『紅茶の香り』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
本日のテーマ『紅茶の香り』
さて困った。
なにせ俺は紅茶を飲んだことがない。
いや、あるにはあるが、それは高校生の時に飲んでいた『紅茶花伝』だとか『リプトンのレモンティー』だとか、そういった市販のモノであるわけで、本格的な紅茶を口にした経験があるわけではないのだ。なので、紅茶の香りだなんて言われてもいまいちピンとこない。
紅茶風味の飲み物を頻繁に口にしていた高校生の時ですらそんな感じなので、酒とルイボスティーくらいしか飲まなくなって久しい昨今『紅茶の香り』、さあ語れ!と言われても意味不明に近い。
想像で書けばいいのだろうか。「うーん、この鼻にぬけるスモーキーな香りが……」って、それじゃあ、今飲んでる洋酒とつまみのチーズの感想だ。
やはり、ここは思い出に頼るべきであろう。
ということで思い出してみる。
『紅茶の香り』で思い出すのは平山さん。高校生の時に俺が好きだったクラスメイトの女子だ。
べつに平山さんが紅茶臭かったわけではない。平山さんは、たまに俺にジュースをくれた。そのジュースが前述した『紅茶花伝』や『リプトンのレモンティー』だったのだ。だから俺は、いわゆる『ハムの人』的な感覚で、紅茶といえば平山さんを連想する。
「梶くん、お疲れ。あげる、奢りだよ奢り」
昼休み、陰キャが立ち寄らない体育館前の自販機エリアから戻ってきた平山さんが『紅茶花伝』を差し入れてくれる。
陽キャの平山さんが俺のような陰キャに話しかけ、ジュースまでくれるのは、惚れられているとか俺が何らかの脅迫をしているとか、そういうわけじゃない。
いつだったかここにも記したが、俺と平山さんは同じバイト先で働く同士で、スクールカーストの違いはあれど学校でもそれなりに仲がよかったのだ。
女性は男と違っていろいろと気を遣うと聞く。おそらく、同じバイト先で仲良くやってる俺と学校でもそれなりの関係を築いておこうとする平山さんなりの努力だったのだろう。
「おまえ、モテモテやん」
俺の机に『紅茶花伝』の缶を置いて平山さんが去った後、机をくっつけてさもしく一緒に弁当を食っている友達に茶化される。
「そういうんじゃないから……」
満更でもない顔で答える俺。
高校の卒業式の時も、やはり平山さんは『紅茶花伝』を俺にくれた。それも、あったかいやつだ。
「梶くん、お疲れ。皆でカラオケ行くけどくるでしょ?」
「あ、ああ、俺は……」
ちら、と後ろを振り返る。
友達のりっくんとリョーモト、そしてオギノが俺に向かって笑顔で片手を挙げる。この後、皆で家で『スマブラ』をやる予定なのだ。むろん、断ろうと思えば断ってカラオケに行くこともできたが、
俺の心のなかではカラオケに行きたくない方に天秤が傾いていた。平山さんと二人きりならいいけど…
なんだか平山さん周りの陽キャ女子や男子と一緒に俺がカラオケに行くのは怖い。明らかに浮いている感じがするからだ。そういうわけで……
「ごめん、友達と予定があって、へへ……」
ヘラヘラしながら断った。今でも後悔している。『スマブラ』なんてどうでもよかったのに。
「そっか、残念。次あう時は私にカッコイイ椅子つくってね、格安で!」
インテリア関係の専門学校に行くのを伝えていたので、平山さんはそう言って笑ってくれた。
友達に呼ばれて遠くに行ってしまう平山さんの背を見送りながら、平山さんから貰った『紅茶花伝』を飲んで一息つく。俺の記憶に残る最後の『紅茶の香りだ』
平山さん、いまどうすか。幸せであることを願います。
俺は椅子を作らず、カラアゲをパック詰めしてます。
椅子は作れないけど、万が一出会えたらカラアゲはサービスします。
二度と戻らない日を思いながら酒を飲む。ほんのり『紅茶の香り』がした。
~紅茶の香り~
角砂糖をいくつかカップに沈め、カチャカチャと混ぜ合わせる。
底に溶けずに残った砂糖ごと一気に喉奥に流し込むと、目の前に座っていた彼女がため息をついた。
「もう少し砂糖の量を減らしたら?それじゃ紅茶の味が分からないでしょう」
「これでいいんだよ、これで」
『紅茶の香り』
まだ実家に残しているのか
子どものころ、ティープレスで紅茶を淹れていた
フィルターを押し下げるのが楽しくて
兄弟で競って押していた
子どもだったので飲ませてもらえなかったのか
その紅茶の味は覚えていないけれど
いま、ティーバッグで淹れるたび
香りで風景を思い出す
題.紅茶の香り
私はあまり、紅茶が好きではない。
あの独特の味に香り、初めて紅茶を見た時はどのような風味か気になり口に含んでみたが、口の中に味が広がった途端、それはそれは後悔した。
以来、紅茶の香りがすれば私はあの時の、あの味を思い出してしまい顔を歪めてしまう。
