『自転車に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
自転車に乗って、君の住むアパートへ。
週末が来るたびに通った。
アパートの前の長い坂道も、君に会うためなら苦にならなかった。
雨の日も雪の日も、いや、そんな日だからこそ、君に会ってゆっくり話がしたかった。
時が流れ、僕達は夫婦となり、君はアパートを出て、二人で住む新しいマンションに引っ越した。
そこで新たな生活が始まり、車を買い、子供が生まれ、育ち、私達は年老いた。
子供達は自立して家を出ていき、私達はまた、二人だけで住むアパートに引っ越した。
アパートの部屋の窓から、長い坂道が見えた。
その坂道を、一台の自転車が登ってくる。
「なあ、見てみろよ。あの頃の私みたいな青年がいる」
窓際にやって来た君は、私の隣に立ってしばらく坂道の彼を見つめていた。
「この暑さの中をあんなに必死で…もしかしてこのアパートに彼女でもいるのかな」
君は黙って奥の部屋へ。
「何だ、昨夜の喧嘩で機嫌でも悪いのか?いつまでも引きずってるなら、私も本気で言わせてもらうぞ」
君は、懐かしい服に着替えて出てきた。
あの頃の服だ。まだ持っていたなんて。
「おい、なんでそんな格好…おい、どこへ行くんだよ」
ここ何年も、見ることのなかった君の笑顔。
「あの人が会いに来てくれたから…いつも待っているだけだったから…今日は迎えに行くわ」
「えっ…」
君が部屋を出ていく。幸せそうな顔で。
追いかけることも出来ず、窓の外を見下ろすと、自転車に乗って走ってきた青年に、アパートの玄関から飛び出していった女性が駆け寄っていくのが見えた。
自転車の青年は驚いたような顔で立ち止まる。
二人は、坂道の途中で抱き合い、そして、私の方を振り返った。
あの頃の君と僕が、私を見て、微笑んでいた。
…あれから君は、帰ってこない。
まわるタイヤから伝わる、道の感触
走りながら受ける、心地いい風
目の前には、きれいな景色が広がり
そのすべてが私を楽しませてくれる
自転車をこぎながら
常に変化していくそれらの、一瞬一瞬を大切にして
そこからわきあがる感情の一つ一つを噛みしめる
今日はどこまで行けるだろう
まだまだ、もっと先まで走れそうだ
明日はどこへ向かおうか
目的地もなく進み続ける
今日も明日も走り続ける
自転車に乗って
どこまでも
自転車に乗って
夕暮れの商店街は主婦にお使いの子に、親子連れと買い食いの学校帰りの人々で賑わっている。
よくある色褪せた元はカラフルだったアーチを抜け、今日の戦利品をひとつ見つめる。
今日はコロッケにおばちゃんがオマケでくれたカボチャのサラダと家で待つ冷えた缶ビール。完璧な晩酌が出来そうだ。
満足気に頷く後ろから声をかけられ振り返ると、同僚が自転車から降りてこちらに歩いてきた。
「今帰りか?」
「うん、何買ったんじゃ?」
「コロッケともらったカボチャのサラダ」
「ええなぁ、ビールは?」
いつまで経っても絶妙に抜けない方言が今じゃ心地よくなっている。
「家でスタンバってる」
「最高じゃ。よし行こう」
「まてまて、なんでお前もくる感じになってるんだ」
「ええが、今なら自転車で送ってあげるだが」
「そもそもなんで自転車なんだよ」
「もらった」
「あ、そ」
ビールじゃビール!と鼻歌を歌いながら自分の買い物バックを奪うとカゴに入れ後ろに乗れと視線で促される。
色々と突っ込みたい事はあるのに、まぁ歩くより早いしな、とかバック奪われたしなとか言い訳を作って。
何より、彼と帰れるという事実に上がりそうな口角を必死に抑え、跨った。
彼の背中はやっぱり思ったとおり大きくて、熱くて。
夕陽に反射するほんのり浮かんだ汗が何だかとてもいけないものに見えて、視線を逃しても結局彼の背中しか見えなくて、それに少しだけムカついた。
だから、その背中にそっと頭をつけて一瞬ドキリと跳ねた背中に、いい気味だと微笑んで。
「…ビール飲んだら自転車乗れないぞ」
「……飲んでいいんか」
「…好きにしろ」
そう言ったら少しだけあがったスピード。
あぁ、今日はどうしようもなく酔ってしまいたい。
…ピロン
人気のない図書館に通知の音が響く。
何だろう、と君がスマホを覗き込む。
