【病室】2023/08/03
真っ白な布団。
真っ白な服。
真っ白な壁。
真っ白な床。
どこを見ても、真っ白な景色ばっかり。
唯一白くないのは窓の外の世界ぐらいだ。
あの先へ行きたい。
そう思うのも仕方がない
こんな真っ白な世界より、「色」に溢れた『あっち側』の世界で思いっきり遊びたい。
でも、それももう、叶わないかもしれない。
自分がなくなっちゃうまで、ずっと『こっち側』の世界でしか生きられないかもしれない。
ずうっと、ひとりぼっちかもしれない。
─── そんな感覚、君は知らなくてよかったのに。
かつての自分と重ねるように僕は、『こっち側』の世界に閉じ込められて、『あっち側』の世界を眺める愛しい女性を、ただただ黙って見つめていた。
8/2/2023, 10:27:11 PM