『絆』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
小さな気遣いが幾度と重なって
大きな奇跡の結晶になる
それを人は絆という
何事も積み重ねが大事だね .
こんな夢を見た。顔を洗いに洗面所に行った。蛇口を捻ろうとすると手が上手く動かない。見れば私の両手首に縄が巻きついている。なんとか外せないか手首を動かすが、肉に食い込んで痛い。外すのは諦めたが、疑問が残る。この縄はどこに繋がっているんだろう。家の中を探すがどこにも繋がっておらず、縄は外へ伸びている。興味が湧いたので、たどっていくことにした。どんなに歩いても縄はどこまでも伸びている。いつまでも縄を引きずりながら歩かなくてはいけないのか。少しくたびれてきたところで縄が引っ張られた。引っ張られた方向に何かあるかもしれない。そちらへ向かう。しばらくするとまた引っ張られたので、方向転換をする。そうして、縄の終着点にたどり着いた。縄の端は誰かの左手首に巻き付いている。理由を話して外してもらおう。本当に誰がこんなことをしたんだろう。
「あの…」
「あれ?久しぶり!どうしたの、やっぱり寂しくなって会いに来たの?」
「え?」
「言わなくても分かるよ。僕と仲直りしたくて縄をたどってきたんでしょ、嬉しい。僕もキミに会いたかったんだよ!」
「だ、誰ですか」
「恥ずかしがらないでいいよ。やっぱり、僕たちの絆は切っても切れないんだね!」
嬉しそうに話す彼に少し見覚えがある。
「金銭や人間関係で色々あったけど、また仲良くしたいな。現実でも会って遊ぼうよ」
思い出した。彼は、度重なるトラブルで疎遠になった友人だ。
「……おきて。ねぇ、おきてよ」
雪が少しずつ溶け始め、窓からふわりと春風が吹き込む昼下がり。ウトウトとうたた寝をしていた僕は、ぺちぺちと頬を叩かれる感覚に思わず目を覚ました。
「ん、おきた」
少し見開かれる淡い琥珀色の瞳。所々跳ね上がっている銀色の髪の毛。彼は驚いたように狼の耳をピンと立てた。……いつの間に。彼は僕の膝の上に座っていた。どこか温もりを感じたのはこの為だったのか。それに、なんだかお日様の香りがする。いつから座っていたんだ。彼の頭をそっと撫でると、ゆらりと尻尾を揺らした。
「君から来るなんて、珍しいね。……まさか、寝込みを襲おうとしてたの?」
「ちがう。なんでそうなるの。……ボク、がんばって作ったから、見てほしいの。こっち」
寝ぼけ頭にたくさんの疑問符が広がった。考えようとして、眉間に皺を寄せる。そんな僕のことを、彼は気にも留めずに手を引っ張って歩き出す。連れて行かれたのはキッチンだ。そして目の前には――小さな可愛らしいケーキがあった。周囲にはレシピ本と、散らかった調理器具。そして『たんじょび、おめでと』という拙い文字で書かれた紙が置かれていた。彼はケーキを指さしながら、僕を見上げた。
「ちょこ、みんと?が、すきなんでしょ。だから、ケーキ作った。本、見て……あとは、野生のかん。たんじょび、おめでと。これからも、ずっと一緒……いてくれる?」
いつも強がりな彼なのに、最後の言葉には若干の不安が滲んで見えた。僕はそんな不安を吹き飛ばすように、優しく笑いかけてぎゅっと抱きしめた。唐突だったからか、彼は硬直して耳も尻尾も真っ直ぐ立てた。僕は落ち着かせるように、穏やかに話しかけた。
