自転車に乗って』の作文集

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自転車に乗って』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

8/16/2024, 8:01:17 AM

「お願い!一緒に来て」

やや強引なその頼みを断り切れず彼女と共に訪れたのは、田畑が広がるのどかな田舎の地だった。

どうやら彼女の親戚が困っているらしい。電車内で話すとは言っていたものの、疲れからかすぐに眠ってしまい、詳細は聞けず。実際に訪れれば何か分かるかと、あまり深刻に考えずにいたのがそもそもの間違いであった。

「何これ」
「え、自転車。知らない?」

困惑気味にそれの名前を告げられるが、聞きたいのはそうではない。

「明らかに事故ってる自転車を、どうしろと?」

歪んだ車輪。ひしゃげたハンドル。
何かに強くぶつかった痕跡を強く残すこの自転車を、彼女はどうして見せてきたのか。まったく真意が分からない。
だが彼女を見れば、どこか泣きそうな表情で。決してふざけているわけではない事に、ますます訳が分からなくなってくる。

「一から順に説明して」
「うん。分かった。あのね。おじさんから聞いた話なんだけど…」



彼女の話を聞き終わり、思わず重苦しい溜息が零れ落ちた。

十日ほど前の事。
自転車に乗って駅に向かおうとしていた従兄弟が、駅の手前にある坂で事故に合ったという。
幸い命に別状はなかったものの、全治三か月の大怪我を負い、現在も入院を余儀なくされているのだとか。
そこまではただの事故で終わったのだろうが、意識が戻った従兄弟は「女の幽霊を見た」と繰り返し話しているのだという。

だから、ね。と彼女は言葉を濁し締めくくったものの、やはり何一つ分からない。

「で?」
「一緒に『ころも様』をしてくれないかなって」

思わずまた溜息を吐いてしまう。

ころも様。
最近密かに流行っている占い。狐狗狸さんのようなものであり、遊び半分に行うには危険すぎる代物である。
ころも様を行ったクラスメイトが、倒れた事を忘れた訳ではないだろうに。無謀なのか、それほどまでに追い詰められているのか。

「やらない。でも事故現場には一緒に行ってあげる」

仕方がない、と苦笑して、手を差し出した。



結果として、その場で形として得られたものはなく。
何しろ何日も前の話だ。何かを見間違えたとしても、それが残っている可能性はとても低い。

「それにしても、随分きつい坂だねぇ」

急勾配であるだけでなく、坂の終わりは緩やかに蛇行している。これでは常から事故が起こりそうなものではあるが、と親戚らしき人に呼ばれて坂を上って行く彼女の背を見送り、視線を移す。

坂の終わり。その脇に立つ石標。
そこに記された坂の名前。
おそらくは昔、荷を運ぶ家畜がこの坂を上る際の様子から名付けられたのだろう。

ーーー獸唸坂《しゅてんざか》。

「獣、か。牛とか馬とかだったらまだマシだったのに」
「狐の気配がするな。大方化かされでもしたのであろうよ」

呆れを含んだ背後の声に、やはりかと嘆息する。

獸唸坂。獣が唸りをあげる坂。
力がありあまる狐や狸が何をするかは、お察しというやつだ。彼女の従兄弟は運が悪かった。
駅を出た時から感じていたが、ここはどことなく場が悪い。

「神様。ここ、あんまり好きになれそうにない」
「娘。間違ってもあの愚かな呪いはするではないぞ」
「する訳ない。絶対にしない」

声の忠告に、想像するだけでも嫌だと首を振る。
彼女には悪いが、早々に帰らせてもらおうかと彼女を追って坂を上り。
数歩歩いて、足が止まる。

「神様」
「ただの脅かしよ。我がおる故、あれらは手が出せぬであろう」

坂の両脇。木々の合間から、低い獣の声がした。横目で様子を伺うも、声の姿は捉えられず。

「娘。気にせず進め」

背後の声に促され、足を進める。

「やっぱり、ここ嫌いだ。すごくざわざわする」

呟いて、足を速め。彼女を追って坂を上る。

視界の隅で、あの赤く染まった自転車がちらつき舌打ちする。
幽霊を見たという彼女の従兄弟。普段の彼女らしくない、不安げな様子。獣の唸り声が満ちた坂。


酷く気分が悪かった。



20240815 『自転車に乗って』

8/15/2024, 1:21:40 PM

「自転車に乗って」

今年も親父の実家で盆休みだ。
残念ながらここにあるのは山と畑と田んぼぐらいで、娯楽らしいものはない。

子どもの頃こそいとこと山で遊んだり、古いゲームしたりするくらいで満足できてたけど、最近ではそのくらいじゃ楽しめない。しかも、遠いからって来なくなった親戚も少なくない。

