『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
病室の白い天井を見ながら、私は呟く。
「まだ……生きたい……」
叶わないと知っていても、口から零れた。
だけど……もう私は駄目なのだろう。
白い病室の中に、白い天使が舞い降りた。
今日のお題
╭━━━━━━━━━━━━━━╮
病室
╰━v━━━━━━━━━━━━╯
私は至って健康体なので、一度も入院したことはない。だけど、私の心は今でも病室のベッドで横たわったままだ。いつ、退院できるんだろうか?
病室。
私がお母さんの
病室に入る時は
「ただいたま」
帰る時は
「行ってきます」って
言うよ。
家を出るみたいでしょ?
「病室」
もし、今寝たきりになってしまったら
誰が私のもとに来てくれるだろうか?
私のために
誰が泣いてくれるだろうか?
誰が心配してくれるだろうか?
そう思い時々、自ら命を絶ちたくなる時がある
こんな私にはもう、誰も居ないのかもな
もし、明日晴れたら(2023.8.1)
朝起きて、薄暗いカーテンの向こうに嫌な予感を覚える。窓の向こうは、案の定雨だった。
「マジかぁ…」
今日は友達と遠出の約束だったのに……。落胆しつつ枕元のスマホを確認すると、メッセージ通知が一件。
『雨、降っちゃいましたねぇ』
メッセージ主の言っている様子が想像できるような、のんびりとした口調に、私は思わず笑ってしまった。
『降っちゃいましたねぇ』
同じように、どこか気の抜けた口調で返す。
『今日のお出かけ、どうする?』
『うーん…雨もけっこう激しいから、やめときましょうかねぇ』
『そっか、了解』
一通り会話を終えて、はぁ、と一つため息をつく。わかってはいたけれど、やっぱり遠出は無くなってしまって、とても残念だ…。
と、終わったと思った会話に、返信が来た。
『それじゃあ、もし明日晴れたら、君に告白するから、楽しみにしといてねぇ』
「…え?」
シュパッとメッセージに楽しげなスタンプが続いたけれど、私は大混乱の中だった。
え?告白??女子同士…いや、そんなこと気にする時代じゃないし、私も嫌じゃないけど…えぇ?!
困惑する私をよそに、空は少しずつ明るみつつあった。
明日はきっと、晴れるだろう。
病室(2023.8.2)
私は生来幸運なことに大病やら大怪我やらに襲われたことはないため、病室なんてものはそれこそ自分がこの世に生み落とされたときにぐらいしかお世話になったことがない。だから、病室に関する記憶はもっぱら他人の入院に付随するものだ。
天寿を全うする間際、病室のベッドに力無く横たわる曽祖父。嬉しそうに、生まれたばかりの赤子を見つめる叔母。そういった、相反する経験しかないのである。
つまりは、私にとっては病室とは生と死の象徴であって、なんとも近づきたくない場所だということだ。
仕事で病室に行ったことがあるが殆どがただ苦しそうに眠る高齢者ばかりで健康の為に努力を惜しむのだけはやめようと思った。
「ほんとうに、十年、経ったんだね」
まだ、たどたどしくしか話せなかった私の言葉を、あなたは静かに頷いて聞いてくれた。
しばらく会えなかった理由を、せっかく目を覚ました私と、私の家族との時間を邪魔したくなかったからと教えてくれた。
何を見てたの、とあなたに聞かれた。私は、病室の窓から見える山の麓を指さした。
「桜、見てた」
あなたが、窓の先に目を凝らした。桜といっても、ここからだと遠くにうっすら、散る前の最後の桜が見えるだけ。もうすぐその季節も終わる。
「お花見、行けなかったな、って」
私がぽつりと呟くと、あなたはそっと口を開いた。
「元気になったら行こう。今年は間に合わなくても、来年行けばいい。一緒に行くよ」
私は、その言葉が嬉しくて、あなたに聞き返した。
「私と、行って、くれるの?」
「ああ」
「嬉しい……じゃあ、約束、ね」
私が小指を立ててあなたに手を伸ばすと、少し照れくさそうに、あなたの小指を絡めてくれた。
笑顔を作るのに不慣れだったあなたが、不器用に、ふっと口元を綻ばせてくれた。
自作小説『春を待つ』より
目が覚めるとベットの上だった。
カーテンに仕切られた小さな部屋の中で
ただ、小さな呼吸の音が聞こえた。
なんでここにいるんだっけ?
