ユトが淹れる紅茶は美味しい。
少しはやれと言われて仕方なく勉強していると、えもいえない高貴な香りが漂ってくる。
「どうぞ」
「ありがとう」
うん、美味しい。
「お菓子もどうぞ」
「クッキー?」
それをしげしげと見つめる。
「そうです」
覚悟して口に入れた。
「…………」
「どうです?」
「まっずううううう」
「うあー無理だったか」
「毎度のことだけどなんで紅茶美味しいのに他の料理センス壊滅してんの」
紅茶を淹れる流麗な動きから一変、ユトはいつもの態度に戻って、ソファにどっかと座る。おいそれ私のだぞ。
この人は二重人格を疑うほど、執事執事してる時と気だるげになる時が分かれているんだ。
「知らねえよ……俺他に欠点ないから神様が設定したんじゃない?」
「てかなんで味見しないで私に最初に試させるのよ」
「ふっ」
「ふっじゃないよ」
10/27/2024, 11:30:33 PM