『特別な夜』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
“特別な夜”
いつも通りに、毎日、変哲の無い、平和な、変わりなく、
今夜もまた繰り返す 何年も
明けては暮れて 眺めては白ずんで
数えては過ぎ去って いつも誰にでも等しく来る
ニュースが誰かを写している
厳しい顔 悲しい顔 嬉しい顔 笑った顔
誰しもがやるせなさを抱えながら
また今日もほとんど無力な日が暮れる
たまには夜中に庭に出て青白く光る雪と戯れる
誰も居ない まだ足跡さえついていない生まれたての雪の
しゃくしゃくした音をつかんで脳裏に浮かぶ思い出を形にする 夢遊病のように老婆がうつろな顔で真夜中に歩いてくる
一瞬妖怪と間違えて息をのむ
これでも私はたいていの場面でレディだ
でもそんな日もある
だれも知らない駅前の通りをあてもなく歩く
ショーウインドウの景色を楽しみながら
ワゴンのシューズに立ち止まる
知らない人が話しかける 誘われてご飯を食べる
知らない人の連れの容態を気にかける
不思議なコンビ状態に適度な時を見計らい
別れを告げて通り抜ける
これでも私は非社交的な人見知りだ
だけどそんな日もある
昔の知り合いと借りたウイークリーマンションにいた時は
クリスマス間近の夜に子猫がやって来た
夜中にコンビニに出かけ夜食を買い込み
当てのない人生に途方に暮れてながら
玄関の前でカードキーを取り出したとき
同じように痩せ細って帰る当てのない野良猫が
こちらを見上げて微笑んでそのまま家族になった
行く当ての無い二人でコンビニのチキンを食べた
当時の私はイヌ派のネコ嫌いだった
しかしそんな日もある
後になれば全てが特別だとわかる
毎日が特別のパレードで
自分がどれをピックアップするかの違いなんだと
いつもそこにあるのに
見過ごされて粗末になりがちな
可哀想な数多の夜達に思いをはせると
ほお杖をついて遠い目をしたその顔の
上空に広がる星の夜空が
世界の広さと丸さを示していた
タイトル: 夜の渋谷、星と音楽の特別な夜
渋谷の夜は、今日も騒々しく輝いていた。そんな中、ある女性、美月は、渋谷の屋上で星空を見上げながら、思いにふけっていた。すると、彼女は一人の男性、健太と出会う。
健太は、美月を音楽のライブに誘う。二人は、渋谷のライブハウスで行われたライブに足を運ぶ。そこで健太が演奏する音楽に、美月は魅せられていく。そして、健太の音楽に合わせて、美月は踊りだす。
その夜、美月と健太は、音楽の力と星空の輝きに包まれながら、特別な夜を過ごす。二人は、渋谷の街の中で、自分たちだけの夜を共有する。
夜が明け、美月と健太は別れる。しかし、二人はこの特別な夜を忘れることはできなかった。彼らは、渋谷の街で出会い、音楽と星空に包まれた特別な夜を共有した。
最後に一目、故郷の浦の近い峰に、月を見たと思いました。それぎり、底へ引くように船が沈んで、私は波に落ちたのです。ただ幻に、その燈籠の様な蒼い影を見て、胸を離れて遠くへ行く、自分の身の魂か、導く鬼火かと思いましたが、ふと見ますと、前途(ゆくて)にも、あれあれ、遥(はるか)の下と思う処に、月が一輪、おなじ光で見えますもの。
泉鏡花『海神別荘』より
前回のテーマが『海の底』で、何か書くことあったかなと考えて、泉鏡花の戯曲『海神別荘』を思い出した。坂東玉三郎が主演、演出した舞台のほうの記憶があった。
著作権が切れたため電子書籍でも無料公開されているので読んでみることにした。積読派の私でも戯曲なら時間もかからず読めそうだと踏んだからだ。
