思い出

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9/26/2023, 10:44:35 AM

紅葉狩りしながら、食べる。秋のお葉見?

〔春としていることが変わらないね。
美味しいもの食べて、綺麗な景色を見る。〕

私がそう言うと、彼は苦笑いをした。

「アハハ、まぁそうだね。でも、違う所はあるよ。」

彼は辺りを見回しながらに言った。

〔葉っぱを見ながら食べるとこ?〕

私も紅葉を見ながら、お団子を食べる。
彼も一本手に取り、パクリと食べる。

美味しいとお互いに笑っていると、ゴクリと、彼が
お団子を飲み込み、こう言った。

「それもあるけど、何より関係が変わった。
そう考えて周りを見ると、一層綺麗に見えるよ。」

彼はニコニコとして、温かいお茶を飲む。
随分とくつろいでいる。

…確かに、彼との関係を意識して周りを見ると、
紅葉が随分と艶やかに映る。

嗚呼、こういう所が敵わない。私は一人で笑った。

9/25/2023, 4:30:03 AM

貴女との関係って、何かしら?

ふとそんな事を思ったある休日。机に向かい、宿題を黙々と進めていた。三十分経ったので、休憩をとる。そんな時に、頭を休めることが出来ない考えがよぎった。

〔形が無いもの?でも…。形にしたいもの?〕

一人でブツブツと呟いていると、あっと言う間に休憩時間を過ぎていく。
しかし、今の悩みは眼の前の宿題より大切かも知れない。

〔形に囚われない関係?…でも、そんな簡単なことじゃ、無い関係。〕

口から言葉が流れるように出てくる。その言葉達は、貴女との関係を肯定も否定もしないものばかり。曖昧な物。

〔貴女との関係、私はもっと深くなりたい。でも、
私が望む形と、貴女の望む形と一緒、なのかしら。〕

だんだんとナーバスになってしまう。嗚呼、駄目。
タンブラーを手に取り入れて置いた、
温かいココアを一口、ゆっくりと飲む。
じんわりと甘さと苦さが口に広がる。美味しい。

もう一口飲む。先程よりも、甘く感じた。

はぁ…。ため息をついて、タンブラーを机に置く。

このまま答えの無い考えをしているより、
きっと宿題を進める方が私の為だ。

形の無い関係って、いつか形になる物かしら。

9/21/2023, 11:31:26 PM

秋麗。いわゆるデート日和である。

良く晴れた平日。ああ、明日も学校だと授業が終わって、一息ついて気が滅入る。そんな中、キミは笑っていた。

〔随分とご機嫌だね?そんなに学校好き?〕

私は彼の顔を見て、滅入った気分を治そうともせずに話す。
彼は、僕も嫌っちゃあ嫌だけど。と笑う。

「でも、何の名目も無くてキミに会えるの、学校ぐらいでしょ?だから、僕はそれだけが楽しみで来てる。」

私の頭に優しく手を置いて、彼はそう言った。
私は彼から顔が見えない様に、机に突っ伏した。

それでも、彼は嬉しそうな声を出しながら、私の頭を撫でる。髪型が崩れない様に気を使ってくれているのが分かる。その目立たない優しさに、荒んだ心は落ち着いてく。

「ねぇ、今日は雨だけど。」

ふと話し掛けられ、パッと彼を見る。
彼は目が合うと、楽しそうに続ける。

「明日は、よく晴れるんだって。
良かったら、放課後デート。してみませんか?」

最後の方は不安気に声を小さくしながら、お誘いをくれた。彼は、私をじっと見つめて、返事を待ってる。

〔うん、したい。…ありがとう、明日の学校が少しマシな気分になった。〕

私は彼を見つめ返して、笑って答えた。
彼は瞳を輝かせてコクコクと頷いた。なんとも可愛らしい所がある。そして、私はいつも通りのお誘いをする。

〔今日も、一緒に帰りたいな。駄目?〕

彼は、勿論!と元気良く言って、帰りの準備を進める。

どうやら、私は随分と彼に惚れ込んでいるみたいだ。
あんな簡単なお誘いをするのに、すごく緊張した。

9/19/2023, 12:45:20 PM

生まれて初めて、時間が止まって欲しいって願った。

夜景を眺めながら少し歩くと、
私達はヴィンテージ風のシックな雰囲気で、どことなく
大人っぽいと感じるレストランに着いた。

「此処で良いかな?」

彼は私の方を振り向き、首を少し傾げた。
私は頷いて、彼は微笑み、入口にエスコートしてくれる。

〔ありがとう。〕

彼はどういたしまして、と笑っている。やっぱり、いつもと違う雰囲気の彼にも、ドキドキとする。

店に入ると、ジャズの様な音楽が流れている。何と言うか洗練されている。私は少し緊張をして俯くと、彼は、

「大丈夫だよ。席はテラスでも良い?」

と言い、私に優しく話し掛けてくれる。
彼の声にホッとする。

〔うん、テラス席、楽しみ。夜景が観えるかな?〕

彼の方を向いて、笑う。
彼も笑い、うん、観えると思うよ。と言って、手を引いてくれる。
先程のエスコートや、こういったさり気ない気遣いに、
緊張は解けていくのに、ドキドキがすごくなる。

