『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
わたしが働いてたBarで
好意を寄せてくれていたあなた
お互いに 店員とお客さん
その境界線が縮まることなく
仲良くしていた
もともとBarに付いているあなた
本気か、あわよくばか
わたしには分からなかったけど
たまに向けられる熱視線に
悪い気はしなかった
いつも優しくて 甘やかしてくれたあなた
Barを辞めてからも
あなたの印象はそのままだった
何年も経ってから ふらっとBarに立ち寄った
知ってる常連客さんはひとりもいなかった
オーナーにあなたを呼んでもらって
ひさしぶりの再会
また あなたの優しい笑顔が見れると思って
話しかけるわたしの声色は
二言、三言めには 海底に沈んでしまった
あなたの目は わたしに語った
ううん、なにも 語ってくれなかった
◇あきかぜ◇
いつもより少しだけ早い時間に、甘くて美味しそうな匂いを漂わせながら、君が帰ってきた。
お土産だよ、と君に渡された茶色い紙袋。
きっちりと口の閉じられたその紙袋から良い匂いがした。
何だろうか、三つ折りにされた袋の口をクルクルと捲くって中に手を入れる。
さっきよりも濃い匂いがして、思わずうっとり。
ヌメヌメと滑って逃げ回る丸っこい物体を鷲掴みにして袋から取り出す。
陶器のように冷たく固い、洋梨のような姿形の黄色い果実。
花梨だ、鼻先に近づけてスンスンスンスンと匂いを嗅ぎまくる。……ふう。
ジャムにしよ。
テーマ「秋風」
「願い」
散らばる星空 羽ばたく鳥影 行き先も決めず道の途中
見上げた夜に君の声を想い 流した涙
雲が星を隠すみたいに 笑って誤魔化す日々は
まるで散らばる星の中に隠した僕の弱音みたいだね
大きく輝く月のように 笑う君は可愛くて
嗚呼、愛おしいよ ただ変わらない日々を願うよ今日も
一つ二つ流した涙の数だけ 願いがあるなら
ねぇ、神様、応えてください 流れる星に軌跡を
僕の前では笑顔で 一人になれば痛みに耐える日々
窓際になびく花のように
ただベッドの上で君は 僕の話を優しい顔で聞いてる
小さな呼吸を聞くたびに締めつける胸 …嗚呼
とまらないで とまらないで 永遠なんて願わないから
もしも世界がなくなっても離さない見つけるよ闇の中でも
君の声ならわかる 誰よりもそばに居るよ
声も顔も心臓の音も想いも…全部抱きしめて
連れていくよ君の好きな花咲く丘へ ……
行かないで 行かないで 今だけでいいから
もしもその瞳から涙が流れても全部この手で救うよ必ず
君の願いごと紡ぎ唄い 夜空に輝くように
とまらないで とまらないで 永遠より大切な時よ
もしも世界がなくなってもキミだけはキミだけは離さない
あの丘まで連れていくよ 君の好きな花咲く丘へ
某ゲーム二次創作
「…また〝車〟の調子が悪いですね…。」
「また?ってトラブルは一昨日もあったわよね?」
「ナタリー降りてあっちのタイヤ見てくれないかい?」
「はーい。」
私はバーバラ、踊り子であり小さな劇団の座長でもある。
会計のエルマン、歌い手のナタリーがメンバーだ。
この〝車〟は大都市のごくごく一部でしかまだ流通していない代物だが私をご贔屓にしてくれる太客に懇願して1台なんとか融通して貰った奴だ。
移動は勿論のこと興行の際には〝車〟を見たこと無い地域のお客様には大いにアピールできる大変高価な代物なので本当に重宝している。
しかし正直オイルの値段がバカ高いしこうしてトラブルが起きては馬車の方が良かったんじゃないかなと思う時が度々ある。
今は多くの地域で収穫祭が行われる書き入れ時なのに肝心の「足」が使えないんじゃね…。
ここはフロンティアのニューロード。
モンスターが多い地域だがチャンスがこれから沢山出てくるであろう期待の地域だ。
