『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
No.104『突然の君の訪問。』
突然の君の訪問。
君の表情を見て只事ではないと気づいてしまった。
唖然とする僕に君は残酷なことを告げる。
理解しきれていない頭で病院へと駆けつけるが、もう遅かった。
認めたくもない現実は僕から全てを奪って行った。
「これまた懐かしい顔だね」
控えめにノックしたけれど、そんな間を開けずに扉は開かれる。果たして中から現れたのは老人だった。
白髪の生えた頭、昔のように勢いのある髪は何処へやら、すっかり薄くなった頭を掻きながらも眼鏡の奥の目が柔らかく微笑んでいる。突然の訪問客を嬉しそうに迎え入れてくれた。
「元気にしていたか?」
暖かい珈琲と、得意料理であるホットケーキを振る舞う男。深煎り豆の良い匂いが部屋中を包む。とろりとろけるバターとたっぷりの蜂蜜がホットケーキにじゅわりと染み込んでいる。
いただきますと律儀に手を合わせる少年。ナイフとフォークを器用に使い、ホットケーキをカチャカチャと切り分けていく。
「皆、元気にしていますよ」
一口分をフォークで突き刺し、そのまま頬張る少年。口の中いっぱいに、ふんわりと蜂蜜とケーキの柔らかい甘みが広がった。少し苦めの珈琲で後味サッパリと口内を整えてくれる
「そうか、良かったよ」
男はそのまま優しい眼差しで少年を見つめる。どことなく気恥ずかしくなってパクパクと残りのケーキを口に放り込む。……本当はもっとゆっくり味わいたいのに。
会っていなかった間の貴方の話も沢山聞きたい。しかし心と身体とは裏腹に、ホットケーキも珈琲もあっという間に平らげてしまった。
「これからはまたいつでも来ると良い」
少年の心境を知ってか知らずか、男はそんなふうに声を掛けてくれた。自然と弛む少年の口角。嗚呼、やっぱりこの人には敵わない。
『これから』という言葉の担保にこんなにも救われる日が来るなんて。奥の奥に潜めていた感情が時間が、ゆっくりと動き出す音がした。
《突然の君の訪問》
突然来るもの…宅配業者
驚くからやめて💦
わかば
━━━
《突然の君の訪問》
どんなに嬉しいことでしょう…
あなただったなら
驚くけどね
あおば
突然の君の訪問
たまにはラブロマンスがいいな。
対立するんじゃなくてさ。
そう思っていた矢先だった。
買い物途中、ふと見知った背中が見えたんだ。
ずっと会いたくてたまらなかった君だった。
2度と会うものかと思った君だった。
きっと僕から話しかけたんだね。
少し気まずい空気の中
雨に打たれながら一緒に帰る事になったみたい
これがラブロマンスかと言われたら少し違うだろう
でも僕はここ止まり。それ以上はいけない。
そしてこのささやかな日常さえすり抜けていく
だってこれは夢だもの
夢から覚めて仕舞えば霧がかかってしまう
もう細かいところは思い出せない
どこかに記しておかなければ消えてしまう。
もう会いたい人も会ってくれる人も
多分現れないと思うけど
羽根と一緒に断ち切った
もう何処にも飛べない籠の中
一緒に行こう、
一緒に飛ぼう、
って そんな、覚悟 もない、癖に、
✼•┈┈突然の君の訪問。┈┈•✼
君を待ち望んだときもあったけれど
最近は忙しくて忘れていた
ふと振り返ると
優しく囁く君がいた
「長い間、お疲れさまでした。
わたしと一緒にいきましょう」
ああこれで
すべてのものから開放される
差し出された
君の手をとる
突然の君の訪問に
すこし驚いたけれど
きっといま自分は
穏やかな顔をしているに違いない
今日も疲れたななんて思いながら何気なく洗濯を取り込む。
