『秋風』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『秋風』
秋風吹くと思い出す
あなたを看取った
あの日の午後を
あれから何度も
繰り返し
同じ季節迎えたか
月日は巡り 歳重ね
記憶は薄れてゆくけれど
あなたに会いたい
思いは募る
そちらに呼んでと
叫ぶけど
答えてくれる 声もなく
秋風だけが吹きぬける
秋風
美容室の帰り道
ショートカットにした首筋に
秋風がことのほか冷たく感じる
肩をすくめ身震いひとつ
高く青い空のもと早足で歩き出す
深まる秋を感じる瞬間
秋風に たなびく雲の絶え間より
もれいづる月の 影のさやけさ
左京大夫顕輔
『秋風によって雲がたなびき、その絶え間から漏れ出る月の光の、なんと明るく澄んだものでしょう。』
私が好きな秋の季節に、あなたが目を閉じて佇む。
季節の好みに澄んだ空気というものがあるけれど、私はこの秋に吹く風が好きだった。
春の優しさも、夏の激しさも、冬の厳しさとも違う。ただ静かに、ありのままに吹く秋の風。
頬を掠めて、髪を揺らし、身体にふわりと纏わりつく。
それはあなたを愛しく思う私の気持ちにも似ていて。
月の光に照らされたあなたの髪にそっと触れる。
あなたはぴくりと身体を震わせて、隣の私を振り返った。その顔には驚きとともに、滅多にない私からの行動に少しだけ嬉しさを頬に染めている。
「秋も悪くないね」
あなたはそう言って、逃げた私の指を捕まえた。
たったそれだけの理由であなたは秋が好きだと言い始めたね。
ねえ、今もあなたは秋が好きかしら?
【秋風】
Theme:秋風
暦の上では夏はとうに終わり、涼しいと感じる日も増えてきた。
まだ気温の上下は大きいけれど、風は秋風と呼ぶのに相応しい冷たいものになってきた。
前日が暖かかったので油断した。
空は晴れ渡っているが、秋風が木の葉を巻き上げながら通りすぎていく。
腕に直に当たる風は身体の芯まで冷やしていくようだった。
早足で自宅に向かう途中、公園の日陰に真っ赤な彼岸花が咲いているのを見つけた。
何故だろうか。私は彼岸花を見ると恐怖に似た気持ちを抱く。
彼岸花。別名、死人花。
「彼岸」という言葉もどことなく死を連想させる。
私は赤い花から目を逸らすと、逃げるように公園から離れた。
焦燥感に似た気持ちが私の目を眩ませた。
気がつくと、私の身体は宙を舞っていた。車と衝突したと気がついたのは、道路に倒れてからだった。
寒い。
この寒さは秋風のせいなのだろうか。それとも、私の中の温かい血液が流れ出しているからだろうか。
ふと、秋風が青紫の花を揺らしているのに気がついた。竜胆の花だ。
まるで倒れた私を見て笑っているかのように、風に揺られている。
そういえば、竜胆の花言葉には「苦しむあなたは美しい」なんて怖いものもあったっけ。
そんなことを考えている内に、私の目の前は真っ暗になってしまった。
秋風
いつもそばにいたあなたが
ずっと遠い先に行っちゃったね
君の仕草
君の全て
全部僕の心に
沈んで、沈んで、海の底くらい
深く深く想い続けるよ
これからも
秋風にこの想いを乗せて
きみに届け
秋風
つい
この間まで、
暑いと感じていたのに
いきなり
寒い、
ある程度
準備はしていたけれど、
やっぱり
急に寒くなるのは
辛いっ!
身体が
着いて行かない。
身体を温めようと
夕食は
お鍋にしよう。
1人分のお鍋は
材料が
あまってしまうけど、
スーパーに行くと
同じ事を
思う人が
多いのか?
同じ食材を
求めている人が多いな。
買い物を済ませて、
外に出ると、
日の落ちかけた
空。
買い物袋を
持った、
親子
今夜はやっぱり
お鍋かな?
パパに
最後は雑炊作って貰おうね!