つまり……めちゃくちゃ暇なんだ。

どうしたもんか。
思い切って山でも駆けずり回ってみるか。
いや、なんかもっとあるだろ……。

ふとリビングにいるばあちゃんの方を見ると、どうやら古い家から出てきた金庫を開けるテレビ番組を見ているようだった。

うちにはそういうのないの、と聞く前にばあちゃんが一言。
「うちにはそういうのないからね?」
そっか。

……というかそんなのがあったら多分みんながほっとかないよな。そうだよなー……。

俺の暇つぶし計画は振り出しに戻った。

やっぱり暇だなー。
この暑さにも関わらず、俺は暇すぎて庭をうろうろしてる。
どうしたもんかなー?ぶつぶつ言いながら物色中。

ふと、自転車が目についた。誰かが普段乗ってるからかそこまで状態は悪くない。隣にはデカいトラクターがある。

げっ、そうだった。どこかに出かけとかないとじいちゃんの畑仕事を手伝わなきゃならなくなるんだった!

……というわけで、俺は自転車に乗ってどこかに行くことにした。

「この自転車借りるから!」
「それじいちゃんのだよー?多分乗っていいと思うけど!」
親戚のおばちゃんの言葉を背に、自転車を漕ぎはじめる。

まだ朝だっていうのにめちゃくちゃ暑い。
でも、こういう時間にしか聞こえない鳥の声とか、ピカピカの虫なんかも見て、こいつら強えなとか考えてた。

そのうち下り坂に差し掛かる。
ぬるい風が俺の周りを吹き抜けていく。

うわー、夏だなー!

しばらくしたら隣町に出た。
少し都会だからなのか、あまりの暑さのせいなのか、もう鳥も虫もいない。

うわー、夏だな……。

俺は自転車を降りて、どこか涼めそうな場所を探した。
涼しそうなところ、アイスとか食えるところ……。
路地を見遣ると日陰で猫が溶けそうになってた。

猫ー、お前も大変そうだなー。
なんて思って見てたら怪訝そうな顔で逃げてった。
なんだよ。心配してただけなのに。

不貞腐れて適当に歩いてたらかき氷の店を見つけた。
「期間限定!レインボー白くま!」……ふーん。
「¥1,580」……見た目の割に値段は可愛くない。

まあせっかく来たからちょっとくらい贅沢してもいっか。
俺はレインボー白くまを注文した。
……美味い。けどいっきにかき込みすぎて頭痛が……。

これも夏の風物詩か。
にしても、かき氷なんか食べたの久しぶりだな。
それこそ10年は食べてない……かもしれん?

ボーッとしてから時計を見ると、夕方が近づいていることに気付いた。そろそろ戻らないと夕立ちが来るかもしれないな。

本当はもう少しだけ涼んでいたかったが、仕方がないのでかき氷屋を後にした。

今日は比較的充実した日だったな。
……お、さっきの猫じゃん。ちょっと涼しくなったけど、雨に濡れないように気をつけろよー。

それに応えるかの如く、猫はしっぽをちょいと振った。

夕方になりつつあるからか、ひぐらしの鳴き声が聞こえる。
なんだか切ない気持ちになるな。夏の終わりを感じさせられるというか……夏に思い入れなんかないはずなのに不思議だ。

上り坂の踏ん張りと下り坂の少し涼しい風を繰り返して家まで戻った。

あー、冷房のある部屋はいいな!
涼しくて楽だー!
……でもあれはあれで楽しかったな。

その夜はよく眠れたが、翌日足が筋肉痛に襲われたのは言うまでもない……。

゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒*゚*。 

……ここまで書いておいて何ですが、実は私、自転車に乗れないんですよね……。運動神経が悪悪(わるわる)すぎて……( ・᷄ὢ・᷅ )
早く自転車に乗れるようになりたーい!!!