僕は誰だっけ?
なんで生きてるんだっけ。
病室に、空調の乾いた音が響いていた。
かたわらには、新生児用の小さい小さいベッドが設置されている。
赤ちゃんは、眠っているのか身じろぎひとつしない。産まれたばかりの赤ん坊が、こんなに眠るものとは知らなかった。
私は四角い窓から真っ青な夏の空を見上げ、生まれて初めて味わう充足感に浸っていた。その後に続く、辛く険しい療育のことなどまったく知らないまま。
【病室】
#病室
病室の窓から外を眺めること早数年。
毎日毎日同じ景色ばかりで正直飽きた。
あとどれ位ここにいれば良いのだろう。
ゲームも読書も飽きたし、お見舞いに来てくれる友人もいなくなった。
最近は家族すらもお見舞いに来てくれない。
看護師さんに話しかけても無視される。
なんで?どうして?
私だって病気になりたくてなったわけじゃない。
それなのに、私だけなんでこんな思いをしなくちゃならないの。
あーぁ、1人はいや。誰か私の所へ来てよ。
それから数日後、私の部屋に誰かが入ってきた。
珍しいこともあるものだと入口に目をやるとそこには看護師さんとほかの患者さん。
看護師さんはその人に向けて言った。
「今日からここがあなたのお部屋ですよ。」
どうして?ここは個室よ。それなのに、なんで他の人を連れてきたの?ここがあなたのお部屋?違うわ!私のお部屋よ!!
看護師さんに訴えたけど、無視された。
患者さんも私を無視した。
私が見えていないかのように振る舞う看護師さんと患者さん。
どうして見えないように振る舞うの?
病室
夜勤やってた時の話……
とある精神科なのですが
拘束というものがありまして
その拘束をされている方がいました
昼間も夜も拘束をされていました
その方は、動くことはなくぶつぶつといつも
何かを話していたのをよく覚えております
そのとある夜の話です
精神科の夜なので、皆様、薬を飲んで寝ているため
私の足音だけが響く状態でした
その方の病室は、大広間の一番近いところだったので
部屋を回る際に一番最初に回る予定でした
部屋の前まで来ると
突如、後ろからその方が声をかけてきました
当時も今も意味がわかりません
会話はできてませんが、
こちらの意思は伝わったのか、何も暴れることなく
部屋に戻り、元通りにさせて頂きました
その後は、何度かすり抜けをするという
危険なことを何回もやられました
という嘘のような本当の話
あれは、こまりましまねぇー
病室
ぼやける視界がクリアになる
ここはどこと聞く間もなく
どこかを理解する
世界という病院の
日常という病室
みんな普通だと思ってる病棟
それが私のいる病棟名だ
病識の欠場、病感の欠落
私は大丈夫
それがみんなの合言葉
それを前提に
あの人はおかしい
どうかしていると
非難しあって
同じ場所にいる
何をわかっているのか
わからないままじゃないか
私が私でいるうちに
私に迫られる前に
誰かの言葉に耳を貸す前に
誰かの指差す方へ黙って
ついていく前に
今ここがわかってどうする
どんな場所かを知って
自分に何を求める
今ある全てを疑って
病室が病室であることを
わかったままに
病人のふりして
抜け道がないか
目を凝らして探してる
私が私を追い越すために
お外はどんな素敵な景色が
広がっているんだろう。
華やかで、キラキラしてて
素敵なんだろうなぁ…
どうしても言ってあげられない
憧れているだけが
幸せなんて
私は外を知っているから。
そんなに良い場所でもないよ。
だけど
せめて元気なら
楽しいのにね。
なんて
私は残酷。
–病室–
長く伸びる廊下。
永遠に続くであろう苦痛に身悶える、身に覚えがする。