「10分後に、豪雨…予報……?」
ああ、よくある当たらないやつ、と私はこっそり思う。
しかし君は違った。
「ほらもう帰らなきゃ、急ごうよ」
君の自転車置き場まで付いていく。
「後ろに乗って」と君は言う。
罪悪感を少し感じたが、ワクワクする心には負けた。
坂道を風を切って走る。
君の楽しげにはしゃぐ声が前から聞こえる。
しかし、生憎あの天気予報は的中してしまった。
頭の上でバケツをひっくり返されたような感覚。
君のはしゃぎ声は悲鳴に変わり、服はずぶ濡れ。
それでも君は諦めず、私の家へと力強くこいでいく。
そんな後ろ姿は、私には光のように輝いて見える。
「ありがとう。送ってくれて助かったよ。」
「全然いいよ。ところで、雨はいつ止むの?」
「……明日の昼くらい。」
これは真っ赤な嘘だ。もう夕方には止むのに。
君を家に上げる口実が欲しいだけなの。
「まあ、もう少しこいで帰るよ!!またね!」
「……」
そっちかーい。
…はぁ、期待した私が馬鹿だ。
いつも私ばかり宙に浮いている。
それでも、私だって力強く諦めずにいる。
君にとっての光になるまで。
#自転車に乗って
子どもの頃,「自転車🚲」は,魔法のアイテムだった。
大人が運転する自動車を真似して,
ギアチェンジを自慢げにして,
放課後の学校や近所の公園やスーパーに行っていた。
今はバイク🏍️や自動車🚗や飛行機✈️や様々な乗り物に
乗れる。
しかし,あの時のドキドキ感はなくなったなぁ。
久しぶりに自転車に乗り、駆け出す。
坂道を下り、風が頬に触れる。
潮の匂いと、海の青さが目に広がる。
そして私は、地平線の先を目指してペダルをこぐ。
自転車に乗って
海の近くを幼なじみと
自転車にのってこぎ始める
いつまでも一緒にいれたらな
そんな感情を抱えながら
ゆっくりこぐ
風が通りすぎ
髪が揺れる
心地よい
いつまでもこのままで
【自転車にのって】
6歳のとき真奈はまだ自転車が上手く漕げなかった。なのでいつも親に送り迎えをしてもらった。よく自転車に乗って遠くまで遊びに行っていた中学生の兄には、真奈はとても憧れた。
「自分のあしで、あんなにとおくに行けるんだ!」
親は真奈が成長するにつれ、送り迎えの頻度を減らして、真奈に自転車の練習をさせるようにした。そんなある日のことだった。
「痛っ……!」
鼓動の速さを遠くに感じながら、膝頭のあざやかな血を呆然とみつめた。
怪我は軽かったが、自転車の恐怖は真奈に纏わりついて離れなかった。あんなに憧れた「自力」が怖くなった。いつまでもおかあさんに送り迎えしてもらえたらいいのに。情けないけど、呟きが漏れ出た。
自転車に乗って、自分の力で遠くに行きたい。
怖さを乗り越え、あの頃の真奈の気持ちが戻ってくる日は、きっと来るのだろうと思う。
テーマ“自転車に乗って”
子供の頃憧れていた。
好きな人の自転車に二人乗りする事。
だけど、付き合った人は真面目で
「交通法違反」
そう言われた。
「君がそんな不良がする事をしたがるなんて」
とも言われた。
昔見たアニメ映画に憧れて
なんて言ったら、彼は笑うだろうか。
「そ、そうだよね。」
私は、笑い掛ける。
「突然、おかしな事言わない方がいいよ」
彼は、呆れたように言う。
「う、うん。ごめん。」
そうして、私の憧れだった
自転車二人乗りの夢は潰えたのだった。
自転車に乗って
今日は花火大会が予定されている。このところ、コロナだったり、台風が直撃したりで中止が続いていたが、今年は天気もよく4年ぶりに開催される。
花火大会の会場は港の中にあるため駅から少し遠い。もちろん近くに駐車場はないので、みんな電車で来て、駅から会場まで歩いていく。思っていたよりも歩く距離があるが、所々に屋台や夜店があり、楽しく歩くことができる。
浴衣を着て、汗をかきながら歩く私たちの横を1台の自転車が通り過ぎていった。2人乗りの自転車に乗っていたのは、私の幼馴染と後ろは弟だ。
あいつらはなぜ自転車なのか!
この暑い中、私は汗ダクダクで歩いているのに自転車って! 何!
駅からは少し下り坂になっているためか自転車に載っている2人は、風を切って涼しそうにしているのが、なんかムカつく。
「おー。お疲れ〜」
通り過ぎざまにかけられた声にイライラがつのる。ムカつく!
