紫炉

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『特別な夜』
学校から帰ったらバイトに行き、ご飯を食べてお風呂に入り眠る。何の変哲もない、いつもと変わらない生活だ。両親がいた頃の方がまだましな生活だった。それでも、借金返済まで頑張れていたけれど、もう限界だ。首を括ろうとした時、母が僕を抱きしめていた。驚いて前を見ると、そこには泣いている父がいた。声は聞こえないけれど、「よく頑張ったな」と言ってくれているような気がした。こんなに近くにいたのならもっと早く来て欲しかったと言おうとしたが、そんな野暮なことを言うには余りに惜しい。ああ、僕のクソみたいな人生でこんなにも素敵で特別な夜は初めてだよ。

1/21/2024, 2:17:58 PM