大正時代に書かれた戯曲は漢字も多く、言葉づかいも現代と異なり、気づいたら寝ていた。見通しが甘かった。慣れないことはするもんじゃない。
想定より時間はかかったが読み終えた『海神別荘』の内容をかなりざっくり説明すると、海神の世子である公子と、贄として捧げられた人間の美女、その婚礼の夜のすったもんだである。
設定だけならマンガにも出てきそうであるが、そこは泉鏡花の美しい言葉で紡がれて格調高い。
冒頭の一節は、美女が自身が贄として船に乗せられてからのことを語る科白である。
月夜の海の情景が目に浮かぶような猫写が目に留まったので、ついでに今回のお題に絡めてしまえと紹介した。
『特別な夜』
君と出会った夜
塾帰りに公園で過ごした夜
なんともない返信でも嬉しく感じた夜
辛い時、話を聞いてくれた夜
卒業式のあった日、告白された夜
大学生になってなかなか会えなくて泣いた夜
それでも時間を見つけて会ってくれた夜
夜ご飯を食べに行った帰りプロポーズされた夜
「絶対、陽奈のこと、幸せにするから
俺と、結婚してください。」
あの時と同じ場所。
2人とも少し大人になって帰ってきた。
月明かりに照らされる彼は
いつもよりかっこよく見えた。
「はい。これからもよろしくお願いします!」
「陽奈…!!」
急にきつく抱きしめられ驚きながら
目頭が熱くなるのを感じる。
それを誤魔化すため、きつく抱きしめ返す。
幸せの大きさを伝え合うように。
「俺、絶対絶対幸せにするから。
一生離さないから。」
「うんうん。離さないでね。」
お互いこぼれる涙に笑いながら
1番特別な夜を過ごしました。
君と過ごした特別な夜
いつのまにか、それは日常の一部に変わっていた
落ち着かない心臓の音も、勝手に赤くなる顔も
今では、静かな呼吸と穏やかな表情に
物足りなくなんてない
また新しい特別を、君と作っていけるから
(特別な夜)
「ゾンビ」
昨日までの雨が嘘のように晴れてます♪
ども!!
ボクです♪(笑)
今日は大切なお知らせと
おすすめのゾンビ系ホラー作品を紹介していこうかなと思います♪
まずお知らせから!
ついにボク…、ついに…、ボク((泣)ウウ)
NO NAMEじゃなくなっちゃいました!
どんな名前かは皆さんのそのキレイな眼差しで確かめてください(笑)
そして大いに笑っちゃってください♪
あっ!でも画面に向かってツッコむのは程々にね(笑)
では本題♪
今日はホラー映画やアニメ、海外ドラマを紹介していきます
知ってる作品もあるかもですが知らない人は是非チェックしてみてくださいね!
ではでは♪
まず1つ目の作品
「アニメ・学園黙示録」
この作品は多分、殆どの人が知っているでしょう♪
アニメホラーのなかでは一番よくできた作品だと思ってます♪
実写作品顔負けのリアル感が堪らない
ゾンビ作でありがちな人どおしの裏切りや男女関係
愛だの恋だの友情だの色々なことを乗り越えながら
迷いながらも主人公達が大群のゾンビを倒し目的地へと進んでいく物語
ボクも何回観たか分からないです(笑)
是非知らない人は観てみてね♪
2つ目
「映画・REC/レック」
正直、これを初めて観たときは
え、これほんとに映画?今現実に何か起こってるんじゃないの?
と、錯覚させられました!!
というのもカメラを持った主人公がカメラから覗いた映像だけで
最初から最後までストーリーを繰り広げていくからです
ゾンビ?のような感染した人に襲われるときなど
マジで恐怖でした、ほんとに自分が襲われてる感じで
目の前にバケモノが映るので!
因みにホラー苦手な人や心臓の弱い人は観ないほうがいいです♪
観る観ないは皆さんの判断に任せます!
