『紅茶の香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ紅茶の香り
紅茶の香り君の香り
緑茶の香り君の香り
金木犀香り君の香り
全部私の好きなもの
とりあえず吸わせて
ください
紅茶の香り
最近、息子が紅茶に凝っている。
美味しい紅茶を淹れてくれる。
今日は一緒に紅茶専門店に行こうと約束してたのに、朝、起きれなかったのか、それとも雨が嫌だったのか、「やっぱり行かない」と。
泣く…
通されたのはこぢんまりとした事務所だった。雑然としたデスクの奥にちょこんと応接セットが置かれていた。
「あら、お茶をお出ししなくちゃね。何かリクエストはあります?」
「あ、お構いなく」
「じゃあ、お紅茶でよろしいかしら?」
女性社長はそう言って返事も待たずに給湯室へと消えていった。
「あ、い、いただきます」
このお客様に営業に来るのは初めてだ。今日はいい印象を持って覚えてもらえればいい。本格的な商談は次に来るときでいいぐらいに思っている。
待っていると紅茶の香りが漂ってくる。
…。オレ、紅茶 苦手なんだよな。いきなり「紅茶はちょっと」とか言っちゃったら角が立つかなぁとか思って「いただきます」なんて言っちゃったけど、どうしようかなぁ。商談だし、ひと口だけいただいて、そのままにしてても不自然じゃないよな。
「お待たせ。いま入れるわね」
社長は空のカップと中身が見える透明なティーポットをお盆に乗せてやってきた。中には茶色…いや紅茶色の液体が波打っている。
「あ、そんなわざわざ、ありがとうございます」
社長は片手でカップを持ち、もう一方の手でティーポットを持ったかと思うと、ティーポットを大上段に構えて傾けた。紅茶色の紅茶は滝のように落ちてきてカップの中に激しい音とともに吸い込まれていく。
あ、ああ、あああ、杉下右京のやつだぁー!!
え、これ普通なの?紅茶飲む人って毎回これやってるの?それともデモンストレーションみたいに来客が来たらやってくれる人なのかな。これリアクションどう取ればいいの?
「どうぞ、召し上がれ」
「あ、どうも。その、本格的なんですね」
「あらやだ。ちょっと張り切っちゃったわ」
セーフか?これで合ってるか?とりあえず機嫌は損ねてないよな。
「温かいうちにどうぞ」
やば、催促された。さすがに飲まなきゃだよな。よし。
紅茶の香りが部屋中に充満している。私は堪能しているように見えるようにゆっくりとひと口いただいた。
うん。好きな人が飲んだら美味しいんだろう香り高くしっかりと味がする。だがそれが口に合わない。
「あ、たいへん香りの良いお味ですね、さっそくですが弊社のサービスについてお話を…」
顔に出てないかな。大丈夫かな。ボロが出る前に商談を進めないと。
「あらいけない。砂糖やミルクはいります?私がいつもストレートだから忘れてたわ」
何も入れないのをストレートって言うのか。ブラックって言いそうになった。
「あ、や、ストレートで」
「そう。じゃあ、説明していただこうかしら」
この人、紅茶飲ませたいだけなのかな。
「それではサービスの説明をさせていただきます…」
私は自社製品とサポート体制についてひと通り説明を終えた。そろそろアポイントの時間も終わる。
「ひとつ、よろしいかしら?」
質問?てことはウチのサービスに興味を持っていただけたのか?
「あなた、お紅茶にひと口しか手をつけてないわね」
いや紅茶そんなに気になる?しかもやっぱりバレてた?
「あ、説明に夢中になってしまって、すみません」
「あなたもしかして、お紅茶はお嫌いですか?」
いきなり図星を突かれてハッとなる。
「いえ、そんなことは…」
「だってそうじゃありませんか。私がお紅茶を持って現れたとき、あなたは銘柄すら聞かなかった。そしてティーポットから紅茶を注ぐ時も、あんな注ぎ方をしたら、普通はもっと引きます」
引いて良かったんかい!いやそれより、オレが紅茶嫌いだったとてなんなんだよ。別にいいじゃん。
「その時に私、気づいたんです。この人は紅茶が嫌いだと。そう考えるとすべての辻褄が合うんです。私はわざとミルクも砂糖も用意しないでお紅茶のみをお出ししたのに、何も不思議がることなく口を付けた。もしあなたが紅茶好きなら、私が何も用意していないことそのものに不審がるはずです。ええ、まさに今のあなたのように」
え?オレ?
