたくさんの意味がありますが
花束自体が隠れ言葉で”幸福”という意味なのかもしれな
いですね。
【花束】
「今日のテーマ、花束か…」
書くことを諦めた時、柔らかい香りをたずさえて、大きな花束を持った女性が電車に乗ってきた。
紫を基調とした花束。
彼女に似合う、と思った。
大事そうに胸に抱えて、香っては噛み締め、目元を緩める。
紫のバラ、チューリップ、カラー、スターチス。気品、不滅の愛、夢見る美しさ、永遠に変わらない心、送った相手がどんな人なのか分かるようなロマンチックさ……【検索】が捗った。
幸せ、なのだろうな。
そう思う。
人の幸せをこんなふうに目の当たりにしたのが久々で、なんだかとても寂しくなった。
そろそろわたしの降りる駅、とても素敵だから写真を撮らせてなんて言う勇気はなかったけど、願わくば明日も彼女が、花瓶に手を添えて花を愛でてくれていたら。そう願ってしまう。
ちなみに…同じ駅で降りた別の女性も、小ぶりなブーケを持っていた。
書けってことね?わかったよ、エールは受け取った。
戦争はその街の全てを破壊し尽くした。
戦争はその街の少女から全てを奪い尽くした。
その夜も街にミサイルが降り注いだ。街が存在していたという記憶さえ焼き滅ぼすために。
その夜も少女はたった独りで震えていた。大切な人々の最期を思い出しながら。
「…ぅぅ…ぅぅ…ぅぅ…ぅぅ…」
かすかな呻き声。少女は声が聞こえてくる方を見た。
「…お…た…す…け…」
ミサイルの爆発でできた大きな穴の底。その中心から水掻きが付いた二本の足が突き出てていた。
「たいへん!」
少女は穴の底に駆け下りると、突き出た足を握り、渾身の力で引っ張った。
「うーっ、うーっ、うーーーっ!」
スポン、と地面から足が抜け、少女は尻餅をついた。
「ぷはあぁーーーーーっっ。」
現れたのは少女の背丈ほどもあるカエル。カエルは二本の足で立ち上がると、王冠を被り直し、黒い毛皮のマントに付いた土を払い落とした。
「大丈夫?カエルさん。」
「無礼者!ワシは大悪魔、地獄の王・バエルや!」
バエルは腰に手をあてふんぞり返った。
「はー、ヒドい目に遭うたわ。ひさびさに地上を見にきたら、ミサイルに当たって地面にめり込んでしもた。人間ちゅうのはいつからこないに残虐になったんや?悪魔でもここまでヒドいことはせぇへんで。」
バエルは飛び出た二つの目をクルクルと動かして、破壊され尽くした街を見回した。
「助けてくれたお礼に、嬢ちゃんの欲しいモン何でもあげよ。遠慮せんと言うてみ。」
少女はしばらく考えると、こう言った。
「…花束。花束が欲しい。お母さんとお父さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんのお墓にお供えする花束。お隣のおじさんとおばさんのお墓にお供えする花束。お友達のお墓にお供えする花束。戦争で死んじゃったみんなのお墓にお供えする花束。」
「お安いご用や。ちょっと待っとき。たんとあげよ。」
バエルは黒い煙となってかき消えた。
その時、上空から一発のミサイルが轟音をあげて少女の頭上に落ちてきた。
もうダメ。死んじゃう。
少女はギュッと目を瞑り、体を固くした。
少女の頭に、頬に、肩に柔らかなものが触れた。少女は固く閉じた目を恐る恐る開いた。目の前に純白の薔薇が次々と落ちてくる。少女は夜空を見上げた。降り注ぐミサイルは次々とはじけて白い花に変わっていく。花は優しい雨のように街に降り注ぎ、清らかな雪のように降り積もった。
お礼や
ねぎらいの花束ではなく
好きで、照れて
初めて花束をあげたのは
大学四年の時に知り合った女のひと
ぼくにとって初めての彼女だった
カッコつけて冷静を演じ
いつも聞き役に徹して
優しくするようにした
短大を出て
保育士をしていたその人は
年齢より遥かに幼く見え
体は丸みを帯び
ほっぺたにいつも赤みが咲ていた
目は清らかな泉を思わせ
素敵だった
ぼくと彼女はともに未経験だった
結婚してからしようね
と彼女に言われ
もちろん!と
