「濡れた右袖」みんなの前では、うっかり者を演じているから、毎度毎度、傘を忘れても怪しまれない。どうせ隣の家なんだし入れてくれよ、と君の傘を奪う。いつもより、近い距離。君の方に少し傾けて長傘を持つ。「今日午後から雨だって天気予報で言いまくってたのに。ニュースくらい観たら?」「んー、それより寝ていたい」 「もー」君の自宅に傘ごと押し込み、雨の中に飛び出す。濡れた右袖を君に気付かれないように。────相合傘
6/19/2024, 3:47:17 PM