そしてつくづく思う、好き好んで紅茶なんぞを飲む輩の気が知れない、と。
用事を済ませて、帰路につく私の元にあの香りがした。紅茶だ。
ついつい、顔を顰めて“全く、紅茶なんぞを好き好んで飲む輩の気が知れない”とつぶやく。
“私はあんなに苦いお茶を飲むあなたの気がしれません”なんて、心外だ、と言わんばかりの顔で声を上げる彼女はもう居ない。
帽子を被り直し、彼女が好きだった花でも包んでもらおうと、違う道を歩く。
紅茶の香りとアンドレ・ギャニオン。
トーストにハムエッグ。
穏やかな日曜日の朝。
そんな記憶。
-紅茶の香り-
紅茶の香り
──某所、何処かの通りのカフェにて。
「あれ、お前紅茶好きじゃないっけ」
彼はテーブルの上に並んだティーカップを覗いてそう言った。彼の方にあるティーカップはとっくに空になり、乾いてきていた。
一方で私のティーカップはほとんど手を付けられずに温くなっている。
「ええ、少々匂いが……好みではなくて」
「そう? コーヒーよりかはいい匂いだと思うんだけどなぁ」
そう言うと彼は私の方のティーカップに徐ろに手を伸ばし、ぐぃっと一気に飲み干した。
温かったのが気に入らなかったのか眉をひそめ、カチャンと音を立ててソーサーに置いた。
「やっぱ淹れたてが一番だ。アイスも悪くないけど」
品に欠ける行いが似合ってしまう彼は、テーブルに伏せてあった本を取った。
「そう言えば、この本にもあったけどコーヒーってほんとに美味しいの? 俺には分からん。苦くてさ」
「ミルクか砂糖を入れてみては?」
「入れたけどさ〜……なんだろ、鼻に残る匂いが苦い」
「そうでしょうか?」
彼は匂いを思い出したのか、また眉をひそめた。
「匂いと味がなんとかなれば飲めるのに……あと色」
「それはもはや違う飲み物ではないでしょうか……」
「お前も匂いが変われば紅茶飲めるでしょ」
「いえ、あの独特の風味がまた苦手でして……」
何の気無しに、ふと目があった。
お互い何処か気が合わないと思っていた。だが、思わぬところで、似たような要素を持っていたのが可笑しかったのか、二人は思わず笑ってしまった。
「ね、やっぱり俺ら気ぃ合うよ」
「ふふ、そうですね」
紅茶の香り
紅茶に恋したあの頃に
戻りたい…
紅茶に溺れ…
紅茶の香り
冬が近づくと、私は紅茶を飲むようになる。何か特別な理由があるわけではないけれど、強いて言えば、夏に飲む気にはならないのだ。
「今日のティーパックはどれにしよう。前飲んだのはこれだったから、今日はこっちのパッケージのを…。」
ピンクのかわいらしいパッケージに包まれているそれを手に取って、ピリピリと封を破く。
熱湯と水道水を7:3で混ぜて、それを放り込んで…、
「じゃあ今日読む本でも探しますか。」
もうすぐ冬だし、ずっと読みたかったあの小説でも読もう…なんて、頭の中で計画を立てつつ、本棚を漁る。気づいたら数分が経過していて、そそくさとキッチンに戻ってきて、ティーパックを引き上げた。
「んふふ、良い匂い。」
お気に入りの本を持ってきて、お気に入りの窓辺に座る。
7:3もお気に入りの温度だ。
なんて素敵なんだろう。
丁寧に作られた本の表紙をゆっくりとなぞった。
今は、平和なこの時間が流れることに感謝して、存分に浸ろうと思った。
【冷淡と紅茶】
子供に紅茶はまだ早い。
そう言われたことがある。
あれは5歳の時だっけ、祖母が紅茶を飲んでいるのに憧れて「私も飲みたい!」と言ったのだ。
すると、「子供に紅茶はまだ早い。」と冷たくあしらわれた。
子供ながらに(大人になった今も思っているけど)「何だよ、偉そうに。」と思ったのを覚えている。
私の祖母は怖い人だった。
とにかく子供への愛情が無い。
私がどんなに可愛らしいことを言っても
「だから何?」という態度だった。
それに対してお父さんは
「まあまあ、そんな態度取らなくてもいいじゃないか」
と言うのだけど、祖母は無視して紅茶を嗜むのだ。
そんな感じなので、親戚一同が集まる場がとてつもなく怖かった。
その一方で、「今日こそは構ってもらえるかな?」と期待する自分がいて、
その期待はことごとく壊れるのだ。
いつしか自分も期待しなくなって、話しかけることを辞めた。
そんな祖母が、この前亡くなった。
老衰だった。
親戚が泣きながら最期の感謝を伝える中、
私は何も言わなかった。
いや、言えなかった。
何かしてもらったこともなければ、
かわいがってもらえたことすら無い。
御恩の気持ちなど一欠片も無かった。
「ほら、貴方も何か言いなさい」とお母さんに促され、
渋々「……ありがとうございました。」とだけ呟いた。
祖母の死から2週間が経ち、身辺整理も片付いた頃、私はカフェに立ち寄る機会があった。
今日は何を頼もうか、無難にアイスコーヒーかな?
