『秋恋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#84 秋恋
千早ぶる 神代もきかず 竜田川
からくれなゐに 水くくるとは
「あーあ、どこかに良い人いないかなー」
「そりゃ、どっかにはいるだろうよ」
「私の目の前にいて欲しい!」
「はいはい、俺はどうせ悪い人ですよ。んで?付き合ってた奴はどうした」
「もちろん別れた」
「うん、それは冒頭のセリフで察してるから。肉付けしてほしいんだが」
「それよりお代わりちょうだい」
「あーはいはいワカリマシタ」
目の前でくぴくぴ呑んでるこいつ曰く、
俺は『飲み友No. 1だけどタイプじゃない』んだそうだ。
お前のタイプなんぞ知るか。
「はぁ〜、おいしいねぇ」
交際期間は1年保たなかったり2年以上続いたりバラバラだが、
別れるのはいつも夏の終わり、秋のはじめ。
んで、俺のところに酒を飲みに来る。
なんなんだ。人を安全牌にするんじゃねえよ。
無防備に頬を真っ赤にさせやがって。
「…竜田川」
「え、なになに?」
「何でもねえ。それより水飲め、水」
早く俺のところまで流れてこい。
---
こんなの神代の時代にも聞いたことないよ〜
竜田川の水面を韓紅の絞り染めにしちゃうなんて。
みたいなことです。
竜田川は紅葉の名所らしいですね。また、竜田姫は秋の女神なんだとか。
秋と恋で、昔読んだ漫画に和歌があったのを思い出して引っ張り出し。
そこの解釈を元に創作しました。
今日から短大始まった。仲いい友達に偽りの笑顔で会うのが怖い
『秋恋』
「星矢ちゃん、ちゃんとご飯食べないと駄目だよ」
「分かってるよ、だけど忙しくてつい適当に済ませちゃうんだよな」
悪びれもしないで雑誌を読みながら答える星矢ちゃんに、もうっ、と悪態をついて再び手元の包丁に目を落とす。さつま芋はその半分位が一口大に切られている。私は残り半分を切り始めた。
星矢ちゃんの住むヨットハウスは男の子らしく物が散乱していて少し臭かったけど、逆に星矢ちゃんの存在を感じられて嬉しくもあった。
星矢ちゃんは聖闘士として何度も戦い、その度にボロボロになってたけど必ず帰ってきてくれた。私の前では弱音一つ吐かないけど、その姿に星矢ちゃんが昔と変わっていないと安堵すると同時に、自分が置いていかれてるようで寂しくもあった。だからこうして、星矢ちゃんの家で二人でいる時間はとても尊いと感じた。
「あ痛」
そんなことを考えていたら、包丁で指を切ってしまった。咄嗟に指を咥える。星矢ちゃんがそれに気付きこっちに来て手元を覗き込む。
「大丈夫か? ほら絆創膏。美穂ちゃんは昔からそそっかしいから気を付けなよ」
「誰がそそっかしいのよ」
私の文句に星矢ちゃんは無邪気な笑顔で答えていたけど、急に真剣な顔になってこちらを見つめてきた。
「何?」
思わず、私も同じような顔になって見上げる。気付いたけど、星矢ちゃんは前に会った時より背が伸びていたようだった。前はこんなに見上げていたっけ、と思った。そんな私の思考を中断するように、星矢ちゃんが口を開いた。
「好きなんだ、オレ」
え、ええっ⁉ こんな時にいきなり告白⁉ 不意打ちの言葉に返す言葉もなく私がドギマギしていると、星矢ちゃんが続けた。
「その芋も、そっちの栗もオレ大好きなんだよ。腹減ったし、早く作ってくれよ」
そう言って、また無邪気な笑顔を見せた。私は気が抜けてしまい、一つ息を吐く。
「分かってるわよ、ちょっと待ってて」
絆創膏を指に巻くと星矢ちゃんの背中を押した。星矢ちゃんは「気を付けなよ」と言って再び窓際に座った。私は台所に向き直る。
「……私も好きだよ」
星矢ちゃんに聞かれないよう、私は口の中で呟いた。
秋恋
「黄色いコスモスが咲いてる丘に行きたいな」
君は好奇心旺盛なアグレッシヴな女の娘、
いつも僕は少し慌てながら、君について行くのがやっとだった。
「梨のもぎ取り予約したよ〜」一緒に食べた梨は新潟と高知の名を取った、新高という種類でとても大きくて甘かった。
「モンブランの美味しいお店見つけちゃった」嬉しそうに頬張る君が可愛くて、甘いものがちょっと苦手な僕も珈琲と一緒に平らげた。
