『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
病室
明るく迎え入れてくれるなら
こちらも安心
元気がなさそうなら
少し心配になる
顔を見に行くだけで会話ができないなら
ひたすら話しかける
お別れのために迎えに行くなら
涙が出たり涙さえでなかったり
いろんなパターンの病室
病室
寂しい一人の
病室
いきなり
あなたが入ってきて
壁にもたれかけて
あー疲れた
なんて
可愛い光景
あの時から
あたしはあなたを
追いかけていた
なな🐶
2024年8月2日1877
白いカーテンに、白い壁
いつもと変わらない風景
窓からは楽しそうに遊ぶ子供の姿
いいなぁ
僕もあんな風に外で遊びたい。
友達とかけっこしたり、
遊び疲れてくたくたになったり
そんな空想を抱きながら今日も眠りにつく
病室/夜凪
当たり前がとても幸せなこと。人の温かさに触れたこと。
一輪の花が色をつけてくれたこと。
この世も悪くないなって病室にいた時そう思った。
病室で眠っているのは彼女。
植物人間になっちゃったんだってさ。
もう君とは会話は出来ない、もう君とは笑い合えない
–– もう君とは一緒に歩めないんだね ––
病室の窓から差し込む薄い光が静かな空間を包んでいた。私の手を握りしめる彼女の目には、涙が光っている。
余命一ヶ月と宣告された彼女は衰弱していく身体を横たえていた。
彼女は思い出を語りかけるが、声は震え、
心の奥底には後悔の影が落ちていた。
「もっと早く気づけばよかった…。もっと早く、あなたを大切にしていれば…」
彼女の声は、切なさに満ちていた。
私は微笑み、かすかな声で言った。
「そんなこと、気にしないで。私たちは十分幸せだった」
しかし、その言葉は彼女の胸にさらに重くのしかかった。
二人の間には、言葉にできない後悔が漂っていた。
もっと時間があれば、もっと愛を伝えられたはずなのに。彼女は私の手を強く握りしめ、心の中で何度も謝罪した。
「ごめんね、愛しているよ」
私の瞳が閉じられ、部屋は再び静寂に包まれた。
その瞬間、彼女の胸には深い後悔が残り続けた。
彼女は病室から空を見ていた
彼女は末期のガンでもう治らないらしい
そして余命は2週間だという
私は彼女になにかしたくて
花束をあげることにした
『あげるよ、これ』
我ながら不器用だなと思うが
こうするしか術はなかったのだと言い聞かせる
彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた後
「ありがとう、嬉しいわ!」と
涙をポロポロ零していた
『泣かないでよ、!』
女の涙は苦手なんだよ
何をしていいのか分からなくなる
そして涙を止めてあげ、別れた
その翌日に彼女は亡くなった
早い死だった、急にガンが全身を覆ったのだと
焦燥感に駆られ、鬱状態になった私は
精神科に入院した
題 病室
【病室】
夜中、
誰かにものを取られるかもしれない。
誰かに殺されるかもしれない。
って思って怖がりながら入院してたけど
全然何事もなく退院できて良かった!
病室から見る月はきれい。
いつかここから出られる時。
僕はどこにいるのかな?
あの月の横で優しく笑ってるかな?
