『相合傘』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
相合傘
危機感を煽り。
どうでもいいことを問題視する姿勢。
不安を助長させ
世の中を信じられなくなる。
その怒りは、行くところがなく、
身近な誰かを死に追い詰める。それから、自分自身も。
この世が終わりだと感じるという。
救いようがあろうか?
南無阿弥陀仏と、トナエヨウカ?
アーメンと祈ろうか?
してみたかったな、相合傘。
叶わない夢だったけど、夢見てたあいだ、辛くて辛くて仕方がなかった。
今は苦しくないよ。
運命の人じゃなかったって充分、分かったから。
今度は楽しく恋焦がれられますように。
傘から垂れる雫を見ながら、そんなことを思います。
相合傘
それは今から50年くらい昔の雨の降る午後の話だ、それは綺麗な相合傘を見た。
春先のまだ冷たい雨の降る日だった。
海辺の村でお葬式があった。
亡くなったのは当時88歳のおばあちゃんだった。50年くらい前だから昭和50年代で、そのおばあちゃんは勿論明治生まれだった。当時の田舎のお葬式は近所の人総出で執り行う、子供も特に親戚でなくても顔見知りであるので招かれる、だいたいは親がお葬式のお手伝いに出ているから。その当時の子供は呑気で、お葬式の終わりに配られるお菓子目当てに隣村の子供まで集まっていたりするが、その日は今にも降り出しそうな空模様で子供の参列は少なかった。お葬式は自宅で執り行われ、それから参列者一同葬式行列を作りお棺を墓場まで運ぶ
先頭は旗を持った子供と鐘を打ちながら歩く、
在所の老人、それに続いて親族、隣組在所の男性がお棺を担ぎ送る人の血を引く人々が続く、88歳のお見送りといえば大往生になるので、お赤飯を炊いて送るのが慣わしであった。
そんな、お葬式も終盤に差し掛かる頃、雨は降り出し霧雨降る中に読経は、あげられ88歳のおばあちゃんの眠る棺は静かに土に還る。朝から穴掘りさんが来て掘られた穴におばあちゃんは静かに沈んで行く、見送る人々が一人ひとり土を被せる、勿論子供もだ、それが昭和の村のお葬式。こうして、順送りに人は死ぬってことを子供は学ぶ、大事な学習の場は日常のあちらこちらに有った。もっと人と人が近くて、年寄りと子供の距離も近かった頃の話だ。
墓穴に沈められるおばあちゃんの棺に抱きついて泣く女性を見た50代くらいの小柄な女性小柄だけど田舎には似つかわしくない派手な女性
女性は葬式場には居たのだろうか?小柄だけど姿を見失うようなタイプではなかった。
突然現れたように、最後の最後雨の降る中に傘も差さずに泣いていた。
聞こえて来た話では、彼女はおばあちゃんの娘さんらしい。村の女たちは冷ややかに囁いた
「親不孝ものほど親の葬式で大泣きする」と
なんとも、パンチの効いた戒めの言葉だと今なら思うが、これには続きもあり「親不孝ものほど親の葬式で大泣きし、自分の親の出所を恥じる罰当たりは恥を曝さぬことばかり考えあざとく動き、捨てられたものは他人の親の葬式話に笑う」これならまだ親不孝ものの方が可愛く思うが、賽の河原の門の前にでも貼ってありそうな文言だ。
当時は意味も朧げに、いったいどんな親不孝をしたのかと、その女性を見つめていた。
おばあちゃんは、早くに旦那さんを亡くし女手一つで、その娘さんを育てたそうだ。仕事は浜であがった魚や海産物を行商に行く、通称「カンカン部隊」缶の中に商品を入れて背負って売り歩く商売だからである。「カンカン部隊」と言う言葉は俗っぽい呼び方で、あまり褒められた呼び方ではない、例外なくその娘さんもその呼び名で揶揄われ傷つき、そして母を自分を嫌って村を出た、依頼そのおばあちゃんは一人暮らしだったと聞いた。