「もちろんだよ。君のことが大好きだからね。……僕のために、ありがとう。すっごく嬉しいよ。これからも、ずっとずっと一緒だよ」
彼はびっくりしたように一度瞬きをし、唇を強く噛み締めた。だが、徐々に嬉しそうに頬を赤く染めていった。まるでりんごが熟していくかのように。尻尾が僕の腕をさらりと撫でる。その時の表情は、幸せで満ち溢れていた。
あの後、僕たちは二人並んで調理器具の後片付けをし、ケーキを半分こして頬張った。食べている最中、「今日こそは、ボクがお前をふわふわにする」と言っていたけれど……どうなる事やら。誕生日の昼下がり、暖かな日差しが僕たちふたりの笑顔を照らしていた。
〜(別題で失礼します)〜
明日投稿分のおはなしに、続くかもしれない物語。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
都内在住の稲荷子狐が、立派な稲荷狐となるため、今月の1日から修行に出されておりました。
週休完全2日制。日本でいう土日は修行も休み。
その日はちょうど、修行に来て最初の休日です。
コンコン子狐は管理局員専用の、食堂の使い方もだいぶ慣れた様子で、滋味深い朝食AセットとBセットとCセットを注文。
尻尾をぶんぶん振り倒しながら、幸福にそれらを胃袋へ、ちゃむちゃむ、ちゃむちゃむ。
大好きな味の順番に、収容しておりました。
そんな
ちゃむちゃむ食事中の子狐の
よく聞こえる耳にパッと入ってきたのが
まさかの東京で毎週毎週観ておった特撮風アニメ、
「管理局戦隊アドミンジャー」に関する館内放送。
『本日 午後1時から 管理局戦隊アドミンジャー最新話の 公開収録をおこないます。
最新話タイトルは 「分断の罠! キングマンダリン 絆の統合合体」です
観覧を ご希望のかたは 正午に 広報部企画課 企画・運営班 アニメ部門へ お集まりください』
世界線管理局で管理局戦隊アドミンジャーなるアニメの館内放送。
そうです。この厨二ふぁんたじー企業、広報の一環としてアニメ制作もしておったのです。
「あどみんじゃ!あどみんじゃーだ!」
しかもこのアニメ、普通に日本で放送されておりまして、子狐はアドミンレッドとブルーのファン。
「あどみんじゃー!」
公開収録が何を意味するのか、コンコン子狐知りませんが、ともかく管理局でアドミンジャーのイベントが開催されるそうです。
アドミンジャーが大好きな稲荷子狐としては、断じて見過ごすワケにはいきません
が、
コウホウブキカクカ キカク・ウンエイハン アニメブモンとは何でしょう?
「おねーちゃん! おねーちゃんに、聞こう!」
コンコン子狐はガツガツガツ!
大急ぎでAからCセットの朝食をたいらげて、
子狐のことを修行の前から知っている管理局員、収蔵部収蔵課のお嬢さん、ドワーフホトのもとへ飛ぶように、走ってゆきました––…
…––「あ〜!」
「なんだ。どうしたホト」
「そうだぁ、今日、アドミンジャーの公開収録!」
その頃の収蔵部収蔵課です。
持ち運び可能な高性能コタツ、Ko-Ta4の中でもにゅもにゅと、オレンジハニーナッツピザを堪能しておったお嬢さん・ドワーフホトです。
コタツの主・経理部のスフィンクスは、ドワーフホトが放送を聞いて、珍しく慌てますので、
こいつ、アドミンジャーファンだったっけ?
と首をかしげます。
「違うよー、コンちゃんだよぉ!