「ライトアップされるイチョウ並木は見逃せない!」
夜に浮かび上がる黄金のイチョウは、それはそれはキレイだったけれど…足元の銀杏の匂いで隣の子供が「ママ〜何かくちゃい…」と言ってるのを聞いて顔を見合わせて笑った。
行動的な君も、この季節になるとオススメの小説を何冊も教えてくれた。西加奈子さんの「サラバ」や中村文則さんの「銃」僕も夢中で読んだ。
一番好きな本は、夏目漱石の「こころ」らしい。
君が秋を好きなように、僕も君に惹かれていった。
これを秋恋と言うのだろうか…。
鈴虫の泣く夜に、ふと思った。
来週は僕の提案で修善寺に、太陽にオレンジに輝く紅葉を観に行こう。僕の秋恋はまだまだ続く。
【お題:秋恋】
自分へのフィードバックを
求めがちなのが 恋
銀魂のお妙が
スナックの客に
「私なら ケ〇毛ごと愛する」
と言ったのが愛なら、
〇ツ毛を見て
一気に冷める可能性があるのが
恋かもしれないし
相手を見てるようで
見てなくても
成立の余地がありそうなのが恋ならば
相手を見ないと
成立しないのが愛かもしれない
映画「蒲田行進曲」で
兄貴分の元オンナ、
有名女優を
押し付けられた
大部屋俳優のヤス
当初は鼻の下 伸ばし気味の
恋モードなのだが
映画終盤、
彼が部屋を壊しまくる姿は
なんというか
胸に迫るものがあった
それは
ヤスの恋が
恋じゃない何かに変容したのが、
こちらに痛いほど伝わるからだろう
自分に対する 彼女の行動と、
兄貴分に対する 彼女の行動
その違いが
いまはどこから来るのか
ヤスはそこに 思い至らないから
身を切られるほどに苦しいのだろう
しかし また
ひるがえって、、、
人の心は
簡単に割りきれないのも
周知の事実で
愛の近くに身を置きながら
恋に足をとられることも
世の常、人の常でしょう
ほんとに 人の心とは
複雑怪奇なのである
秋恋
その言葉が何を表しているのかなんて、私は知らない。
ねぇ、でも、ぴったりだと思わない?笑
私は11月。
紅や黄の紅葉、銀杏の木の下に立つ君に、
一目惚れしました。
うふふ
これからが楽しみです。
6作目_
秋恋_
『秋恋』
「秋恋って聞くと少し寂しい感じがするかも。落ち着いて大人な恋愛かとは思うんだけど」
恋と言う単語にどきりとした。
「じゃあ夏は?」
「ザ・青春。恋愛に真っ直ぐで汗が光輝く若い恋…?」
若い恋ってなんだろう。君は自分で言っておきながら首を傾げ出して目をつぶる。
「秋空や秋雨なんてのは聞いたことあるけど、秋恋っていう単語は耳にしたことがないな。言葉遊びかい?」
「ううん、今読んでる本に秋恋って言葉が出てきたの。物語の中で詳しく説明されてなくて、少し引っ掛かっちゃって。私の中で使い方を考え中…」
最近買ったガラスペンが午後の日差しを反射してノートを色付かせている。秋とは、恋とは。連想ゲームのようにチャートが広がっていた。君の中でしっくりくるものがなかなか探せないようだった。
ガラスのペン先が別の色を吸う。紅葉色のインクで秋恋と書いて「あ」と言った。
「閃いたの?」
「なんで寂しいって思うのか分かった。夏が暑すぎて秋になったとたん急に冷え出すからだ。温度差が原因かも」
「恋が落ち着くってことかな。2人の付き合い方が板につく頃…それは穏やかなことじゃないか」
「あとは目移りしやすくなったり…」
聞き取れるギリギリの声量で言う君は何か隠し事をしているらしい。恋が云々と2人で考えていたというのに穏やかじゃなくなった。
「…へぇ。目移り?」
俺以外に?とは言わない。
「それはどこにいるんだい?」
返答次第でこの後の行動が変わるから、努めて冷静なフリをして君から情報を得よう。
「えっとね…」
ノートの後ろのページからこそりと取り出す。写真かメモか。用紙は何だって構わない問題は中身だ。紫いものケーキと南瓜のケーキがそれぞれ写っている。君が好きそうなスイーツ。
「紅葉のインク見てたら思い出して、どっちも食べてみたくてね…」
2枚のクーポン券を大事に取り出して恥ずかしそうに言う。
君って子は…!