一人暮らしでは、あったが周りに親戚は多く行商のおばあちゃんは有名人で子供たちにも人気があったが、家を出た娘さんとは生前折り合いが悪く、おばあちゃんは「敷居をまたがせない」と言っていたそうだ。今なら毒母とか老害とか言われて裁かれたのだろうかね、ちょっと揶揄われたくらいで被害者に成り切って自分以外を加害者にして泣く娘に「胸を張れ」と言った母親は。
ともあれ、彼女は10代で家を出たきり40年以上帰らなかったそうだ、最後の別れくらいしたらどうだと80過ぎて来たおばあちゃんに言う身内もいたそうだが、おばあちゃんは首を立てには振らなかった…流石は明治の女は一度口に出した言葉は嘘でも守り通す。
そして、白い棺に納まって土に還る時ようやく娘さんは許された。
棺に納まった、おばあちゃんの胸には、おかっぱ頭の娘さんの写真が抱かされていたそうで、それを聞かされたのか否か、娘さんはずっと泣いていた、私はその時大人が子供の様に泣く姿をはじめて見た。
おばあちゃんが土に還って、お葬式が終わった帰り道1番後ろの方に小さな体を小さくして歩く娘さんに傘を差し出す男性を見た。二人並んで歩いていたが、何故だか子供心にも優しく美しい雰囲気が風景に馴染む相合傘だった。
男性の左肩は、随分と雨に濡れていた。
娘さんとその男性は幼馴染で「お前の母ちゃんカンカン部隊」と娘さんを揶揄ったガキ大将だった、その後二人は再婚同士で再婚し娘さんはこの村に帰って来た。
小さな村の小さな初恋の物語
私は、あの日見た相合傘より素敵な相合傘に
未だ出会えていない。それくらい印象深い相合傘であった。
2024年6月19日
心幸
秘密基地の中 足音ふたつ
触れた肩が熱かった お互い聴いた呼吸の事
こんなに近いのに ずっと遠い
沈黙さえ愛しかった 目は合わせないまま
何も言えなかったから
出来るだけ 側にいる事を選んだ
❴相合傘❵
相合傘、それは
恋を夢見る女の子の憧れ
でも、そんな❨感情❩私は
“捨てた”けど…
遠い相合傘(創作)
高校の時の話で、この時期になると思い出す。僕を変えた男。あの日までそいつには、ちょいグレてそう以外に印象が無かった。
その日は体育館の倉庫で、僕は女子に告白された。「あんたが好き」。そんな風なベタなシチュエーションで、多分「いいよ」と肯いた。僕は恋を軽く捉えていた。
放課後その子と帰る時、例のそいつとそのいつメンが来た。そいつは僕達のことをスルーしたが、周りでヒューヒューとひやかされた。
「なあお前ら傘持ってる?」
言い訳をしていたら、外野から気の抜けた声が聞こえ、僕らは傘を少し上に掲げる。そうするとそいつはバッと制服を脱いで、しわくちゃな雨避けにした。
「やっぱこれよ。ごめん俺先帰るから」
「ねえ、傘使う?」
鶴の一声、そいつに傘を差し出したのはその時の彼女だ。打ち付ける音が遠くなるくらい一瞬の静寂。僕は生唾を飲んだ。そいつは驚いていた。そして彼は悔しそうに歯を食いしばった。
「要らねえよっ」
今にも何かが溢れそうなそいつは、何を血迷ったか差し出されたレディースの水玉の傘をぶんどって、土砂降りの中を走り出した。
「あいつ、〇〇(彼女)好きだったんだよ、許してやってよ」
苦笑いでいつメンがフォローを入れる。彼女は「そう」と呟いた。僕は黙ってそいつが走った方向へ目を向けていた。
やがて正気に戻って傘を差すと「あげちゃったから入れて」と自然に隣に入ってきた。しかし、僕は全部どうでもよくなっていた。
僕が、そいつを好きになってしまったのだ。その全速力の想いに。
相合傘の下で僕達は遠く、そいつと彼女の傘も繋がっているのに遠かった。