8/15/2024, 10:18:42 AM

長い長い下り坂
脇道も扉も無い一本道
空の背中は涼しく軽く
握ったブレーキに抵抗無く
息を吐いてペダルを踏む
良かったと微笑み道を蹴る

やっとやっとようやっと
もう誰も巻き込まない

‹自転車に乗って›

夢を重ねてファンタジー
安心安定の勧善懲悪
ドキドキハラハラ冒険譚
ほっこりノンフィクション
汗と涙のスポーツ系
キラキラドロドロ恋愛物
犠牲と正義とダークヒーロー
信じたくないホラー物
繰り返さない歴史と他者

いつ触れてどう感じて
どれが栄養で何が清涼剤で
何を学んで何処へ辿り着いて
どんな人間になるのかは

たかだか人間が狙って作れるモノでは無いはずだ

‹心の健康›

8/15/2024, 9:49:52 AM

#24 自転車に乗って

   [ヤクルトは美味しい]

   自転車に乗って、
   ヤクルトが運ばれてくる。
   
   何気ない街中にヤクルトを運ぶお姉さんが
   颯爽と走る。
   すると、今飲んでいるヤクルトが
   美味しそうに感じてしまう。

   なぜだろうか。
   きっと、暑い中生活のために働く姿が
   より一層味を引き立てるのだろう。

   今日も運搬ご苦労様です。

8/15/2024, 9:49:25 AM

自動車
バイク
バス
新幹線
飛行機



色んな乗り物があってそれぞれで行ける範囲が変わるけど


私は自転車がいい


こいでこいで
汗かいて
風を感じて
髪も崩れて


それでも顔を合わせられるのだから
出会いが待っていると思うと


私の人生は自転車がいい

8/15/2024, 9:48:24 AM

自転車に乗って、お題は走る。
それを追うのはいつも僕。

「待って。待ってよ〜」

こんなことを書くつもりはなかったのに。
昨日のお題だって、あんなの書くつもりはこれっぽっちもなかったのに。
「心の健康」から、どうして大乱闘リアルタイムブラザーズになったのか。不明。不明だ。

心の不健康がダダ漏れ。
ご存知の通り、お題を追う僕は、文字を落としながら走っている。
コインを落として三千里。それが天の川になっていく。
足元から自身の後方へ遠ざかっています。
誰か、拾っちゃってください……

差は少しずつ縮まっているようだが、秒速3センチメートル程度である。
何メートル離れているかなんて、追跡している僕の心に余裕はない。ただ走っているのである。
連鎖的な音が鳴っているのを、僕は無視しなければならない。
あれが止まりません。
あれとは、何ですか。
文字です。
血反吐のような文字です。
お題、目の前のお題……。

かごにお題を載せた自転車も、よろよろとしている。
今にも倒れそうだ。
T字ハンドルを左右にゆらゆらさせて、前輪はイヤイヤ期の子どものように揺らしている。
煽っているように見えるが、どこか憎めない。
毎日の日課になろうとしているからだろうか。

地面はものすごく乾いている。
途中、水たまりがあった。
そのため、前輪と後輪の轍が直線的に交差する。
軽い螺旋を地面に描く。
よろよろ、よろ喜び。
ふらふら、フラダンス。

かすれて地面に書けなくなると、ちょうどよく水たまりポイント(補充地点)を通るので、細いタイヤは再び描くことができる。
その薄れゆく轍の跡に沿って、僕の濡れたフットマークが重なる。僕を追ってきた人にだけはわかる、キリトリ線。

「もう、疲れたよう……」

そんなことを言うと、ようやく自転車は、行く当てもなく立ち止まり、やがてガタンと音を立て、倒れた。

ふう、ようやく止まってくれた。
僕は息も絶え絶えになった運動不足のひょろい身体を落ち着かせた。
しゃがんで、ふらっと意識が遠ざかり、大の字。
バシャンッ……。

倒れた自転車は、水たまりの大きいバージョン、湖のほとり。その近くの浅瀬で倒れてくれた。
ああ、全身がすずしい、と思いきや、
「あちっ」
湖の水は、昨今の猛暑により随分と暖められたものだった。淡水湖だから、天然の温泉。
しかし、温度が容赦ないので、このままではのぼせてしまう……。

