『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
私はずっとそこにいる。
望めば出ていくこともできるけど、それは望まない。
たぶん、部屋にちょっとずつ水が溜まっていって、
溺れて死んじゃうとしても、
私はこの部屋を出ていかない。
「狭い部屋」
「開かずの扉」
背筋が凍った。ゆっくりと後ろを振り返るも誰もいない。それもそのはず、この家の家主は庭に放っている番犬すらも連れて出かけているのだ。誰かがいるはずがない、物音なんて気のせいだ。そう自分に言い聞かせて目当てのものを探る。
この家の間取りにあった不可思議な扉、調べたところ家主しか開けることがない、いわゆる開かずの扉と言うものらしい。ついでに言えばその先には空間が存在するそうだ。家主しかは入れず、空間がある…それすなわち……おおっと考えるだけ涎が出てきた。
たどり着いた目当ての扉の前で鍵を開け、震える手で戸を開く俺の目に入り込んできたのは震える目でこちらを見つめる人だった。
テーマ「狭い部屋」
狭い部屋
誰がここに連れてきたんだろう。そして、何一つとして悪いことなどしていない私はどうしてこんなところにいるんだろう。
気がついたらここにいた。そして人からの視線があった。
ふと体に違和感があった。だから目線を落として、自分の体を見た。
足、腰、腹、胸、腕、そして、一番違和感のあった手を見た。
嗚呼、そういうことか。
私は、きっと悪くない。
そう、あの人が、あの人たちが悪いから。
なのにどうして私は、こんな鍵がかかって、
鎖が付いて、人からの視線があるのだろう。
そこは、至極快適なのかもしれない。
そこは、ただの監獄かもしれない。
そこは、在るはずのない果てなのかもしれない。
それを形容する言葉も、例えも、いくらでもあって。
どれを選ぶかは、自分次第なんだろうけれど。
”狭い部屋”
少なくとも今の自分にとっては、「期限付きの楽園」かな。
狭い部屋
家族で住む家は大きいのに
僕の部屋は狭い
広いはずなのに……
タンス
ベッド
机
趣味のもの……
いつの間にか
僕の部屋は狭くなった──
少し前までは
床に寝転べるスペースもあったハズなのに
そう思って
少し断捨離をした
部屋の片隅に
使わなくなったオモチャを箱に積めて置いていた
それを思いきって……捨てた
その分、広くなったハズなのに
「どうも……こんばんは……」
その隅に変な人が住みついた──
どこかの絵本で見たような
可愛いキャラクターではなく
……変な人
どう変なのかは、想像にお任せするけど
理由は簡単、イメージは人によって違うから
──話は戻るけど
その変な人がいるせいで
僕の部屋は狭いまま
最初は無視して
どう追い出そうかとか
そんなことばかり考えてたのに
気付いたら
一緒にトランプしたり
ゲームしたり
宿題を教えてもらったり
今では僕の友達
最近、変な人は恋人が出来たらしく
時々、出掛けるようになった
僕にも好きな子が出来て
恋バナなんかもするように
いつか
変な人は結婚して
出ていってしまうかもしれない
いや
もしかしたら
変な人がまた
一人増えるかもしれない
僕の狭い部屋が
広くなるか
もっと狭くなるか……
実は僕自身が一番
わくわくソワソワしている──
(2023.06.04/狭い部屋)
昔、私の世界の全ては、1つの狭い部屋だった。
部屋はコンクリートで できていて窓は無かった。壁には上から下へとハシゴが伸びており、ここが地下だということは容易に想像出来た。
だが、自我が芽生えた頃には、もう既に私はこの部屋にいたため、私はそれを、認識こそしていたものの、私はそれに、逃げ出せる…、などの考えは浮かんでこなかった。
そのため、この部屋から出たことは無くて…、いや、そもそも私はこれが部屋だとは思っていなかった。私にとって、この部屋は私の全てだった。
昔から、この生活を続けてきたからか、この環境に疑問を持つことは無かった。
確かに、部屋には何も無くてつまらないなと思うこともあったが、それが普通だと思っていたから我慢していた。