異世界に迷い込んで早1年。
人喰い花の猛毒を浴びた俺は意識を失い、偶然通りかかった冒険者に助けられて一命は取り留めたのだが、当分の間病室で治療を受ける羽目になった。
「先生、俺はあとどれくらいでよくなりますか」
「うーん、早くてもあと3週間はかかると思いますよ」
「3週間ですか…」
「まあこれに懲りたら、もう二度とあの森には足を踏み入れないことですね。まったく、なぜそんな無茶をしたんですか」
なぜそんな無茶をしたのかと問われれば、あの森に住むと言われているダークエルフに会いたいが為だったなんて、先生の前では口が裂けても言えない。
「ところで先生、いつも世話してくれるゴブリンの女性看護師がいんですけど、替えてもらうことってできますか」
「出来ますけど、何か問題ありましたか」
「いえ…実はゴブリンは苦手で、他の種族の方がいいんですけど」
「残念ですけど、ここの看護師は皆ゴブリン族なんです。みんなとっても働き者ですよ」
「できたら先生みたいなエルフの看護師が来てくれると、病気もすぐに治りそうな気がするんですよ」
「もーしょうがないですね、空いてる時はなるべく私が診療に来るようにします」
「ありがとうございます」
「その分診療代は貰いますよ」
そうして俺はこの過酷な異世界で、幸せな一時を過ごすことができた。
その後、莫大な診療代を払いきれず洞窟の地下炭鉱でゴブリン達と共に強制労働をさせられることなどいざ知らず。
〜病室〜
エレベーターを降りて
ナースステーションを通り過ぎた正面の部屋
それが祖母が居る病室だ
引き戸を開けベッドの方へ目をやると
祖母は上体をお越した姿勢で
窓越しの外を眺めていた
向かいの患者さんに軽く会釈をすると
祖母のベッド脇に置かれた椅子に腰掛ける
ありふれた会話を交わした後
お土産のプリンを一緒に食べるため準備をする
スプーンを探していると部屋のどこからか
テレビの音が聞こえる
どうやら歴史上の偉人についての特集のようだ
『偉人』と言う言葉に
過去の苦い経験を思い出す
小学5年生だった私は
『尊敬する偉人は誰』と言う問いかけに
迷わず「おばあちゃん」と答えて
クラス全員から笑われた
当時の私はなぜ笑われているのか分からず
ぎこちない苦笑いを浮かべるのが精一杯だった
友人「何かすごいことをしたの?」
私「ううん…」
友人「有名人なの?」
私「ううん…」
友人「じゃあ偉人じゃないね」
言い返したいのに上手く言葉が見つからず
泣いてしまう始末だった
あの頃を思い出し、思わずクスッと笑ってしまうと
祖母が不思議そうな顔をして私を見ている
手に持ったスプーンを祖母に渡し
2人で一緒にプリンを食べる
ねぇ、おばあちゃん
あなたは私のことすっかり忘れてしまったけど
私の尊敬する偉大な人はおばあちゃんだよ
病室
よく、ドラマなどで窓の外を眺めながら
「あの花が散ったら、私はいなくなる」
みたいなことを言う。
僕は病気で入院していて、不安な日々を過ごしていた。
明日死ぬかもと言う恐怖と隣り合わせで押しつぶされそうな中、ふと外を眺めてその言葉を思い出した。
だが、僕の病室の外にはかっこいいことが言えそうな植物は特に無かった。
ちょっと残念に思いながら、自分の死期を自分以外に委ねるのは嫌なので、よかったと思う気持ちもあった。
どうして何の関係もない、たまたまそこにあっただけの植物に自分の命を預けることができるのか。
僕には到底理解できなそうだった。
もう自分の未来に希望がないから植物に未来を託したのだろうか。
どちらにせよ、植物はいずれ枯れるのだから花が散ったり葉が落ちるのは当たり前なのだから、それによって自分の運命を決めるのはどうかと思う。
少なくとも、僕は最後まであきらめずにいたい。
そんなことを楽しそうに語っていたあいつは、あっけなく逝ってしまった。
俺は、そんなあいつの言葉を聞いていたから、花束などは絶対に最期まで持ってこなかった。
あいつにとってはそんなに重い話じゃ無かったのかもしれないけど、ちょっとでも永く生きてもらえる理由になるなら何でもよかった。
あいつの容体が急変したと聞いた時は驚いた。
昨日見舞いに行ったばかりで、元気な印象しかなかったから驚いた。
到着した時は、まだ生きていた。
でも、俺を待っていたかのように、1時間後にすぐ逝ってしまった。元気なあいつしか記憶になかった俺は、あまりにも突然の死を受け入れられなかった。