皆が我先に開拓に日々勤しんでいる、そんな地域に〝車〟なんて持って行ったら注目されるに違いないのに。
時間だけが刻一刻と過ぎる。
「皆が待っているんだよ…早く直して…。」
「宝石の化け物に見つかりませんように…。」
「エルマンさん!不吉なこと言わないで下さい〜。」
風の噂では街道には宝石を纏った巨大モンスターもいるらしい。
人を食べたり何もかも壊して回るとか村が全滅したとか嫌な噂はあちこちで聴いた。
まさか〝車〟は食べられないわよね、あれが私の全財産に近いから…。
空に渡り鳥が群れをなして飛んで行く。
秋風を捕まえ高く飛んでいく鳥達が私は羨ましかった。
「姐さん、ボルトが一つ緩んでいたようです。悪路を通った時の影響でしょうかね。」
「上等!行きましょう着いたら速攻で仕度するよ。」
「お願いなるべくスピード出し過ぎないで…。」
「ナタリー、外の景色を見ていなさい楽しいわよ。」
街道は至極単純真っ直ぐだ。
目的地は昼過ぎてからだろうけど収穫祭の夜の部には間に合う。
私は踊ることしかできない。
この仕事は浮き沈みが激しいけれどそれは承知。
辛い時もあった、リスクは常に付いて回るものだから。
でもナタリーは天性の歌声を持っていて才能がある、エルマンも会計の傍らいい戯曲を書く。
この3人で成功したい。
街道の向こうには私達を楽しみにしてくれる人達が待っている。
もし例え一人でも楽しみにしてくれる人がいるのならその人のために踊り続けるだろう。
「頑張って行きましょう!」
「合点です。」
「はい!」
エンジン音がけたたましく鳴り響き〝車〟は動き出した。
秋風と共に軽快に走り出す。
「秋風」
さるならば置き土産をくださいな
ぬるいくらいはとっておきたい
秋は感傷的になる、と昔母が言っていたことを思い出す。
良妻賢母に何があったのか。
真面目な母に素敵な思い出があるといいな。
今年は……秋が無かった!
〜秋風〜
一瞬の隙間に入り込んでくるため息は、この季節の移り変わる速さの変わった乾いた風によく似ている
金木犀の香りが
少し冷たくなった風に乗ってくる
久しぶりに思い切り空気を吸う
やはり香りや空気から感じる季節は
心地よい
『秋風』
【秋風】#81
私と貴方の間に秋風が吹き始めたのは、
街にイルミネーションが飾られ始めた頃。
私がマフラーをして着飾っても、
寒いことを理由に手を繋いでも、
貴方は、にこりと笑うだけで。
無理して笑って欲しくはない。
でも貴方と一緒にいる時間も
少ないだろうから。
そんな矛盾した気持ちの前、
冬に吹く秋風は
迷いもなしに通り越そうとする。
「優しすぎるよ。」
途端に、柔らかい風が吹いた
_秋の匂いだ
その匂いで、あの日を思い出した
鮮明な記憶と共に
『秋の匂いがする』
「え?」
『なんでもない笑』
私だけだと、思ってた
だけど君も、感じてた
凄く思いが込み上げてきた
_君のこと、大好きだなぁ、笑
#秋風
ホロンは音のする秋のこと。
近所で今日もチャネリングだけで叫んでる時雨たちの雄叫びが1km先から霊聴もひどく入り込んで混じえて聴こえてくる。
どこ。
ホット一息
コーヒーが苦手な私は
ココアを飲んで
体を温める
仄かな甘さが 私の中を満たし
心が 落ち着く
わざわざ 寒い中で飲む必要はないけども
この寒さの中で飲むのが また いい
体に染み渡る この温かさ
穏やかになれる この甘さ
夜の風に当たりながら
私は この温かさに包まれる
犬の話をしていたとき。
「柚さんは、大型犬っぽい」
「そうかな。汐ちゃんは大型犬好き?」
「中身が柚さんなら巨大型犬でも飼いたい」
「ふふ、それはよかった。」
私の中では、いつものなんでもない会話だったからすぐに忘れてしまったけれど、少し経ってから、
「私が犬になる話とかしたね。」
