「絆」
「おいキミ!!!教えてくれたまえ!!!」
自称マッドサイエンティストの子ども(?)が自分に聞く。
宇宙を救うために知らなくちゃいけないことなのか?
昨日は「ムー大陸は本当にあったのか」「布団から出られなくなる理由」「明日の昼ご飯は何か」「猫ってかわいいね」「高いヘッドンホホが欲しい」などなど、少なくとも「宇宙を救うため」に必要だとは到底思えないことばかり聞かれたから、ついそう思ってしまった。
「ああ!!!必要だとも!!!ボクを疑うっていうのかい???」
「……まあいい。ところでキミは『絆』って何かわかるかい?色んな作り話で取り沙汰されるコイツの辞書的な意味はちゃーんと確認したよ!!だが、だいたいの話ではあんまり現実味がなさそう……というかボクを認識できるニンゲンが今んとこぼっちのキミだけだから、『絆』が存在するかどうか確証が持てないのだよ。」
「というわけでボクは思いついたのさ!!!キミとボクとの間で『キズナ』を育もうじゃないか!!!いいアイデアだろう?!!」
絆。人と人とを繋ぐもの。
ミントグリーンの髪のコイツよりもこの星で過ごした時間は多いはずなのに、自分はちゃんと「絆」を知らない。
なんでだろう?考えても無駄か。
「……心中お察しします!!!まあキミがこれから誰かと深く関わる時のための練習だと思って、ボクと仲良くしてくれたまえ!!!」
「そうだね〜……まず、ボクはキミの事をよく知らないといけないし、逆も然りだ。今夜は色々語り合おうじゃないか!!!」
今日の夜は長くなりそうだ……。こんな調子で宇宙が救えるのか?
まあとにかく、自分たちができることをやるだけだ。
今まで出会った誰かと、これから出会う誰かのために。
3/7/2024, 9:30:07 AM