「あなたはいま、私に対してこう思っているはずです。あなたの会社のサービスについて、散々説明したのに、この人は、自分が触れていないことに何故質問して来ないのか。その出方によっては、これ以降の営業の仕方も考えなければならない、と」
「そ、そんなことは…」
「もうお分かりですね?あなたのサービスに興味を持っていればすぐにでも私が質問しなければならないこと、それは、そのサービスの値段です」
その通りだった。私は商談の間、一度もこのサービスの価格を口にしていない。まさに社長の言う通り、価格に関する質問がなければ興味を持っていないと判断し、営業を中止するか、より強く営業をかけるかを考え直さなければならない。
ただ、いまオレが考えているのはそんなことではなかった。
この人、この人…
この人、杉下右京みたいな人だぁ〜!!
元来、ウォーカーは紅茶が好きでは無かった。
竹馬の友であるジャンが生粋の紅茶信者であったが為に、気がつけば飲む機会が多かっただけだ。
そもそも紅茶は嗜好品であり、原産のトルマリスタン公国から関税の高いフロイト連邦を経由しなければ手に入らない。所謂、貴族や有産階級が嗜むものだった。
我がコバルタ共和国には珈琲の文化が浸透しており、仕事終わりの農夫でさえも飲めるほど普及している飲料であった。
焙煎された珈琲は香り高く鼻腔をくすぐり『飲みたい』という欲求に訴えかけてくる。ウォーカーもあの香りには抗い難い官能的な魅惑を感じていた。
だが実際飲んでしまえば、木炭をすり潰した濁水のような苦味。砂糖を入れなければ飲めたものではない。それが珈琲への感想だ。
麗らかな午後の日差しと共に、ウォーカーは自身の執務室にいた。お互い時間が取れた為、副官のジャンがこうして紅茶を淹れてくれている。
パチンと懐中時計を閉じ、ジャンがポットへと手を伸ばす。この蒸らす時間さえ勿体無いと感じてしまう辺り、やはり自分は紅茶に”向いていない”。ウォーカーはしみじみ思う。
鼈甲色の液体を仰々しく注ぐ姿は、宛ら宮殿遣えの執事のようでもあった。
寸分も無駄のない動きで紅茶を差し出すジャンの表情は、穏やかであり誇らしささえ滲んでいた。
カップを口元へ運ぶ。燻る湯気には華やかな芳香が纏わりついていた。
この、何とも形容し難い複雑で且つ独特な香り。ウォーカーはどうにもこの香りが苦手だった。
だが飲んでしまえば何ともない。ただの”美味い茶”であった。
ほう、と一息つきウォーカーはぼやいた。
「……この間、レイが入れた紅茶を飲んだんだ」
「おや。経過は如何ですか」
「ぼちぼちだ。左手の治療の一環で、日常生活でも使うよう言われてるんだ」
レイがあの激戦区から戻ったのは鋼鉄国との停戦協議後から数ヶ月経った先月だ。満身創痍の状態からよくあそこまで復活したものだと医者も目を見張る程であった。
「で、練習がてら紅茶を淹れたんだ。ほら、お前に貰ったえらく高い茶葉だ」
「ああ!あれを淹れたんですね。どうでしたか?香りが良かったでしょう」
「いや、クソ不味かった」
苦い顔をしたウォーカーに、ジャンは驚いたあと何かを察したのか小さく笑った。
「…煮出し過ぎて苦かったとか?」
「うん。えらく濃くてな…香りも酷かった。入れ手で変わるってのは本当だったんだな」
一杯目は酷く薄かった。だからウォーカーは『遠慮せず茶葉を沢山使え』と言った。それが悪かった。
二杯目は紅茶とは思えないほど黒々とした液体で、エグ味と紅茶特有の香り、苦味が変わる変わるやって来てとても飲み干せなかった。
「だから紅茶に関してはお前の淹れたものに限るな」
「それは…お褒め頂き光栄です」
苦笑するジャンにウォーカー情けなく笑って返す。
好きでは無いはずのその香りが、今のウォーカーにはひどく安心出来るものになっていた。
「彼に淹れ方、お教えしましょうか?」
「やめろ。練習台にされる俺の身にもなれ」