「恋よりも食欲じゃないか」
「えへ」
俺の嫉妬は短時間で終わり、肩の力が抜けてしまう。
「頭使ったから甘いもの食べたいな」
「連れてってね」と甘えられれば君に弱い俺は快諾してしまう。俺以外、物くらいなら見逃すよ。
秋麗。いわゆるデート日和である。
良く晴れた平日。ああ、明日も学校だと授業が終わって、一息ついて気が滅入る。そんな中、キミは笑っていた。
〔随分とご機嫌だね?そんなに学校好き?〕
私は彼の顔を見て、滅入った気分を治そうともせずに話す。
彼は、僕も嫌っちゃあ嫌だけど。と笑う。
「でも、何の名目も無くてキミに会えるの、学校ぐらいでしょ?だから、僕はそれだけが楽しみで来てる。」
私の頭に優しく手を置いて、彼はそう言った。
私は彼から顔が見えない様に、机に突っ伏した。
それでも、彼は嬉しそうな声を出しながら、私の頭を撫でる。髪型が崩れない様に気を使ってくれているのが分かる。その目立たない優しさに、荒んだ心は落ち着いてく。
「ねぇ、今日は雨だけど。」
ふと話し掛けられ、パッと彼を見る。
彼は目が合うと、楽しそうに続ける。
「明日は、よく晴れるんだって。
良かったら、放課後デート。してみませんか?」
最後の方は不安気に声を小さくしながら、お誘いをくれた。彼は、私をじっと見つめて、返事を待ってる。
〔うん、したい。…ありがとう、明日の学校が少しマシな気分になった。〕
私は彼を見つめ返して、笑って答えた。
彼は瞳を輝かせてコクコクと頷いた。なんとも可愛らしい所がある。そして、私はいつも通りのお誘いをする。
〔今日も、一緒に帰りたいな。駄目?〕
彼は、勿論!と元気良く言って、帰りの準備を進める。
どうやら、私は随分と彼に惚れ込んでいるみたいだ。
あんな簡単なお誘いをするのに、すごく緊張した。
秋恋
秋はなんとなく寂しい気持ちになる。
片思いはしているが、相手には彼女がいる。
どうしよう。告白するべきか。
流石に。
休日返上で7連勤な上のフル残業はキツい。もはや今日が何曜日かも分からない。曜日どころか月も跨いでいた事にさっきようやく気づいた。どうりで最近帰りの道が肌寒いわけだ。
「はぁ……」
毎日家と職場の往復だけ。家にいる時間のほうが短い今日この頃。帰ったら寝るだけのひどい生活リズム。うっかりメイクを落とさず寝落ちした日なんて片手じゃ数え切れなくなってきた。今日もきっと、そうなるかもしれない。帰って靴脱いで座ったらものの数秒で堕ちそうな気がする。
「はぁ」
溜め息も、呼吸するみたいに普通に出ている。疲労とストレスとその他諸々。こんなにいろいろ詰まってくると流石に弱気になってくる。この仕事向いてないのかな、なんて思い始めたら終わりだ。負の無限ループから出られなくなりそう。だから、溜め息で全部外に吐き出すの。吐きまくって、私の中から弱虫が全部消えてしまえと思う。すぅーっと横隔膜が動くくらい大きく息を吸って、
「はああぁぁ〜……あ?」
ポケットに手を当てた。携帯が震えている。こんな時間に誰だろ。心当りは1人、あった。予想通り、光る画面には気心知れた地元にいる幼馴染みの名前が表示されていた。
「もしもし……」
『よぉー、おつかれさん。もしかして寝とった?』
「……仕事から帰ってる」
『うげぇ、まだ働いとったん?ホンマ、ようやるなぁ』
都会人は働き者やな、と呑気な声が聞こえた。何の相槌もうたなかった。うてなかった。それをするのもしんどいほど疲れてた。あと数十メートルで家だと言うのに。もう無理。
『もしもーし。聞いとる?』
「……も、しんどい」
『……もしもし?』
「つらい。くるしい」
暗い夜道のど真ん中で座り込んでしまった。途端に目から涙が溢れだす。泣くつもりなんてなかった。くるしいと口に出したら勝手に出てきた。1度出てきたらどんどん溢れてきてしまう。顔中ぐちゃぐちゃだ。何分経ったか分からないけど、一応気がすむまで泣いた。鼻をすすりながら電話の向こうにごめんね、と投げかける。
