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小さな部屋だ。ここには私しかいない。
本もない。テレビもない。食料さえもない。
食料は隣の部屋だからないのは当たり前だ。

とにかく、この部屋には何もない。ミニマリストと言われれば納得するくらいには。

そんな何もない部屋に、私だけがいる。
私だけが、存在する。

この部屋の中、この世界だけは、私だけのものなのだ。
私という存在が許される唯一の場所だ。

外の世界は、私以外のものがたくさんいる。
私はそれに耐えられない。

外の世界では、私は息が出来ない。

他人の目が怖い。
他人が吐く言葉が恐ろしい。
他人を気遣う事ができない。
他人を傷つける言葉を吐いてしまう。

口を塞ごうとして息を止めてしまう。
誰の言葉も聞きたくないから、距離をとってしまう。
向けられる視線は痛いから、見ないように目を逸らす。

居場所なんてどこにもない。
さまようことにも疲れてしまった。

だからこの狭い部屋だけが、私の唯一の場所。
私が私で有ることを赦される、唯一の場所なのだ。

ここでようやく、私は息が出来る。
やっとまともに息が出来た。

6/4/2023, 11:15:59 AM