苦言を呈するも二人して小さく笑った。ようやく戻った日常がそこにはあった。
ウォーカーはまた一息ついて、馴染み深い味を一気に飲み干した。
≪紅茶の香り≫
『紅茶の香り』
「ねぇ、それ何の匂い?」
通りすがった彼からふわりと香る。上品な匂いに鼻腔をくすぐられると同時に、何処か気持ちがささくれ立つのを感じた。
「ん、?…、わからん。何か俺から匂いするか?」
自分の服を嗅いでみて、頭を傾げる様子に本人は気づいていないようだ。
「…いや、何でもないよ。試合頑張ろうね?」
気のせいだったみたいと言い、彼に向かってニコリと微笑む。
「あぁ!」
二人で腕をタッチし合って、笑い合う。
彼が、どこに行って誰と会ってきたとか僕には、お見通しだが、それを指摘するつもりも無ければ、どうこうしようという気もない。なんで、僕が彼に対して、こんなに苛つくのかもわからない。
だけれど、彼から香ったこの紅茶の匂いは…嫌いになりそうだった。
特別美味しいとか、異国のお土産だとか、そういうものだったわけじゃない。
どこでも売っているような手軽で身近なものだった。
でも、最後に二人で帰った雨の日に寒いと言ってコンビニで買った紅茶。
それだけ。
それだけなのに、私はあの香りが強く焼き付いてしまって、ふとした時にあの記憶に縋るように手に取ってしまうんだ。
こういうのはプルースト効果って言うらしい。
それもあの子が教えてくれたことだった。
(紅茶の香り)
紅茶の香り
お高い紅茶って飲んだことないから紅茶の香りとかいわれてもよくわからないな。あんまり紅茶をいい香りと思ったことないし。
そもそも紅茶を飲むことがあまりない。せいぜいティーバッグか午後の紅茶くらいだ。そのティーバッグも徳用のやっすいやつだから香りなんてあれだし。
個人的に飲み物の香りでいい香りだと思うのはコーヒーかな。
バイト先でよくコーヒー豆を機械に補充するんだけどそのコーヒー豆が入っていたから袋の匂いを嗅ぐといい匂いがする。
それにコーヒーはバイトいくまえに眠気覚ましとして飲むから馴染みがある。基本一杯だけ飲むけど時々二杯飲む時があって、その時は完全に眠気が覚めて覚醒って感じがする。
だけどコーヒー飲んで無理やり眠気を覚まして夜勤やってると寿命を縮めてる感じがしてきついんだよな。生きるってほんとしんどいわ。
紅茶の香り
今日の朝の紅茶の香りは
君くらい甘かった
あの日、君が近くにいるのに
無反応な私にびっくり
君がいるとドキッとして
なんか複雑な気分になる
いつも君のことばかり
考えすぎて
夢にまで出てきて
恥ずかしい
夢で話せたように
話したいなあ
ちかくにいたくても入れず
考えるばかり
君から声かけてくれないかな
(。>﹏<。)
『シナモン』
頭の上に吹き出しついて 今日も市営バスで寝たふりしてる 女の子がくれた飴 のど飴だった 気がつけばこれからはひとりだった シナモンってどうも苦手なんだよな 今も部屋に鎮座してるあの匂い 怖くない幽霊が今日も私に添い寝する
紅茶の香りって凄く好き
爽やかでレモンやミルクとも融合できる
優しいんだよ
私もね
そんなふうになりたいんだよ
私は紅茶になりたい
わたしのお部屋はね
ラベンダーの香りがするの
あおいピンク色みたいな
やわらかいむらさき色みたいな
すてきなかおり
家全体なら
よかったのにな
わたしのゆめは
朝起きて庭園のお花におはようとお世話をして
のんびりスキンケアや朝ごはんを楽しんで
かるいエクササイズをすること
そんな朝を過ごす事
わたしは
空想が多い
妄想は有りもしないことをそうだと思い込む事だけど
空想は絵本の中の事だって認知してる事
わたしは空想が多い
「紅茶の香り」
アフタヌーンティーをしに、友人と2人で久しぶりの旅行へ出かける
友人はブレンドティー、私はロイヤルミルクティーを頼んでケーキやスコーンを囲んで優雅なお茶会を始めた