僕は今すぐ追跡者から救助者になって、溺れた自転車を重労働により立て直した。

逃げるようにペダルを漕ぎ始める。
そして、今きた道を、口笛を吹きながら、おうちに戻っていくのだ。
行きは走り、帰りは自転車。
片手をハンドルから放し、キリトリ線の通りに、道を割くようにして。

そのとき、かごにお題はありません。
倒れた拍子にどっかにいってしまったようです。
だから、最近は帰路の途中でコンビニに寄って、アイスを買うのが日課となっております。

8/15/2024, 9:48:16 AM

#44「これが愛と言うならば」

キズつけること
これが愛と言うならば
嫌いになるのも愛なのか

関係が修復しても キズは修復しないこと
これが愛と言うならば
このキズの価値はなんなのか

嫌いは愛情の裏返し、なんて
これが愛と言うならば
君は出ていくはずがない

これが愛と言うならば
私、こんなに泣いてない

8/15/2024, 9:42:08 AM

高校生ともなれば、自転車である程度の距離を移動できるようになる。
 学校はもちろん、じいちゃんちも余裕で行き来できる。
 電車で数駅分の距離なんて余裕だ。
 自力で自由に動ける距離は、行きたい場所に行きたいと思う気持ちに比例するかもしれない。
 いま、彼女にひと目会いたいと思えば、彼女のもとに向かうことができる。
 冬の風を切りさいて進んでいるのに、寒さは全く感じない。
 ペダルを漕ぐ足が何に突き動かされてるのか、今は分からなくていい。
 早く、速く。
 日が昇る前に。



『自転車に乗って』

8/15/2024, 9:41:36 AM

自転車に乗ることのメリットは自動車に乗ることに比べて地球にやさしい点と、移動するついでに運動ができる点だ。自転車は車輪を足の力で動かすことに対して、自動車はガソリンなどを燃やして車輪を動かす。そのため、自動車は二酸化炭素などの有害物質を排出してしまうが、自転車はほとんど二酸化炭素を排出することがないため、地球にやさしい。また、自分の足の力で車輪を動かすため、必然的に足を動かし、運動になる。
たしかに、自転車に乗るのは、時間がかかるというデメリットがあるかもしれない。自動車で行くと30分で行けるところに自転車で行くと1時間以上かかる場合もある。しかし、運動になる点や、地球にやさしい点など、個人にも地球にもメリットが大きいため、自転車に乗るべきである。

8/15/2024, 9:40:34 AM

自転車に乗って

















季語 鯖雲 秋にみられる巻積雲。「鰯雲」に同じ。形状が鯖の班紋に似ることからいう。秋鯖の漁期によくみられる。

きごさい歳時期より引用

8/15/2024, 9:33:08 AM

自転車に乗って、隣のあの子の家へ向かう。
あの子の好きなお菓子を持って、インターホンを鳴らす。何度も聞き慣れた音がした後、あの子が笑顔で出迎えてくれる。
クーラーのよく効いた、女の子らしいピンクのお部屋で喋って、遊んで。
5時のチャイムが鳴ったら、また自転車に乗って家に帰る。手を振ってくれるから、こちらも数倍元気に振り返す。

とある小学生の夏休み。


2024/08/15 #自転車に乗って

8/15/2024, 9:31:36 AM

ある日の夜、部活が終わり自転車で帰宅していたとき、不可解なものを見た。街頭の影に真っ赤なドレスを着た女性がいたのだ。それだけでは何も不可解ではないのだが、その人の前を通り過ぎて振り返って見てみると、顔が男性になっているのだ。驚いた。さっきまで女性だったのに男性になっている。その日は一目散に家に帰った。それからというもの、時々部活帰りの夜に見かけるようになった。ただ、もう振り返るようなことはしていない。すぐに前を通り過ぎるようにしている。
ある日、学校の授業で「ルビンの壺」というものを知った。そのとき、もしかしたらあのドレスを着た女性が男性に見えるのは見方により生じているのでは、と思った。
次の部活帰りの夜に、いつもはすぐに通り過ぎるとこを、しっかり見ることにした。そうして見てみると、全然違った。1つの顔が見方によって女性にも男性にも見えたのではなかった。そもそも1つではなかった。
顔が2つだったのだ。このこと以来、夜に帰るのをやめた。