私が、これが異常だと知ったのは、確か、13才の時だった。
突然、上からドタバタ音がして、静かになったかと思えば、ご飯の時しか開かないはずの、上に繋がる扉が開いた。
扉が開いた途端、光が差し込んで、あまりの眩しさに目を細めた。
そこに映ったのは、いつもご飯をくれる人ではなく、別の知らない人だった。
相手は、何かを言いながら、ハシゴをおりてくる。
私は、何かされるんじゃないかと恐怖に支配され、相手の声に耳を傾ける余裕が無かった。
だんだん、息が荒くなって、息ができなくなった。
苦しくて私は倒れ込む。
それを見た知らない人は慌てて私に駆け寄ってくる。
あまりの苦しさに、私はそれに構わず意識を手放した。
目覚めると、天井が白くて、そこは、いつもと違う所で、私は身の毛がよだつ程恐ろしく感じた。
少しすると、人が来て、私に『君は元々、〇〇さんの家族でね。君が2歳の時、急にいなくなって、とても心配していたんだ。混乱していると思うけど、ゆっくりでいいから慣れていこう。』と言った。
私は、言っている意味がわからなくて、ただただ怖かった事を覚えている。
私は時が経ってようやく、自分の異常さに気づいた。
昔の私の世界は凄く冷たいものだったが、今の世界は凄く暖かいと私は感じた。
嗚呼、でも、昔の私からしたら、昔過ごした世界は、とても心地よく楽しいものだった。
お題【 狭い部屋 】
今、見返すと長すぎました
スミマセン(;_;)
ここまで読んでくれた君は優しすぎて、もう人外ですね!(?)
小さな部屋だ。ここには私しかいない。
本もない。テレビもない。食料さえもない。
食料は隣の部屋だからないのは当たり前だ。
とにかく、この部屋には何もない。ミニマリストと言われれば納得するくらいには。
そんな何もない部屋に、私だけがいる。
私だけが、存在する。
この部屋の中、この世界だけは、私だけのものなのだ。
私という存在が許される唯一の場所だ。
外の世界は、私以外のものがたくさんいる。
私はそれに耐えられない。
外の世界では、私は息が出来ない。
他人の目が怖い。
他人が吐く言葉が恐ろしい。
他人を気遣う事ができない。
他人を傷つける言葉を吐いてしまう。
口を塞ごうとして息を止めてしまう。
誰の言葉も聞きたくないから、距離をとってしまう。
向けられる視線は痛いから、見ないように目を逸らす。
居場所なんてどこにもない。
さまようことにも疲れてしまった。
だからこの狭い部屋だけが、私の唯一の場所。
私が私で有ることを赦される、唯一の場所なのだ。
ここでようやく、私は息が出来る。
やっとまともに息が出来た。
6/4 お題「狭い部屋」
「えっ?」
「ん? え? マキ?」
「あれ? け〜ちゃんとゆっこ?」
「何だここは」
「いや何っていうか、狭すぎん? ぎっちぎちじゃん」
「あ〜、ゆっこ暴れないでよぉ、苦しい〜」
「何でこんなとこにうちら閉じ込められてんの? 何? 何かしないと出られないやつ? セ部屋?」
「いや女子3人でセ部屋はおかしい」
「せへや??」
「マキは今だけ耳聞こえなくなっといて」
「そもそもこの狭さでセッするのはありえない」
「その前にうちらみんな女子じゃん!」
「となるとまずセの定義からだ」
「あのねケイ、今そこ大真面目に議論してる場合じゃないんだわ」
「出られそう〜?」
「わからん」
「いやもう夢オチ祈るしかないかもね!」
「っていう夢を見て〜」
「夢の中でもさすが私だ」
「マキ。夢の内容はとやかく言わないけど、他の人には黙っときなさいよ?」
(所要時間:13分)
きつく閉じられたカーテン。
ほんの少し黒ずんだカーペット。
机に積まれた読みかけの本。
部屋の半分近くを占領する、人をダメにするクッション。
狭い部屋。けれどもそこは、私だけの領域。
酸いも甘いも、全てここで吐き出して。
そうしてできあがった空間。
何人たりとも、これを変えることはできない。
暗い。狭い。息苦しい。
ここはどこ。今は朝?昼?夜?もう分からない。
ここに入れられてからどれくらい経った?