コンちゃんね〜、アドミンジャー、大好きなの」
「コンちゃん、ああ、ゆたんぽ!」
「スフィちゃん、温かいコンちゃん好きだもんね」
ピッピのピ。
クリスタルタブレットをドワーフホト公認執事、カモに繋ぎまして、メッセージを送信です。
カモはとっても優秀で、ハイスペックで、しかもドワーフホトのことをドチャクソに推しておるので、
ドワーフホトの頼みを全力で、聞いてくれます。
カモさんなら、コンちゃんの分の公開収録観覧優先チケットを、ゲットしてくれる。
ドワーフホトはカモより、大親友のスフィンクスの方が大好きでしたが、
しかし間違いなく、カモへの信頼と絆は、確固として持っておるのでした。
『カモさんおねがい』
『ご安心ください。既にホト様とスフィンクス様と、余分2枚のチケットを確保済みです。
観覧後は近くのレストラン・月夜グリルで、月夜ディナーをご堪能ください』
ほら見たことか(信頼と絆)
「おねーちゃん!」
ズザッ! ベストタイミングで子狐が、ドワーフホトとスフィンクスの居る収蔵部収蔵課に到着です。
「おねーちゃん!」
子狐にも、ドワーフホトとの確固たる信頼と、なにより絆が、存在しました。
「コンちゃん、おはよ〜」
ドワーフホトは全部ぜんぶ仕込み終えて、にこり。
飛び込んでくる子狐を受け止めて、頭も、背中も、優しく撫でてやりましたとさ。
「ウィキペディアで調べたら″絆″って、あんまりいい意味じゃなかったんだねー。」
隣の子が、スマホ片手にぶつぶつ言っている。
僕たちは、もうすぐ卒業で、来週のお別れ会で『絆』というテーマで書いた作文を読み、『絆』という曲を歌う。
ん?あんまりいい意味じゃなかったのなら、『絆』づくしで良かったのか?
ま、今さら変えるの面倒だし、今はいい意味で使われているし、ま、気にしない気にしない。
しかし、世の中まだまだ知らないことばかりだなあ。確かに親の世代と僕たちとで使う言葉も違ったり、意味が違ったりする。そんな日本語はない!と母親によく注意されたりするしね。僕たちは、僕たちのルールがあって、僕たちの言葉があるのにさ。大人に、昔はね!ってグチグチ言われるのとか、ああ、ホント面倒くさい。
でもさ、僕たちが大人になったら、子どもたちに同じように言っちゃうのかなあ。ああ、イヤだなあ。大人って面倒くさいよなあ。いろんな面倒なのなくしてさ、自由に生きたいよなあ。
あ、余計なこと考えてたら、作文提出の時間になっちゃったよ。
続き書かなきゃ!
縛るのではなく
つながりを。
ひとりよがりではなく
お互いさまを。
押し付けではなく
尊重を。
重く感じたら、手放していい。
軽やかに、じぶんのいのちを生きていい。
背中に生えた羽はまるでコウモリのようで、人間ではないけど、神に創造された生物にも見えない。6対の不思議な生き物…。
まだ少年の身体に、不釣り合いなほどに大きい魔族の翼だった。羽ばたく度に嫌な空気を周囲に巻いている。これが瘴気なのか邪気なのか魔力なのかは分からない。
だが隣に立つギールスには明らかな焦りが見えた。
「なんで…」
カノンはそれだけ声に出し、後の気持ちはぐっと抑え込む。荒々しい魔界の風と荒れ果てた大地は世界の終わりのようでもあった。
「ずっと一緒だったよな」
ヴィルが変声期を終えないいつも通りの掠れた声で言う。
「おれたち生まれたときから。なんでお前ばっかりなんだろうな」
嫉妬の目だった。赤く染まっている。来る…そう思った時には、彼の右手は振り下ろされていた。
「離れろ!」
ギールスに促されたまま後ろに無様に飛ぶと、岩場が飛び散り破片が飛んできた。
石が頭を掠め皮膚を裂いていく。
守るものがいない。それは逆にカノン自身も強くなれたし、暴走するきっかけにもなった。
魔法がほとんどないカノンのために何年も掛けてしつらえた短剣を取り出す。
「そんなんでどーする気?俺と戦えるの?」
ヴィルはにこにこ嘲ってくる。
「戦うんじゃない、戦うために来たんじゃない」
「おきれいなこって」
次から次へと衝撃波が飛んでくる。刀と小さな魔力で受けて流していく。
(傷つける物を持つときは傷つけられる覚悟を。持つものは、持たざるものを守るべし)
港町の銀細工師はそう言って鞘ごと持たせてくれた。
あれ、ちょっと待った。この剣…最終的に誰が持ってきた?
