『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
~病室~
僕があの人を見たのは、春頃の病室。
彼女は桜を見ていた。
後ろ姿でもわかるこの美しさ。
彼女は僕に気づいて微笑みかけてくれた。
ただ……目には涙が浮かんでいた
今にも泣きそうで苦しそうで。
僕に何かを訴えかけているようだった。
だから僕は言った
「大丈夫?」 と、
そしたら彼女は泣きながら、「私ね明日死ぬの」
僕はびっくりしたおもわず病室に足を踏み入れ彼女に寄り添った。
でも「そっか……」としかいえなかった。
それしか声が出なかったんだ。
「だからね君にこの写真あげる。私の宝物なの、だけど私が持っててももう意味が無いから」
僕は受けとった。
だけど………何故かその写真に見覚えがあった。
「ねぇ湊くん。私の事やっぱり忘れちゃった?事故で記憶喪失になったんだって?お医者さんから聞いたの隣の病室に私と同い年の男の子がいて記憶喪失になったって。」
本当に驚いた。だけどほんとに微かな記憶の中に彼女と遊んだ記憶がある。
「春菜ちゃん……?」
「!?私の名前覚えてたんだ!嬉しい!実はさ私達学校の帰りに遊んでたらクルマが急に突っ込んできてさ。私達引かれちゃって。
私は打ちどころが悪くてもう……明日死ぬの」
「そうだったんだ……」
「うん。あのねわたし湊くんにいえなかったことがあるの。わたしねずっと前から湊くんの事が好きだったの。 もう明日死ぬのに何言ってんだって感じだよね。(笑)」
「いいよ。たった一日でも1時間でも。」
彼女は、春菜ちゃんは泣きながら「ありがとう」と言ってくれた。
その後僕達は初めてキスをした。
看護師にバレないようにカーテン越しで。
「私もし生まれ変われても、湊くんの彼女でも居れるかなぁ。私のこと覚えててね。」
「勿論。忘れないよ。もう夜だから部屋に帰るね」
「またね!!!!私明日の朝にはいないと思うけど、ずっと空から見てるから。だからまたね!」
僕は頷いたそれ以上何かすると。
涙が止まらなくなりそうだから。
~翌朝~
彼女は亡くなっていた。
僕には幸せな恋であり、今でも大切な彼女だ
だから見ててね春菜ちゃん。
君の分まで頑張るから
病室の思い出は、息子を産んだ時。
それ以外は入院なんてしたこともなかった。
初めての育児で、授乳も下手くそで
とにかく大変過ぎた思い出…
でも3食のご飯と10時と15時のおやつが
楽しみで楽しみで、幸せだった。
5日も居ると家のように思えてきて、
退院したくなかった。
無機質な空間
窓から見える日常
どこか遠く
言葉は空回って
消えていく
ただ手を握って
鼓動を感じて
―病室
「病室」
私の人生の思い出は病室。
私は人生をほぼ、病室で暮らしていた。それ以外は、私が大好きな彼氏の家にいた。
私にとって病室は、家であり、辛い思いをする場所、思い出の場所。
普通の人から見たら、おかしいかもしれない。普通の人は病室で、一生を過ごすなんてあり得ない。
あるとき友達がこう言っていた。
「可哀想」、「不憫」と。
私は別に可哀想でも、不憫でもない。
だって、私には大切な人達が、そばにいてくれたから。恋人だったり、親友たったり、親だったり、看護師さんだったり。私には私を支えてくれる人が、励ましてくれる人が居たから可哀想でも不憫でもなかった。むしろ、私は恵まれてるな、とも思ったことがある。
私は、病室で寂しい思いをしたことはない。
辛い知らせを受けることは何度もあって、何度も死にたいと思ったこともあった。だけど、その度に励ましてくれるる人達がいた。私は恵まれていた。
やりたいこといっぱいあったけど、学校に通いたかったけど、私は幸せだったと思う。
「私にとって、病室は思い出の場所。」
いやぁ、今回は長い~!読むの辛かったらすみません!
