よく晴れた夏の日の真夜中
頭上に夏の大三角を見ながらあぜ道を走る
親友の家の前に着き、電話をかけた
「なあ、日の出見に行こう」
「は?海まで自転車で3時間はあるぞ?」
気だるさと呆れた声が聞こえてくる
「だから、今から行くんだよ!夏休み最後の日曜日なんだから」
「はぁ……わかった。家の前で騒ぐなよ真夜中なんだから……」
くたびれたTシャツ、学校指定の体操服のズボン履いて彼は来た。
2人で並走し海へと向かう
夏の夜は少しぬるかった
用水路を流れる水の音
たまに横切る車の走行音
そのどれもが私の心を踊らせる
潮風の匂いと波の音が遠くの方から届く
あと少しで海につく
逸る気持ちを沈めるために、更に速度を上げて走る。
海辺のなんでもないところに自転車を止めて
上がった息を整えていると
遅れた彼が
「振り回される側の気持ち考えたことある?」
と汗を流し私にそう言った
「嫌なら、君は着いてきてないでしょ?ほら日が昇ってきた」
2人で見た海から昇る太陽は、何よりも綺麗だった
自販機で買ったサイダーが乾いた喉を潤す
荒んだ心も一緒に満たしてくれるようだった
「なあ、来年もまた来ようぜ。」
「うん」
彼と一緒にまた自転車に乗って、海を見に行こう。
次は、親友じゃなくて恋人として
『自転車に乗って』
8/15/2024, 9:29:26 AM