1つずつ衣類をピンチから取っていく。
今日も大量の洗濯物だ。
ふと見るとタオルの上に3センチほどの緑の物体を見つける。
あぁ突撃訪問か。
身体に戦慄が走る。
茶色の訪問も困るが緑の訪問も困る。
なぜなら私は虫が本当に苦手だからだ。
こっちからは全く用事はないので帰ってください。
震える手でタオルを包んでそっと持ち恐る恐る外へ出る。
2度とこないで、あなたとはもう会いたくないの。
そんな気持ちでさよならを告げた。
突然、誰かわからない人が家へ来た。
彼は私の昔の同級生だと言う。
だがしかし、彼の言う名前の男の子はボサボサの髪で少し太った子だという記憶があった。
今目の前にいるのは、そんな面影のない、サラサラ髪にスラリとした体型のイケメンだ。
突然の君の訪問。
これから大きな嵐に巻き込まれるなんてことは思いもしなかった。
なんでいつもこうなんだろう。
この世界は、私には出来ないことで溢れていて、いつも置いてけぼりだ。
生きるのもつらいけど、死ぬのも怖い。だから私は今日も中途半端に時を刻む。
心の底から煮えくり返るような感情と、拭っても拭っても溢れ出てくる涙。それらを抑え込むように、ベッドの上で布団を被る。
明日はようやっとの休日だが、どうせまた食っちゃ寝を繰り返す怠惰な日になるだろう。
そう考えれば考えるほど、明日なんて来なければいいのにと思う。
「はあ。。。」
大きく溜息を着いた途端、布一枚では防ぎようのないインターホンの音が部屋中に鳴り響いた。
一度、二度、三度──。
訪問者の存在を表すそれは、八月の蝉の鳴き声のように途切れることなくなり続けた。
アナログ時計は23時12分を示しており、宅急便等配達員で無いことは確かだろう。こんなにインターホンを鳴らす配達員が居たら困ったものだが。
一先ずこの耳障りな音を止めようと玄関に向かった私は、目元が赤いことも、髪の毛がボサボサなことも忘れて、開け慣れたドアを開けた。
「あ、やっと出てきた!寝てたの?うわ、髪ボサボサじゃんかー」
「……な、んで…」
そこに立っていたのは、近隣住民でも、アパートのオーナーでも、もちろん配達員でもなかった。
「アイス溶けちゃうから、早く一緒に食べよ!!」
そう言ってあたかも自分が家主かのようにズカズカと部屋に入っていった女は、私の親友だった。
とは言え会うのは大学卒業以来だし、連絡も一ヶ月前から途絶えていたはずだ。
そんな彼女がどうしてここに。確かに引っ越し先の住所は教えたが、なぜ今。
ふつふつと沸いてくる疑問の答えを探しながらも、彼女を追うように部屋に入った。
「相変わらず部屋は綺麗だね。私の家も掃除してくれない?」
「…やだよ」
あっという間にテーブルの上にお菓子やら飲み物やらを広げたかと思えば、綺麗に整頓してある本棚に手を伸ばす。
こういう所は変わってないな、とつい口角が上がる感覚にハッとして、私は彼女の買ってきたアイスを一口頬張った。
「…で、何しに来たの?」
「住所教えてもらったけど行ったことないなぁと思って、来ちゃった」
「来ちゃった、じゃねぇよ」
ノスタルジックな感情に浸ってしまったからか、社会人になってからは封印していた乱暴な言葉遣いが出てしまった。
言い方はきついが、そんなに怒っている訳では無い。むしろ照れ隠しのようなものだ。
それをこの女は分かっているのだろう、スプーンを握ったままにたりと嬉しそうな笑みを浮かべている。
「それにあんたまた一人で考え込んでんでしょ〜。だから私が癒してあげようと思って!!」
ああ、そうだ、こういうところ。
何も考えてなさそうに見えて、ちゃんと人のことを見てる。そして自分がどうするべきか、何を言おうか、ちゃんと意志を持っている。