【短歌・愛は儚く】
呆気なく直線示す心電図
ずっと一緒に過ごしたかった
-外川晃・白里優希-
(病室)
【追記】
累計♡100誠に有難う存じます。
これからも精進して参ります。
その病室は異常にきれいだった。
ごみも出ない。布団を直してやる必要もない。食事もこぼさないから、手のかかる要素はなにひとつなかった。
ただし普通の患者ではない。
ナースたちはその病室に関わるのを嫌がるか不思議がるかのどちらかだ。リネン交換の必要があるのか、などと大抵の新人は不思議がる。ただ、交換のときにはきちんと声かけするようにと言われるから、納得はしないものの、一応言われたようにしている。ただししなくても困ったことはない。手のかからない患者なのだ。
看護師さん、あの部屋の人はなんで入院してるんだい?と訊く患者への答は一応ある。でも、実は誰もそうは思っていなかった。
神様か、妖怪か、座敷わらしか。噂は散発的だ。医院長の気が狂れてるなんてのまである。
もう分かったかな。その患者、姿がないんだ。
【病室】2023/08/03
真っ白な布団。
真っ白な服。
真っ白な壁。
真っ白な床。
どこを見ても、真っ白な景色ばっかり。
唯一白くないのは窓の外の世界ぐらいだ。
あの先へ行きたい。
そう思うのも仕方がない
こんな真っ白な世界より、「色」に溢れた『あっち側』の世界で思いっきり遊びたい。
でも、それももう、叶わないかもしれない。
自分がなくなっちゃうまで、ずっと『こっち側』の世界でしか生きられないかもしれない。
ずうっと、ひとりぼっちかもしれない。
─── そんな感覚、君は知らなくてよかったのに。
かつての自分と重ねるように僕は、『こっち側』の世界に閉じ込められて、『あっち側』の世界を眺める愛しい女性を、ただただ黙って見つめていた。
【病室】
もぬけの空になった病室を、てきぱきと片付けていく。塵を除き、人の手の触れやすいドアやベッドサイドテーブルの表面を除菌し、床を清掃。果たしてここに入院していた人がどうなったのかは、クリーニング屋に過ぎない僕には知る権利がない。
僕にできることはただ、次にここを使う人が少しでも気持ちよく過ごすことのできるように、丁寧に繊細に掃除をすることだけだ。
隅々まで清掃を終えて、最後に空気を入れ替えるために病室の窓を開け放った。鮮やかな新緑が目に眩しい。吹き込んできたさわやかな風が、優しいベージュの色合いのカーテンをそよそよ揺らした。
僕には患者さんのことはわからない。だから勝手に想像する。きっと今までこの場所を使っていた人は、笑って家族の元へと帰っていったのだと。そうして勝手に祈るのだ。どうか次にここを使う人の道行きにも、溢れんばかりの幸いがありますようにと。
神様。どうか次のお客さまにも祝福を。胸の前で小さく十字を切って、僕は次の病室へと向かうために目の前の窓をぱたんと閉める。真っ白い清潔な病室は、次の患者さんを受け入れるために粛然とそこに佇んでいた。
痩せ細ったあなたの手を握って
白い鳩が飛んでいくのを見たこの部屋で
今眠るは私
白磁色の天井、肌、におい
辿るあなたの思考、記憶、言葉
濁っていく 真冬の空のように
失われていく光の向こう側
スライドしていく写真は鮮明に覚えていて
此処はあまりにも考える時間があり過ぎて
忘却という暇を与えてくれない
弱々しい呼吸を吐いては繰り返し
焼き付いて離れないあなたの笑顔を夢に見た
二人以外誰もいない病室で、私は、君に愛を誓った…「ずっとずっと君だけが好きでした!もし良ければ私と付き合って下さい!」すると、君は、「俺もずっとお前が好きだった。俺で良ければ今日から宜しくな」と。凄く嬉しかった。そう、この世界には、私達二人しかいない…病室だって、外に出たって…だから、私達は、何時だって自由だ。これからもずーっと、私だけを愛してね?My Darling
、、病室のような間取り。部屋の四隅にベットが置いてある。窓からは木とグラウンドが見える。窓は鍵がかかっているようだ。ロッカーには、靴磨きセットが置いてある。、>>>隊舎からの脱出<<<
今の自分にとって病室は、小さいけれど天国だ。
快適な空調に、バランスの取れた食事が三回、決まった時間にとれる。
朝の回診が済めば、あとは何をしていても自由だ。
消灯時間になって電気が消えたら、眠るしかない。
この5年、食事も睡眠もロクに取れず、ただただ働いてきた。
よく生きていたと思う。全部呑み込んで、結果がこれだ。
何度も死にたいと思ったけれど、いざ病気を告げられると、死ぬのは怖い。
生きていたいと思った。
でも幸い、死ぬまでの病気ではなかった。
「明日、お見舞いに行きます」
届いた素っ気ない文章に、そういえば病院嫌いだったなと、少しだけ笑ってしまった。
翌日、オドオドしながら病室の入り口に現れた。目が合うとあからさまにホッとした顔をして、小さな一輪挿しと、蕾のついた短い枝を一本差し出した。
「もうすぐ咲くと……思う」
花は嫌いだとか、病人に水換えをやらせるのかとか、色々と言いたいことはあったものの、「ありがとう」だけを伝える。
お互い病気のことには触れず、病室は空調がきいているから、花は咲くだろうということだけを話した。
何かを待ち遠しいと思ったのは久しぶりだ。
毎朝水換えをして、一輪挿しを日向に置く。
退院までにはきっと咲く。
きれいなはこ
やさしいきみ
さかさじかん
おやすみあさ
おはようよる
きりとられた
そとのけしき
すこしがまん
なおったなら
どこへいこう
やまがいいな
うみもいいな
めぐりめぐる
はないちりん
『病室』
精神疾患を患っている訳では無いし、身体的疾患だってない。だけれども、時折自室に引き籠もってしまう。約一日だけれども、自室は私だけの病室になるのだ。
【病室】病室に最後に入ったのは、たしかーあれは、
なぜだがよくわからないけど、サルモネラ菌が
検出されたから、たまたま入ったお店で、
たまたまたべたゆで卵にあたったんだと思う。
あと、その時の体調がよくなかったというのもあるかな
いずれにせよ自他とも、病室には入りたくないねぇー。
最期は、お世話になるかもしれないけれど、できたら
避けて通りたい空間。身体、気をつけて行こ!
