眠れないほど』の作文集

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眠れないほど』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

12/6/2023, 8:51:43 AM

あれは、いつの事だったんだろうか。
俺は確か通勤のために電車に乗っていた、はずなんだ。

行きだったのか、帰りだったのかも覚えていない。
ただ、不思議と明るい空だったように思う。
朝だとか昼だとか、そういったものを感じられなかったんだ。太陽がいたかどうかはわからない。ああ、すまん、こんな話は要らないか。

なんせ、夢なのか現実なのかもあやふやだ。
その日のその時に起きたこと、そしてその時に犯してしまった俺の罪を。
聞いてくれるだけで嬉しいさ。記事にするのかどうかはアンタに任せよう。
まあ、記事にしたところで到底信じる者は居ないだろうが。
話を戻すぞ。


電車に乗っていた俺は、電車がアナウンスもなく停車したことに気づいていた。しかも降りなきゃいいものを何故かホームへ降り立ったんだ。
駅名は書いてなかった。と言うか看板がなかったな。何処にも何も書かれていなかった。

え?おかしいと思わなかったのかって?
今ならそりゃ思うさ。でもな、あの場所じゃそうは思わないんだ。ああ着いたな、みたいなフラットな気持ちになるだけさ。

乗客も人っ子一人居なかったよ、綺麗さっぱり。
……なあ、煙草、いいか?苦手なら……。
そうか、ありがとよ……ふーー……。

まあ、普段乗る電車はどの時間帯も人がいないなんてことは有り得ない。
割と栄えている地域に居たからな。
ああ、そうそう、そこだ。よく知ってんな、調べたのか?知ってんならわかるだろ?割と都会の方だって。

ま、降りてみたんだよ。そこには田舎があった。
あんま詳しくは覚えてないが、まあ普遍的な田舎を想像してくれ。多分それだから。
どうしてそこに着いたのかなんてそんなこと聞かれたって俺にはなんとも。知らないね。なんかそこに俺は居たんだ
よ。


それからは歩き回ってみた。誰もいねえもんで、地名だとか書いてる電柱とか探したが……電気すら無さそうだったな。というか民家はあるのに表札がない。
文字が無い場所だったのかもな。といってもこれは俺のただの思い込みかもしれんが。


その後?よくある話と同じだよ。俺は魅入られた。
俺が、魅入ったんだ。本に。
その、話が………話……金髪が……………
はっ、はは。すまん、たまにこうして意識が持ってかれちまいそうになるんだ。
こう、内容を口にしようとするとこうなってしまうんだ。
俺はもう寝ても醒めてもソイツのことしか考えられなくなっちまっていてな。

本を読んだのは確か…そう、どこかの屋敷に入った時だった。なにかに誘われるように、屋敷に入った俺はそのまま真っ直ぐ書斎へ向かっていた。
部屋の間取りも知らねえはずなのにな。
その地域の民家は割と普通だった…ように見えたんだが、何故かその屋敷の中だけはぐちゃぐちゃだった。

物が沢山落ちていて、まるで強盗でもあったのかと思うくらいだった。
屋敷も少し軋んでいたように思う。それって普通…だよな?その辺は知らんのだが、ギシギシ言っていたのはよく耳に残っている。なんならほら、今も聞こえないか?
ん?冗談?はは、さてどうかな。


その後は……気づいたらまた電車に乗っていたんじゃ無かったかな。
先も言ったかもしれないが、夢にも出てくるんだよ、あの田舎が。
そして俺はまた電車に乗っている。同じようにその地域で電柱を探して歩き、屋敷に入り、本を開くんだ。気づくと電車に戻っていて、また停車したと思ったら……。
夢を見たその日は、眠れないんだ。ずっとそのことだけを考えて何かを呟き続けているらしい。
……精神病だと言いたきゃ言えばいい。実際、家内には連れてかれてしばらく入院していた。気味悪がりもせず、未だ傍に居てくれるのは俺の唯一の幸せなことだ。

何言ってんのか勿論気になった。
レコーダーで録音してみたさ、だがどうも録れていないんだ。故障したのかと何回かチャレンジしたがな、とうとうダメだった。



話せるのなんてこんなもんさ。まあ、好きに受けとってくれ。
この話はもう俺の中ですら真実なのかわかんねえ。
もう、ほっといてくれるのが1番かもな。
ここまで話して何だが、あんたも忘れてくれ。