それか、紅茶を飲んでみようかな。
幼い頃からずっと駄目と言われていたものは、反動で試してみたくなるものだ。
私はワクワクしながら店員さんに言った。
「紅茶を、1杯ください」
紅茶を待っている間、私は紅茶について調べてみた。
ほうほう、英語ではブラックティーと言うのか、ややこしいな。
へえ、紅茶に含まれるカテキンは免疫力を向上させるんだ。
知らないことばかりだ。
記事を読み進めていくと、ある文が目に入った。
4歳以上の子供は1日に1杯までなら紅茶を飲んでも良い。
ただし、紅茶にはカフェインが含まれているので、飲み過ぎには注意しなければいけない。
へえ、結構リスクあるんだなあ。
カフェインには神経を興奮させる作用があるらしく、過剰に摂取すると吐き気や強い鼓動、けいれんを引き起こすみたいだ。
ああ、祖母はこの事を知っていたのかもしれないな。
これは全て私を守る為の愛だったのだろうか。
祖母がこの世を去った今では、その真実は分からない。
こんなの、ただの妄想に過ぎやしない。
ただ、心のどこかでその妄想が正解であることを願っている自分がいたりするのだ。
「お待たせ致しました、こちらご注文の紅茶でございます」
温かい香りとともに、紅茶が運ばれてきた。
ああ、遂に飲める。
待ち侘びていた、この時を。
しかし、飲もうとするとどうしても祖母の冷たい顔がちらつく。
今もまだ、「子供に紅茶は早い」と言われそうで怖いのだ。
いや、私はもう子供じゃないっつ―の。
色々考えると益々頭が締め付けられるような気になってしまって、
私はええいと一口に紅茶を飲んで、足早に店を出た。
もちろん、紅茶の味など覚えているわけがない。
紅茶の香り
大きな森の大きな木の根元に小さなドアがついたお家がありました。
シマリスの夫婦がその木には住んでいて、その小さなドアの向こうでは、シマリスの奥様が紅茶を入れていました。
柔らかな紅茶の香りが小さな小窓から外に漏れて木立たちがその葉っぱを小窓にのばして深呼吸をしていました。
秋の木立は朱や黄色に色づいて、どんぐりの実も鈴なりのようにつけていました、今年もまた冬の準備の季節です。
奥様はティーカップを持ちながら窓辺に向かい
外を眺めました、木の実を拾いに出掛けた旦那様は、まだ戻らない様子です、そろそろ空が茜色に変わる頃です、奥様は飲み終えたティーカップをテーブルに置くと、小さな木の扉を開けて外に出ました。
ポーチからちょっと背伸びをしながら、奥様は遠くを見つめています、その眼差しの先に奥様は旦那様を見つけました、小さく揺れるその影は徐々に近づきやがて彼だとはっきり分かりました、奥様は背伸びをやめてため息ひとつ、微笑んで揺れるその影に手を振りました。
大きなリュックいっぱいに冬支度の果物やら木の実やら温かい干草やらをつめて、体をゆらし
旦那様の影が近づいて来ます。
やがて、旦那様は待っている奥様のところまで来て 「ただいま」と言い 奥様は「おかえりなさい」と言いました。
お日様の匂いのするリュックをおろし、旦那様は奥様に1輪のピンク色の秋桜を差し出しました、奥様は微笑んで 「綺麗ね、ありがとうお疲れ様」と旦那様に労いの言葉をかけ、二人はその小さなドアの向こうに消えて行きました、
低い夕日が大きな森の小さな二人のお家に差していました。
しばらくすると、また小窓から紅茶の香りがして、二人の笑い声が聞こえていました。
「今夜はパイを焼きましょうね」
明日も好き日でありますように。
a little happy ちょっと嬉しいを集めよう
小さな幸せやがて大きな幸せの物語。
