たやは

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自転車に乗って

今日は花火大会が予定されている。このところ、コロナだったり、台風が直撃したりで中止が続いていたが、今年は天気もよく4年ぶりに開催される。
花火大会の会場は港の中にあるため駅から少し遠い。もちろん近くに駐車場はないので、みんな電車で来て、駅から会場まで歩いていく。思っていたよりも歩く距離があるが、所々に屋台や夜店があり、楽しく歩くことができる。

浴衣を着て、汗をかきながら歩く私たちの横を1台の自転車が通り過ぎていった。2人乗りの自転車に乗っていたのは、私の幼馴染と後ろは弟だ。

あいつらはなぜ自転車なのか!

この暑い中、私は汗ダクダクで歩いているのに自転車って! 何!
駅からは少し下り坂になっているためか自転車に載っている2人は、風を切って涼しそうにしているのが、なんかムカつく。


「おー。お疲れ〜」

通り過ぎざまにかけられた声にイライラがつのる。ムカつく!

「顔怖いよ。自転車いいよね。まあ、帰りは登りだから乗れないよね」

隣にいる友達の声に頭がスパークした。
確かに。
帰りは自転車を押して坂を登らなければ帰れない。きっと年下の弟が自転車を押して上がって行くだろう。
ニヤリ。
私の表情筋の音かした気がする。なにごとも楽ばかりなハズがない。あの2人も汗だくだ〜。せいぜい頑張れ〜。

「まあ、私たちも登りだけどさ。自転車よりはマシかな」

確かに。
帰りを考えると他人事ではなく気分も落ちるが、自転車を押すよりはいいと自分に言い聞かせ、まずは花火大会を楽しもうと会場へ向かう。足取りは軽い。

8/14/2024, 12:08:43 PM