「汐ちゃんが飼ってくれるんでしょう?」
って言うから。かわいいから。想像する。
きっと、私が家に帰ったら
「汐ちゃん。お散歩の時間だよ。」
って言って、お昼寝もスマホも、
もふもふの体で阻止してくる。
お散歩中のゆずさんはきっと
いつもと同じでいつも違う景色から
色んな連想をして
物思いにふけるんだろう。
そこから少しだけ、
私に共有してくれたりするんだろう。
朝はその日の夢の話を、
夜はその日の月や星の話をしてくれる人だった。
ぼーっと夕暮れを眺める柚さんを
後ろから見守る。
「綺麗だね、汐ちゃん。」
毎日毎日、必ず言ってくれそう。
夕日に透けるふわふわの毛を秋風になびかせて
私に微笑むゆずさんはきっと
夕日なんかよりもずっと綺麗で眩しくて
犬になっても抜けない
あの優しさが引き起こす脆さからくる儚さで
私の不安を煽る。
うん、柚さん、綺麗だね。
..今度は居なくならないでね。
ふわっと優しく私を撫でる秋風にどうしようもなく泣きそうになる。
秋風ひゅー
葉っぱと追いかけっこ
こっちは舞ってる
楽しいね
秋が一番好きだ
舞華
秋風吹くと
食欲そそる
とある
秋の一日
(2023.11.14秋風)
中途半端な季節 秋 私は
大好きだ
ビルと ビル の 合間を
歩くと 乾いた風が 強く
身体を 切るかのように吹いた
コンクリート ビル都心のなか
道路側を車道面と
歩道側 間に 一線を引くかのように
良い感覚で 木々が 並ぶ
秋風で 落ち葉が ちらほら
枯れた茶色から薄くなった
白が交じった灰色
まるで 何かしら
私なか 落とした ものが
散らばり かを 思い
つい葉を拾い
触るとクシャと
枯れ葉 儚く 手の中で
儚く 葉は 崩れた
私が 落ち葉 を 握り
悪戯したような気分と
失いさ に 気持ちが 痛む
土へと 還れと 木々を囲う場の
土に崩した 葉を 戻し
一息つあて 気持ちを
切り替えた ビルの都心なか
しっかり 風は強いから
秋 夕 夜 帰宅だけに
薄茶の ダブルジャケットの
襟を しっかり立て
弱く ただずんだ時間にひたるには
暇はない 黄昏に帰宅
ご飯をつくり しっかり
プライベートを しよう
並木は やはり
綺麗だ
と 急に寒さは冬はじめ だけに
秋は 余計に はやく 終わりか
気持ちを 切り替えたら
清々しいく 歩く 自分に
まだまだ やれる なんて
思えた
立冬、先週来たよな…
まあ11月に夏日がくるんだから、その辺はどうでもいいのか。
私のフトコロ具合はまさに秋風が吹いている。
ハロウィンジャンボは300円に終わった。
年末ジャンボ発売は来週だな。
あ~、微動だにしない生活を送りたい。
風が吹いている音が聞こえる。
"明日も学校"が嫌になった。
休んだ僕は今家にいる。
ストレスを溜め込んだ気がしたから。
オジに言われるあれやれコレやれあーだこーだ。
毛布を被ったその暗闇が心地良いと感じた。
僕がそこから消えたって気がしたから。
このままさよなら。
秋風吹き込むこの部屋で、ひとりきり
君が帰る頃には、窓なんて開けていられないくらいに、外気は冷え込んでいるはずだ
首筋に冷たい風を感じながら
暖かな体温の帰還を待ち望む
(秋風)
#秋風
秋風…今年は吹いただろうか。
毎年秋を感じることが少なくなっているが、今年はとにかく酷暑→なんだこの暑さ→殺す気か?→まだ暑い→このまま季節が進まないのでは?→こんなに暑い日が続いて大丈夫なのだろうか→ぎゃ!寒いっ!という感じで、暑いが続いたあと、急に何もインターミッションなく「寒い!」になった印象がある。
ここ数年はずっと秋らしい秋もなく、残暑→冬。みたいな、日本には四季が消え、二季になったとはよく言ったものだ。
秋。私は嫌いだった。