え?罪?何の話だ?
ははっ、疲れてんじゃないか、すまんすまん、長話だったもんな。



んじゃ、気をつけてな。あんたも、変なもんばっか追いかけ続けるのは辞めておけ。
いくら仕事でも、勘が何か不味いと訴えかけてくる時がある。第六感ってやつ。あれはあるぞ。
それに逆らって、好奇心だけで動いた結果が俺さ。
な?少しは聞き入れて生きてけよ。
じゃ、達者でな。もう来んなよ。めんどくせえから。


「眠れないほど」2023/12/06

12/6/2023, 8:49:32 AM

眠れないほど幸せな時間だった。彼女と過ごした時間は。

[○○くんは、スッゴク優しい人だね!]
[呼び捨てで、呼んでもいい……?]
[○○……私は、あなたが、大好き、です!]

その全てを覚えている。頭にこびりついている。誰か、彼女を忘れさせてくれ。
[ダメ。それは許さない]
[誰だよ……]
[振り向いちゃダメ。あなたは前を進むべき。忘れちゃダメ。あなたはこれから成長すべき。それと、死んじゃダメ。あなたは真っ直ぐ生きるべき!!]
その声が誰のものだったかは、わからなかった。けれど懐かしかった。


ーー
[全く、私はもう死んだのに……何でそこまで執着するのやら。……なんか考えたら眠れなくなってきたー!もう、あいつのことなんてずっと考えてやる!!]
すっかり静まり返った夜に、そんな明るい声が響いた。

12/6/2023, 8:43:22 AM

眠れないほどあの人のことを考える。
13歳の初恋。

12/6/2023, 8:24:48 AM

眠れないほど
今日のことが眠れないぐらい忘れられない。あなたも私のことが好きだったのだろうか。あの思いは本当だったのだろうか。私はそんなことを考えながら、ゆっくり目をつむった。

12/6/2023, 8:22:18 AM

シータの主人であるミリィは強気で意地っ張りな少女だ。いつも危なっかしくて見ていられない。彼女がしおらしくするときは数えるほどしかないが、彼女が悪夢を見た翌日はいつだってしおらしい。
 夜更かしが大好きな彼女は、昼まで寝ていることが多い。そのせいで大学も遅刻しがちなのが難点で、何度言っても直る気配はない。
 彼が朝、声をかけに行ったとき、基本的に返事がない。仕方がないので、正午前後にもう一度、軽食を持って、彼女の部屋の扉をノックする。そのとき、返事がなければ寝ているものと、起こしに入る。返事があれば――夢を見たという証だ。
「……シータ……?」
 そして今日、彼女は悪夢を見たようだ。ぼんやりとして、それでいて警戒しているような声で彼女は言う。彼は小さく笑って返した。
「俺以外に誰がいると言うんです」
「……入りなさい」
 失礼します、と言いながら、彼は部屋の扉を開けた。
 彼女は大きなベッドの真ん中で、放心したように座り込んでいる。寝間着のままで、うなされて随分と寝返りを打ったのか髪はぼさぼさだ。
 彼はサイドテーブルに持ってきた軽食を置くと、ベッドの縁に腰かけた。
「お嬢、どうしたんです。また怖い夢でも見たんですか」
 そう言いながら、彼は子供をあやすように彼女の頭を撫でた。彼女は大人しく為すがままにされている。まだぼんやりと虚空を見つめていた。
「お嬢、聞こえていますか」
「……聞いているわ」
 彼が顔を覗き込むと、彼女はそっぽを向いて、か細い声で返事をした。憔悴しきっているその様を見るに、今回の悪夢は酷い内容だったみたいだ。目の下には隈もできている。あまり眠れなかったらしい。
「軽食、お持ちしたんですけど要りますか」
 彼の言葉に、彼女はぎこちない動作で振り向いた。真正面から見ると、ぼさぼさの長い髪が顔を覆い隠すように垂れ下がっているせいで、まるでおばけのようだ。
「……うん、食べるわ。今日は何?」
 彼は手を伸ばすと、彼女の髪を掻き分けた。怪訝そうな表情の彼女と目が合う。
「パンケーキです。お嬢、お好きでしょう?」
 そう言いながら彼はにこりと笑った。彼女も小さな笑みを浮かべた。生憎とその笑顔は引き攣っていたが。
「……ええ、好きよ。嬉しいわ、ありがとう」
 どういたしましてと返しながら。彼は頬を掻いた。こう殊勝に礼を言う彼女を見るのも、滅多にないから調子が狂って仕方がない。明日は槍でも降ってくるかもしれない。
(ハグでもしてやれば、いつもの調子に戻るかな?)
 そんな仕様もないことを考えながら、彼は彼女に皿を手渡した。