相合傘
午後から雨が降ることは朝の情報番組で知ってはいた。玄関を出る瞬間に傘立てを気に掛けたが、マンションの扉は強い日差しによってすでに熱くなっていたため、すぐに傘を持つことをやめてしまった。
「いってきます」
おそらく朝の支度の真っ只中であろう母に向けて口にしたが、届いてはなさそうだった。
待ち合わせの階段の下、ほんの半日ぶりの幼馴染がスマホを片手に元気よく振り向いた。
「はよ」
「おう」
マンションの隙間から差し込む光が彼の明るい髪をよりきらめかせるので、思わず眩しくて目を細める。雨よりも夏の気配を感じた。
「ねえねえ、小テストの予習やった?」
「俺がやったと思うか?」
「よかったー、俺だけじゃなかった!でもやばいから問題出しながら行こ」
「おー」
ところでさ、と彼は言う。
「今日雨降るよ?」
「あー…」
自分よりも少し背の高い彼を見上げると、少し心配げにこちらを向いている人の好い柔らかい瞳とぶつかる。その手には長傘。その柄を小突いて言った。
「けど、お前傘持ってんじゃん」
「へっ?」
相合傘
なにより
君がいないと成り立たない
ちょっぴり肩が濡れ
それでも
背の高さのバランスを気にし
君が濡れないように君寄りにさし
歩幅を合わせて
相合傘って
ちょっぴり窮屈で不便だけど
思い遣りの空間
相合傘はロマンの塊だ。
だが実際にやってみたらがっかりする。
傘をさしているのに濡れるし、歩幅を合わせるのにも苦労する。
夢は夢のままがいい。
初めての相合傘が君だった
その頃は何も意識してなくて
雨に濡れるからって君がいれてくれた
懐かしいね
肩濡らし 傘傾けた 酒涙雨
織姫たちに 申し訳なく
砂浜に 相合傘を かいた恋
時間とともに 海に消え行く
【相合傘】
相合傘
小さなその手で傘を持ち
仲良く歩くその姿
今は相合傘で嬉しそう
ずっとこれからも一緒だよね❤️
「濡れた右袖」
みんなの前では、うっかり者を演じているから、毎度毎度、傘を忘れても怪しまれない。
どうせ隣の家なんだし入れてくれよ、と君の傘を奪う。
いつもより、近い距離。
君の方に少し傾けて長傘を持つ。
「今日午後から雨だって天気予報で言いまくってたのに。ニュースくらい観たら?」
「んー、それより寝ていたい」
「もー」
君の自宅に傘ごと押し込み、雨の中に飛び出す。
濡れた右袖を君に気付かれないように。
────相合傘
「相合傘」
思い出した。
思い出すのは君とのエピソードばかり。
にわか雨だったな。
すぐ止んだ。
忘れられん。
こじれちゃって。
素直になれず。
会いたいな。
ごめん。
「これ使って。」
彼はそう言い、傘を差し出す。お願いだから優しくしないでよ。
「ごめん。」
彼は悲しそうに言う。私は今、人生初の告白をし振られた。恥ずかしさから彼を見れない。
「こっちこそ、ごめん。迷惑だよね。」
私はそう言って、早足でその場から離れた。
彼と出会ったのは、雨の日だった。傘を忘れた私に、彼は傘を差し出してくれた。私は申し訳ないからと断ったが、彼は傘を置いて走っていった。小さくなっていく後ろ姿をずっと見つめていた。次の日、傘を返そうと早めに学校に行き、校門前で待っていた。学年もクラスも名前も知らない彼に会うにはそれ以外に方法が思いつかなかった。私が待ち伏せをしていると、後ろから声を掛けられた。
「昨日の子だ。風引かなかった?」
後ろには彼がいた。
「昨日はありがとうございました。これ傘です。」
言葉を交わすだけで、心臓が早くなる。
「敬語じゃなくて大丈夫だよ。僕、隣のクラスだし。」
