冬が近づくと、私は紅茶を飲むようになる。何か特別な理由があるわけではないけれど、強いて言えば、夏に飲む気にはならないのだ。
「今日のティーパックはどれにしよう。前飲んだのはこれだったから、今日はこっちのパッケージのを…。」
ピンクのかわいらしいパッケージに包まれているそれを手に取って、ピリピリと封を破く。
熱湯と水道水を7:3で混ぜて、それを放り込んで…、
「じゃあ今日読む本でも探しますか。」
もうすぐ冬だし、ずっと読みたかったあの小説でも読もう…なんて、頭の中で計画を立てつつ、本棚を漁る。気づいたら数分が経過していて、そそくさとキッチンに戻ってきて、ティーパックを引き上げた。
「んふふ、良い匂い。」
お気に入りの本を持ってきて、お気に入りの窓辺に座る。
7:3もお気に入りの温度だ。
なんて素敵なんだろう。
丁寧に作られた本の表紙をゆっくりとなぞった。
今は、平和なこの時間が流れることに感謝して、存分に浸ろうと思った。
10/27/2024, 10:39:51 AM