わたしが働いてたBarで
好意を寄せてくれていたあなた
お互いに 店員とお客さん
その境界線が縮まることなく
仲良くしていた
もともとBarに付いているあなた
本気か、あわよくばか
わたしには分からなかったけど
たまに向けられる熱視線に
悪い気はしなかった
いつも優しくて 甘やかしてくれたあなた
Barを辞めてからも
あなたの印象はそのままだった
何年も経ってから ふらっとBarに立ち寄った
知ってる常連客さんはひとりもいなかった
オーナーにあなたを呼んでもらって
ひさしぶりの再会
また あなたの優しい笑顔が見れると思って
話しかけるわたしの声色は
二言、三言めには 海底に沈んでしまった
あなたの目は わたしに語った
ううん、なにも 語ってくれなかった
◇あきかぜ◇
11/15/2023, 8:04:08 AM