(ヴィルだ)
小さな蒼く光る刀身を見て青ざめる。
(まさか)
カンッと硬いものが落ちる音がする。
遠くで避けながらギールスが怒っている。
「正気か!すぐに拾え、童心などもう捨てろ、やつはそれで揺さぶるのがうまいのがなぜわからん!」
強い気流をギールスが太刀を浴びかせて打ち消す。
「こい」
「いいね。まずは邪魔なのを消そうか」
意気消沈したカノンの前に黒髪の剣士が立ちはだかる。ギールスはにやりとまだ余裕の笑みだ。彫り深い顔に冷たい面差しだが、それが嫌みに見えないから、本来は人の醜美のうちでは美形な顔…に当たるのだろう。
本人にその気はないだろうが。
「俺の実力を知らんのか?」
「知ってる。おっかねぇの。だから距離を取ってる」
いくつもの衝撃波を生みながら、ヴィルの背後にはスパークした赤黒いエネルギーが蓄積されていく。
心を通わせるなんて
軽々しく言えない
目には見えないし
一方向では成り立たないから
だけど確かに感じられた
いつまでも胸を張って言える
心を通わせ合った
とてもとても、大切な人
#絆
漫画とかアニメ、ゲームとかをやる時、嫌と言っていいほど出てくる絆。
そりゃあ、絆っていうものがあるんなら信じたいけど、現実そこまで甘くない。
信じて、絆を持ってたいけど…人というものはいつどうなるかわからない。
でも、いつかはアニメや漫画みたいに…誰かと一緒に
一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に楽しむ。
そんな「絆」でいっぱいの関係をいつか作りたい。
毎日のように使ってたし目にしてたのに、恥ずかしながらいま気付く。“バンソウコウ”の“バン”は“絆”なんだと。
『絆』
絆とは、脆く崩れるものだと思っていた。
それは青春時代にだけ見える蜃気楼のようなもので、この世界のどこにも存在しないのだと、私は半ば確信すらしていたというのに。
「お前の負けだ!!」
「……あぁ、確かに」
炎のように強い熱気を感じる視線が私を貫く。
だが、その眼差しでさえ、私はどこか心地よかった。
私は負けた。
だが、尊いものを、たしかに知った。
○○○
“俺”が目覚めたとき、俺は知らない部屋に居た。
「知らない天井だ……」
部屋の中は殺風景で、机と寝ていたベット、電球、南京錠のかかった扉、机の上に置かれた洒落た木箱しかない。
「いったい何なんだ」
洒落た木箱には、少しだけ見覚えがあった。
いや、全く同じものではないだろうが……このタイプが、世間一般でなんと呼ばれるかを俺は知っていた。
「カラクリ箱……これを、開けろって事か??」
姉がカラクリ箱が好きでよく収集しているため、カラクリ箱を解くのは結構簡単だった。
「これは……」
そして出てきた紙に、俺は衝撃を受ける事となる。
「ここはデスゲーム会場……だと!?」
○○○
一緒に入っていた鍵で扉を開けると、直ぐに横から同じ音が聞こえる。
チラッとそちらを向くと、見知った人物の顔があった。
「……え、カイ?」
「ヒナタ!! 良かった~、いや、良くないよ!!」
親友のカイが、そこに居た。
見知った顔に安堵を覚えるも、ここがデスゲーム会場だと思い出して一転不安を覚える。
○○○
俺達は、二人でデスゲームを生き延びた。
色々あった。死ぬような目にもあった。
それでも、俺達はココに居る。それが、全てだ。
そして、ラスボスであろう司会者へ指をさしていた。
「一つ、聞こう。どうして最後のゲーム。君たちは自分の命よりも、絆なんてあやふやなものを信じられた? 相手を見捨てれば、確実に自分だけ助かると分かっていただろう?」
司会者は、呆けたような顔で、グラスから水を零すようにポツリと聞いてきた。
その質問に、俺と親友のカイは目を見合わす。笑った。お互い。
それだけで十分だった。俺達には。
「カイを、信じてたからな!」
「ヒナタを、信じてたんだ」
司会者は笑っていた。
眩しそうなものをみるようにして、「そうか、そうか」と目尻から涙をしくしくと流れさせながら、拭うこともなく泣いていた。
……きっと、なにかあったんだろうな。
流石に、そう思った。
でも、それは俺達には関係のない事だ。
俺達の絆は、デスゲームだろうと関係ない。
「いこうぜ! カイ!!」
「待ってよ、ヒナタ!!」
二人で笑いあった。
俺達の絆に乾杯ってね!!
