NoName

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黒にすっかり飲み込まれてしまえばいい
「夕日のオレンジと闇のコントラストが
寂しいんだ」
そう言ったら
「どうして?」と
無邪気な顔をする君は世界の中心

「輪切りにしたミカンにチョコかけたお菓子はすきでしょ? 一緒なのに」と
笑う君が教えてくれた
日常を少しだけキラキラさせる魔法
例えば
ドーナツの「穴」は食べられること
枯れ葉と霜柱は踏んで歩くこと

会いに行こうと思えばすぐにできたのに
変な意地を張って
先週は海の底に沈んだ
ヒトデの数をかぞえたってちっとも楽しくない
君が迎えにきてくれるなんて
千に一つもないけれど

もう夜になったなら
君のいる美しくやさしい世界に帰る

1/22/2024, 4:32:40 AM