『窓越しに見えるのは』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
窓の多い家に暮らしていた。
夕方には雨戸を閉めるが、昼間は道路に面した窓はレースカーテン、そうでない窓はカーテンを開けて光を取り込んでいた。開放的で明るく、嫌いではなかったと思う。
ある時から遮光カーテンを閉め、家中の窓のロックを確認して周るようになった。
家の周りを見知らぬ男が自転車でぐるぐると周っていたのだ。廊下にいた私を見て、にやにやと笑い、リビングのレースカーテンの奥を見ようと顔を近づけてくる。
警察に通報したが、当たり前のようにパトカーを見た男は逃げ、警察は「いませんでした」と言う。
いつも見る夢は、男が鍵を開けて家に入ってくるのだ。
もう20年以上も同じ夢を見ては叫んで起きる。
こんな場所でないと、こんな話はできない。病んでいると、かわいそうぶっていると、面白可笑しく消費される。
ランボーと大して状況がかわらないことに最近気がついた。銃を持って立てこもらないことを、褒められても良い頃合だと思う。
横殴りの雨ってホントに真横から降ってんだなぁ。
なんて、馬鹿みたいなことを考えながら、リビングの窓ガラスを大量の雨水が流れ落ちていく様を見た。
テーブルに置いたスマホからは、警報の通知がひっきりなしに鳴って、さっきから全然仕事が捗らない。
くあっ、と大きく欠伸をしてパソコンを閉じた。
もう明日やればいいや、と椅子の背もたれにデロ〜ンと身を預けて脇腹を掻く。
脱げかけたスリッパをパタパタと揺らして、心做しかさっきよりも勢いが増した気がする風雨に耳を傾けた。
テーマ「窓越しに見えるのは」
窓越しに見えるのは
窓から望む一世紀
白い一軒家があった
壁、玄関、屋根、敷かれた砂利道から塗装されたコンクリートの床、そして郵便受けも例外なく白に染まっていた。
色以外で特筆することはあまりない、強いて言うなら二階建てで、都会にあるモデルハウスをそのままコピー&ペーストした量産型の産物と呼ぶだろう。
若い男女が荷物を運んでいる、段ボールだ、数がとても多い。時おり抱き合いお互いに言葉で愛を交わし、他者が見ればため息をつきたくなるほどに密接だ。
二人はやがて家の中へ、きっちりと揃えられた革靴と、脱ぎ散らかされた赤いハイヒールが玄関に転がる。
若さと勢いで浮かされた下の心が止まらない二人
悩ましい声が薄らと聞こえている。幸いに周りに住宅が無いのが救いか。
白い雨戸が隅に寄せられて大きなガラスの扉が現れたのは夕方になってからだった。
ガラス窓の向こうはリビング、そして離れた島、アイランドキッチン。
沢山の手料理が並ぶ、どれもこれも彩り豊かでオシャレな、そしてそれを口に運ぶ男の破顔が出来栄えを表していた。
季節が巡る
お腹を膨らませた女と愛おしそうにお腹を撫でる男。
リビングは既に子供専用のおもちゃがいくつかある。
月が変わる
夜中にサイレンが響く、空いた窓から女が男らに車へと運ばれていく、あの男の姿はない、代わりに縁側に残る小さな水溜まりが月明かりを照らした。
日が暮れる
木製のイスにかけた男が隣の女を宥めている。
足元に壊れたガタクタとボロボロの絵本。
目を腫らして泣いていた、お腹はもう膨らんでいない。
年が経つ
カーテン越しに映る二人と小さな影が二つ、暖色に照らされた家族の一時。同年に追刻された表札には二つの名前。
時を経る
壮年夫婦と若い夫婦、元気な幼い男の子がくたびれた男にまたがりおもちゃの剣を振り回す。適度な動きで馬を再現しつつも落ちないように気を配る。
針が進む
壮年の夫婦が喪服を着て中年の男と会話をしている。
家の外壁は傷だらけで、柱には車がぶつかった跡が残っている。何もなかった近所は似たような家が立ち並び、五十メートルも歩けば商店街があり、キラキラと光る光化学の小さな電球が夜の街を華やかな場所へと変貌させた。
一世紀を迎える