たまに投げ入れられる残飯。私の存在は家畜以下、そういう事か。
時たま様子を見に来る女の人。私の弱った姿を見て満足そうに去っていく。
私をこんなにした張本人。
あれ、どうしてここにいるんだっけ。
あぁ、そうだ。新しく来たお嫁さんに嵌められたんだっけ。私は言いつけ通りに小さい時から御主人様の番犬やってたのになぁ。
御主人様も助けには来てくれないよね。あんなにお嫁さんの言ってた事信じ切ってたし。全部嘘なのになぁ。
18年の忠誠と絆より、3ヶ月の婚約者だったのね。
嫌いだ。何もかも。消えてしまえばいい。
許さない。主人も、女も、当主も、世界も。
次に生まれ変わったら、また私になろう。
そして何もかも、ぶっ壊してやろう。
まずは女を消して、主人の寝首を搔いてやろう。
眠くなってきたなぁ。ここで寝たら終わりか。
まぁ、いいや。どーせ転生とか出来ないしなぁ。
また何処かで。次は私が愛される世界で。静かに生きたいな。
サ ヨ ナ ラ .
──────────
『起きて、番犬。朝だよ。今日は寝坊じゃん、どうしたの。』
「ん、おはようございます。御主人様。」
見慣れた2畳半の狭い部屋。でも暗くて狭くない。
あーぁ、転生成功しちゃった笑
#狭い部屋
夜更けにひとり
狭い部屋の
ベッドの上で
耳の奥に染み込んだ
あなたの声を
聞いている
わたしの名を呼ぶ
優しい声を
聞いている
瞼を閉じれば
あなたが傍に居るようで
心に小さな明かりが灯る
夜毎にこうして
わたしは
明日を迎える
あなたがいない
朝を迎える
# 狭い部屋 (164)
やっと扉を開けて私を苦しめた狭い部屋から出ると
また私を閉じ込める一回り大きな部屋
生きている限りそれがなくなることはない
何か試練にぶつかってそれを乗り越える度
私は大きくなって
部屋も大きくなっていく
だから結局ずっと私は狭い部屋の中にいるのだ
いつかはこの狭い部屋から完全に抜け出して
青い空を見ることはできるのだろうか
まあ抜け出せなくてもいいか
あなたといられるのなら
悩みの尽きない人生、
そう思える人々に出会うまで
私はめげずに何度も扉を開けよう
『狭い部屋』
「……え」
家に着いた俺は、思わず目を疑った
誰もいないはずのリビングに灯りが灯っていたからだ
泥棒か……?
恐る恐る玄関の扉を開けた瞬間
《おかえりー!!!!!》
勢いよく娘が飛びついてきた。
「うわぁぁ!!!!」
驚いた俺は尻餅をついた
「え……何で……」
〈おかえり、あなた〉
「………ただいま……」
久しぶりに妻と娘に会えた。
ああ…リビングが狭くなったな……。
………。
2人が居ないと…寂しいな。
ー狭い部屋ー
子供のころは
とても広くて走り回っていた
隠れる場所もたくさんあった
何年かぶりで訪れたら
家は小さく
部屋は狭くなっていた
あれ?もっと広くなかったっけ?