彼女が羨ましかった。ずっと、中学で出会った時から。
友達が多くて、長く付き合ってる恋人もいて、家族とも仲がいい。容姿が良く朗らかな為、年上にも年下にも好まれやすい。
私とはかけ離れた存在。そんな彼女が私を慕ってくれる理由は何なんだろうか。
幾度となく考えた問いだが、答えが出たことは無い。
今もこうやって私をたらしこんでいるのだから、性悪だ。
「あっそ……」
「あ、ねぇ後でトランプしよ!UNOもあるよ!」
「修学旅行かよ」
太陽のような眩しい存在。
いつも私を照らしてくれる。
「やるからには負けない」
そう言って笑った私の目に、もう涙の影は無かった。
「台風の目…」
天気予報を見ながらつぶやいた。
「どんなかなあ……」
お母さんがわらった。
「ただ晴れてるだけだよ。」
次の日、学校は休みになって、ぼくは一人で留守番。窓の外は夕べからの雨と風。
しばらくすると、突然風が止んだ。
コンコンコン
誰かが玄関をノックする。
そろうっとドアを開けると、
頭が目になってる水色のワンピースを着た女の子…が、立っていた。
女の子の後ろには雲一つない青空が広がっていた。
「おじゃまします。」
そう言って女の子は家の中に入っていった。
リビングのローテーブルの前にちょこんと座った。
それを見て、ぼくはお湯を沸かして、お客さんにするみたいにきゅうすでお茶を入れて女の子に出した。
女の子は湯呑みを両手で持って、目を閉じてお茶を飲んだ。
閉じた瞳にすき間からお茶を注いでるように見える。
目が痛くないんだろうか。
お茶菓子に家にあったおかしも出してみたけどそれには手をつけなかった。
お茶をずずずと飲み?終えると、女の子はすっくと立って
「ごちそうさまでした。」
と言い、玄関から出て行った。
とたんにごうっ、と強い風が吹いたので、ぼくはあわててドアを閉めた。
閉めきるすんぜん、女の子が風に乗って空にのぼっていった気がした。
夕方、強い雨と風の中、お母さんが帰ってきた。
「ねえ、るすの間、台風の目がきたんだよ!」
「ああ、そうだったねえ。」
雫をはらいながらお母さんが言った。
「突然の君の訪問。」
突然の君の訪問。
(本稿を下書きとして保管)
2024.8.28 藍
1727文字
寝ている脳がいきなり覚めた。変な胸騒ぎがした。
変に胸の奥がザワザワと騒ぎ立てる。
本当ならこのままもう一度寝に入るのに、体は勝手に上半身を叩き起こした。
今の今まで寝ていた頭は思く、ずっしりと感じる。
小さい頃から真っ暗では寝れず、常夜灯でしか寝れない自分は大人になった今もこの温かみを帯びるオレンジ色の落ち着いた空間の下眠る。
そう言えば彼女は真っ暗で寝るから、自分とは一緒に寝れないって言ってた。
部屋を見渡せばいつもと変わらない殺風景な空間。一つ言えるとすれば部屋の隅の棚の上に、オレンジ色の毛並みがふわふわしたテディベアのぬいぐるみがかざられている。負けず嫌いな彼女が一生懸命クレーンゲームで取ってくれた。僕は大きすぎる、とか、僕の部屋には合わないからって言って断ったのに頑なに僕にあげると譲らなかった。最終的には『あたしが一生懸命〇〇の為に取ったのに…』なんて拗ねた顔で言うもんで、僕がこの顔に弱いってこと知っててやってきたからやっぱり負けて仕方なく貰った。