と
楽しそうな
会話が
聞こえ来た。
やっぱり鍋だ。
びゅっ
と
風が強く吹いた
秋風
すぐに冬になりそうな
風の冷たさだ。
自宅にもどる。
暖かい部屋で
暖かいお鍋で
今日一日
癒されタイム。
今日も、
幸せな一日ありがとう。
秋風がふく、ちょうどこの時期だった。
お互いの進む未来のために、別れることを選んだあの日は。
あれからもう3年が経っていた。
「うう…緊張するなあ…」
離れ離れになってから一度も連絡を取ったことがない。
連絡先から彼女の名前までとび、通話ボタンを押す一歩手前でかれこれ1時間格闘していた。
「やっぱり今度にしようかなあ…でもなあ…」
うーんうーんと悩み頭を抱える。
彼女の声を聞きたいと思ったのだ。
最近色々有りすぎて疲れてしまって、だから声を聞けたらまた頑張れる気がすると、そう思ったから。
「よ、よし…かける…かけるぞ…って、え?!」
ついに決心してタップしようとした瞬間、着信画面に切り替わる。
そこに映し出された名前は、今まさに電話をかけようとしていた彼女からだった。
「あっあの!もしもしっ!」
〘―――…ひさしぶり。いきなりごめんね〙
「だ、だだっ、だ、大丈夫!!あの、その…ひさしぶり、だね。元気してた…?」
〘うん。あのね、どうしても声が聞きたくなって〙
「え」
〘ほんとにごめんね。迷惑……だったかな…?〙
「そんなことないっっ!!えと、わたしもねっ!」
〘?〙
「わたしもね、いま電話しようと思ってたの。
だから同じ気持ちだったんだって、嬉しくなって…」
〘そっか…。夢が叶うまで連絡とるのはやめようって約束、二人とも破っちゃったね〙
「…うん。でもほんとうに嬉しい。聞いてもらいたいことがいっぱいあるんだ」
〘私も話したいことがたくさんあるの。あの日から今までのこと〙
そうして私たちは、時間の許す限りたくさん話した。
また明日から、夢に向かって頑張るために。
夏の暑さを引きずったままの日差しを睨むように見上げると、空は少しだけ奥行きが広がったような色をしていて、今年は秋が来ないのかと思っていたけれど、季節はちゃんと移ろうのだなと思う。
当たり前だけれど…。
そう言えば、だいぶ前に金木犀の香りがしていたのを思い出した。
買い物帰りに遠回りして、銀杏並木を見に行った。
気付かない間に、だいぶ黄色くなっていた。
突然駆け抜けていった秋風に、少しだけ寂しくなる。
早く帰って猫を愛でよう。
秋風
私の 名前は、帽子
鍔(つば)が広いのが自慢なの!
白い滑らかな光沢が 丸みを帯びて
帽子の世界では、なかなかの 美人の
部類に 入るのよ!
綺麗な ピンクのリボンが私の
チャームポイント
私の 持ち主は、小さな女の子
名前は、美衣(みい)ちゃん
私は 彼女の 頭を彩り 守るのが、
仕事なの!
でも、ある日 悪戯な 秋風が
私を ひゅうっと飛ばして行ってしまったの
私は、抵抗できないわ
何たって帽子なんですもの
流れに 身を任せるしかないの
ひゅう ひゅうっと 逆さに
煽られ 地面に付くまで
着の身着のまま
やっと地面に 着いて 美衣ちゃんに
拾って貰えた時
私の中に赤い紅葉が 一枚入っていたの。
美衣ちゃんは、顔を綻ばせて、
嬉しそうに 摘まんで 駆けていったわ!
ふふっ私も美衣ちゃんに 思わぬ
プレゼントが出来て嬉しいわ!
秋風さん ありがとう!
わたしの顔を
すーっと撫でてくれる
懐かしい温もり
「よく頑張ってきたね」
そう聞こえた
失って初めて気付くこの痛み
秋風は僕の心を通り過ぎて
君が居ない現実を突き付ける
確かに…間違いなく君を愛していたのに
自分の心がどこにも見当たらないのは
一体…なぜなのだろう
僕は…君を愛してはいなかったのか
それとも…君が僕を愛してはいなかったのか
秋風は…ふたつの心を通り過ぎて
そして…永遠に引き離した
この愛の行方は誰も知らない
『誰かさんが誰かさんが誰かさんが見ぃつけた
小さい秋小さい秋小さい秋見ぃつけた
めかくし鬼サん手の鳴ルほうへ
す…ましタお…耳ニかすかにし…ミた
ヨん…でル口…ブ…え
も…ズの声
ダァレカさ…んダァ…カさんガ…ダ…ァカさガ見つた
…ィさイ…チィさ…ィイ秋…ぃ………………………』
秋が消えていく。
秋雨前線のこと春雨前線って大声で言った中3の頃を思い出しました忌まわしき記憶ですね
予想外に温度の下がった風に身を縮ませる。
土曜出勤が早く終わったんだ、大人しく早く帰ればよかった。
そう身も蓋も、夢もない事を考えていたのだが、
「いい匂いがする...」
コートの前を懸命に閉じながら、辺りを見回す。
「焼きいも~焼きいも~焼きたてだよぉ」
広場の申し訳程度の階段の下、焼き芋の屋台と極めて相応しいおっちゃんの姿があった。
納得したと同時に、どうにも甘く焦げた匂いに抗いがたくなる。