12/6/2023, 8:16:58 AM

眠れない ほどにわずらう 病名は
恋なわけねー だろ胃腸炎

かなしみの短歌

12/6/2023, 8:01:38 AM

眠れないほど。

眠れないほどのこと?
そうあなたは言うけれど、おかしいのかな。
私にとっては眠れないほどのことでも、あなたは違う。
逆に、あなたの眠れないほどの一大事は、私にとってはどうなのかな。
人それぞれ違うのに、どうして。
共感を求めているわけではないけれど、
きっと無意識に『あなたはそう思うんだね』と受け止めてほしいんだろう。
あなたはさも、それが全世界の意見かのように否定する。
あなたのその自分の常識=世界の常識である自身の強さはどこから来てるの?

私が思う、『みんながみんな同じ意見持つわけ無い』というのもただの決めつけなんだろう。

12/6/2023, 7:59:49 AM

死ぬほど愛している、という表現は適切だろうか。
もちろんあなたに死ねと言われれば潔く飛び降りるし、殺してもらえるなら心からの喜びと共に殺されに行くけれど、
死ぬほど、死ぬほど?
私はこの愛でじぶんを殺せるほど、
愛を感じているのだろうか?
みんな、愛する人に、ではなくて、
愛という感情そのものに死ねるのだろうか。
愛そのものに対して、陶酔できるほど美しい感情だという認識は持っていない。
死ぬ、という直接的な表現が腑に落ちないのかもしれない。だったら、こんなのはどうだろう。
眠れないほど愛してる。
朝も昼も夜も関係ない。
眠る時間すら惜しい。
ずっとずっと考えていたくて、心のどこかに置いておかないと不安で、
夢でも会えるか、あなたの夢に女の子が出てきていないか心配で眠れない。
次いつあなたに会えるのか
考えるだけで辛くて、
でも考えるのはやめたくないから
眠れないのだ。
眠れないほど愛してる。
私はあなたを、あなたは私を。
「ね、パパ」
もちろんこれも全部
私の大きくて美しい嘘を切り取った
ほんの一部だけれど。

12/6/2023, 7:42:49 AM

眠れないほど

眠れないほど、綺麗な星だった。
それは、まるで私の夢を語っているようだった。
その星が光っている限り、私の夢は途切れないし、頑張れる-。

12/6/2023, 7:34:45 AM

私は、眠れないほどYoutubeやアニメ・漫画を見てます。あと、音楽をよく聴きます。

12/6/2023, 7:26:07 AM

お題:眠れないほど

眠れないほど、悩み泣いたこともあった。
けれど、寝なくても朝は来る。
眠れないほど精神が病んでいくよね。

12/6/2023, 7:24:28 AM

眠れないほどの喜び
眠れないほどの怒り
眠れないほどの哀しみ
眠れないほどの楽しみ

最近ないなぁ。感情が溢れないのが大人ってことではないのだろうけど、感情を律することが大人なのだろうか。ただの平らなうっすい人に僕はなってないだろうか

12/6/2023, 7:21:15 AM

布団に入って、横になって。
真っ暗の中、目を瞑る。
あなたの顔が、浮かんでくる。
目を合わせてられなくて、目を開ける。
一息ついて、また目を瞑る。
浮かぶ、あなたの顔。
なんとも言えない気分になって、また目を開ける。
目を閉じて、もどかしくて、目を開く。
目を閉じて、どうしようもなくて、また目を開く。
何度も、何度も、
そうして気が付けば、窓の向こうの空は白んでいた。


———————
眠れないほど

12/6/2023, 7:02:38 AM

No.1

―眠れないほど―




眠れないほど、死にたくなってしまう。
過去の失敗。未来への心配。
そして
今までに失ってきた人を考えると、「死にたい」という想いがより一層の強くなる。
明日にはきっとその想いが叶う。

___朝日が昇る

もう、朝だ。
嗚呼、まただ。また叶わなかった。
昨日も一昨日も1年前もずっとこの繰り返し。
「明日ならきっと」
そう思い、それが叶わずに、絶望する。
この繰り返しで生きているだけで憂鬱だった。

誰か。誰でもいいから。





『私を、助けて......』


end 2023/12/06

12/6/2023, 6:59:36 AM

寝れないほど気がかりなことがある

いや、納得できてないことがある

姉にはとても落ち着いている彼氏がいる

そして、その彼氏も頭がとってもいい

姉も一応頭はいい勉強だけなら頭はいい

頭を使わないことだと頭が悪すぎる。

僕は普通かな低くも高くもない

本当に平凡凡々の人さ.....