シリーズはいくつかあるので正直一作目を観て平気でしたら
全作品イケると思います♪
3つ目
「海外ドラマ・ウォーキングデッド」
これはもう知ってますよね(笑)
アプリゲームとかにもなってますし♪
うろ覚えですが確か2010年辺りから始まったかと思います♪
長年に渡り素晴らしい作品をありがとうと
監督やスタッフさん達に伝えたい
この作品の凄いところは演者さんらが変わらず
ストーリーが進められていくとこですかね
特に子役の子たちの成長していく姿がなんかいいよね♪
因みにウォーキングデッドは元々は海外のマンガから始まったらしいですよ
その実写化したのが皆さんがよく知ってるウォーキングデッドです♪
4つ目
と、思ったのですがちょっと書くの疲れちゃったので
続きはまた気が向いたら書こうと思います”(*ノω・*)テヘ(笑)
またねン(^^)ノシ
アリスは毎日特別な夜が訪れることを夢に見ていた。
この街の子供たちは13歳から18歳までのどこかで特別な夜が一回だけ訪れる。アリスの友達は特別な夜が来ており、だんだん自分が取り残されていくような感じがしていた。「今日は特別な夜が訪れますように」と願いを込めてアリスは眠りについた、しかし夜中に目が覚めてしまい、もう一度眠ろうとしたが寝付けなかったため夜の散歩に出かけることにした。外に出ると、青く光る満月が街全体を照らしている、アリスは青く光る満月の下で誰もいない街を歩いた、しばらく歩いていた時に異変に気がついた、それは時間が経っているはずなのに一向に景色が変わらないことだ、引き返そうと振り向いた時黒いスーツを身にまとった長身の男が立っていた。黒いスーツマンの男はアリスを見るなりニヤリと笑い、指を鳴らしアリスの足元に大きな穴が空きアリスは悲鳴をあげながら落ちていった。
大きな穴に落ちたアリスは目を覚ますと月の上にいて、月からアリスが住んでいる地球が見えた。アリスは起き上がると帰り道を見つけようと月の上を駆け抜けた、探している最中に羽が折れて飛べ無くなっている白い小鳥を見つけた。アリスは急いで自分の服を剥ぎそれを小鳥に巻いた。元気になるまでアリスは小鳥を抱いて帰り道を探し、
歓声も甲子園もすべてが違った特別な夜
心もふわふわ浮かんでいたアレの日
特別な夜
1人の時間が好きだ。
誰とも関わらず、ただ己の心が好きなように過ごす時間が好きだ。
1人の時間にちょうどいいと私が思うものは、暗い夜の帰り道。
街灯もまばらで通行人の顔もわからないほどの暗い道。
自分のことも黒に染まって、夜と一体になった感覚がする、あの1人の特別な時間が好きだ。
漂う夕飯の香り、沈んでいく太陽と、橙と紫が混ざり合った空、ひとつひとつと灯ってく星々。今の時間だけは特別、私がこの場所を支配したように思える。
そんな夜。
「特別な夜」
今夜は特別な日だ。なんでも30年に1度しか見えない星が近づいてきているのだという。
その星を見ることができた者には、奇跡が訪れるのだそうだ
それを愛しの彼と一緒に見る、素敵な約束。
……きっと一生の思い出になるだろうな
それに私には彼に伝えなければならないことがある
期待と不安に胸を膨らませ、夜を待った……
けれど、その星が見えることはなかった。
突然の雨で空は鈍色に染まり、星どころか月さえ見えないほどだった
「また30年後に一緒に見ればいいさ」
なんの気も無しに彼は言うけれど、それでは間に合わない
私と彼では、生きる時間が違いすぎるから
彼には2度目があっても、私にそれが訪れることは無い
そしてそのことを、私は彼に伝えられていない
今夜、その星を見ることが出来たら覚悟を決めて伝えようと、そう思っていたのに……
……特別な夜は、私に奇跡を運んでくれることは無いんだね
特別な夜 #34
あぁやっぱり私には言えそうにないや。
本当の気持ちなんて伝えたらまたあの人に甘えてしまうだろうな。
もう終わりにしたはずの関係に縋れないのにまた縋ろうとしてしまう。
何も得られないのに。
そんなこと自分がよくわかってるはずなのに。
最後まで言えなかった"ありがとう"をまた心の中で腐らせて。