「すみません。焼き芋一つ」
「お、ありがとね。少し高いけど安納いもでいいかい?ちょっと焦げちゃった奴オマケにつけるからさ」
そそくさと寄っていって、平静を装って注文をすれば、見透かしたようなおっちゃんからそんな交渉が投げ掛けられられる。
「ありがとうございます、じゃあそれで」
値段と焼き上がった現物をちらりと見て、交渉に応じる。
食べ比べが出きると考えれば、そこまで損はないだろう。
「まいど!」
受け取った芋は確かな熱を帯びていて、あつあつと両手でももて余すほどだった。
取り出した芋の皮は、染みだした蜜で光り冷ますように息を吹き掛ける度に光沢を増すような錯覚を覚える。
「あつっ」
ああ、やっぱり少し頑張って上野で降りて良かったかもしれない。
我ながら単純だとは思うが、さっきまで寒さに沈んでいた気分は何だったのだろう。
澄んだ空に木の葉が舞う。
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「ねえ、あれ」
「なに?」
いまいちだった美術鑑賞の後、なんとなく気まずくてお互いに言葉少なく探り合いをしていたのに。
ふと袖を引かれる。
見れば焼き芋の屋台と、その近くのベンチに腰掛け懸命に芋に息を吹きかけるスーツの男が一人。
なんとなく。
本当になんとなく、ふっと力が抜ける。
「食べる?」
「うん!」
お題:秋風
いつもと違う雰囲気のあなた。
自分といてもこころ上の空。
心に秋風が吹いたのだろう。
…いや、秋風を吹いてしまったのは紛れもない俺だ。
忙しさにかまけてあなたとの時間を大切にしなかった。
そのくせ別の男と話しているのを見ただけで苛々が止まらず、ついには別の人と関係を持った。
あなたは気づいていないフリをして、
俺のそばにいてくれた。
だから俺は、
あなたは俺のもとからずっと離れないと鷹を括っていた。
俺にできる優しさ。
それは今から言われるさよならを受け入れること。
231114 秋風
もう、秋風だとは思わなくなってきた。
寒いな。冬が近づいてきたんだろうな。
と思う。秋風と思うのは、多分9月とかかな。
でも今年猛暑で秋が短かったような気がする。
私は涼しい春や秋が好き。
季節は過ぎれば、「なんだかんだ早かったな。」って
思ってしまう。長くても、なぜか。
過ぎたら愛おしく思うのかな。過ぎた季節になるのは
来年だからな。天気も季節も不思議だけど、
人間の感じ方も少し不思議。
「秋風」
時間なかったので、私の感じ方を書きました(?)
#秋風
街を鮮やかに彩り
実り豊かに時を讃え
秋の風が黄金色のカーテンで
街を覆いかけてゆく
風は囁く
そろそろだよって…
風は向きを変える
温もりが恋しい季節が来る
誰かを迎えに行きたい
そんなキモチを思いだしてる
振り返り振り返り
明日を目指せ
もうすぐ白い手紙が届くでしょう
風の歌が優しく聴こえる
秋風が吹くと思い出す
凍えながら不安になったことを
自分の存在が不確かだったこと
風に飛ばされて、この世から消え失せるのではないかと思ったことを
秋風が吹くと思い出す
人混みの中、孤独を感じたことを
誰とも通じ合えることなんて一生ない
もしここで叫んでも、多少奇異の目で見られるだけ
変わらない人生が続いていくのだと思ったことを
秋風が吹くと思い出す
凍えながら絶望したことを
この先、生きていても何の希望もない
楽しいことなんてなく苦痛だらけの人生を歩んでいくのだと思ったことを
秋風に吹かれながら思う
何を考えるのかは自分で決められる
人生をどう創るかは自分次第なのだと
白くて小さなふわふわが
空から幾つも降りてきた
少し早い贈り物を連れて
秋の風がイタズラに笑う
この季節はキミを思うよ
元気でねそれだけだけど
あの人に届けておくれよ
温もりを思い出すように
秋の風がイタズラに吹く
ボクのこころの中に吹く
冬が来る、キミは来ない
見えない月の光が照らす
凍えそうなこころの奥を
『秋風』
秋風
ぐっと冷えた風に体が縮こまる。反射的に組んだ腕を抱えるように体に密着させて、早足で車に向かう。仕事で疲れた体を早急に休めたかった、家に帰って、入浴剤をいれた温かい風呂に入りたい。その前に立ちはだかるのは、予想以上に冷たい空気だ。
日中ずっと室内にいると、余計に寒さが体に堪える。山の向こうに沈む薄紫色の空は、秋の深まりを感じさせる。夏の日没の空は、日中の青い空がどんどんと色濃くなっていった。秋の日没は、空の色が変わる。青が橙に、橙が紫に、紫が藍に。空らしくない色を纏いながら夜へと落ちていくのが、幻想的で見とれてしまう。空の彩りは、秋風が連れてきているのかもしれない。だとしたら、秋は食いしん坊なのだろう。橙も紫も、食欲の秋に相応しい色をしているから。