思い出

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秋麗。いわゆるデート日和である。

良く晴れた平日。ああ、明日も学校だと授業が終わって、一息ついて気が滅入る。そんな中、キミは笑っていた。

〔随分とご機嫌だね?そんなに学校好き?〕

私は彼の顔を見て、滅入った気分を治そうともせずに話す。
彼は、僕も嫌っちゃあ嫌だけど。と笑う。

「でも、何の名目も無くてキミに会えるの、学校ぐらいでしょ?だから、僕はそれだけが楽しみで来てる。」

私の頭に優しく手を置いて、彼はそう言った。
私は彼から顔が見えない様に、机に突っ伏した。

それでも、彼は嬉しそうな声を出しながら、私の頭を撫でる。髪型が崩れない様に気を使ってくれているのが分かる。その目立たない優しさに、荒んだ心は落ち着いてく。

「ねぇ、今日は雨だけど。」

ふと話し掛けられ、パッと彼を見る。
彼は目が合うと、楽しそうに続ける。

「明日は、よく晴れるんだって。
良かったら、放課後デート。してみませんか?」

最後の方は不安気に声を小さくしながら、お誘いをくれた。彼は、私をじっと見つめて、返事を待ってる。

〔うん、したい。…ありがとう、明日の学校が少しマシな気分になった。〕

私は彼を見つめ返して、笑って答えた。
彼は瞳を輝かせてコクコクと頷いた。なんとも可愛らしい所がある。そして、私はいつも通りのお誘いをする。

〔今日も、一緒に帰りたいな。駄目?〕

彼は、勿論!と元気良く言って、帰りの準備を進める。

どうやら、私は随分と彼に惚れ込んでいるみたいだ。
あんな簡単なお誘いをするのに、すごく緊張した。

9/21/2023, 11:31:26 PM