『特別な夜』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
カーテンから漏れる淡い光を仄かな灯りに、
なおも暗い部屋でお互いに額をくっつける。
艶かしく零れる吐息が肌にかかり、
ふと離した女は淋しげに見つめてきた。
言葉は交わさず、眼差しで求めてくると、
甘美に唇を重ね、愛を念じて伝え合う。
やがて影をくねらせ、恥じらうも嬌声を上げ、
共に落ちてゆく感覚への悦びを覚える。
ひとりぼっちの月夜は今日だけ戸締り。
肌身を寄せて孤独を置き去りにして。
もしかしたらこの日だけかもしれない。
褥を共に、ぬくもりで傷を癒すこの時が。
【特別な夜】
月が大きくて、綺麗だった
君から連絡が来た
明日の約束がある
ポケットに突っ込んだ手でリズムを鳴らす
深夜1時のいつもの帰り道
♯特別な夜
はじめまして、だけど疲れてる 2024/01/21
紫雨(しゅう)です。
別の所で日記を書いていたんだけど、大晦日から放置していて。
能登地震があったから、
おめでとうの気分にならず、
書けなくなった。
今なら、まだ戻れると思うんだけど、日記を書けなくなったことを書いても言い訳のようで。
僕の日記だから、どうしようが自由なんだけど、イイネをいつも送ってくれる人たちがいたから、なんだか
悪いことをしている気分。
イイネを送ってくれる人たちのことは好きなんだけど、本音を書くと
イイネ返しにも疲れちゃったんだ。
ここは返したくても出来ないんだよね?
ここは楽になれるのかな。
試してみるよ。
読んでくれてありがとうね。
おやすみ。
最初は見た目。赤い長髪を横で一つ結びっていうドンピシャな容姿に惹かれた。その後自由に遊ぶ姿や仲間たちと交流する様子が楽しそうで、明るくて、私の手の中で輝いていた。ふと流れてきた動画のサムネイルにその姿を見つけた時、ホームページを検索した時、Twitterをフォローした時、全く知らない世界だったのにどんどん扉を開けて、自分がそこの住人になり始めたことを実感した。私の新しい拠点だ。いつか恩返しするから、それまで私のことよろしくね。
そういえば、あの夜も、こんな土砂降りの雨だった。
私にとって、君に出会ったあの夜は特別だ。突然降り出した雨を防ぐ傘は持ち合わせておらず、急いで近くのバーに駆け込んだあの夜、私は君に出会った。
ずぶ濡れの私の姿を見た君はひどく驚いて。見ず知らずの私に駆け寄って、迷わずハンカチを貸してくれて。雨はしばらく止みそうにないと言うので、真夜中まで他愛ない話をして。
それからよく2人で会うようになり、次第に心を通わ
せるようになっていき、私たちは恋人になった。
君はまるで陽だまりのような人だった。執着でもない、支配でもない、確かな愛情が君にはあった。
嬉しい時、楽しい時、心が引き裂かれるくらい苦しい時。どんな時だって君はそばにいてくれた。
私が誰にも言えなかった秘密も、君だけは受け止めて、優しく私を抱き締めてくれた。
君がいるだけで、その空間は色鮮やかで。こんな日がずっと続きますようにって。
そう願っていたのに。どうして神様はこんな意地悪するの?
ねえ、酷いよ。
あの人を返してよ。
私は雨に向かってつぶやく。
君は最期まで優しかった。トラックに轢かれそうになった野良猫の身代わりになった。陽だまりのようだった君は、土砂降りの雨に解けて消えた。
それでも。この雨は私の心まで解かせはしない。
特別な夜、君と出会えたことは、確かに意味のある、美しいことだった。雨は冷たく降りしきれど、君からもらった温もりで、私はこの先も生きていける。きっと、きっと、また陽は差すと信じながら____
カレが怪我をして帰ってきた
自分の為には動けないカレを心配する
いつも笑って魅せてるけど
本当は痛いの我慢してる
今日はカレの為に
大好きなご飯
大好きなお風呂
大好きな布団
全部気合を入れて用意した
優しいカレは全てを楽しんでくれた
でも私は一つ、我慢しなければならない
夜になると
お互いが野心に帰る
今日も乱暴しなきゃ良いけど。
君と過ごす今日の夜は、特別な夜。
交わす言葉も少なく、触れる手もわずかで、
静かなひと時をともに過ごす。…ただそれだけ。
ただそれだけが、この夜を特別なものに変える。
【特別な夜】
ホットミルクに垂らすはちみつをほんの少しだけ多めにしよう。溶かしたぶんだけ、ゆるされた気持ちになる。
#特別な夜
あなたが生まれた秋の夜
突然の大嵐に窓は割れ 雨が吹き込んだ
どんな大それた子が爆誕したのだ!?