そんなことをしているから私の誕生日の特別な夜になってやっと気づく。
私はあの人がいないと何もできないんだってことを。
ここにあの人がいないことが何よりの証拠。
特別な夜
特別な夜ときいて、特に特別な夜なんてないなあと思って2、3分程考えたが、やはり私にとっての特別な夜は、大晦日である。
年の最後の日、というだけで、何が特別なのかと言えば、この日だけはこどもの頃から、遅くまで起きていても叱られない、夜におやつを食べながらテレビを見ることが許される非常に特別な日なのである。
自分が大人になり、親になって、やはり大晦日だけはこどもに、早く寝なさい!だの、こんな夜にお菓子食べないで!だのと言わなくていい日、これが大晦日である。食べないで、どころではなく、夕飯もやたら豪華で、22時頃には年越しそばまで出てくるし、それにおつまみや、お菓子も前もって大量に用意されている。
こどもも寝ないで必死になって紅白歌合戦なぞをみている。年またぎには、カウントダウンまでして、近所の公園に初詣までする。
通常の毎日では、夜中の12時に、外をこどもたちと堂々と歩くことはない。
私のこどもたちにとってもまた、大晦日は、特別な日、なのかもしれない。こどもたちが大人になり、こどもが産まれたら、また特別な日は、受け継がれていくだろうか。
オオカミ
雪を見すぎて目が回る。
闇の中を彷徨いすぎて
狼を好むようになった。
黒にすっかり飲み込まれてしまえばいい
「夕日のオレンジと闇のコントラストが
寂しいんだ」
そう言ったら
「どうして?」と
無邪気な顔をする君は世界の中心
「輪切りにしたミカンにチョコかけたお菓子はすきでしょ? 一緒なのに」と
笑う君が教えてくれた
日常を少しだけキラキラさせる魔法
例えば
ドーナツの「穴」は食べられること
枯れ葉と霜柱は踏んで歩くこと
会いに行こうと思えばすぐにできたのに
変な意地を張って
先週は海の底に沈んだ
ヒトデの数をかぞえたってちっとも楽しくない
君が迎えにきてくれるなんて
千に一つもないけれど
もう夜になったなら
君のいる美しくやさしい世界に帰る
「面接前夜、幸運にもチケット取れたライブだの何だの、クリスマス、バレンタイン……は夜じゃねぇか」
他には?某所在住物書きは、今日も今日とて何連続か、己の不得意とするお題に対してなんとか知恵を絞り出そうと、懸命な努力を継続していた。
「特別、と言われてもなぁ……」
物書きはため息を吐く。「特別」を感じづらい生活を続けて、十数年、数十年である。
何を書けというのか。カレーの日を題材とした、カレーキャラの特別な夜か。
とうとう二次創作デビューか、云々か。
「……そもそも1月22日って、何の日?」
ネタに詰まった物書きは、相変わらずネットの検索結果に救助を求める。
――――――
平凡な月曜日、通常営業の職場、いつもの休憩室とテーブル。
職場の先輩とコーヒー並べて、お弁当広げて、
悪い意味で特別になった昨日の夜のハナシを、つまり呟きックスのおセンシバグのことを愚痴りつつ、
多分誰かが観てるだろうテレビの情報番組をちょっとしたBGMに、ランチをもぐもぐしてる。
「スゴいよね。例の稲荷神社の子狐の画像上げても、おセンシの判定だよ」
今日の先輩のお弁当は、スープジャーに入った雑炊みたいなオートミール。
「呟きックス、子狐ちゃんが水着ロリだのショタだのにでも見えてたのかなって。化け狐ちゃんかよって」
クラッシュタイプ60gに、某てっぺんバリュのカツオ水煮ライトフレークと、某良品のミネストローネをブチ込んで、熱湯入れるだけ。
糖質40.7g。塩分相当量1.5g。
ゴマスリ係長から押し付けられた案件のせいで、ろくに弁当の準備もできなかったから、とりあえずレトルトとフリーズドライとオートミールをブチ込んだ、とのこと。
「ぐぅぐるの検索結果に出てきた西多摩郡の週間天気とか、木曜あたりが最低マイナス8℃だったから、それスクショして上げたら『刺激の強いコンテンツ』だって。どゆこと、って」
低糖質(たりない)。