でも、ぬいぐるみが好きなのは彼女で、僕の部屋よりも大きな寝室で、僕よりも大きなベッドいっぱいにぬいぐるみを詰めてる彼女。しかもあの時目を輝かせてるから取ってあげようか?なんて言ったらより大きな目をキラキラと輝かせてたくせに、彼女は優しいからハッとした顔をして別に欲しく無いよ。なんて意味のない嘘をついた。本当は欲しいくせに意地を張る彼女が可愛くて、じゃあ僕のために取ってよ。って言ったら『うん!』と花の咲く様な笑顔でゲームをプレイし続けた。苦戦し続けていたが負けず嫌いな彼女の性分、奮闘し続ければいつかは取れるもので、取れた時はぬいぐるみを抱いて『あげる!』って言われて嬉しかった。けど欲しいのは君でしょなんて言えば図星を突かれた様な顔をしたけど頑なに彼女の主張は譲らなかった。
僕はその大きなぬいぐるみを抱く君の笑顔を見たかったけど、その自慢げな表情もいいかも。って思ったのは内緒。
思い出に浸っていればザワザワとした胸騒ぎも落ち着いてきて、もう一度寝ようかとした時、「ピンポーン」と夜に合わない軽快な音が聞こえた。
こんな時間に…って思ったけどもしかしてなんて言う淡い期待を抱いて。
カメラなんて見ずにすぐさまぼーっとしていた頭を起こして座り込んだ体を立ち上がりベッドから離して早足で玄関に向かった。
ドキドキしながら玄関の扉を開ければ、君がいた。
突然の君の訪問。
何だろうと心配の気持ちと、嬉しい気持ち。
君は俯いて顔が見えない。服は可愛いパジャマのままで、何かあったのかと心配になる。
優しくどうしたの?と問い掛けても反応はない。その分もっと深く頭を下げてしまった。
困ったなと思いつつももう一度どうしたの、?と問い掛けようと、どうし、まで言った辺りで急に彼女が抱きついてきた。
僕はもっと困惑。彼女は僕の胸に頭をぐりぐりと押し付ける。可愛いけど心配で、優しく包み込む様に彼女の頭と背中を撫でる。そうすれば彼女の体が微かに動き、泣いているのだと察する。
彼女が泣いている時に独りにさせなくてよかったと言う思いと、どうしたのか心配のおもい。暫く撫でていると彼女が急に顔を上げた。その顔は泣き腫らした目に、不安と申し訳ないと言う顔。そして彼女は言った。『一緒に寝よう。』と。驚きながらも彼女のために何でもしてあげたい。その抱えている苦しみから解放してあげたい。だから『いいよ。』と彼女の耳に優しく囁いた。
そのまま彼女の靴を脱がして抱き上げて僕の寝室に向かう。
ついたら彼女を先に寝転がらせて布団をかける。そしてその隣に僕が入り、まだ寂しそうな顔をする彼女を抱き寄せる。すると安心したのか緩い顔つきになった。
『どうしたの。』
『別に』
『僕は常夜灯でしか寝れないよ。』
『別にいい。』
『僕のベッド狭いよ』
『〇〇を抱き枕にするから気にならない』
『僕の部屋、殺風景だよ。』
『…〇〇が居るから寂しくない。』
いつもそんなこと言わない彼女が、甘い言葉を呟いて、甘い寝顔で微笑んだ。
僕の部屋は彼女には合わないけど、でも、君が大好きな僕だから。
🔚
『寂しい夜は大好きな貴方に囲まれて』
突然の君の訪問に私は1歩後ずさりした。
目の前で亡くなったはず君が
今目の前に立っているのだから。
「なんで」
この言葉は声にならず
口から息を吐き出しただけだった。
君は美人で自由奔放で可愛くて
私が今まで関わった人の中で一番綺麗な人だった。
そんな君がいなくなって
私が君を見つけ出した時
君は体が傾いて
後ろへ一直線で落ちていったところだった。
まるで映画のワンシーンのように
美しく儚い瞬間だった。
彼女が地面に打ち付けられた音を聞いて
私は上から地面を見た。
彼女は赤を広げて倒れていた。
でも可笑しかったんだ。
階段を一気に駆け下りて彼女の元へ行った。
けど彼女はその場になくて
彼女は生きていた。
今目の前にいる。
どうして?
色々分からなかった。
そして怖くなった。
なんで貴方ははここに居るの?