「おいしい…」「おいしっおいしっ」「おいしいよ」「これもおいしい」
美味しすぎて会話がほとんどこの状態だった
曇りガラスに書いたサヨナラ
葉を落とした木々は寂しげに
キミからもらったマフラーは
深い海の色を携えてわたしを
暖めてくれている変わらずに
向かい側の席の見知らぬ人が
あなたによく似合ってるわと
微笑みかけた会釈をして返す
流れていたTake The A Tainを
ぼんやりと聴いたテーブルに
運ばれてきたキミとの想い出
『紅茶の香り』
あれだけ好きだったアールグレイの茶葉の香りに、嘔気を催すようになり。
喫茶室の令嬢は、この町から姿を消した。
感情的になってはいけない、僕の意見は必要ない
今まで自分の意見というものは誰かに聞かれない限り話さないようにしていた。というより言えなかった、言わなかった、必要性がなかったが正しいのかもしれない。
長子だからとか、面倒事を避ける処世術だとか、我慢という優しさのためとか、理由はいろいろある。プライドはかなり高いのだろうけど、必要なら捨てられるくらいには軽いものだ。しがみつくものではない。
自制してそれを優しさだと勘違いしたりされたりしていつも違和感だらけだ。嫌いなものなら答えられるのに好きなものは答えられない。無難に食べ物を羅列して本当に気に入っているものは誰にも言ったりしない。気づいて指摘されても曖昧に濁して言及しない。
ただ、ずっと、今も昔も怖がりなのだ
声高に自分の意見や好みを主張する人たちが眩しい。
羨望や嫉妬で狂いそうになる自分が心底嫌いで、誰かの眩しさにあやかれないか期待している。夢をみるだけなら無料だから1人のときはいつも夢をみる。
戸や窓を閉め切って、用法通りの茶葉と湯を用意し、ほんのりと香るそれに空間ごと浸る。硬い床張りに薄い絨毯をひいただけの場所に座り込んで茶色の水面をみつめ、白紙の紙束に夢の一端を残せるようペンを握る。
最後には切り刻まれて屑になってしまうそれを、僕はやめられないんだ。
【題:紅茶の香り】
寒くなってきたから、おかえりの飲み物が温かいのに落ち着いた頃、今日はミルクティーを飲みながら君が愚痴る。
「このメーカーのチョコレートそういえばあんまり冷たくなかった。焦がしキャラメルに目が眩んでた」
そうだね新作チョコレートの季節だから、コンビニ袋片手にニコニコして帰ってきたね。
「チョコレートはね猪口冷糖(諸説あり)だから舌の上でとろける時ひんやりしてなければならないのです」
つまりカカオバターの割合がどうとかいう話らしい。
僕チョコレート嫌いだからって言った時、滅多矢鱈にびっくりした顔されたの思い出したよ。
これから僕が貰うチョコレート全部君にあげるから、とミルクティーを飲みながら心に決めたのでした。
「紅茶の香り」
「コーヒーよりも紅茶の方が好きなんだ」
ちょっと照れくさそうにそう貴方は言った
それからは私も紅茶をいれることが増えた
本を読む時 一息入れる時
はちみつを少し入れて飲むのが
私のお気に入り
あの人はストレートで飲むのが好きだって
電話の向こうで
「今 ポカポカしているのは
3杯目の紅茶を飲んだからかな?」
なんて呟くように言った貴方の顔を
見られなかったのが残念だったけど
一緒に飲んでいる紅茶の湯気が
私の顔を暖めてくれていたから
私もポカポカしていたんだ
一緒だねって言うと
そっかって返事が聞こえてきた
「紅茶の香り」
紅茶の香り
来週の日曜日、紅茶のパウンドケーキを作ります。
ポテトチップを頬張っていた僕に向かって、彼女が高らかに宣言した。
どうしたの、突然。
昨日、お兄ちゃんの奥さんが作ったの食べた。すごく美味しかった。やっぱり、ああいうオシャレなスイーツを作れるのが大人だと思うのよね。
ふむ。
ということで、日曜日、必ずうちに来るように。
はあ。あの、ケーキ、作ったことあるの?
