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特別美味しいとか、異国のお土産だとか、そういうものだったわけじゃない。
どこでも売っているような手軽で身近なものだった。

でも、最後に二人で帰った雨の日に寒いと言ってコンビニで買った紅茶。
それだけ。
それだけなのに、私はあの香りが強く焼き付いてしまって、ふとした時にあの記憶に縋るように手に取ってしまうんだ。

こういうのはプルースト効果って言うらしい。
それもあの子が教えてくれたことだった。



(紅茶の香り)

10/28/2024, 1:32:32 AM