必死に育てた日々を過ぎ
いまこの手には
大きな喜び 大きな愛
輝くたくさんの幸福な思い出
あの嵐の日
天がわたしに預けたのは
世界を照らす光の子
「特別な夜」
#308
1ヶ月前に左の親知らずが痛み出した。
歯医者に行くと「痛みが落ち着いたら抜きましょう。」と痛み止めと抗生物質をもらった。
えっ抜くのか… 仕方ないよな…
明日は予約の日だ
処方された薬は真面目に飲んだから、痛みはなくなった。 うーん…抜くのか…こわいんだけど…
眠れない…抜くのか…明日の朝キャンセルの電話しようかな…
クリスマスや年明けよりもドキドキするんだけど…
大好きなあの子との初デートの前夜よりも心臓飛び出しそうなんだけど…
どうしよう、眠れないんですけど…
僕の特別な夜が更けてゆく…
『特別な夜』
学校から帰ったらバイトに行き、ご飯を食べてお風呂に入り眠る。何の変哲もない、いつもと変わらない生活だ。両親がいた頃の方がまだましな生活だった。それでも、借金返済まで頑張れていたけれど、もう限界だ。首を括ろうとした時、母が僕を抱きしめていた。驚いて前を見ると、そこには泣いている父がいた。声は聞こえないけれど、「よく頑張ったな」と言ってくれているような気がした。こんなに近くにいたのならもっと早く来て欲しかったと言おうとしたが、そんな野暮なことを言うには余りに惜しい。ああ、僕のクソみたいな人生でこんなにも素敵で特別な夜は初めてだよ。
ぐちゃり、と不愉快な音が耳をくすぐった。
生暖かな、真っ当に生きていれば関わることのなかったであろう感触が自身の手を汚す。
「ごめんね、手伝わせちゃって。」
「……本当は、1人でやるべきなのに。」
「…………いや、いいんだ。コレが終わったら、…そうだな。2人で温泉にでも行こうよ。」
「あはは。入れてもらえるかな。こんななのに。」
まぁ、彼女がそういうのも分かる。
今自分たちの両手は真っ赤だし、生臭い。あからさまに何かをしでかしたような風貌をしていて、快く受け入れてもらえるなんてとても想像がつかない。
「絵の具ですって言ったら、ワンチャン見逃してもらえるかもよ。ほら、美術専攻だし。」
「美術専攻はウソじゃん。」
「ごめん、調子乗った。」
絵の具で見逃してもらえるといいねー、なんて軽口を叩き合いながら、手はひたすらに解剖を進めた。
ぐちゃ、ぐちゃ、ぐちゃ。
ごきんっ。
びしゃ。
「うえっ、口に入った!やべやべ」
「水もなんも持ってきてないよー。」
「だと思った。いいよ、あとちょっとだし。」
あとちょっとで解剖も終わるし、
あとちょっとで全てが終わるんだから、今更鉄の風味を気にする意味もない。
ようやく解剖を終わらせ、全てのパーツを袋に詰める。
そして、2人。
絵の具みたいに真っ赤に染まった手を繋ぎながら、海を眺めた。
袋の中に存在する親友も、
親友を裏切ってコイツと付き合った俺も、
親友が好きだったコイツも。
今から3人で、ガキだった頃と同じようにみんなで、海に飛び込むんだ。
「懐かしいな、あの後ってスイカ割りしたんだっけ?」
「したね。スイカ粉々でさぁ。結局もいっこ切り直したよね」
「マジでばーちゃんには世話になったよなぁ、ウワ、お礼くらい言っとけばよかった。」
「あはは!今更。」
あの頃とはもう違う。
スイカ割りなんて出来ないし、きっと浮かぶこともない。
もうすぐ日が昇る。
袋の中身をこぼさないように握り直して、それから。
「なぁ、お前ら。」
「今夜は、特別な夜にしような!」
ちゃぷん、と。
3人分、水面が揺れた。
特別な夜だからといって、別に何か特別なことを求めているわけじゃない。
まあ、昼間に婚姻届を出して、めでたく夫婦になって初めての夜だけども、これまで同棲三年、付き合っていた期間は二年、よき親友だった期間は十年。
つまりは学生時代からの幼馴染で、結婚する前から既に熟年夫婦感は出ている気もする。