3年後のpure
雲よ
お願いだから
月を
隠さないでくれないか
淋しくて
淋しくて
暗闇にまぎれたら
きっと
泣いてしまうから
今夜は
月明かりを
消さないでほしいのだ
☆ 淋しい夜 (231)
私はアンチストレッチマン。
興味本位で家の2階から飛び降り膝を悪くした私は世にはびこる健常者を恨んでいる。
「今日もアンチストレッチストレッチ!」
私が街を巡回しているとさっそく邪悪な活動を見つけた。
子供たちが公園でラジオ体操をしている。
私は全速力でラジオに近づくと蹴り飛ばし提案した。
「クソガキどもが地獄に落ちろ!」
するとガキどもは蜘蛛の子を散らすようにどこかに逃げて行った。
健康児どもが。家でゲームでもしてろ。
しかしよく見るとまだ帰っていない人物がいた。子供の保護者だ。
保護者は言った。
「ラジオ代を弁償しろ!」
しまった!コイツはモンスターペアレントか。
ラジオが壊れたのはラジオの責任であって私は関係無いのだが。
しかし私も負けるわけにはいかない。ネットで調べた格闘術で応戦してやる。
が、
「これを持ってきていて良かった」
保護者はどこからか取り出したチェンソーを取り出しエンジンをかけた。ブゥーンブゥーン。
まずい殺される。
私は逃げようとしたが、足が動かない。
さっきラジオを蹴飛ばしたせいで膝がやられたみたいだ。
また病院通いか。
「ラジオの仇ーあああああー」
膝をついた私に保護者がチェンソーをかかげながら飛びかかってきた。
─その時
「あいつが不審者だ!」
警察官が保護者を取り押さえた。
どうやらガキどもが通報したらしい。
「待て!私は善良な一般人だぞ。異常者はアイツだ」
保護者は何か言っていたが問答無用でしょっぴかれていった。
「やれやれ。今日も街を平和にしてしまった」
私はカッコよく決めつつ、病院まで這っていった。
#病室
四角く区切られたこの病室に窓はない。
あるのは唯一の出入口である扉と区切り板だけだ。
こんなに息が詰まる部屋は、そこにいるだけで気が触れてしまいそうになると思った。
真っ暗闇な中、自分以外に誰かいないだろうかと周りを見回してみる。
だが真っ暗闇なのだから何も見えず、代わりに聞こえてくるのはゴウゴウという風の慟哭だけだった。
誰か助けてくれと叫ぼうとしたが、自分は声が出せないのを思い出した。
そうしてどれくらい経った頃だっただろうか。
ガチャリと唯一の出入口である扉が開いて、そこに見たこともない奇妙ななにかがぬっと現れた。
そして、奇妙ななにかは細長い小枝が五本ついた太い枝をこちらに伸ばしてから自分をむんずと鷲掴みにすると、そのまま光の方へ連れて行き。
「ママぁー、卵ってこれで終わりー?」
「テーブルの上にある買い物袋にさっき買ってきたのがあるから、それも一緒に使っちゃいなさい」
「はーい。オムレツにしようかなー?それとも卵サラダ?うーん、どっちがいいかなぁ」
開けてある窓にかかるカーテンはひらりと揺れては外の景色をちらりと見せる。
無機質なこの部屋から見える彩り、ろくに動けない身体で眺める外の世界が私にとって唯一の楽しみ。正面に見える通路は部活の練習のためによく走っていた、今は全く違う視点から見ている。知ってる道のはずなのに、知らない道のようだ。
入院したばかりの頃は家族も友達も、私を退屈させないために色々と用意してくれた。絶対治るよ、また走れるよ、そう言って渡してくれたのは花束と沢山の書き込みがあるメッセージカード。
漫画や文庫、手遊びにゲームやノート、様々。
でも時間が経つに連れて、訪ねる人は減ってゆく。
それはそうだ、皆やるべきことがあるのだ、日常的に会えなくなった人に、自分の生活に関わることのない人に尽くしてやることは出来ないだろう。
私の両親だって最近は会いに来なくなった、他人なら尚更。
廊下にいる看護師たちの密やかな声、扉越しに微かに。
聞き取れない声に体か強ばる。私を憐れんでるの?