姉は美人、彼氏も美形、俺は平凡凡々な顔

まあ、それは良いとしてだが

姉が急になんかしたいとゆうので

走ってくることをすすめると

わかった!お父さん今寝てるかなんか描いてくる!!

って元気な声が聞こえる。

逆に兄さんにカンチョウしてくればっていえば

って言うとやってくる。   なんで?

お前の耳は都合ががいいようになってるな

姉さんが兄さんにカンチョウして姉さんが

僕がしろって言ったて言って

姉さんが僕のせいにしたから僕が怒られた

ふざけんじゃねえよ!  姉なんて嫌いだ!

12/6/2023, 6:51:41 AM

眠れないほど

眠れない 眠れないなら
寝なくていいよ
まだ寝たくないんだろうね
いろいろ考えちゃって
脳さんも本当は寝たいのに
考える事に解決したくって
眠気を抑えてしまっている
寝なくていいよって
開き直ったら いつの間にか
寝ていた 
いい睡眠出来たかも
寝れなくてさぁ
眠剤飲んだりした時期があったけど
確かに寝たよ
でもずっと眠気を感じるんだわ
意味ないから辞めたら寝れたのだ
最近、眠れないほどの事が
あったけど 考えるだけで
何も解決しないわけで
いつの間にか寝てしまう
いい傾向ですわ

明日、パスポート貰える予定
別に行く先決まってなくても
申請した 行く予定だったんだけどね
こんな事が無きゃパスポート申請しないもん
と考えてたら こんな時間かよ
眠れないほど
ポジティブ思考みたい (^^)v

12/6/2023, 6:20:20 AM

お題︰眠れないほど

眠れないほど脳内でうさぎちゃんが駆け回ってる。
何かしないとという焦りで苦しくなってる。
なんにも思いつかないことに嫌になってる?
嫌にはなってない、なんだか、どうでもいいかなぁ。
おやすみなさい

12/6/2023, 6:01:45 AM

すべてを失ったのか、何故こんなにも涙が止まらないんだ。
辛いのは分かってる なんで悲しいのかも大体は分かってるんだ。
それなのに、動き出そうとしないのが分からないんだ。
十分、十分にわかったことを
俺はまた繰り返す。
どうしようもなく哀れで助けようの無い
また失敗している。そんな俺のことを君は嘘つきという。
何も騙すつもりはない、無法地帯に取り残されただけなんだ。
心のケア?コントロール?
そんなもの捨てたんだって。

君のために、権利を与える。
暗闇に浸って隠れてる俺を咎める権利だ。
動けも歩けもしない、フラフラと倒れる俺を刺してもいいよ。
もうじき目が見えなくなる、足ももげる。心もなくなる。
過去ばかり呪って。

そうやって人に命を削ってきた、信じてもらうために
成長なんて誰が許してくれるだろうか。
誰もが失敗を恐れる。嫌う。
エレベーターのようにいかないってのに誰もが嫌う。
牢屋に入れてしまう。
誰かがやってるパーティに、家族の群れに、温かい空間に
嫌味を言うんだ。どこへ行く宛もなく。
なぜかなんて聞かないで、このまま逃げたいだけなんだから。
何百回と自分の傷だとか、不平とか、人からの自分の姿だとかを
愛しては叩いて刻んできたんだ。
こんな甘えた俺が嫌いだよ、
そう言ってる内に夜が明けてきて、何となく少しずつ傷が癒えてきて。
多分ね。
きれいなものになろうだなんて思ってない、ただ、今からは
嫌うんだ、人からの批判も聞き入れて、壊れるまで死ぬまで叩きつけるんだ。

美しいという君たちが分からない。俺の姿を若さだと笑う奴らも分からない。
こんなに辛いんだ、どうしろって言うんだ?
寒さも痛さも、もう分かってるんだ、感じてるんだ。
何もかも分かってるんだ。
世界が滅びるだとか、不幸や闇なんかが全て今は、味方なようだ。
何が正解かも知らない、今は叫ぶことしかできない。
だから、不平も悪口も今なら良いんだ。
感動なんてなくていい、諦めて這いつくばる俺のことを踏んだって
後悔ばかりでどうしようもなくたって、死ぬべきだったって、
立ち上がれなくても、文句を言えよ。
文句を。
太陽が出てきたようだ。