「顔怖いよ。自転車いいよね。まあ、帰りは登りだから乗れないよね」
隣にいる友達の声に頭がスパークした。
確かに。
帰りは自転車を押して坂を登らなければ帰れない。きっと年下の弟が自転車を押して上がって行くだろう。
ニヤリ。
私の表情筋の音かした気がする。なにごとも楽ばかりなハズがない。あの2人も汗だくだ〜。せいぜい頑張れ〜。
「まあ、私たちも登りだけどさ。自転車よりはマシかな」
確かに。
帰りを考えると他人事ではなく気分も落ちるが、自転車を押すよりはいいと自分に言い聞かせ、まずは花火大会を楽しもうと会場へ向かう。足取りは軽い。
『自転車に乗って』
自転車に乗るようになって行動範囲が広がった。
自転車があればどこにでも行けて
学校終わりに大冒険をしていた。
校区外に出て
子供だけでゲームセンターに行って
違う学校の子達と喧嘩になって、、、
それまで真面目だった僕は、
悪いことをする楽しさを知った。
あの頃から、僕は変わった。
『自転車に乗って』自然の中を通り抜けたいな。
自転車に乗って
強い日差しが照りつける帰り道、ただでさえ暑いのに、坂道は本当に嫌になる。
直射日光と上り坂、この組み合わせは最悪だ。
そんなことを考えながらも、1歩ずつ足を踏み出して坂を登るしかない。
「やっほー」
気楽な声が背後から飛んできた。
「後ろ、乗ってく?」
電動自転車に跨る彼は、暑さを微塵も感じていないかのように爽やかで、羨ましい。
私は二つ返事で自転車の荷台に跨った。
二人分の重さを感じていないかのように、電動自転車はスイスイと坂道を上っていく。
今日は家に帰るまでの時間が短くて嬉しい。
だけど、彼の背中にくっついていられる時間は短すぎて寂しい。
「ねぇ、寄り道してかない?」
今日自転車に乗ったら
壁に自転車が当たって転んで骨折しました。
これを家族に伝えたら
「ご愁傷様です。」とのこと。
自転車に乗って夏の風を感じる。
澄み渡った心地よい風。
目を開けると一面に広がる絶景。
この景色がいつまで見れるんだろう。
そう考えただけで虚しくなるな。
題 自転車に乗って
自転車に乗ってどこまでも行けそうだ
私は毎朝考える。
登校の時、急いで駅まで自転車を走らせていると、風を感じる。
その風の勢いに私はスピードを感じる。
ペダルが軽く感じる。
まばたきをする度に風がひゅんひゅんまつ毛を通過していく。
そうしてどこかへ行ってしまいたい気持ちになる。
どこかへ?
どこかな。
どこまでも行きたいのではなくどこかへ、かな。
自分でも分からない。
ふと風を感じた時に思う。
このままペダルを漕いでどこか知らない街へ、学校ではないどこかへたどりつきたい。
毎日毎日終着点は学校で、ゆらぎがなくて変化がない。
だからこそ望んでしまうのかもしれない。
私が到達したい所へ。
進んだ先にある場所が未知の世界であってほしいと思う。
その場所に到達したら、次にどこへ行く事を望むのだろう。
私は永遠とペダルを漕ぎ続けていくのかもしれない。
自分の望む道を見つけるまで。
自分が納得する場所にたどり着くまで。
自転車に乗ったのはだいぶ前かなー、小学生くらい?今はもうバスか電車しか乗ってない。今乗れるかもわかんない。
海とか行きたいなー、花火綺麗だったし。こないだえのすい行ったけどほんとに綺麗で年パス欲しくなったレベルだから、自転車乗って行きたいな。
「自転車に乗って」
今日は空が晴れている。
天気予報は一日中、晴れの予報のようだ。
自転車に乗って、どこに行こうか?と僕は考えた。
考えているとワクワクしてくる。
ずっと行きたかったあの場所に行こう!と思い、僕は自転車に乗った。
私は、海の見える坂道を風を切りながらおりている。顔に風邪があたるのが気持ちよくて、心が洗われてるみたい。
昔、いつも一緒に帰っていた男の子を思い出す。その子と喋っていると、嬉しくなってふわふわする。引越しをして、はなればなれになってしまったけど、いつも一緒に帰ったこの道は何も変わってない。これからもずっとこのままだったらなんて無理な話だよね。
自転車に乗って
「乗れた、乗れたわ!お母様見て!」
初めて自転車に乗れるようになったとき、そう言ってはしゃいだ私。そのときの私はまだ知らなかった。自転車で重体を追うことになるだなんて…。
ああ、もうあれから4年だわ。こんなに長い間治療を受けてるっていうのに、まだ歩くことさえできないって言うの?辛い、寂しいわ…。お母様、お父様、どうして私を置いて死んでしまったのっ…?
あの日はお母様とお父様と一緒に、自転車で海に行く約束をしていたのよね。約束通り、私たちは海に向かい素晴らしい景色を目の当たりにしていたわ。
…はぁ、やっぱり思い出せない。そのあと何があったのか。執事には、事故で私たちは撥ねられ、庇おうとした両親が犠牲になったと聞いた。私が、両親を殺したの、?いやでも、そんなっ…。いくら考えても仕方がない。せめてもう一度、自転車であの海に行くことができるなら…