昔、私の世界の全ては、1つの狭い部屋だった。
部屋はコンクリートで できていて窓は無かった。壁には上から下へとハシゴが伸びており、ここが地下だということは容易に想像出来た。
だが、自我が芽生えた頃には、もう既に私はこの部屋にいたため、私はそれを、認識こそしていたものの、私はそれに、逃げ出せる…、などの考えは浮かんでこなかった。
そのため、この部屋から出たことは無くて…、いや、そもそも私はこれが部屋だとは思っていなかった。私にとって、この部屋は私の全てだった。
昔から、この生活を続けてきたからか、この環境に疑問を持つことは無かった。
確かに、部屋には何も無くてつまらないなと思うこともあったが、それが普通だと思っていたから我慢していた。
私が、これが異常だと知ったのは、確か、13才の時だった。
突然、上からドタバタ音がして、静かになったかと思えば、ご飯の時しか開かないはずの、上に繋がる扉が開いた。
扉が開いた途端、光が差し込んで、あまりの眩しさに目を細めた。
そこに映ったのは、いつもご飯をくれる人ではなく、別の知らない人だった。
相手は、何かを言いながら、ハシゴをおりてくる。
私は、何かされるんじゃないかと恐怖に支配され、相手の声に耳を傾ける余裕が無かった。
だんだん、息が荒くなって、息ができなくなった。
苦しくて私は倒れ込む。
それを見た知らない人は慌てて私に駆け寄ってくる。
あまりの苦しさに、私はそれに構わず意識を手放した。
目覚めると、天井が白くて、そこは、いつもと違う所で、私は身の毛がよだつ程恐ろしく感じた。
少しすると、人が来て、私に『君は元々、〇〇さんの家族でね。君が2歳の時、急にいなくなって、とても心配していたんだ。混乱していると思うけど、ゆっくりでいいから慣れていこう。』と言った。
私は、言っている意味がわからなくて、ただただ怖かった事を覚えている。
私は時が経ってようやく、自分の異常さに気づいた。
昔の私の世界は凄く冷たいものだったが、今の世界は凄く暖かいと私は感じた。
嗚呼、でも、昔の私からしたら、昔過ごした世界は、とても心地よく楽しいものだった。
お題【 狭い部屋 】
今、見返すと長すぎました
スミマセン(;_;)
ここまで読んでくれた君は優しすぎて、もう人外ですね!(?)
6/4/2023, 11:16:52 AM