案内をしてもらい、テラスに出る。夜景は、良く観える席になった。ラッキーだ。

お互いに席に着き、メニューを広げる。洋食がメインで、ブラウン、ホワイトシチュー、パスタ、ハンバーグ…
かなりのメニュー数で、迷ってしまう。

まず、シェアが出来る料理を頼むと、
彼はパスタ、私はブラウンシチューを頼んだ。

料理を待っている間に、ふと

「ねぇ、夜景をバックに一緒に写真撮らない?
お店の看板に撮影OKって書いてあったからさ。」

と言って、彼はカメラをセットする。
周りにお客さんも見当たらないし、
私は良いよ、と言って席の横に立った。

「…うん、良し。タイマーは十秒ね。
じゃあ、撮るよ!」

彼は私の後ろに回り込み、一言ごめんね、とだけ言って、
鎖骨の下の辺りに、手を回してくる。
俗に言う、バックハグの状態だ。

〔え?〕

驚いて振り向きざまに、パシャ!と音がした。
彼を見ると、ニコッと笑っている。

「さっきのお礼。ありがとね。」

彼はそう言って、回した手を解き、カメラの確認に戻った

「良い写真が撮れたよ!」

私の方を向いて、彼は満面の笑みを浮かべる。
自分の顔が熱い。どうしよう。

戸惑っていると、またシャッターの音がした。

「…ごめん、すごい可愛かったから。消した方が良い?」

彼は申し訳無さそうに言う。私は、大丈夫。とだけ伝え、席に座った。彼も席に戻り、ありがと、と言って座る。

私をじっと見つめて彼は、時間が止まればいいのに。と、
小さく一言だけ呟いた。
私は、どんな顔をしていたのだろう。

9/18/2023, 1:05:17 PM

この夜景を、貴方と一緒に観たかったんだよ。

夜も深まってきた、美しい季節。
この時期だから尚更綺麗に観える、夜景がある。

植物園でゆっくりと過ごして居た私達は、初デートとは
思えない程にリラックスをして過ごしてした。
彼は花の写真を撮り、私は時折被写体になりながら、スマホで彼の事を撮ったりもしていた。勿論、花も撮った。

お互いに笑い楽しく過ごして居れば、時が経つのは早い。
昼食は食べ忘れ、花ばかり見ていたらいよいよ夜になる。

彼は苦笑いを浮かべ、お腹すいたね、と言う。
私も頷き、そうだね。と笑う。

園の中にある、レストランへと足を運ぶ。
その間にも、彼は優しく手を繋いでくれる。

「ごめん、夢中になり過ぎた。レストラン、何食べたい?
あそこ、沢山種類があって、僕凄く好きなんだ。」

私の方に顔を向け、少し申し訳無さそうに言った。
私は、気にしてない。と伝える。それでも、少し落ち込んでいる様子だった。

私も忘れていたのだから、彼は自分の事を責め過ぎなのに。

そんな彼を見て、少し悪戯をしたくなる。
ちょっとだけ驚かせて、元気になって欲しい。

私は腕時計を確認する。時間は、六時五十八分。
…良いことを思い付いた。

〔ねぇ、少しだけ、話を聞いてくれる?〕

立ち止まり、俯いている私を彼は心配そうに屈んて見つめて来る。罪悪感に負ける前に、言葉を続けた。

〔私ね、今日とっても楽しかった。だから、そこまで落ち込まないで。忘れてたのは、私も一緒だから。〕

彼の顔に繋いでいない方の手を添える。彼は、顔を少し
赤らめて、目をパチパチとする。そして、微笑んでくれた

「うん、ありがとう。…僕、キミが凄く物憂いな雰囲気だったから、フラれるかと思った。」

そう言って、繋いでいる手をしっかりと握る。

〔ほら、楽しかった証拠。見て、こんなに輝いてるでしょ?私の気持ちと一緒。貴方は?〕

私はパッと花畑を見て、彼に問う。目線の先には、暗かった花畑達が、爛々と輝きを放っている。

彼は、目線を花畑に写し、驚いていた。その顔には、
しっかりと笑顔になっていた。

「うん、僕も。綺麗だね。」

頷き、その返事を彼はした。

悪戯成功、だといいのだけど。

〔夕食を食べ終えたら、またゆっくり見ようね?〕

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