真面目な人と思われたくて
強がった
でも下心しかなかった
女性としたかった
彼女としたかった
彼女とデートしている時
パンツの下であそこを苦しくしていた
そんな思いをひた隠し、
割と花束を買って行った
横浜の港を見つめ息苦しくキスし
彼女は僕のジッパーをおろし
僕の彼女のブラウスに手を入れた
素晴らしくなれるところを
喘いで確かめ合って触り合った
公園の木下でも
似たようなことをした
デートして
夕方から夜になると
暖かい頃は、
外で大抵そう言う流れになった
初めての彼女
初めて異性に掴まれる
全てが濁流のように蕩けそうだった
僕にそんなことをしてくれる人が
現れるなんて奇跡としか思えなかった
僕はキスの途中、
ズボンの上から触られるだけで
何回もパンツを汚すことになった
お互いの家に泊まりに行きあった
彼女の家に泊まりに行く時は
花を買って行ったし、
彼女が僕のアパートに来る時は
花を飾ったりした
夕食を一緒に作り
彼女の話をとにかくよく聞いた
そして夜中の3時過ぎまで
裸になり僕たちは転げ回ったが
それでも僕たちは少年と少女のままだった
口でお互いを秘密を確かめ合い
その口でキスしあって
自らの秘密、命を生み出す場所の味を知った
僕は何回も
もう堪えられない
一つになりたいよう
と彼女に泣きついたが
結婚するまではと、毅然として言われ果てた
でも男と女が何年も付き合い
夜を何回もともにし
そんな誓いを守れるわけがなかった
自然、ある夜、開かれて悲願を叶えた
我を忘れた
全てが吹っ飛び発射された
それからは会うたび
明け方まで男と女のことをした
滑らかな素肌の背中
小麦の原を連想させる臍からの落ち込み
忘れえない腰の柔らかさ
手からこぼれる丸みに驚嘆した
コンドームがない時は必死に堪えて
涎を垂らしつつ脳の痺れに抗い
上り詰める寸前で腰を引いて
精を外で放出した
腰を駆け巡り
お臍の下の空間30センチの煌めき
を何回も味わった
あられもない姿を
晒しあって
要望を叶えあった
僕は喘ぎ
彼女は鳴いた
子音と母音で僕らは
耐えられず快楽の声を上げた
やがて命が宿る
僕はその人と結婚した
初めての彼女
初めての人が
今の奥さん
僕らは3人の子をもうけた
奥さんとしかしたことはない
彼女以外の女の人は知らない
知る必要もない
彼女に頻繁に花束をあげていたのに
気がつくと今
誕生日と結婚記念日くらいになってしまった
好きな気持ちは変わってない
ぼくの人生の成功は
彼女をものにしたことだ
それくらい愛している
花束、最近
あげてないので
明日 あげよう!
愛してるよ!
「自分のお葬式に飾ってもらうなら、何の花がいいだろう?」
菊と百合の花にあふれた空間を後にして黒い服を脱ぎながら、ふと考えた。
とはいえ、自分が死んだ後のことだし、真剣に考えたところで仕方がない。
黒い服をハンガーにつるしおえながら、
「ま、別に何の花だっていいか。菊や百合で文句があるはずもなし」
の結論に至る。
はたして家族なのか自治体の方かは分からないけれど、後始末をしてくれるどなた様かに一任でございます。
花を添えて送り出してくれるだけで、十分すぎるというものよ。
──ああ、でも。
本当は、ほしい花束があるんだ。
私が一番好きな花は、シロツメクサ。
最後の時には、シロツメクサの花束を持たせてほしい。
昔、小さな手が集めて作って渡してくれた、シロツメクサの花束。
もし、あの甘い匂いを胸に抱いて眠ることができたなら、いつどんな形で人生を終えるのだとしても、
「本当に幸せな人生でした」
そう神様に報告できるような気がするから。
スズメがいなくなった。
スズメとは雀のことではない。六郎が飼っていた三毛猫の名がスズメという。
庭に缶詰を置いた。新しく開封したものだ。
軒下で放心していた。しばらくそうしていたのだと思う。気がつけば缶詰は乾いていた。日も傾いている。空が不穏に曇りはじめた。
湿った空気に溶け合うペトリコールが匂う庭。通り雨は過ぎた。スズメは帰ってこない。
花束