仕事をしていた頃。秋といえば、「インフルエンザの予防接種が始まる」「ノロウイルス、ロタウイルスなどの感冒性胃腸炎が流行する」そして、冬は死…。であった。
10月半ばからインフルワクチンの予約が始まり、予約初日はまさにチケットぴあ(今は電話にて先着順予約するシステムがなくなったからこの言い方、若い人はわからないのでは?)状態。
シフト外の人間が休日出勤して一日中電話番をするような有様だった。
そしてワクチンの接種はこれまた休診日に行われるため、休日が減る。ぶっちゃけ、いいことは一つもない。
勤務していたのは小児科だったのね。だから、もう、阿鼻叫喚なわけですよ。大人に注射を打つのなら、まあ、変な人が多少いても粛々と進むけれど、断固拒否して泣き叫ぶ子供、暴れる子供、それらを捕まえ、宥め、保定し、まさに「羊の毛刈り」。全身運動だった。
それと、胃腸炎の流行。これがきつい。
働き始めた頃、子供の患者さんからもらった胃腸炎はそれはそれはすごかった。後にも先にも走りながら吐いたのはあれきりだし、緑色の胆汁まで吐いたのも幸いにしてあれきりだ。
毎年繰り返し訪れる胃痛と吐き気。それらが10月から流行がインフル一辺倒になる12月下旬まで続く。
秋は、そんな季節。だから本当に心底嫌いだった。
それが、そんな阿鼻地獄を飛び出し、今は涅槃におります。子供と関わることがないため、仕事を辞めてから一度も胃腸炎になってない!インフルも罹患してない!病気しなくなった!ストレスで口内炎がしこたまできてしんどかったのも今は昔!
そうなると秋が好きになってきた。過ごしやすいしいい季節よね。最近は存在しないけど。
それとは別に、秋には記念日がある。
10月17日が、江ノ島神社で神前挙式を挙げた日なのです。
父が片瀬の会社に長く勤めていて、社長と宮司さんが知り合いということ、父自身も宮司さんと顔見知りということ、個人的に江ノ島神社が好きということ、毎年お礼参りに行ける距離であること、などから江ノ島神社の中津宮で挙式を挙げさせてもらった。
台風が心配だったけれど、当日はまさに気持ち良い海風が吹く秋晴れ。親族以外では唯一出席してもらった親友が後ろで号泣しているのを、旦那さんと声を殺して笑っていたのを思い出す。ちなみに3年後、その親友の結婚式で私もマイクを持ったまま号泣するのである。
秋と聞いて思い出すのは、そうね、あと、家でお月見をしたことかしら。
クリスマス、冬至、ひな祭りなど、お節句や行事をかなり細かくやっていた我が家(結婚して旦那さんが全然しなかったと聞いて、なるほど、うちはとてもやっていた方なのだと知った)。
お月見ももちろんやっていた。
母と白玉粉でお団子を作り、私がススキを調達してくる。それだけの、簡単なイベント。
ある年、ススキがどこも生えておらず、途方に暮れて暗くなるまで歩き回り、泣きながら帰ったことを思い出す。母は怒りもせず、「今年は仕方ないね」なんて言っていたような気がする(あんまり覚えてない)。いつからやらなくなったんだろう。今年もやらなかった。
私が結婚することになり、当時彼氏だった今の旦那さんがうちに挨拶に来ることになった日。
私は後から聞かされたが、父がどうしても桜茶を出したいと、桜の塩漬けをあちこち探し回ったのだそうだ。
おめでたい日には、桜の花が浮いているお茶を出したかったとのこと。
変なところにこだわりがある父ならやりかねんと思うし、うちでの行事も父の意見だったのかもしれない。
ここで文章を書くと、よく昔のことを思い出す。
なんでもないと気にも留めていなかった事柄が、実は我が家特有のことだったり、本当はとても尊いものだったなどと気づくことができた。
秋風も、吹かなくなった今、とても懐かしく尊いものに感じる。いきなり冬はいやだよ。いきなりはステーキだけにしてほしい。
2023・11・15 猫田こぎん