8/15/2024, 9:30:10 AM

テーマ「自転車に乗って」


自転車に乗って追い風に抗ってく。



この風を切り抜けて



清々しい青の陽光に



眼を見開いた

8/15/2024, 9:29:26 AM

よく晴れた夏の日の真夜中。
頭上に夏の大三角を見ながら田んぼのあぜ道を自転車で走る。
息を切らし、汗を少しかいて親友の家の前に着く。
そして、彼に電話をかけた。

「あー、もしもし?これからさー、日の出見に行こうぜ!海まで!」
「......は?海まで?こっから、自転車で3時間はあるぞ......」
気だるさと呆れた声が聞こえてくる。
「だからー、今から行くんだよ!夏休み最後の日曜日なんだからさ!」
「はぁ......わかった。準備するから待ってろ。それと家の前で騒ぐなよ、真夜中なんだから......」
そう言って電話を切られた。
待つこと5分。
くたびれたTシャツと学校指定の体操服のズボン履いて彼は来た。
「待たせて悪かった......」
そう言って少しぬるい麦茶を私に差し出した。
「大丈夫、お陰で少し休めた!あと、麦茶ありがとう!それじゃ、出発!!」

2人で並走し海へと向かう。
夏の夜は少しぬるかった。
午前3時00分を告げる時計の時報。
用水路を流れる水の音。
たまに横切る車の走行音。
スマホに表示される目的地までの時間。
徐々に明るくなりつつある星空。

そのどれもが私の心を踊らせる

潮風の匂いと波の音が遠くの方から届く。
あと少しで海につく......
逸る気持ちを沈めるために、更に速度を上げて走る。

海辺のなんでもないところに自転車を止めて
上がった息を整えていると
遅れた彼が
「 ......はぁ、はぁぁあ。お前、振り回される側の気持ち考えたことある?」
と汗を流し息を切らし私にそう言った。
「うーん、嫌なら君は着いてきてないでしょ?あ、ほら見て!日が昇ってきた」

2人で見た日の出は、何よりも綺麗だった。
真っ赤な太陽が紫紺の夜空を黄色く染めていく。
あっという間に黄色く染められた空は、太陽が高くなると共に海と同じ蒼になっていく。
「俺、喉乾いたからジュース買ってくる......何がいい?」
自販機に目を向けて彼は言った
「じゃあ、サイダーがいい!キンキンに冷えたヤツ!」
「分かった、ちょっとまって......」
そう言って彼は小走りでサイダーを買ってきた。
キンキンに冷えたサイダーが乾いた喉を刺激し潤す。
疲れた身体に染み渡る甘さ。シュワシュワと弾ける炭酸の音が心を満たしていく。

「なあ......来年もまた来ようぜ。」
「うん」
彼からの提案に小さく頷いた。


彼と一緒にまた自転車に乗って、海を見に行こう。
次は、きっと友人じゃなくて恋人として。

『自転車に乗って』

8/15/2024, 9:27:59 AM

#自転車に乗って
#今日のお題
#るいなの小説
夏の終わりに1人で自転車を漕いで知らない街まで
走っていた。気づいたら夕方になってて。親にどこいってたんだ!!と怒られたけど。でも、私があれはまだ中学生の時。内向的で人見知り、話すことが嫌いだった私を隣のおばあちゃんがくれたんだ。もしもるいなちゃんさえよかったら自転車もらってくれる??、と。その自転車はとても漕ぎやすくて楽しかった。
春休み、夏休み、冬休みの終わりには毎日、毎日
自転車で1人で出かけてた
懐かしくて少しだけ悲しい
終わりのメモリー。私が自転車を辞めた理由は、
高校に入ってすぐママチャリで思いっきり頭部と
胸部を打ち付けて3日ほど呼吸が痛くてできなくて
脳震盪を起こしたから。その後遺症が今若干あるらしく、たまに発作が起きる。今は24歳もう
自転車には乗らない。決めています。
もう。