プロポーズは「キミちゃんに似合うと思ってわざわざ取り寄せたんだ」とか言っておやつのカールを指にはめられて二人でゲラゲラ笑ったし、なんかもう、そういう感じだから。
別に何も期待してないし。明日月曜日だし。お互い仕事だし。
「なに?」
視線に気付いたのか、洋介は皿洗いの手を止めて顔をあげた。
「なにも?」
こういう気取らないところも好きなんだし。
皿洗いをする洋介を横目に、リビングのソファに座る。と、お尻の下からグシャッと嫌な音。
「うわっ!」
「ちょ!」
ソファカバーをめくると、そこには一封の洒落た封筒。潰れてるけど。
洋介が慌てて駆け寄ってくる。
「なんでそこ座るの!」
「なんでって」
「いつもそっち座らないじゃん! なんで今日に限って!」
彼はエプロンで手を拭いて封筒を手に取った。
隠すにしても、よりによってなぜそんなところに。問い詰めたい気持ちは山々だが、それよりもまず。
「それは?」
「ああ、もう……」
洋介はできる限り封筒の形を整えてから、私に差し出した。
「宣誓書」
「せんせいしょ?」
あ、まばたきが増えた。緊張しているらしい。
「キミちゃんのこと、ちゃんと幸せにしますっていう」
真面目か。意外だ。
なんだか気恥ずかしくて、おかしくなって、照れ隠しに背伸びして頭を撫でてやる。
「ま、二人で頑張っていこう」
【お題:特別な夜】
・特別な夜
今夜すべての不思議が星屑となって、雨音のように足音を響かせ舞い降りてきた。
屋根を打つ小石はいつの間にかさざめく笑い声に変わり、ちかちかと瞬いていたライトの代わりに月光がその影を浮かび上がらせる。
窓の桟についた手に落ちる氷は冷たく弾け飛び、まるで宝石のように踊りながら輝きだす。
肺を刺す冷たさすらもメロディのようだった。見上げた先と見下ろした先で、祝福は静寂の中に、小さな世界を築いていた。
特別な夜
深くまで落ちていく
明日が遠く感じる
星が見え、または雨が降る
心が暖かく、ふわふわする
#特別な夜
明日、私は大好きな彼と結婚式をする。
結婚式は小さい頃からの憧れだった。
初めて結婚式に行ったのは幼稚園の頃。
担任の先生の結婚式だった。
当時、プリンセスが大好きだった私。
キラキラなドレスを着る先生の笑顔が忘れられなくて、
結婚式は私にとって憧れの物になった。
高校生になっても結婚式への憧れはなくならなかった。
ウエディングプランナーという仕事がある事を知り、
ブライダルの専門学校へ進学した。
就職して、キラキラな世界とは程遠く
現実は中々大変で厳しい世界の仕事だったけれど、
結婚式当日の花嫁さんの姿にやりがいを感じた。
大好きな仕事だったけれど、私も主役になりたかった。
綺麗なドレスを着たかった。
同じ職場の先輩から告白をされた時は驚いたけど、
密かな私の憧れの人だったから嬉しかった。
そんな彼と明日、結婚式を挙げる。
プランナー同士、仕事が忙しくて準備は大変だった。
それでも小さい頃から憧れの結婚式を挙げられる事が
嬉しくて頑張った。
彼も私が結婚式に憧れをもっている事は知っていたから
私の理想を叶えるために頑張ってくれた。
「なあ、明日だな」
不意に彼が話し始めた。
「そうだね。子どもの頃からの夢だったから
とっても嬉しい…」
「そういえば言ってなかったんだけど、
俺も結婚式、子どもの頃からの憧れだったんだ」
「え、そうなの?」
「親戚の結婚式に初めて行って、
すげー素敵な空間だなって、
俺もいつか自分の結婚式挙げたいなって思ってた。
就職面接の時にもこの話、したんだよ」
「私も就活でしたよ!知らなかった…」
「それは聞いてたな笑」
「今更だけど私の理想ばっかり聞いてもらって、
大丈夫だった…?」
「俺の理想の結婚式は大好きな人と一緒に幸せな空間を
作り上げる事だから、それは大丈夫」
「ありがとう…。あなたと結婚できて嬉しい」
「それはこっちのセリフだよ。お互い、他人の結婚式の
準備も抱えながら頑張ったよな…笑」