超低糖質(ぜったいたりない)。
もっと食えって私のミートボール3個あげたら、お礼に味変用の半熟とろーりゆで卵と、間食用に持ってきたっていう小さなヘルシーお餅1個貰った。
逆にそれ食べてください。
「西多摩が氷点下8℃?」
ふーん。
先輩は何か記憶ライブラリに検索かけるように遠くを見ながら、スプーンでミネストローネ味のオートミールをすくって、ふーふーして、舌にのせた。
ちょっとおいしそう。いや多分おいしい。
でも極低糖質(かくじつにたりない)。
「なんとなく、少し、デジャヴだな。去年似たことが無かったか、『東京で氷点下2桁』のような?」
「言われてみれば。バズった気もする」
「それの類似だろうか。……私のスマホでは、木曜の西多摩は、最低氷点下3℃らしいが」
「ふーん」
「で、それをスクショして、投稿したところ、昨日の夜のバグで『刺激の強いコンテンツ』にされたと」
「そう。なんか、悪い意味で特別な夜になってて、そこそこ楽しかった」
「それはなにより」
おかずを渡して逆に貰って、
もっと食えとか、あまり運動しない私にはこれくらいで十分だとか、何とか。
昨日のバグった夜の話題もちょっと混ぜて、その日もお昼が終わった。
おセンシバグは、気がついたら元に戻ってたけど、
西多摩の四捨五入マイナス2桁は、結局事実かバグなのか、分からずじまいだった。
『特別な夜』
肌が触れ合い伝わる温もりは
僕を熱くする。
君は幸せそうな顔をして僕に言う
「この夜が明けても私を愛してくれますか?」
僕は今にも朝日が昇りそうな外を少し見て、
君を見つめる。
「貴方が一生の眠りに着くまで愛します。」
特別な夜は、お酒を開けて優雅に楽しもう。
ディナーを予約して、ホテルもとった。もちろんお風呂は内湯。
仕事が終わったら、ラウンジでまったり楽しんで、優雅に眠ろう。
……まあ、一人なんだけどね。
でも一人でもいいじゃない。ボクはこういう暮らしも悪くないと思う。
『特別な夜』
ケーキ屋さんで働いていると毎日が何かしらの特別な日なのだと思わされる。家族の誕生日。ふたりの結婚記念日。試験に受かったお祝い。などなど。
閉店間際のケーキ屋店内にスーツ姿の人が入ってきた。スーツの人はショーケースの中の残り少ないケーキを一通り眺めたのちに小さめのホールケーキにプレートをつけてくださいと注文した。
「こちらにプレートに書くお名前頂戴してもよろしいですか?」
メモ帳に書いてもらったそれはソーシャルゲームのキャラクターの名前だった。なぜ知っているかというとそのゲームは自分も課金しているぐらいにはやり込んでいるから。ゲームの話をしようかどうしようか。けれど今から名前を書くキャラクターのことはあんまり詳しくないし、けど話題に出してもいいかなそういうの嫌いなひとかな、などと顔には出さず逡巡しているうちに仕事をきちりと終えてしまった。書き終えたタイミングでスーツの人が言う。
「あなたも、あのゲーム好きなんですか?」
スーツの人が視線を向けている先はメモ帳に書いてもらったときのボールペン。推しキャラがさり気なく描かれているものなので仕事で使ってもいいよねと思って持ち込んだものだった。
「あっ、はい。めっちゃ好きで、やってます。けっこう」
「そのキャラも僕、好きですよ。かっこいいですよね」
「あっ、ありがとうございます。推しがお世話になっております」
うふふ、と笑い合って会話は終了したけれど、内心とてもとても嬉しい。我が事のように嬉しい。ケーキを大事そうに抱えて帰るその人に親近感を抱きつつ、もう少しなにか言えればよかったな、と看板を片付けながら思う。店の軒下に月影がほんのりと落ちている。それぞれの特別な日に特別な夜が訪れている。
私の誕生日
2人で 婚姻届を出しに行った
私の誕生日
2人で 離婚届を出しに行った
私の人生の節目
ドラマチックにしたくて
あえて 誕生日を選んで
2人で 行ったんだ…
その夜
2人で 乾杯をした
どちらも 最高で
特別な夜 になったよ(泣笑)
#特別な夜
今日だけは数える歳が重なる日
わたしが勝手に重ねているだけ
【特別な夜】