彼女はフフッと遠くを見て笑った。
このケーキは、私にとっては小さなケーキだが、人類にとっては大きなケーキになるであろう。
よくわからんけど、行きますよ。来週。
さて来週か。1週間あるな。それじゃ……。
そして日曜日。
お呼ばれした僕は、ケーキ作りを手伝おうとキッチンに入ったが、座っててと言われて追い出された。大人しくテレビを見て待つ。
お客様、お待たせしました。
彼女が明るい声で皿を運んできた。
ええっと……。これ、ケーキ、だよね。
皿の上には、正解の形がわからない何かが載っていた。
まあまあ、見た目はね、アレなんだけど。大事なのは味だから。ほれ、食べて食べて。
僕は促されるままに口に運んだ。
どう?
うん。紅茶のパウンドケーキだね。
わかってるよ。そうじゃなくて。美味しい?
ええっと。紅茶の香りがすごいね。深煎りというか、芳醇というか、濃厚というか……。量、入れすぎというか。自分で食べてない?食べてみて。
彼女も一口食べた。
うっ。いや、でもさ、これぐらいが大人の味なわけ。この渋みがさ。ほら、このアッサムの香りがさ。
何かを決して認めようとしない彼女。もう一口食べて、何かを必死に主張していた。
こんなこともあろうかと。
言いながら僕は、テーブルに瓶を出した。
なにそれ。
ドライフルーツです。レーズン、ラズベリー、イチヂク、クルミ、アーモンドをラム酒に漬けてみました。1週間。
話しながら、箸で摘んで彼女のパウンドケーキに添えていった。
うわ、香りが。甘い香りがすごい。っていうか、凄すぎない?せっかくの私のパウンドケーキの香りが、消えちゃうよ。
まあまあ、そう言わずに食べてみよう。
ふたりでケーキとフルーツの両方を食べてみた。
あら。なんというか、いい感じね。ラム酒の香りで紅茶の香りがマイルドになった感じ。ちょうどいい感じ。
そうだね。
香りがケンカしてない。例えるなら……。ごめん、思いつかない。バトンタッチ。
例えるなら、紅茶の濃厚な香りの旋律にラム酒の香りが重なり合い、まるで紅茶庭園の中を散歩しているような、優雅な午後のひととき。
おお、いいじゃん。
笑いながら彼女は、アーモンドをカリカリ食べた。
っていうかさ、こんなこともあろうかとってなにさ。
まあまあ。怒らない怒らない。優雅な午後のひととき。
そうだった。優雅にね。大人だから。
ユトが淹れる紅茶は美味しい。
少しはやれと言われて仕方なく勉強していると、えもいえない高貴な香りが漂ってくる。
「どうぞ」
「ありがとう」
うん、美味しい。
「お菓子もどうぞ」
「クッキー?」
それをしげしげと見つめる。
「そうです」
覚悟して口に入れた。
「…………」
「どうです?」
「まっずううううう」
「うあー無理だったか」
「毎度のことだけどなんで紅茶美味しいのに他の料理センス壊滅してんの」
紅茶を淹れる流麗な動きから一変、ユトはいつもの態度に戻って、ソファにどっかと座る。おいそれ私のだぞ。
この人は二重人格を疑うほど、執事執事してる時と気だるげになる時が分かれているんだ。
「知らねえよ……俺他に欠点ないから神様が設定したんじゃない?」
「てかなんで味見しないで私に最初に試させるのよ」
「ふっ」
「ふっじゃないよ」
気温が落ちついてくると ホッとする飲み物が欲しくなる… 色も温かみがあって香りもやわらかい いろんな種類があって パウンドケーキにしても美味しい ミルク レモン ストレート…どれもいける さあ 選びに行くぞ~!
ポポヤ