『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
人生の終わりを考える時、想像するのは年老いた自分が病室のベッドに腰掛ける姿だ
事故とか事件とか、命を落とす可能性は身近にあるのに、無意識に自分は最後まで生きられると思っている
「病室」
寂しそうに「もう帰る?」と
聞いた人の最後の声
雲が時の流れを教える
蝶が寿命を伝える
白い羽の天使が窓から入ってきて
いつもお話をしてくれる。
少し空いた窓からの風は、熱で火照った身体を、冷やしてくれた。神無月友矢は、ベッドに上体を起こし、外の景色と弟が来るのを見ていた。彼の病室から病院の裏手と駐車場がよく見えた。友矢は、生まれつき身体が弱く、子供の頃から入退院を繰り返していた。中学になって一学期の終わりに学校の健康診断で異常が見つかり、長期の入院になった。栗色のさらさらとした髪と、くりくりとした大きな榛色の目と色素の薄い肌をしていて、小ぢんまりとした姿なので、母性本能を擽ると女生徒達によくもてた。
意味無い。もてた処で、何時、命が尽きるか分からないのに、ツマラナイことだなと。
「おい、入るぞ」軽いノックの音と教会の鐘の音のような声と共に、美しい弟が現れた。
日が射す。
あなたが青空に溶けてしまう。
無機質な白は、あなたには似合わないこと。
それはよく知っています。ええ、知っていますとも!
でも、そんなに急ぐこともないでしょう?
せめて、空が赤くなるまで。
病室。この時期とにかく話題になるのは熱中症。その中でもエアコンをつけてた場合の電気代と熱中症になって入院することになった場合の費用の比較はよく目にする。
入院したら色々と金が吹っ飛ぶけどそれに加えて収入も減る訳だしな。万が一を考えたらエアコンの電気代なんて安いものよ。
そう理屈ではわかっているけど実際には色々とけちって電気代を安くしたいのが貧乏人というものだ。特にエアコンの買い替えは何度も考えてしまう。
何度も買い替えを決心してもいや、まだ使えるんだよな。という気持ちがわいてしまう。もうほとんど温度が下がらなくなってるのに。
でもそんなエアコンでもつけてるとつけてないとじゃ雲泥の差ではある。つけてないと間違いなく熱中症になっているだろう。
まぁ設定温度18度でも温度計は熱中症の危険ありを指しているのだけど。まだ使えているけど一度決めたことだし来年の夏までには絶対に買い替えるぞ。
でも今日はちょっとだけ楽だな。昨日雨ふったから少しだけ温度が低いのかな。それでも30度越えてるんだからこれからの夏はしんどいね。
しかし最近は暑さのことばかり書いてる気がする。実際暑すぎてもう暑さとエアコンのことしか考えられないくらい暑いからしかたないか。
来年はエアコンを買い替えて暑さのことなんて考えなくてよくなりたいね。
『病室』
病院というのは、息苦しいものです。
特に病室は、あの、妙な静けさが、私を哀しみで
覆いかぶさるのです。
1日目、魚肉ソーセージとシガレット2本
次の日、シャンパン
の、御見舞品
意地でも根性でも無く
ただ吹かしに一階へおり
隣のオジサマからライターを、貸してもらった
手術は、13時間で無事成功
リハビリでも、踊ってると言われた懐かしさ
今じゃ、踊れない
ただ、仲間と遊びたい
ちまき食って
ビールで乾杯
と、珈琲片手に書く私。
お題 『病室』
どんどん症状が良くなって明るい病室もあれば、病状が悪くなって暗い病室もある。
数週間前動けた人が、点滴の管や胃の管など入って
動けなくなっていく。
動けなくておむつ替えられたり栄養入れられたり、身体拭かれたり、あっち向いたりこっち向いたり身体の向きを変えられて、苦しい痰の吸引させられて。意識はなくて、言葉を発することもなくて。ただケアをされる。
意識はなくとも、看護師として声掛けしながらケアは行う。苦しそうな痰の吸引も、「すみません、もう少しですからね」て、一日に何回も。
