暗い。狭い。息苦しい。
ここはどこ。今は朝?昼?夜?もう分からない。
ここに入れられてからどれくらい経った?
たまに投げ入れられる残飯。私の存在は家畜以下、そういう事か。
時たま様子を見に来る女の人。私の弱った姿を見て満足そうに去っていく。
私をこんなにした張本人。
あれ、どうしてここにいるんだっけ。
あぁ、そうだ。新しく来たお嫁さんに嵌められたんだっけ。私は言いつけ通りに小さい時から御主人様の番犬やってたのになぁ。
御主人様も助けには来てくれないよね。あんなにお嫁さんの言ってた事信じ切ってたし。全部嘘なのになぁ。
18年の忠誠と絆より、3ヶ月の婚約者だったのね。
嫌いだ。何もかも。消えてしまえばいい。
許さない。主人も、女も、当主も、世界も。
次に生まれ変わったら、また私になろう。
そして何もかも、ぶっ壊してやろう。
まずは女を消して、主人の寝首を搔いてやろう。
眠くなってきたなぁ。ここで寝たら終わりか。
まぁ、いいや。どーせ転生とか出来ないしなぁ。
また何処かで。次は私が愛される世界で。静かに生きたいな。
サ ヨ ナ ラ .
──────────
『起きて、番犬。朝だよ。今日は寝坊じゃん、どうしたの。』
「ん、おはようございます。御主人様。」
見慣れた2畳半の狭い部屋。でも暗くて狭くない。
あーぁ、転生成功しちゃった笑
#狭い部屋
6/4/2023, 11:02:05 AM