もうそこに白い一軒家は無かった。
大きな企業に土地ごと買収されたからだ。
ガタが来たボロボロの家を誰が使うものか、結局は取り壊され立体駐車場の一部がそこに在る。
形ある物は自然に淘汰される、人が作りし物もまた人の手で淘汰されただ消えていくのみ。
その歴史を見守っていた大木は物言わずに今日まで生きている。明日切り倒されるとも知らずに。また一つ大切な風景が、何かが消えていく。
なにも悲しいことばかりではない、何かが終わればまた何かが始まる。世の中の輪廻。
そして新しい世代へと進むのだ。
おわり
窓越しに見えるのは
仕事の合間に、ふと、窓の外を眺めた。
青い空には、太陽が輝いてた。
今日は良い天気だな、って、思って。
何か、テンションが上がった気がした。
と。
キラキラと輝く太陽の元、
憧れの先輩が歩いてきたのが見えた。
俺は思わず、窓を開けて、
先輩に声をかけようとした。
その瞬間。
先輩に小走りに駆け寄る人影が、一つ。
すると、先輩は、
その人に、飛び切りの笑顔を向けた。
そして、先輩とその人は、
とても親しげに、一緒に歩き出した。
窓越しに見えるのは、
幸せそうな先輩と、
俺じゃない誰かが、
親しげに連れ立って歩く姿。
隣に立つ『誰か』に、
優しくに微笑みかける先輩は、
ホントに幸せそうで。
なのに、俺は…。
窓越しに見える憧れの先輩を、
胸の痛みを堪えながら、
只、黙って見詰めるだけ。
窓越しに見えるのは
いつだって幻想
それがそこにあるのかさえ
わからずに見ている
ぼくはそこには行けない
外には出られないから
枯れていく青い星を
ただここからずっと見ている
授業中、ふとした時に外を眺めている。
窓際の席だった時は、回数もそれなりに多かったような気もする。廊下側の席になった時は、外なんてほとんど見ていなかった。けれど、窓際になるとつい見てしまう。
記憶に残っているのは、中学校での景色だった。
春は、教室の窓から見えるギリギリのところに桜が咲いていた。誕生日が早く、学年が上がった最初は窓際で過ごした私は、窓の外(主に桜)をずっと見ていた。咲くまでに長い長い時間をかけて、けれど、咲き誇った数週間後にはほとんどが散ってしまう。そんな儚さが好きだった。
春がすぎた後、夏は緑が生い茂った校庭と空や雲を、秋はポツポツと見える赤や黄色の木を、冬は寒さを感じながら意味もなく校庭を眺めていた。
今考えると、住んでいた場所が団地で、あまり景色を見られなかったからなのかもしれない。教室の窓から見える景色が珍しくて、ふとした時に見ていたのかもしれない。
昨日までは当たり前の景色も、次の日には無くなっているかもしれない。あの時から私は、無意識にその景色を大切な思い出にしようとしていたのかもしれない。親の事情で転校が多く、けれど、そこで過ごした記憶を、友達と笑いあった記憶を忘れたくなかったから。
何年、何十年か先の未来。
もしあの場所に訪れることがあったのなら。
あの時と変わらないな、と思える場所があるだろうか。
少しずつ薄れていく記憶に、胸が苦しくなった。
君の名を呼べない距離とわかっても
手を伸ばしてしまうとしたら
私にとって大切なのはあなたで
あなたをこんなにも想っているのに
話を聞けないのはどうして。
もっと、知りたい
もっとあなたの理解を
あなたが私を理解するように
私があなたを理解したい。
けれど言葉が見つからなくて
どうせ上手くいかないやって
逃げてしまう、悪い癖。
あなただけは失いたくない。
こんな風に思ったのははじめて。
だから本気で向き合いたいのに。
他人を理解することはできるのだろうか。
自分だけをみていた自分に。
些細なことを覚えてくれて
私の好みも
嫌いといったことは二度としないあなたに
心底憧れている。
私もあなたのように愛したい。
私もあなたを大切にしたい。
二度と君の心を傷つけてしまわぬように。
また一段あなたを好きになった。
どうしてあなたは私を愛するの?
