お礼や
ねぎらいの花束ではなく
好きで、照れて
初めて花束をあげたのは
大学四年の時に知り合った女のひと
ぼくにとって初めての彼女だった
カッコつけて冷静を演じ
いつも聞き役に徹して
優しくするようにした
短大を出て
保育士をしていたその人は
年齢より遥かに幼く見え
体は丸みを帯び
ほっぺたにいつも赤みが咲ていた
目は清らかな泉を思わせ
素敵だった
ぼくと彼女はともに未経験だった
結婚してからしようね
と彼女に言われ
もちろん!と
真面目な人と思われたくて
強がった
でも下心しかなかった
女性としたかった
彼女としたかった
彼女とデートしている時
パンツの下であそこを苦しくしていた
そんな思いをひた隠し、
割と花束を買って行った
横浜の港を見つめ息苦しくキスし
彼女は僕のジッパーをおろし
僕の彼女のブラウスに手を入れた
素晴らしくなれるところを
喘いで確かめ合って触り合った
公園の木下でも
似たようなことをした
デートして
夕方から夜になると
暖かい頃は、
外で大抵そう言う流れになった
初めての彼女
初めて異性に掴まれる
全てが濁流のように蕩けそうだった
僕にそんなことをしてくれる人が
現れるなんて奇跡としか思えなかった
僕はキスの途中、
ズボンの上から触られるだけで
何回もパンツを汚すことになった
お互いの家に泊まりに行きあった
彼女の家に泊まりに行く時は
花を買って行ったし、
彼女が僕のアパートに来る時は
花を飾ったりした
夕食を一緒に作り
彼女の話をとにかくよく聞いた
そして夜中の3時過ぎまで
裸になり僕たちは転げ回ったが
それでも僕たちは少年と少女のままだった
口でお互いを秘密を確かめ合い
その口でキスしあって
自らの秘密、命を生み出す場所の味を知った
僕は何回も
もう堪えられない
一つになりたいよう
と彼女に泣きついたが
結婚するまではと、毅然として言われ果てた
でも男と女が何年も付き合い
夜を何回もともにし
そんな誓いを守れるわけがなかった
自然、ある夜、開かれて悲願を叶えた
我を忘れた
全てが吹っ飛び発射された
それからは会うたび
明け方まで男と女のことをした
滑らかな素肌の背中
小麦の原を連想させる臍からの落ち込み
忘れえない腰の柔らかさ
手からこぼれる丸みに驚嘆した
コンドームがない時は必死に堪えて
涎を垂らしつつ脳の痺れに抗い
上り詰める寸前で腰を引いて
精を外で放出した
腰を駆け巡り
お臍の下の空間30センチの煌めき
を何回も味わった
あられもない姿を
晒しあって
要望を叶えあった
僕は喘ぎ
彼女は鳴いた
子音と母音で僕らは
耐えられず快楽の声を上げた
やがて命が宿る
僕はその人と結婚した
初めての彼女
初めての人が
今の奥さん
僕らは3人の子をもうけた
奥さんとしかしたことはない
彼女以外の女の人は知らない
知る必要もない
彼女に頻繁に花束をあげていたのに
気がつくと今
誕生日と結婚記念日くらいになってしまった
好きな気持ちは変わってない
ぼくの人生の成功は
彼女をものにしたことだ
それくらい愛している
花束、最近
あげてないので
明日 あげよう!
愛してるよ!
2/9/2024, 4:15:31 PM