12/6/2023, 5:50:11 AM

「眠れないほど、痛い、空腹、忙しい、悲しい、緊張する、予定びっしり、明日が待ち遠しい、コーヒー飲んで目がバッキバキ。他には?」
そうだ、ベッドのマットレスが合わなくなってきた、とかもあるな。
某所在住物書きは、想像と己の経験との双方を列挙しながら、スマホの画面を見た。

『眠れない 対処法』の検索結果には、予想外に、飲料・食品系で有名な企業のページが並ぶ。
さして内容を確認するでもなく、物書きは彼等の健康食品業界参入を理由と推理した。
誰かが何かの理由で眠れず悶々している物語は、どうやら少々書きづらそうである。
なら何に活路を求めよう。

「眠れないほど、『うるさい』とか?」
物書きはテレビ画面のニュースに注目する。
どこかの湖の白鳥が映っている。こいつらの鳴き声の音量は?なかなかの騒音だったりしないだろうか?

――――――

長いこと一緒に仕事してる、私の職場の先輩が、
生あくびだか本当のあくびだか知らないあくびしながら、ハイライト消えちゃってる感のある曇り目で、
パソコンのキーボードに指滑らせつつ、某カ□リー×イトのバニラ味をポリポリしてる。

「りゆうなら、おまえも、そうぞうできるだろう」
先輩が、あくびの条件反射でにじむ涙を、人さし指でクシクシしながら言った。
「……あのゴマスリめ」
ふぁ、ふわぁ。
歯を唇を、ちゃんと閉じれてない、ちゃんとかみ殺せてない先輩の口から、
後増利係長、名前のとおりの「上司にゴマスリしてばっかりな係長」への毒がこぼれた。

オツボネ特有のパワハラ行為で昨年度の末に左遷になった、某オツボネ係長の代わりに、今年度から私達の部署に来たのが、ゴマスリ係長。
いつだったか忘れたけど、多分数ヶ月前、「部下に自分の仕事押し付けて、成果だけ横取りしてった」ってドロボウ行為が一件発覚。
職場のトップから、直々に厳重注意を食らってた。

で、そんなゴマスリ係長、
リーク情報で、来年度の降格がチラッと、その手の部署のその手の話題に出たって噂が立ちまして、
八つ当たり、最後の職権乱用とばかりに、仕事をちゃっちゃパッパと捌ける先輩に、
ドスン!大量のタスクを押し付けて、しかもそれが結構急を要する物が多かったから、
まぁ、まぁ。ごにょごにょ。昨日から。
それこそ昨晩眠れないほど。寝てられないほど。

「試しに一度、断ってはみたんだ」
おそらく「係長」の「最後」だからな。眠気覚ましにブラックの無糖をぐいっと飲む先輩が、それでも足りなかったらしくって、もう一杯貰いに席を立った。
「そうしたら向こうも、やかましいのなんの。クァークァーガーガー、田んぼの白鳥の大合唱といい勝負だ」
結果、私が折れて、今に至るというワケだ。
2杯目のコーヒーに口を近づけた先輩は、その前に、目を閉じて額にシワ寄せて、今度こそ、あくびをかみ殺した。

「『白鳥の大合唱』?田んぼ?」
「他の地域はどうか知らないが、私の故郷だと、白鳥は湖より田んぼで落穂拾いが多いんだ。
大所帯で群れてるよ。指笛だの、電車の通過音だのと同じくらいの大きさで、クァークァー鳴いて」
「でんしゃ、」
「約80デシベルクラス。つまり近くで騒がれては、とてもじゃないが眠れないほど」

「つまり慣れれば意外と平気な音量」
「そういうことだがそうじゃない」

ということで、すまないが少し、手伝ってくれ。
先輩は一生懸命唇を閉じながら、険しい顔をして、私に数冊のファイルを渡してきた。
「ゴマスリ、オヤジじゃなく白鳥だったら良いのに」
先輩がキープしてる分のファイルに、私にもできそうなやつがあったから、渡された分と一緒にザカザカ引っこ抜くと、
「約80デシベルで常時鳴き散らす存在になるが」
チラリ、先輩は私を見て、聞いてきた。
「耐えられるか?」

12/6/2023, 4:55:32 AM

眠れないほど貴方を愛おしく思い、眠れないほど貴方が憎く思う。何故貴方は行ってしまったの?私と一緒に逃げれば、助かったのに。なのに貴方は特攻隊として行ってしまった。逝ってしまった。あぁ、眠れない。眠れないほど……眠れないほど貴方が好きでたまらない。

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