こんなにも傷つけているのに。
そんなこと、聞けなかったな。
窓越しに見えるのは 森
ふと思いついた。学校の席からよく見るとこ
先生の話がつまらん時は、外の葉っぱとか木とか、生い茂った森?を見て癒される
自然っていいね🌱あーーーーー自然感じて〜
boy
いつも窓を見ているあの子
空でも見ているんだろうか
その横顔すらが可憐な花のようで
話したい、触れたいとおもった
girl
いつもみてくるあの人
同じクラスの話したこともない人
でも何だか気になってしまって
いつも窓越しの反射で彼のことを眺めている
窓越しに見えるのは
一線引かれた見えるのに届かない未来
そこに執着しても終着点は確実にない
手放したことに心は追いつかない
一つの窓が閉まっている、
それなら扉を開けて蓋を開けて
心を開こう
本能でわかる、この窓は割れない
鏡がわりにしてニコニコしておこう
窓越しに見る景色が1番好きだといっていた彼女。
その後ろ姿が少女のように見えて僕はこっそり写真を撮った。
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theme 窓越しに見えるのは 2024-07-02
床に広がった日溜り 誰もいないスポットライト
白過ぎる窓の向こう 君が抱えて待っている
浴びたなら きっと 影が見えてしまうから
それが怖くて隠れていたのに
見詰め過ぎたせいで 見詰め返された
どうやら もう 逃しちゃくれないみたい
窓越しに見えるのは
猫が日向ぼっこをしている姿でした。
あぁ〜、自分も猫になりたい…
そぉやって思いながら癒されるなぁ。
好き。
窓越しにただ眺めているように思える。
近い所から、遠い、遠い場所のことまで、ワンタップするだけで目の前に広がる情報の海。多くは、心を消耗させるような悲しいことや、つらいこと。まいにちどこかでだれかが苦しんでいる。それを知らないままでいてはいけないと、浅はかな正義感で目をやれば、あまりに強く押し寄せる波に精神がすり減らされる。
そして私には何も出来ないのだと果てしない無力感に襲われる。
何も出来ないと最初からわかっている。わかっているのに、身勝手に受け取り、身勝手に苛まれている。
結局、傍観者に過ぎないのだ私は。
だって、窓から目を背ければ見ないこともできるのだから。忘れてしまえるのだから。この透明な隔たりの向こうで起きていることは現実だけれど、こちら側にいる私には何の影響も無いのだから。
ただ針の先ほどの痛みを感じただけ。それだけ。それすらもすぐ、
叩きついては流れていく
雨 あめ アメ
「わ、すごい雨」
「帰る時もこれじゃ参っちゃうね」
PCの隙間から上司が口々に言う
「案外、悪いものでも無いですよ」
その言葉を飲み込んで帰宅の途につく
「ただいま。」
1人で暮らすようになってから
夜の雨が好きになった
窓から見える水一粒一粒が
私を無条件に受け入れてくれる
「今日は遅かったね」
「雨で電車が混んじゃって」
「何だか悪いね」
「貴方のせいじゃないよ」
雨は私のお話し相手
学校の窓越しに見える山脈を今でも覚えている。
暖かくなっても雪が積もっていて、それが動物のような白い形に見えたのだ。
誰にもその事は共有していないし、私しかそう思わなかったかもしれない。
もう一度見てみたくなった。
後ろの家と公園
この部屋からはいつも騒がしい声が聞こえてくる。寂しい時もあったけど、そんな時代もあったなと思えるようになった。大人になったのかも。
もう20、いやまだ19なんだ 。
10代が後悔で終わらないように
今日を一生懸命生きたい。
『窓越しに見えるのは』
手が、頭が、目が。
窓越しに浮いているように見える。
ただの幻覚でしかないが。
想像力でできた産物でしかないが。
今やこの光景にも慣れてしまった。
飽きは、どんな物にもついて回る
自分で言うのもなんだが、僕はそこそこ大きな家に住んでいる。僕が自分の部屋から出ることはないけど、部屋の窓越しに見える、手入れの行き届いた庭は僕の目を慰めてくれる。
でも、もう一つの窓から見える景色は最悪だ。まるで廃屋のような、古くてボロボロの小さな家はなんとも不気味で、見ているこちらの気持ちまで暗くなるようだった。
僕は毎日ベッドの上にいて、光に照らされた明るい庭を眺めていた。そうやって言うことをきいていれば、お母さんは優しいお母さんのままでいてくれるから。
でもお母さんがいつも持ってくる薬は大嫌いだ。僕は病気だから、飲まなきゃいけないって言われるけど、あれを飲むと気持ち悪くて仕方ないし、なにも考えられないくらい身体がだるくなるから、僕は時々、こっそりその薬を窓から庭に向かって捨てていたりもした。