─────『突然の君の訪問。』
突然のお客
おい、おい 、なに考えてんだよ! お茶のおもてなしでさえ、面倒くさいんだよ。
突然の君の訪問。
中学1年生の頃の部活体験
球技ができないからなんとなく行った陸上部
部長がとても優しい人でちょろい私はすぐに恋に落ちてしまった
突然の初恋の訪問でした
我が家にいた歴代の犬達はみんな人間好きご飯もっと好きな食いしん坊ばかりだったので、今まで「食が細くて困る」っていう事が無かったんだよね。
それが、君、どうした事か。
まだドッグフードが残っているじゃないか。
目を離すと勝手におやつ袋漁っていたし。おやつ欲しさにドンドン芸を覚えていったし。おこぼれ欲しさに足元におすわりしつつチョイチョイと足をつついてきてたじゃん。
確かに最近ちょっと暑すぎるし、足腰ふらついてる感じあったし。寝ている時間伸びてきてたし。
でもでも、まだまだ元気でいてもらわないと、私が困るんだよ。
どうしたもんかなぁ
ご飯の種類を変えるべきかなぁ
病気だったら嫌だなぁ
そんな事悶々と枝豆を食べながら悶々と考えていたら、足元で何やらチョイチョイと触る気配。
なになに、お豆欲しいの?
うーーーん、そっかぁ。
後で一粒、いや二粒あげよう。
うん、ドッグフードも後で食べてね。
長生きしてね。
頼むよ。
そう言って犬を抱える深夜。
悲しくてでも幸せな悩み。
食に我儘になっても全然良いから、健康で末永くチョイチョイつついてきてくれ〜!
#突然の君の訪問
突然の君の訪問。
どこから入ってきたのか
いつから居たのかもわからない
君どこからぶら下がってるの
その糸何でできてるの
君なんで脚いっぱいあるの
勇気を持って小さな訪問者を追い出す
オイてめえ、どのツラ下げてきやがった。
ああん? ちょっと通りたいだけだと?
ならこんなど真ん中来るこたあねえよ。
西でも東でもおめえさんには道あるからな。
それとも何か?
まさか、おれのシマ荒らしに来たってんだい!?
そんなつもりはなかっだあ!?
今まで散々甚大な被害出しといてよく言えるな!
おめえさんのせいで一体どんな惨状だったか!!
ただの雨と風!?
その雨と風のせいで
山が削れて川が増水して
ダムが決壊して街に浸水して
突風が起きて屋根や車が吹っ飛んだんだよ!!
人間軟すぎる!?
おーおーよう煽りなさんなあすっとこどっこい!!
ってオイコラ!
言った側からやりやがって!
いい加減弱まりやがれこの野郎!!
オイ、オイ! 聞いてんのかコラ!!
待て……いやさっさとどっか行け風小僧が!!
『突然の君の訪問。』
#突然の君の訪問。
友人の奥田が突然、真夜中に訪ねて来た。
正確には訪ねて来たのではない、寝ている俺の枕元に、知らぬ間に座っていたのだ。
俺はギャッと悲鳴を上げ
「お前どこから入って来たんだ」
と言った。
「知らん。幽体離脱ってやつだ。お前の助けが要るんだよ、佐野」
聞けば夜中にどうしてもアイスが食べたくなった奥田は、自転車でコンビニに行く途中で石に躓いて転倒し、頭を打って失神したのだと言う。
「俺のアパートの裏道、知ってるだろう。あの街灯のない、人けのない道で今まさに倒れてるんだよ俺は」
つまりここにいる奥田は、生霊というわけだった。
俺は仕方なくタクシーを飛ばし、奴が事故ったという場所へ向かった。
奥田の体は白目を剥いて倒れており、どうやら息はあったので、救急車を呼んだり何だりで大変だった。
ようやく明け方部屋に帰ると、生霊の奥田の姿はすでになく、ホッとした俺は急に腹が減ってきた。
そうだ冷凍庫にアイスがあったな…と思って取り出してみると、腹の立つことに、中身だけがキレイに無くなっていた。
気まぐれに
ガラスの向こう
こちらを覗く
オッドアイ
用意したミルクには
少し鼻先を近づけただけ
近づけば
すっと避けるのに
開けておいた窓から
気づけば入り込んで
左足にすり寄っては
丸い目で見上げる
【突然の君の訪問。】
僕は待ち続けるんだ。
ずっとずっと。