そういう意味よ、分かった?(笑)
令和6年10月27日
心幸
ほのかに香る優しい香り
口いっぱいに独特の風味
午前に紅茶これはギルティ
『紅茶の香り』
紅茶の香りがふわりと鼻腔を刺激して、あなたの帰りを知らせた。
あなたが帰ってきたらいつも紅茶を飲むものだから、私の中であなたと紅茶の香りは結びついている。
ただそれだけのことなのに、私しか知らないあなたの影が宿ったような気がして、やけに胸を高鳴らせた。
#紅茶の香り
クルクルと
ティースプーンをまわせば
揺ら揺らと
たちのぼる優しい香り
ホッとするよな
泣きたいような
両手の中に包み込んで
自分の弱さをすすった
今だけでいいから
少しだけでもいいから
一日の終わりにそっと
心に絡んだ鎖をはずして
もし、紅茶の香りに色をつけるとしたら、それはどんな色かと問われれば。
それは、赤みの効いたオレンジ色。
なんか、これは譲れない。
私たち日本人にとって、紅茶とは異国情緒を感じるものであると共に、緑茶や烏龍茶、麦茶と並ぶ国民的な嗜好品でもある。
なのでお茶を飲む、と行動を決めた時、気分によってはアールグレイなどと選択をしてみることはよくあって、しかし少々洒落たことをしたというような気分になったりする。
紅茶の香り
あったかな紅茶って考えてしまう
あまりイメージ出来ない
ストレートティーってほぼ飲まないから
緑茶なら飲むけど
コンビニなら
リプトンか紅茶花伝
自販機なら紅茶花伝を選択
どちらもミルクティー
冬はあったかいも飲むけれど
基本的には冷たい方を選びがち
香りを楽しむなら
鼻に抜ける風味かなって思った
普段は意識していないけど
好みがあるんだろうね
香る葉を
湯を通して
蒸して鎮めて
喉を過ぎるのを待つ
ほっと落ち着き、我に帰る
香りはいつのまにか過ぎていき
ほんのりとした余韻を残している
強すぎず弱すぎるくらいにほどが良い
香る、香る
湯気とともに紅茶の香りが立ち昇る
冷たいミルクティーしか知らなかった私の鼻に、初めて感じる香りが入ってくる
この香りをとても気に入った
冷たいミルクティーでは知ることのできなかった香り
一通り香りを楽しんでから、息を吹きかけ一口飲む
口の中で未知の、しかし癒やされる味が染み込む
それと同時に香りもさらに広がっていく
今まで味わってこなかったことがもったいないと思えるくらい、美味しいと感じさせる
もしかしたら、美味しく、いい香りの紅茶が他にももっとあるかもしれない
これからは様々な紅茶を試していこう
そう、思わせてくれる素晴らしい味と香りだった
「紅茶の香り」
また、あの匂いがする。
俺が大好きで大嫌いなあの匂い。
この匂いは彼女を思い出させる、彼女が好きだった紅茶の香り。
もう、あの幸せな時間には戻れないことを思い出させる香り。
〈紅茶の香り〉
私はいつも彼から香る紅茶の香りが好きだ。
彼はいつも色々な紅茶を飲んでいる。
そんな彼を後ろから抱きしめる。
「ふふ」「おや?どうしました?」
「好きだな〜って思っただけだよ」「そうですか笑」
彼は虚弱体質だが頭が良く回る。そして何度か私の心を中を見透かしているような目をする。
そんな彼が私は好きだ。
彼から香る紅茶の香りも笑顔も全てが好き。
次は彼からどんな紅茶香りがするのだろうか。
#8
紅茶の香りに誘われて
このカフェに入ってからずっと通っている。
それからすっかり常連になって
大好きな店員さんとお話しするのが好き。
とっても落ち着く。
私もいつかカフェを開けたらなぁ。
なんて夢を見て紅茶に浸ってる…。
幸せだなぁ♡