ある日僕は、ベッドの上から見る景色にもいい加減飽きてきて、何をして気を紛らそうかと思案していた。そして、僕の部屋のもう一つの窓から見える、あの陰惨な景色を見てやろうと考えついた。僕はベッドから下りて、自分の足でその窓まで歩いていった。
お母さんには、僕は病気だから歩いちゃダメって言われてるけど、僕は別に部屋の中を歩くくらい平気なんだ。でも、お母さんが僕のためを思って言ってくれているのはわかってるから、お母さんに隠れて歩くのは今日だけにしようと思った。
窓の外には、今にも壊れそうな貧しい家が建っていた。
「何してるの」
僕が外を見て暗い気持ちになっていると、お母さんが部屋に入ってきて、僕はこっぴどく叱られた。あんなけがれた家を見て、大事な目が見えなくなったらどうするの、と言われて、僕はなぜだか泣きたくなった。お母さんはその窓に、昼間なのにカーテンをかけて、もうこの窓には近づかない、二度とあの家を見ないと僕に約束させた。
次の日、僕は無性にカーテンのかかったあの窓の向こうが気になって、窓際まで歩いていった。昨日お母さんが言った言葉が、まだ心のどこかで鈍い痛みを放っていた。
僕がカーテンの隙間から覗くと、向こうの家の汚れた窓から、五歳くらいの女の子がこちらを見つめていた。着ている服は薄汚れていたが、顔立ちはきれいな子だった。僕がその子から目を離せずにいると、彼女も自分のことをじっと見つめてくる僕に気づいたのか、少しはにかんで僕に手を振った。
僕はそれから毎日ひそかに彼女と顔を合わせ、手を振りあった。
その日もいつものように隠れて外を覗くと、彼女はとびきりの笑顔で手を振ってくれた。でも、その日はすぐに邪魔が入った。彼女の姉だろうか、彼女より2、3歳年上の少女が彼女の肩を抱いて、彼女を部屋の奥へと連れ去ってしまった。僕は一目見ただけで、その少女をひどく嫌った。
少女は妹よりもさらに粗末で汚れた服を着ており、その服から覗く素肌はどこもまだらに赤黒い色をしていた。さらには少女の顔は醜く腫れ上がり、さながら物語に出てくる化け物のようだった。
数週間後、僕は彼女に会いたくて、しばらくぶりにあの窓に近づいた。
僕が外を見ると、彼女はすでに僕に向かって手を振っていた。僕は嬉しくて、はにかんだ笑顔を向けながら、彼女に手を振り返した。
それから毎日、僕らは互いに手を振り合った。
彼女は時折後ろを振り返ったり、跳び跳ねたりしながらこちらに手を振ってきた。一生懸命笑顔を作ってこちらに手を振ってくれる彼女のことを、僕はかわいいと思った。
あの赤黒い化け物は、あれ以来一度も姿を見せることはなかった。そして、彼女は少しずつ痩せていき、ある日僕の前から姿を消した。
彼女が消えたことで、僕はとても嫌な予感がしていた。ずっと、彼女はなぜ消えたのか、そればかりを気にしていた。そんな僕の変化に気づいたのか、母親はしょっちゅうヒステリーを起こすようになったけど、今の僕にとってはそんなこと、もうどうでも良かった。とにかく、彼女が今どうしているのかを知りたかった。
数ヶ月後、あの家から幼い姉妹の遺体が発見された。
姉の方は、日頃から両親からの激しい暴力を受け、その後そのまま放置された末の衰弱死、妹の方は、家中に目張りされ閉じ込められた挙げ句、両親が戻らないまま食料が底をつきたことによる餓死。姉がいつも妹を庇っていたのか、発見されたとき、傷だらけで目も当てられないような状態だった姉とは違い、妹の方は傷一つなく、安らかに眠っているようにしか見えなかったそうだ。
僕の悪い予感は的中してしまったのだ。
当然、僕の家にも警察が来た。
僕の母親は、警察が来ると激しいヒステリーを起こして追い返していたが、ある時、母親に向かって一人の警官がこう言っているのが聞こえた。
「あの家に生きたまま閉じ込められた子供が、なんとか助けを呼ぼうとして、あなた方に必死に手を振り続けていたのに」
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その後、事件現場の向かいにある邸宅に住む少年の状態が急激に悪化し、事件からそう間を置かずして死亡した。少年はもともと健康上の問題はなかったが、極度の運動不足と長期にわたる不要な薬の服用により様々な合併症を引き起こしていた。しかし、直接の死因は不明であり、合併症によるものだけではない可能性があるともいわれている。
また、彼の遺品の中から一冊のノートが見つかり、中には件の少女たちに対する贖罪の言葉が何十頁にもわたって書き綴られていた。そのノートの最後には、震える文字でこう書いてあった。
『僕たち、天国ではきっと幸せになろうね』
(窓越しに見えるのは)