おわり
【絆】
私と父上は絆以上で繋がれた何かがあると信じている。
遺伝子などそのような生物学的ではなく、絆よりも上位的な何かで、だ。そう思わされる事は度々ある。
例えば、父上の望む物は全てと言っていい程分かるし、一寸でも目をくばせれば同時に立ち上がる事もできる。そうだ、確か歩幅や速度も全くズレなく一緒になる事が度々あったかな。今はすぐに思い出せるものを行ったけど、当然この他にも沢山ある。
昨日は初めて父上と喧嘩をした日だった。初めて殴られたんだ。本で顔を殴られた。最高に嬉しかった。今まで「血縁関係などではない絆以上の何か」とボンヤリしていた物が私の頬を赤く染め実態に表してくれた。ほら、見えるでしょう?まだ少し赤いの。内出血かな。
うふふ──
この痕が消える前に、もう一度父上と喧嘩をしようと思う。今度はもっと酷い喧嘩。骨だと治ってしまうから。皮膚に、肉に、魂に刻みつけるように。この日喧嘩した痕が概念を上回るようにしよう。
絆という言葉が嫌いと君は言う
自由を求める白頭鷲だ
#絆
—夜のぬくもり—
深夜一時。
終電に揺られ、くたくたになりながら帰宅した。ネクタイを緩め、ジャケットをハンガーにかける。
「今日も疲れた……」
大きく息を吐いた。
ここのところ、こんな毎日が続いている。
『今日もお疲れ様。レンジで温めてね。』
達筆な女文字の書き置きのメモと共に、夕食が置いてある。
今日はハンバーグだ。
夕飯を食べ、風呂に入ると、寝るのは二時を回っていた。
妻と娘を起こさないように、そっとベッドに入った。
「おかえりなさい……」
妻がのそのそと寝返りを打って言った。
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん。あんまり眠れなかったの」
二人の間で娘がスヤスヤと眠っている。
最近の平日は、起きている娘を見れていない。
「今日もお疲れ様。いつも頑張ってくれてありがとう」
「こちらこそ。マユミがいつも支えてくれるおかげだよ」
僕たちはキスを交わした。
「おやすみ」と言って眠りについた。
今日も六時起き。
それでも、明日を生きる活力が湧いてくる。
この小さなベッドに大切な家族がいるから。
お題:絆
家族とか色々あるけど…結局は自分と未来の自分をつなぐ絆が大切かな
死ぬ事よりも怖いものがある。
認知症になってしまう事だ。
亡き母は70代前半でアルツハイマーになった。
私は母に似ている。
おそらくそれも遺伝しているだろう。
死ぬ事は怖くない。
むしろ早く死にたい。
94歳の父は老齢の為に惚けてきている。
先達ての入院では、看護師にセクハラ行為をしたと報告があった。
家族には一度も見せた事のない父の姿…いや本性か。
第一子である私が産まれる前はかなりの遊び人だったと母から聞いている。
子供達には見せない姿だったのだろう。
それが「父親」としての彼の姿勢。
その箍が外れた。
それで父への娘としての情が失くなったわけではない。
家族としての絆はそう簡単には消えない。
とはいえ、この先ますます惚けていく父に愛情を持って接することが出来るだろうか?