何かこいつの残したものはあるかと病室を見回していると花瓶が目に入った。花だった。
花びらが、数枚落ちていた。
何の関係もないかもしれないが、昨日までなかったその花が憎らしく見えた。
帰りに店に寄って、よく似た造花を買った。
これでもう、おとすことはない。
始まりがあれば終わりがある。
それは人生にも言えることだ。
一人の病室
何回もの入退院。
まる一年学校に行けていない。
留年は逃れられないし、下手したら退学だ。
本当は高校最後の夏なのに。
今年の夏もこの部屋の窓から花火を見る。
夏なのになんだか病室はつめたい。
【病室】
病室で過ごしたことがないのは、良いことだろうか。
苦労も痛みも知らずに生きてこられたのならば、それはきっと良いことに違いないのだろう。
いや、どうだろうか。病室にいることだけが苦労や痛みを知ることに繋がるわけではないはずだ。
そうじゃないとしたら、どうして私は重い病気もなく、五体満足で健康に過ごせて、学校にも通えているのに、こんなに苦しいのだろう。
白い壁。壁に窓。窓からは青空が見える。
ここは病院の入院棟。ここは私がいた病室。
随分長い間入院していたように思う。移ろいゆく四季を、いったい何回見送っただろう。
医師が色々と手を尽くしてくれたが治療の甲斐虚しく、私は死んでしまった。
今私は霊安室にいる。顔に白い布をかけられて、斎場に運ばれるのを待っている。
そんな私の亡骸を横目に、わたしは病室まで戻ってきた。そう、わたしは私。わたしは私のいわゆる"幽霊"とか"おばけ"というやつ。本当は、わたしは私の傍にいなきゃいけないような気がするけど。
わたしがここに戻ってきた理由はただ一つ。この窓からの眺めを最後にもう一度見るため。この窓からの見える日によって色の違う空や形を変えながら流れていく雲、極稀に飛んで行く鳥を見るのが好きだった。
想いを馳せつつベッド腰掛け窓から外を眺めていると、後ろのドアが開いた。入ってきたのは担当してくれていた医師。いつも、草臥れた白衣とすっかり履き潰したサンダルで、俯き加減でやってくる先生。
足を止め、目を見開きこちらに向いている。え?わたしが視える?疑問に思っていると、先生がゆっくりと口を開いた。「どうしてここにいるの?」
そこから、何故か解らないけど体を抜け出せたこと、この部屋にもう一度だけ来たかったこと、先生への感謝の気持ちなどを一気に捲し立てた。
先生はそれらを静かに聞いていた。そして「助けてあげられなくてゴメンね」と言った。しかし、今のわたしにはそんなこと、もはやどうでも良かった。死んだ者が蘇ることはないのだから。そんなことよりも、これからどうなっていくのか、それが気になってしかたがなかった。そんなわたしの気持ちを見透かすかのように、先生は言った。「早く自分のご遺体の傍に戻ることをおすすめするよ」
先生が言うには、もうすぐ迎えが来るが、その時きちんと傍にいないと体だけ持って行かれて、取り残されてしまうらしいのだ。「そうやって取り残されて、どこにも行けなくなったのが、いわゆる地縛霊とか浮遊霊ってやつね」そう無表情のまま先生が言う。
何故先生がそんなことを知っているのか不思議だったが、深追いしてはいけない気がして聞けなかった。そして、このままこの部屋に居続けるのも良いかなと思ったが、お世話になった先生や病院に迷惑をかけるのも嫌なので、大人しく私の傍に帰ることにした。
またいつか会えますか?そう言ったわたしに先生は「さぁ、どうだろうね」「でも、もしまた会えたら、その時はお茶でもしましょう」そう言って笑いかけてくれた。
その笑顔が見れただけで満足です!そう言って、わたしは私の傍に帰った。
先生は静かに見送ってくれた。
私の傍に戻ると、見知らぬ人が3人立っていた。葬儀屋さんかな、と思ったがよく解らない。
3人の内の1人が、表に続くドアを開けた。すると目が眩むほどの光が差し込んできた。ああ、これはお迎えだ。わたしは悟った。これでこの世とは本当のお別れ。
またね、先生。まだ来ないでね。でも、いつかまたね。
―――旅立ち[死]
#30【病室】
「病室」
病室の前で立ち止まった。
会えるの楽しみにしてたのに。
足が動いてくれない。
入ることで自分心を傷つけるだけだから。
でも貴方にもう一回私の名前を読んでほしい。
私は勇気を出して入った。
白いベッドから私を見つめてくる貴方。
< だれ?>
貴方のその一言で私の世界が崩れ落ちた。
「病室」
あとどのくらい生きられるのだろうか?