「本当だよね笑 ちょっとセーブすれば良かったとは
思ってる笑」
「確かに笑 明日、良い式になるといいな」
「そうだね。まあ、プランナー同士の式ですから、
大丈夫でしょ笑」
「それもそうだな笑」
彼と笑い合う。
この空間が嬉しくて幸せだ。
明日の結婚式もきっと忘れられないものになると思う。
でも、今この時もきっと同じくらい忘れられない
特別なものになると思う。
改めて彼の優しさを、彼の愛を知り、
この人と私の憧れを叶えられる事が嬉しい。
「俺も憧れを叶えられる相手が君で嬉しいよ」
「…えっ?」
「独り言、声に出てましたよ笑」
「わあ… 聞かなかった事には…」
「しないよ笑 変な事言ってないからいいでしょ笑」
「まあ、良いけど…恥ずかしすぎる…笑」
「あははっ!」
お腹を抱えて爆笑し始めた彼を横目にきっとこれからも幸せな家庭を築く事ができると感じる。
特別な夜に窓から見える星に
これからの幸せの願いを込めてから、
今だに笑い続ける彼をどうにかしよう笑
「ねえ、笑いすぎ…!」
[『特別な夜』によせて:3月11日]
ヘルメット被り愛猫抱いたまま
余震停電長き夜過ごす
いつ頃からだろうか。夜に特別感を感じなくなったのは。小学校までは夜中まで起きているのが、校則上悪いことだったゆえにカッこいいと思っていた。夜までおきて、ゲームをしてお菓子を食べたり友達と電話をしたりする。それが特別で最高だった。そして学校で、「何時まで起きていたか」のマウントの取り合いをして勝つと大人っぽいと自分の中で誇っていた。そして大晦日にまで行くと心情はリッチの極みであった。起きていても親には起こられず、笑うとお尻をしばかれる番組を見ていようが、好きなものを食べていようが、ゲームをしていようが、何をしようが自由なのだ。そんなのは10歳前後のガキには、最高級のディナーなんかより百倍も二百倍も上の極楽浄土で、この世の全ての喜びを感じた気がしていた。それがどうだろう。今ではそんなこと当たり前なのだ。逆に友達との間では「どれぐらい早く寝ているか」の話をたまにするし、早く寝ていたら偉いと褒められるぐらいだ。大晦日も勿論特別で楽しいが、前までのように起きていられる喜びは味わわなくなった。勿論大人になっていつまでも起きていることに喜びを感じているのはおかしいのであたりまえなのかもしれないない。だが、夜更かしをするのは健康にいいことではないし子供ながらの喜びを感じられなくなったのは寂しい。まあ、長い間夜更かしは続けているので日々の生活で劇的に眠くなることはほぼなくなったが、本当にそれは大人になったといえるのかどうかわからない。「これは悪いことだ」と思っていてその悪さを楽しんでいた頃と、「悪いことだ」とも思わなくなって、自分の健康などには全く気を遣わず当たり前になってしまっている今と、さほど変わらないのではないか。逆に言えば「悪いことだ」と気がついている昔の方が大人に近付いていたのかもしれない。私は前から「まだ子供だった」とはよく思っていたが「前より子供になっていた」とは考えたこともなかった。「そうか、私は前より子供になっていたのか」そう呟き私は電気の消えたくらい天井をぼうっと見つめた。そうしてしばらくしてからスマホの時間をみる。もう十分遅い時間だ。「これが当たり前になっていたのか。」私はため息をつきながらそういい布団にくるまり瞳を閉じた。「人生はまだこれからだ。特別な夜に感謝しよう。」
「特別な夜に」
音に追われず。ただ自分と向きあう。静かに、自分を自分でみる。おいしい、あたたかいのみものと、自分の糧になる読みものを持って、穏やかにすごしたい。
『特別な夜』
柔らかな風に薄紅の花が踊る暖かな夜も
群青の空を眩い光が彩る蒸し暑い夜も
散り逝く無数の葉が大地を彩る寂しげな夜も
白銀の結晶が世界を染め上げる静寂の夜も
きみが居るなら毎日が特別な夜
きみが居るからいつだって特別な夜