「あぁああッ!」
頭では理解出来てる、でも心は納得してくれない。
衝動のままにベッドサイドの棚から物を払い飛ばす。
かつては彩りの一部だったもの、今や私を惨めにするゴミだ、価値などない。
物音に駆け着けた看護師が声を掛けてくる。
うるさいうるさいうるさい。
ベッドにうつ伏せて、何も見えない聞こえないフリ。
看護師のため息なんて聞こえない、聞こえない。
「びっくりした、怪我してない?」
看護師ではない声に、顔を上げる。クラスメートの女の子、数少ない来客。度々やって来る変な奴。看護師と一緒に入ってきたようだ、肝がすわっているというのか、ただ鈍いのか。
「今日はね、駅前で路上ライブを見たんだけどさ」
そういえば彼女は差し入れの類いは持ってこない、いつも土産話だ。最初は学校の行事やクラスの様子を話してくれたけど、いつからか話さなくなった。最近は彼女の周りで起こったことや見聞きした話しだ。気を遣わせたようだ、私のためにこんなに尽くしてくれる必要なんてないのに。
モヤモヤとした気持ちがまた戻ってくる、ダメ。
「それで、そのオバサンは」
「もう、無理に来なくていいよ」
言ってしまった。後悔、本当に来なくなるかも。
「私なんかのためにさ、ここまでしなくていいんだよ、自分の好きにすればいいじゃん」
ムシャクシャした気持ちを勢いのままに向けてしまった。
こんなこと、言いたかったんじゃないのに。
会いに来てくれる相手に、こんな。
「もう来ないで」
違う違う、なのに本当の言葉が出てこない。
沈黙が痛い、どうして、だってでも。
何も言えなくなった私の表情から何を感じ取ったのか、彼女は微笑む。
「……ん~、ならさ最後に私の語りを聞いてくれない?」
――一目惚れみたいな感じなのかな。大会前かな、放課後に練習で走ってるとこ見た時さ、貴方の表情に、なんか、すごい、衝撃を感じてさ。あ、恋愛って訳ではないよ、多分。ただ、あの時見た表情が、また見たいな、好きだな、もう一回、いや何度でも見たい。うん、ゴメン恋愛否定したけど言葉にしたら自信無くなってきた。ずれたね戻すわ。
とにかくそんな調子だから、見るチャンスを逃したくなくて何かと来てたわけ。うん、もう見れないかも知れないし、けどそんなことないかも知れない。うん、もう前みたいに走れないのは聞いた。でもさ、それでも諦められないのですよ、見たいなって思うわけですよ。我ながらしつこいねぇ。
……世の中、色んなものが溢れていて、出会いも沢山あるわけだから、もしかしたら『走る』以外でもあの顔を引き出せるものが有るのではないかと、期待しているわけですよ。また、見せて欲しいわけなのですのよ、生を謳歌していると言わんばかりの眩しい顔を。君を望んでいるわけですよ、私のためにね。
「口調おかしくなってら。とにかくさ、自分の欲望のままの行動なので気にしなくてよろしいのでして、待って泣くなよぉ」
――私たちまだ若いんだぜ、何もかも諦めるには早いのでは? だからさ、退院したら私と一緒に色んなとこ行こうよ、色んなものに会いに行こうよ
「何だコレ?プロポーズ?」
「自分で言って、自分で疑問になってんの可笑しいでしょ」
久々に笑えた気がする、そっか諦めるにはまだ早いか。
「その顔も好きだね」
「私のこと好き過ぎでしょ」
ほんの少し、彩りが戻って来た気がする。
私たちの色、もっと鮮やかに広がりますように。
「病室」
「悦ばれる肛門ですよ」
耳を疑った…どういう事?
見返した医師は爽やかに微笑んでいる
イボ痔を診てもらいに来ただけなのに…
この人は肛門からイボを取り除くだけじゃなく自信を植え付けようとしてくれてる?
ダメ…今、そんな優しくされたら…私
泣きじゃくる私を尻目に彼はゆっくり座薬を押し込んでくれた