病室の窓から見えるオレンジ色の空を眺めながら、僕は息をはいた。
そんなに長くないことは分かっているし、妻や息子は僕を悲しませまいと明るく振る舞っているのが、とてもツラい。いっそ、この悲しみを早く終わらせてしまいたい気持ちになる。
コンコン
病室の扉を叩く音とともに、懐かしい香りが鼻をついた。
「やっほー久しぶり!」
黄色ガーベラの花束からひょっこり顔を出した1人の女性。その変わらない風貌にすぐに気がついた。
「奈緒子じゃないか!どうしてここに?」
「飲みに行きたいなと思って連絡しても、スマホは繋がらないから家に行ったらここにいるって聞いて。元気そうじゃん!」
「おいおい…変わらないな、奈緒子も」
見るからに元気ないのは分かってるはずだけど、こういう感じが彼女らしくて、微笑ましかった。
花瓶にガーベラを生けて10数年ぶりに、思い出話しに花が咲いた。あの頃は…僕も編集者としてバリバリ働いてて同僚の彼女とも、たびたび衝突したけど充実してたよな。それよりなにより彼女は…奈緒子は
「どうしたの?狐につままれたような顔して」
フフっと笑う
「え?いや、奈緒子があまりにも変わらないから歳とってないんじゃないかと思ってさ(笑)」
「何言ってんの(笑)」
笑ってる奈緒子がキラキラと輝いていた。
窓から風が入りカーテンが揺れる。久しぶりにたくさんはなして笑って体力を使ったからか、疲れて眠くなっていた。目の前が白くなり奈緒子の声が遠のいていった…
目を開けると、眼下にはベッドに横たわった僕と、泣き崩れている妻と息子が立っていた。医者が何やら説明している。
僕は死んだのだ
「これからもよろしくね」
「え?」
声のするほうを見ると、奈緒子が立っていた。
僕は驚愕した。
「まさか…奈緒子は」
「そう、そのまさか。私は10年前に交通事故で死んだのよ」
元々若々しいが、彼女の風貌が変わらないのはそのためだった。
黄色いガーベラの香りがする
僕は奈緒子の手をとった
~完~
絵里
2日目:お題『病室』
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私はメダカなので湖にいる。
狭い湖だが友達がいるので飽きない。
そいつはメダカのくせに「外へ出てみたい」と仕切りに言っては、時折私の横を通り過ぎて遠くへ泳ぐ。
私も必死で追いつこうと泳ぐのだがいつも追いつけない。
遠くへ泳いだそいつは、白い岩の向こうへ消え、何時間もした後にいつもより疲れた顔で戻ってくる。
「きっと湖の端まで行って地上を歩く練習をしているんだ」私はそう思った。
「いいか、私たちはメダカだ。地上で息をすることは出来ない」
そいつはいつも、聞こえないフリをして白い砂の下に隠れる。
ある日、またそいつが遠くへ向かって泳いだ。ついて行こうとしたがやはり追いつけなかった。帰りを何時間も待ったが、そいつは戻ってこなかった。
「メダカのくせに、湖を出ようとするからこうなるんだ」
私はそいつを迎えに行こうと、また白い岩の方へ泳ごうとしたが進めない。
疲れて少し離れて見たあと、私はようやく、自分が今までガラスにぶつかっていたので進めなかったことに気がついた。
助走を付けてガラスの上へ向かって泳いだ。
ぺちゃん。
変な音だ。私はその音を聞いた後、上手く息が吸えなくなった。
「メダカが水槽から飛び出してる!」
子どもが看護師を呼ぶ音だけが、病室に残った。
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「病室しか知らない子」
病室
病室から悲鳴があがる。
聞きつけた職員たちはその病室を目指して走る。
病室からは、なおも悲鳴が響く。
大丈夫ですか!!!
職員が扉を開ける。
いや~ゴキブリが出たんだ。
それ以来、その病室には、
ゴキブリホイホイが設置された。
いつ
終わらせたっていい
その瞬間に
愛があるなら
悔いなど無い
全て
見慣れた景色
疑いも無く
未来を見据える
通りすがりの
済んだ瞳
心から願う
幸あれと
生きて
生きてね
貴方しか歩けない道
生きてね
「澄んだ瞳」