この状態で回復の見込みもない。これは患者さん本人の幸せだと言えるのだろうか。
でも、ケアをするのが仕事だから。今日も病棟に行って看護をする。少しでも明るい病室が増えますように、祈りながら。
目が覚めて真っ先に視界に飛び込んできたのは、眩しいほどの白い天井だった。見慣れないそれを不快に感じる。汚れひとつないそれが恐怖すらも抱かせる。
胸いっぱいに酸素を取り込んで、ゆっくり吐き出して。目を再び閉じた。
鼻につく、つんとした薬の匂いがした。酸素と共に己が身に染み込んでくるそれもまた不快でしかない。
くそ…
口から溢れたのは、そんな悪態のみ。
2023/08/03_病室
【病室】
『まったくドジだよねぇ…。』
公園に行って、ふざけてブランコから飛び降りて骨折なんて。
ジロリと視線を向けた先には、いつもと同じ様なへらへらした笑い顔の彼がいた。
『ごめんごめん、いやーそこで小学生見たらついやりたくなっちゃってさ。』
『ふーん…。とにかく、こんな事になったのぜぇっっったいに許さないからね!!』
『分かってるって、しっかしほんの数年前は仲間内で一番飛べたんだよ。』
分かってますよ。
5年前、私の病室はこの部屋よりももっと下の階で、丘とブランコしかない窮屈な公園を一枚の壁が隔てていた。
小さい上にあの病室の窓はベットから少し離れていたからブランコの手前の、飛び降りて着地するあたりしか見ることができなかったけど。
奇妙な縁もあるものだ。
私は夢をみた
病室で外を見ながら
はなうたを歌っている
女の人の夢
そして私は夢から目覚めた
なぜかわたしの目には涙が流れていた
cat
白色の病室はいつも窮屈で
色ついた外の世界が羨ましくなった。
僕にはお見舞いに来てくれる人なんていないから。
僕の病室は寂しい。
僕の荷物くらいしか置いてない
そんな僕だけだった病室に
お花が飾ってあった。
なぜ?誰が?なんのために?
僕は分からなかったけど
嬉しくなった。
色のない僕の病室に色があったから
また色が増えたらいいな
─────『病室』
私は子どもの泣き声を聞きたい
暗い部屋にいるはずの子どもに泣いて縋りついてきてほ しい
一人で目覚めるのはとても寂しい
毎朝ポコポコと蹴って起こしてくれたじゃない
足先もみえないほど大きくなって存在を主張していた じゃない
重くなっていく度にどんなに腰を痛めたことか
ねぇ、なんでここには私しかいないの
私の腹はぺたんこになって足先までよくみえるのに
隣には小さなベットまであるのに中身は空っぽ
よく覚えている
あなたの姿を初めてみたとき私は涙がとまらなかった
痛みと嬉しさと色んなものが混ざった涙
いつまで経ってもあなたは私の隣に来ない
期待が萎んでいって代わりに不安が膨らんでいった
透明な箱の中、いくつものチューブに繋がれる子。
手のひらくらいの小さな胸が電子音に合わせて上下している。固く閉じた瞼はずっと閉じたまま、たまに足をバタつかせる様子をただ見つめている。
看護師がやってきて何か言っているけど、何も頭に入ってこない。透明な箱の小さな扉をあけて促されるまま手をいれた。
小さな頭から頰を指先で丁寧になぞる。ふるりと震えただけの瞼は開かない。拘束されていない方の手がピクリと動いた。チューブに触れないよう気をつけながら小さな手を握る。ほぼ人指と親指でつまんでいるようにしかみえないけれど、これが私たちの握手なの。強い力で握り返される指先は温かい。視界が揺らいでいくのを堪えて目の前の光景だけをみつめる。絶対に見逃さない、見逃してなるものか。
「はやく、泣き声が聞きたいなぁ」
小さな小さな私の子。大きな声で泣いて笑って私を呼んでちょうだい。そうしたらすぐに飛んできて抱きしめるから、目をまん丸に開いて驚いてくれたら嬉しいな。
こんな箱の中なんて退屈でしょう。私はもうすぐ出ていかなきゃいけないから寂しくて堪らないの。あなたも一緒でないとダメなの。
だから、はやく泣いてちょうだい。
【題:病室】
窓には、星が何百も広がっていた。