306号室のがら空きの部屋に、ひとりの痩身の男は腰かけた。
ここは、元は病室だった部屋で、鉄格子のはまった窓が厳しい。
なにをそこまで、妄執的にと思うが、警察病院の3階であって、人を逃がさないようにするのは、当たり前だろう。
現在は使われていないものと見え、消毒液の匂いはおろか、医者の話し声もしない。
ただ、相方が後ろからコツコツと靴音をさせて、近づいてくる音が聞こえた。
機嫌悪そうに語りかけたその男は、水道の蛇口をひねると、水を飲んだ。
こんな、水道管が腐っていそうな場所で……。と、怪訝な顔で返してやるが、ふてぶてしく息をつく。
ただ、男の有り様は、世間からは外れていたが、彼らの暮らす社会では、不適合者ではなかった。
暴力と策謀とが混雑する世界では、男の暴力癖は、クロールの途中で、息継ぎをするような、潔さに満ちていた。
相方は、血反吐を吐くようなこの、闇社会でのし上がってきた、成り上がりの男だったが、さすがにこの廃病院の調査にも、抜かりはないようであった。
ただ、愚痴は多かったな、と今になって思う。
愚策ではなかったが、愉快な話はひとつもなかった。
病室。
ここにいると
こんなにも
ここをひつようとする人たちが
いることを知る
外にいると
みんなが健康そうに見えるのにね
そうでもないってことか
病室
幼少の頃…難病になり
一生治らないと宣告を
受けて…泣いたことを
覚えている…
入院生活は周りに馴染めず
1人でゲームをしたり
音楽を聴いて過ごして
いた…
消灯になっても、
ゲームや音楽を聞いていた
ように思う
お気に入りのゲームや
音楽を何度も何度も繰り返して
いた。
人と馴染めなかったけど
お気に入りの世界があったので
うれしかった
病室から見える景色を縁取るように、窓があり、そこに、彼女がいる、
まるで、絵画のような
桜の木と散っていく花弁、今にも消えてしまいそうな君の笑顔。
その全てが、合わさると凄く綺麗で…思わず写真を撮ってしまう。
そうすると君は
『なぁに?何を撮ったの?笑』と笑い聞いてくる
「君の笑顔だよ」と僕は答える
そうすると彼女は恥ずかしいなぁ、と照れながら笑う。
頬を紅色に染め…まるで、病気じゃなく、すごく元気そうな顔色にする。
それでも、君の笑顔腕は、持ったら、折れてしまいそうな…お世辞にも、いい体とは言えない体。
今にも消えてしまいそうで、でも、君には笑っていて欲しいから、それを悟られないように、今日も綺麗だよと言う。
彼女の遺影はその絵画の様な写真にした
数日前、彼女は、静かに息を引き取った。
最後の言葉は。
『この部屋から貴方がこの病室に走って入ってくるのを、毎日見てたわ…笑 愛してる』
と。
窓から一番近いところ。
そこが私のベッド。
居心地の悪いベッド。
私が生きられるのは、あと一年。
その隣のおじいさんは、あと半年。
隣のおじいさんから、笑い声が聞こえてきた。
テレビの音が聞こえる。
私の顔は常に無表情。
テレビなんて雑音が流れる無機質なものに過ぎない。
あ、目の前の彼が微笑んだ。
私の顔を見て微笑んだ。
手を振られた。
そんな彼が生きられるのは、あと数ヶ月。
あぁ、あなたともっと早く出会えていたら、私は……
〜病室〜
病室で目覚めた。
やっぱり、と思った。おまえがオレの恋人になるなんて、やっぱり夢だったんだな。
そう思ったのに、オレの手を握ってる奴が隣にいて。その光景には現実感がなかった。
なぁ、これが現実なんだとしたら、今から謝っても遅くはないか?
病室
なんか憧れてしまうところがあるんだよな。
だいぶ不謹慎だけど。
でも、やっぱり健康が一番なんだよな。