そりゃあ、自分が大きくなったんじゃ
と笑いながら言うおばあちゃんも
ひと回り小さくなっていて
あの眩しかった夏の日々から
わたしはもう
はみ出してしまったのか
「狭い部屋」
#125
狭い部屋 広い部屋
私は狭い部屋 妹は広い部屋
少量の服 大量の服
少量のご飯 普通のご飯
少ない友達 沢山の友達
少ない90点 沢山の100点
なんで姉妹でこんなにも違うのだろう
63テーマ【狭い部屋】
狭い部屋
どのくらいの狭さなんだろう
片手サイズなのに無数な部屋もある
その外には無数に部屋はあるわけだけど
変化していけるなら足りるから
狭さにはよるけども
広いだけの何もない部屋より
狭いなら工夫するだけ
必要なものは実に少ない
それに広すぎて把握が出来ないよりは
都合がよいんじゃないかとも思う
本当は必要なものは
必死に忘れようとされてさえいる
忘れられはしないよ
閉ざされてなどいない
いつもそこにある狭い部屋
隣の部屋からエロい声が聞こえて堪らないので、
早くアパートから引っ越したいです。
狭い。私は天井を見上げてそんな当たり前のことを思った。
狭い。寝転がれる場所なんてベッドくらいしかないし、調子に乗って人をダメにするソファなんて買ったらもう足を踏み入れられる場所が無くなったし。
気づいてはいたが、改めて見るとこんなに狭いとは。まるで天から人を見下ろす神様になったつもりで私は他人事のように思った。
あの人の物がほとんど無くなって私だけの物になった、この部屋。あの人の物はもう無くなったのに、まだ足の踏み入れられる場所は狭苦しい。
どんだけこの部屋は狭いんだ。テーブルに置かれたひとつのコップを見ながら私はそう自嘲した。
朝日が、私を照らしている。
あの人はもういない。
あいつはもういない。
"彼"はもういない。
朝日が、うざったるい。
過ぎ去った事象に思いを馳せる気など無かったが、ものがなくなっても尚狭いこの部屋を見続けると自然と思い出してしまっていた。
...ああ。
あいつがいた時、この部屋を狭い、だなんて思ったことあったっけ。
人が1人いるだけで狭いこの部屋なんて、2人なんていれば狭い所の話では無いはずだ。
床に座れないなら、ベッドに座って。テーブルに物が置けないのならキッチンに置いて。
ご飯も、ベッドの上で食べて。
そして、夜はベッドで一緒に眠って。
ベッドで笑って、ベッドで泣いて。そしてベッドで慰めあって。
ほとんどの時間をベッドで過ごしていた。そこしか、まともに座れる場所が無かったからだ。
あまりにも不便で、心もとなかった。だけれども、それでも、この部屋が『狭い』だなんて感じなかった。
なんでだろう___
...ああ。
そして私は目を見開いた。
そうか、この部屋を『狭い』だなんて感じなかったのは
『安心』があったからなんだ。
部屋が気になるのは安心がないから。
安心があれば、部屋なんて気にもならないから。
狭いと感じるのは、『安心』が無いから。
私は、静かに泣いた。
朝日が目にかかって眩しいから、を自分の言い訳にして。
一つだけのコップが鈍く此方を睨みつけていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お題『狭い部屋』
「いつもと違う部屋。
前みたいに怖い人は、居ない。
とっても安心する。
けど少しだけ狭いな」
そう、思っていた時
外から、パトカーの音がする。
「また、戻るのか」
(フィクション) 狭い部屋
狭い部屋
ずっと、閉じ込められていたんです。
わたし以外は誰もいない空間。空っぽの箱みたいなところに。
わたしのかたちが折れ曲がって、ぐちゃぐちゃになって境目も見えない、ただわたしという存在だけがそこにある。
もともとのかたちはよく覚えていないけれど、箱の唯一開くところがずっと気になっていた、ような。
いつから? ええと、初めから、でしょうか。
たまに箱が開くときは、ただなにかが投げ捨てられて。...ええ。捨てられていたの、あの子たち。
わたしのなかにいるあの子たち、この何も無い世界で唯一の「わたしでないもの」。
わたしでは、なかったもの。
あの子たちがわたしと混ざりあっても、あの子たちのことはわたしには分からなかった。
わたし以外のだれかとお話できるなんて、これが夢というものなのかしら。
いつだってあなたたちはわたしの世界を眺めるばっかりで、誰もお相手して下さらなくて。
だから、ほんとうに嬉しいの。
こうして、外の世界に触れられたこと。わたしでないものとお話できること。ずっと、あなたたちとお話をして、触れ合ってみたかったの。
あなたたちはいろいろな色でできているけれど、中をひらけばみんな、おんなじ色なのね。
わたしも、あなたたちみたいになりたいわ。
そうすれば、もっといっしょになれるでしょう。