8/15/2024, 9:19:45 AM

学生の頃

アシストがなくて

ペダルを踏んだら

軋んだ金属音に不快感を覚えるような

古びた自転車を先輩から譲り受けた


車の免許を取ったけれど

ペーパードライバーだった私が

はじめて一人暮らしのアパートに招き入れた未来の愛車だった

大学に通う道すがら、舗装されてから年数が経っているであろう道を小さくダイブしながらペダルを踏む

ほとんど車道しかない蝉時雨の田舎道を
頼りない錆び付いた車輪で走り抜けた

学生の間で
滑走路と言われている拓けた一本道がある

大学とは真逆の方向だが
入道雲が日本アルプスの連なりを背景に立ち上ぼり
まるで異世界へ導く光の道のような風体で眼前に伸びてあった

絵画にでも出来そうな景色に一瞬目が眩みそうになる

この空を
道を
風を
臭いを

先輩は知っていたのだろうか
私のように果敢に挑んだのだろうか

この自転車で


私は水筒から冷えた麦茶を口に含み

ふと、大学校舎を振り返った


#自転車に乗って

8/15/2024, 9:08:36 AM

【自転車に乗って】

ある人が言った。
「地図は無くても、旅はできる。」と。


会社からの帰り道。
小柄で白髪の老人は、壊れかけの傘を差しながら、なぜか僕の顔をじっと見つめていた。

「君、少し疲れてるようだね。」と、老人は言った。

「ああ、まあ…」と僕は曖昧に答えたが、正直、話しかけられたこと自体が少し気味が悪かった。離れるべきだとわかってはいたのに、なぜか足が止まってしまった。

「人は、旅をしているんだよ。」彼は突然そんなことを言い始めた。「不安という荷物を持ち、希望というコンパスで行き先を決めている。そして前を向いて、初めて自分の立ち位置が分かるようになる。」

「何の話ですか?」僕は不思議そうに聞き返した。

「でも地図なんて無くてもいいんだよ。自分がどこにいるのか、何が本当の自分なのか、それが分かれば、地図なんて無くても旅はできる。」老人は笑みを浮かべた。

僕は半信半疑で頷きながら、その場を離れようとした。しかし、彼の言葉が頭に残り続けた。


僕は自分の心を見つめ直した。僕はいつも不安に支配されていた。でも、それは本当に避けられないものなのか?僕が自分を信じることができれば、地図なんて無くてもいいんじゃないのか?

不意に、僕の心の中で何かが動いた。まるで初めて自転車に乗った時のようにゆっくりと、僕の中に小さな希望が芽生えたのを感じた。それは、ほんの小さな火種だったが、確かにそこにあった。

次の日、僕はいつもと違う気持ちで一日を始めた。仕事でのミスも、上司の小言も、それまでなら僕をさらに不安にさせていたが、今はどこか冷静に受け止めることができた。不安の反対側にあるものを意識することで、心のバランスが少しだけ取れた気がした。

不安が消え去ることはないだろう。けれど、僕はもうその不安に飲み込まれることはない。希望のコンパスは僕の中で揺れている。その揺れ動くコンパスの中で、僕は少しずつ、自分の中にある強さを見つけ始めている。


「さてと、自転車に乗ってどこにいこうか。」


地図は無くても、旅はできる。
僕の行き先はまだ決まってない。

8/15/2024, 9:04:21 AM

人が足で移動するよりも早く

足をゆっくり動かし

足よりも早く移動する。

風に乗って、調子に乗って。

坂を登って、坂を降りる。

頭と心を空っぽにして

ブレーキを踏む。

そんな感じ。

–自転車に乗って–

8/15/2024, 8:43:20 AM

自転車に乗って

どこまでもどこまでも進んでいけると思っていた。
しかし押し寄せる歳にはかなわないのだ。
目の前に広がる長い上り坂を見て諦めの境地で自転車を下りる。ヒィヒィと息を切らしながら自転車を押し坂を上る。
もうちょっと、あと少し。
足にはだんだんと疲労が溜まってきている。
あと少し、だ!
ぐん、と一歩を踏み出し坂の頂上に立つ。
目の前に広がるのは絶景だった。
広がる街並み、森林、飛び交う鳥たち。そして綺麗な青空。
これが見られるから自転車の旅はやめられないのだ。

8/15/2024, 8:32:32 AM

放課後の帰り道

友と自転車に乗って

坂道を一気に下る


特別な思い出の日

気になるあの子を後ろに乗せて

家まで送った


真冬の寒い朝

母親に頼まれたおつかい

早く帰りたかったから

冷たい自転車に股がって

全速力で漕ぎ出した


自転車に乗っているのは

僕と

僕の大切な思い出

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