#突然の君の訪問。
友人の奥田が突然、真夜中に訪ねて来た。
正確には訪ねて来たのではない、寝ている俺の枕元に、知らぬ間に座っていたのだ。
俺はギャッと悲鳴を上げ
「お前どこから入って来たんだ」
と言った。
「知らん。幽体離脱ってやつだ。お前の助けが要るんだよ、佐野」
聞けば夜中にどうしてもアイスが食べたくなった奥田は、自転車でコンビニに行く途中で石に躓いて転倒し、頭を打って失神したのだと言う。
「俺のアパートの裏道、知ってるだろう。あの街灯のない、人けのない道で今まさに倒れてるんだよ俺は」
つまりここにいる奥田は、生霊というわけだった。
俺は仕方なくタクシーを飛ばし、奴が事故ったという場所へ向かった。
奥田の体は白目を剥いて倒れており、どうやら息はあったので、救急車を呼んだり何だりで大変だった。
ようやく明け方部屋に帰ると、生霊の奥田の姿はすでになく、ホッとした俺は急に腹が減ってきた。
そうだ冷凍庫にアイスがあったな…と思って取り出してみると、腹の立つことに、中身だけがキレイに無くなっていた。
8/28/2024, 10:58:38 PM