『あかんわ』
「な、にが」
『今、最高に苛ついてんねん、俺』
「え……」
『東京と大阪がこんな離れとることにイライラするわ』
「な、んやそれ……もう」
私のせいかと思ったじゃん。そんなことにイライラする人初めて見た。いや、見えてないけど。でも今、きっと彼は本当に不機嫌な顔をしてるんだろうな。それを想像したら不思議と涙は引っ込んだ。心が軽くなった気がする。軽くなったついでに、私も自然と関西弁に戻っている。普段は職場に合わせるべく直してるけど、やっぱりこのほうが落ち着く。
『秋は人肌恋しくなるからなぁ』
「もう。また変なこと言うてん」
『ほんなら、も1つ変なこと言ったろ』
「えーなに」
『俺、明日そっち行くんやで』
「え!東京来んの?なんで、急にどしたん」
『おーおー、嬉しそうな声やなあ。そんなに俺に会いたいか』
「うっさいわ。ねぇ、なんで?出張?普通に有休?」
『さて、どっちでしょう』
「そーいうのいらん。何、なんか用事でもあんの?」
『せやからさっき言うたやん。秋は人肌恋しくなるって』
「は?意味分からんわ」
笑いながらも再び家路につくため歩き出した。真夜中でひっそりとしている夜道なのに、通行人は自分しか居ないことを良いことに浮かれて大声で電話をしている。
『せやから』
我が家のアパート前についた。携帯を肩に挟みながらバッグの中から鍵を出す。
『もうお前に会いたくて我慢できひんからそっちに行くわ』
手にしたはずの鍵がするりと落ちる。言葉の意味の理解に時間がかかったのはきっと、仕事疲れのせい。
『ほんなら明日、東京駅着いたら連絡するわ。明日は死ぬ気で定時上がりせぇよ』
そして電話は切られた。自分の家のドアの前でなんで立ち尽くしてるんだろう。落とした鍵を拾って、なんとなく空に目を向ける。綺麗な三日月だった。「これって……」
明日、なんて答えればいいの。どんな顔して会えば良いの。秋の月を見あげながらこれが恋だと悟るのは容易いことだった。
(……After 9/18)
涼やかな風に
熱い身体が冷めていく
柔らかな陽射しに
沸き立つ心が凪いでゆく
穏やかな灯りに
切なさが募ってゆく
―「秋恋」―
妄想昔話 第5話
『では、どうやって悪因を断つというんじゃ?』と翁狐が尋ねました。
『嫁入りのときに、稲荷神の宇迦之御魂大神様にお願いして、雨を賜っていますよね。これを日照り続きのときにも賜ることができないか、天界へ行って稲荷神に陳情したいのです』
狐族の掟で嫁入り行列は、人間に見られてはいけないということが決められていました。村長である翁狐が、特殊な術を用いて天界へ赴き、稲荷神に、嫁入りのときに雨を降らせてほしいとお願いをしていたのでした。雨を降らせて人間を家のなかにいるようにさせ
その間に嫁入り行列をしていたのです。
『簡単に言うがのう。かなり無茶な願いじゃぞ。だが、雨を賜ることがなぜ、村人の認識の変化につながるんじゃ?何か策でもあるのか?』
『村人は秋の収穫期をいまかいまかと恋焦がれております。この恵みの雨は、稲荷神の使者である狐が下界の状況を報告して、もたらされた雨であると、村長である僕が村人たちに吹聴します。狐は不吉な存在ではなく、敬うべき存在であると印象づけるんです。雨が降る奇跡が何度も起これば否応なく信じざるえないし、稲荷神の使者となれば傷つける者はいなくなるでしょう』
『なるほど。確かにその策なら人間の狐族に対する認識も変わるかもしれぬの』
『じゃが……1つ大きな問題がある』
『天界への道を開くには特殊な術を使うのじゃが、この術は狐しか効果が出ぬ』
『つまり、人間の姿である天狐には、天界に入ることはできないのじゃ』
天狐は絶望の淵に追い込まれてしまいました。
次のテーマに続く
"秋恋"
秋。
大人になっても、きみは相変わらず近所の公園で落ち葉を舞いあげて、無邪気に笑ってはしゃいでいる。