笑顔で言う彼。私は気付いた。私は彼が好きだ。きっとこれが一目惚れというものだろう。私達は、この日から毎日のように会話をした。距離が縮まっていくのが分かる。しかし、その事に浮かれていたのは私だけだったようだ。
本当に最悪だ。廊下ですれ違う度に、気まずさが走る。こんな辛い気持ちになるなら、告白なんてしなければ良かった。暗い事ばかり考えていると、涙が出てくる。
「まだ君の事が好きだよ。」
「僕も好きだよ。」
声がした方へ顔を上げると、そこには彼がいた。
「本当はずっと君が好きだった。あの雨の日よりも前から。でも、君には僕はふさわしくないって。だから、告白はすごく嬉しかったけど振っちゃったんだ。ごめん。」
「そんなの良いよ。君の本心が聞けて嬉しいよ。」
「これからは僕が君の傘になるよ。だから、僕の傍で泣いて欲しい。僕がその涙を笑顔に変えるから。」
「何それ。チャラ過ぎ。でも、よろしくお願いします。」
私達は笑い合った。
「お詫びに何かさせてよ。彼氏としてさ。」
「じゃあ。今度の雨の日は、相合傘がしたいです。」
(現代パロ・高校生設定)
雨が降っていた。それはもう、酷いほどに。
そして僕は傘を持っていなかった。
そんなわけで、昇降口まで降りてなんなら靴まで履いてしまった僕は、教室で時間を潰すか、ここで雨の降るさまを待つかを考えていた。
「⋯⋯⋯⋯何してんの」
声がかかったのは、諦めて教室に戻ろうという気持ちが固まりかけた時だった。
赤い傘を持って隣列の下駄箱から現れたのは、幼なじみで前世からの知り合いである彼女だった。
「⋯⋯⋯⋯傘を、忘れた」
「昨日から天気予報で言われてたけど」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯知ってるよ」
「その上で忘れたと?」
「⋯⋯⋯⋯まぁ」
呆れたように彼女はため息をついて、昇降口の扉をくぐる。大きな音を立てて落ちる雨にむかって傘を開いた彼女は言った。
「やまないよ、今日中に」
「⋯⋯⋯⋯それは、困ったな⋯⋯」
「入れてあげるから、何か弾いてよ。『演奏者くん』」
彼女は言った。
「⋯⋯仕方ないな」
彼女の隣へと立った僕はそっと彼女の手から傘を奪う。僕の方が身長が高いから、持ってあげた方がいいだろう、なんて気遣いといえるかも分からないことをする。
彼女は少し驚いた顔をしたあと、僕の腕を掴んで自身が雨に濡れないようにしていた。
なんだか僕に全てを任せてしまっているようで、ひどく愛おしく見えた。
相合傘をした。彼が傘を忘れたから、同じマンションに住んでいる私が声を掛けられたのだ。背の高い彼が傘を持ち、自分が濡れてまで私が濡れない様にしてくれた。そこに他意はないのだろう。残後なまでに優しい彼は、私の身を焦がす太陽だった。そんな帰り道こそ最初で最後の青春だった。
【相合傘】
最近もあったなぁ~
何度か今までにもあるんだけと…どーも私は相合傘にはそこまでドキドキしないみたい笑
相合傘はやっぱり片想いの時にやりたいな♪
今日は1日中雨予報〜
コッソリ(相合傘のチャンスですよっ♡)
貴女は、甘い恋について夢想することがありますね。
相合傘でしとしと降る雨の中を寄り添って歩いたり、浜辺や草原でじゃれ合ったり、褥の中で大切なところを優しく暴かれ、悦びに身を震わせたり。
貴女が恋に身を焦がす姿も、俺たちには愛しく思えます。激情に身を任せるのも、人生の中の一興です。
貴女が人のためと言って、ご自分の心を殺すのは見たくありません。どうか貴女の思いに嘘をつかず、貴女の幸福な人生を歩んでくださいね。
相合傘
嘘をついた
用なんて無いから雨が止むのを待てばいいのに
嘘をついた
1人で雨に打たれながら帰ってもいいのに
嘘をついた
傘はカバンの中にあるというのに