藍色と黒色を混色してできた空に、
一段と青く輝く三角形。
私はいつか、
“あの三角形の中をくぐって、
三日月の湾曲部分に座り、
星々を見下ろしてみたかった。”
時計の針は、
段々と止まりかけている。
ベッドから立ち、
息が荒くなるのを感じたけど、
私は、あの空を
羽ばたくしかなかった。
星空の入り口に、足を掛けて
「どの星の隣に行こうかな」
と、しばらく考え込んだ。
やっと決まったかと思えば、
星空の入り口は
あまり開こうとしなかった。
数分、葛藤したのち、
翼の生えることのない背中を信じて
あの三角形を目掛けて羽ばたいた。
【病室】#4
雲のような真っ白な空間
その真っ白なベッドの上には
苺のような赤色が転がっている
その上には
トッピングされた1人の人間が
首をつっている
「病室」
【病室】
病室から見える景色は
ほとんど同じ
私は外には出れない、、、
味気ない
無機質な部屋に1人
外の世界はキラキラと
輝いている
自分が拒絶されたような
戻れないような
押し込められた空間を
すぐにでも飛び出したくて
苦痛だらけなこの世界
意味なく涙が流れ出て
誰もが救いを求めてる
死にたくないと願いながら
手を差し伸べられる事を期待して
今この1日を踏み越える
【病室】
もう、生きられないと思っていた。
全身の脱力感と、眠気に襲われ、
このまま死ぬんじゃないかと思っていた。
窓の外に目をやると、小学生たちが元気よく遊んでいる。
「よかったね」
羨ましいよ。
もっと生きていたいのに、死にたくないのに。
一人の少年と目が合った。
少年は表情一つ変えず、私を見つめた。
口が動いた。
「だいじょうぶだよ」
そう言ったように見えた。
もうちょっとだけ、生きられる気がした。
「病室」
消毒の匂いが鼻をくすぐる。
点滴の針を腕に刺し、固く目を瞑ってベッドに横たわっている人物はトラックに轢かれそうだった私を庇って代わりに大怪我をした人だ。
なんてお人よしな人だろう。
庇ってもらったのにも関わらず私は不躾にも思ってしまった。
知人であるならまだしも、一度も会話をしたことがない人を庇って、十数本の針を頭に縫うという大怪我をしたんだ。
ガラガラ……と病室の扉を開く音がして、発音源の方を振り返ってみると、担当医がいた。
「……まだ、目を覚さないようだね」
「…………はい」
私は小さく返事をした。
「今日で二週間だ。心臓は動いているが、目を覚さない。仮に、目を覚ましたとしても、運ばれた時の状態は散々だった。もう、足は動かないかもしれない」
それを聞いて私は静かに俯いた。
「助からないんでしょうか」
担当医は窓の外の景色を眺めながら、再び口を開いた。
「できることなら完治させたいよ。でも、僕の腕では難しいだろう。後遺症だ」
そこで担当医は言葉を切った。ベッドに横たわる患者を一瞥し、問いかけた。
「何故、君は自らトラックに突っ込んでいったんだい?」
そうだ。側から見ればそう映るだろう。
何故なら私は、もう現世にいるべきではない存在。
トラックに轢かれようが、私にもトラックにも傷一つつきやしない。
なのに、不幸なことに、正義感が強い人が私を見つけてしまい、私を庇ったのだ。
元々、霊感が強かったのだろうか。いや、先天性のものであれば、生きている者かそれ以外かの区別はつくはずだ。
となれば、答えは一つ。死期が近かった。死期が近い者は彼岸へ強く惹かれるという。つまり、この世非る者を認識する能力が上がってしまうことがあるらしい。
死期が近いから私を見てしまった。その私を助けるために自分自身が犠牲になった。
多分、庇った人はもうすぐ私と同じ存在になるのだろう。
「今日は貴方の親御さんが来ています。面会の手続きをしてきますね」
そう言って、担当医は病室を出て行った。
その数時間後、私を助けた人の心臓の鼓動が止まった。
(叙述トリックを意識して書いたつもりなんですけど、叙述トリックって難しいですね。経験が足りないことを改めて痛感しました。)