その勢いのまま僕に落ち葉をかけてきたりして。
普段は真面目に仕事をしていて、上司からも褒められっぱなしなのに。
僕と二人の時だけは、昔からの仲だからか、子供のような一面を恥ずかしげもなく見せてくる。
僕はそんな君に、恋をしていることに気づいた。
【秋恋】
秋になると喫茶店のメニュー表に追加されるモンブラン。いろいろなお店のものを食べたけれど、やっぱりこの喫茶店のものが私にとっては格別だ。カウンター席の一番端っこで舌鼓を打っていれば、カタンと音を立てて小さなお皿が置かれた。
「はい。いつも来てくれるからサービスね」
「え、良いんですか? ありがとうございます!」
にこやかに微笑んだマスターはごゆっくりとだけ告げて仕込みに戻っていく。お皿の上ではクッキーが三枚、香ばしい匂いを立てていた。
そっか、いつも来てること覚えていてくれたんだ。そう思うと胸が弾んだ。
きっと貴方は忘れているだろう。学校帰りに秋の大雨に降られて困っていた時、通りがかっただけの貴方がビニール傘をコンビニで買ってきて渡してくれたこと。その二年後にたまたま訪れた喫茶店で貴方に再会した時は運命かと思ったけれど、口に出して確認する勇気も持てなかった。
貴方に出会ったのも秋なら、貴方と再会したのも秋。そうして貴方の作るお菓子の中で私が一番好きなのは、秋限定のモンブラン。私のひそやかな初恋は、いつだって秋の色をしている。
いつか貴方に、この想いを告げられたら良い。そんな風に思いながら、私はこの世の何よりも美味しいモンブランを口に運んだ。
少し涼しくなってきて過ごしやすくなったこの日
公園のベンチで君を見つけた。
犬の散歩コースなのか子犬を連れ
歩いていく姿が綺麗な人だったからか
恋してしまったんだと思う
秋が始まる季節に僕は君に恋をする
─────『秋恋』
貴方に初めて会ったのは
確かに秋だったけれど
いつまでも
可能な限り
移り行く季節を
貴方と感じていたい
#秋恋
あなたに初めて会った時電撃が走ったの。
雷のようって本当だったのね。
あれから季節が一周した。
あなたの隣には今、私がいる。
あなたに出会った秋は今では私にとって一番好きな季節。
秋には儚くて、美しい景色や花が咲いてる。
例えば秋桜や金木犀、それから桔梗もだ。
中には興味無い人や、景色をあまり見ない人も居る。
そんな時、私は秋の夕暮れに焦がれた。
他の季節よりも、
秋の夕暮れはとても綺麗だと思った。
私が生まれた時でも、儚そうで美しいと感じた。
夕暮れは、
夜になる前に赤・黄色・オレンジで光を放つ。
その夕暮れは、まるで最後に
なるかように美しく光を放ってるように見せる。
なんで秋になると、美しい光を放つか分からない。
だけど、儚く美しいけど、
寂しそうに見えるのは何故かな…。
🍁秋恋🍂
ももくりさんねんかきはちねん。
テレビをつければ
栗とさつま芋で溢れている。
スーパーに行けば
ハロウィンを意識させるお菓子と
期間限定の品が、どーんと
目に付く場所に陳列されている。
何気ない、日常からじわじわと
秋だぞと背中を押されている気がする。
私は秋という、季節に思いを寄せている。
少し素敵な便箋を、探してみたり
日々移り変わる風景に喜んでみたり
少し寒いなと感じれば
お気に入りの羽織りを引っ張り出して
外出を楽しみにしている。
そうして、はじまりの足音とともに
抱くこの憂いた感情も、まさに秋恋なのだ。
【お題:秋恋】
秋に本気の恋をするとはよく言われていることで。そんなことないと思っていた秋の日。
私は君に恋しました。
これが最初で最後の恋だろう。
だってあともう少しで私は死ぬから…
君に想いを告げようなんて思ってない。
その代わり、私の分まで楽しく、生きて欲しいなと思う。
秋恋とは何なのか、私には分からない。
けど、秋の恋ほど本気になるものは無いらしい。
『秋恋』