セクハラを隠している反動か、母が生きていた頃は母に、今は私に対してモラハラをする父に。
私自身、心療内科に通う身だ。
家族の絆よりも傷つけられ心を壊されるだけかもしれない。
私は父を看取ったら、なるべく早く死にたい。
妹に迷惑をかけたくない。
一人にしてしまうのは心配ではあるけれど、妹に苦労させたくはない。
人は誰しもいずれは死ぬのだから、それは受け入れて欲しい。
私なりの愛情だ。
伝わりはしないだろうけれど。
出来る限りは残していく。
だから、許してください。
私は。
本当はこの世に生まれてきたくはなかった。
家族を愛している。
でも、この世に私の生きる場所はない。
せめて今は家族の為に生きる。
娘としての義務を終えたら、全ての枷から解き放たれたい。
【絆】
あまり使わない言葉かも
なんとなーくの印象としては深い繋がりで
重いイメージがあるからかな
よく学校や部活のスローガンなんかにはなってた気がする
一致団結!みたいなのは伝わってくるよね
私はどちらかと言うと
縁や、運命、的なのが好きな気がする
出会って別れることもあるし
繋がりを感じてもやっぱり違うってこともあるけど
それでも、その縁あっての出会いにはきっと意味があると思ってて
だから、人も動物も物もだけど
ある意味出会い繋がることができることは奇跡で
とても尊く大切にしたいかな
「あの人が間違えてたらどうするの?」
「間違えないよ。アイツが間違ってるなら俺も間違えてるって事だから」
「みんな怖がってるよ」
「みんなって誰? 俺の周りにはアイツと仲良い奴もいっぱいいるよ。怖がるどころか平気で頭はたいてる奴もいる」
「それは仲間だからでしょ」
「アンタが言うことが正しくて、アイツが間違ってていつか罰を受けるとしたら、·····その時は俺も一緒だよ」
彼の言葉に、私は決して立ち入れない壁のようなものを感じた。
END
「絆」
「絆」と言う言葉ほど怖いものは無いだろう。
ただの、
(きずな)と言う三音の響きが、
ただの、
千文字の原稿の一マスのみを埋めるだけの一字が、
私たち、言葉を扱う者たちに
数多の夢を見せ、輝きを見せ、
誘い込み、
甘い集団幻覚に浸らせるのだから。
そして、あまつさえ、
私たちに見せた神の糸と見紛うほどの幻の糸を
私たちに握らせ、
その色を褪せさせ、
糸の所在も、
持ち続けるかどうかの選択も、
断つかどうかの選択すらも、
私たち押し付け、
最初から何もしてないかの様なそぶりで、
又私たちの目の先に居続けるのだから。
現世の定義では、
「絆」と言う言葉は、元々、家畜が逃げないように繋ぎ止める綱(ほだし)を指していたものだった。しかし、そこから、転じて、心や行動の絆(縛り)や人間関係の結束を指すようになったとされている。
一時得た浅知恵ではあるが、このことだけ見ても、その言葉の狂気性が伺える。
本来、生きるために必要だった自分より下位の存在を縛るための血生臭い鎖だったものが今はもはや対等な存在同士を結ぶ神秘的な糸になってしまっているのだから。
いったい何千人、何万人に幻覚を見せたら、このような意味の逆転現象がおこるのか。
「絆」と言う言葉が義務教育で歌われる校歌や合唱の歌詞にすら浸透してしまっている事を普通と捉えてしまっている私では麻痺し過ぎて、その酷さを正確に認知する事はできないだろう。しかし、異常な侵食力があるのは間違い無い。だが、その力を持たせたのは、その言葉自身でなく、その言葉を使って居た私たちの先祖が悲惨な現実から夢見た平和と言う幻想かも知れない。
けれど、
「絆」と言う言葉の一番怖い部分は、
その強烈な中毒性だ。
この言葉は、
私たちが住み、暮らし、適応している社会の中心に位置し過ぎてしまっている。
私たちは支え合わなければならない、
そのためには繋がりが必要だ。
私たちは支え合う社会での生き方しか知らないから、
共有し、受け続く媒体が必要だ。
中毒性のあるもの、例えば、アルコールなら離れる期間をゆっくりではあるが、どんどん長くしていけば適切な摂取量に出来る。
だが、常時供給が続く社会の中で
「絆」の中毒性を私たちは克服出来ない。
もう克服しようともして居ないのかも知れない。
私をこの世に繋ぎ止めているものは、あなたという唯一の存在です。
「絆」