『無色の世界』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
《桜散る》《無色の世界》
世界の中心には、大きな桜の木が据えられていた。
樹齢千年は有ろうかという大樹だ。
それを取り囲む桜の木々は、それよりかは些か歳若い木である。それでも、何本も並ぶその様は一本の大樹に劣るとも限らない。
けれど、矢張り、気が付けば大樹に目が移るのだ。それほど美しく、魅せられる。
それだけに、大樹に咲いていた花が散ると、世界は色を喪った。
実際は、大樹の他に花は咲いているというのに。
「君がいなくちゃ、僕にとっては誰も同じだよ」
『無色の世界』
日々を彩るのは一体なんなんだろう。
メシを食い、作業をこなし、またメシを食う。
だるいなあと内心思いつつ、また振り分けられた作業を終業時間までする。
そんな毎日をひたすら、ただひたすらに続ける。
冷たい空気も温かい空気もない。
そこにあるのはただのコンクリートの壁一面。
たまに友人と会い、少々会話を弾ませ、また会いに来るよと友人が消え去る。その時だけ、たった少しだけど、人の温もりを感じて、でも、それでも俺の世界は無色。ただひたすら無色なんだ。
深海に潜ったみたいに目が開かない。
山の最高峰へ来たような息苦しさ。
ここへ来て8年と23日。
いつ俺の人生が彩られるかなんて考える時間もなく、何もない、無色に彩られた部屋で夜メシまで時間を潰す。
金があれば美味いものが食える。
金ばあればだがな。
俺は夜メシを食うとすぐ寝る。
6時20分には起こされるからだ。
たいして毎日体を動かしているわけではないが、ただひたすら、早く眠るんだ。
ただそんな日々を送る。
今日が月曜日とか、明日は火曜日とか知らない。
今何時かなんて、この部屋にいる時はわかるわけないし、気がつくと朝がやってくる。
8年と24日目がきた。
今朝の天気は妙に輝いて見えた。
だが、それが終了の合図だと、悟った。
「出房だ」
見慣れた顔の聞き慣れた声に、周りの皆が言われる言葉をあれはついに今日言われた。
この言葉を聞くと皆涙を流したり、叫んだり、嘘だ嘘だと見慣れた顔の聞き慣れた声のあいつに問うんだ。
8年。24日。それは俺にとって短いもので、早いものだった。俺は見慣れた顔の聞き慣れた声のやつは淡々と説明していく。それは、俺が死ぬことを指す説明だ。
聞いたところで結末は死ぬことで、流し聞きをした。
最後の晩餐。何を食べたいか聞かれた。
正直なんでも良かった。なんなら食べなくても良かった。だが、聞かれたことにはやはり答えないといけない。俺は見慣れた顔の聞き慣れた声のやつにきいた。
「多くの奴が食べたがるのはなんですか?」
「最近だとステーキだな。」
「そうなんですね、、」
沈黙が続く。
俺決め、口を開いた。
「ごま塩ごはんで。」
俺の8年と24日はいつまでも無色だった。
最後に食べるメシは、白と黒。
無色の世界に彩られなものは必要なくて。
それは俺のせめてでもの償いだった。
「じゃあ、ごま塩ご飯を食べた後、また声かけるからな。」
そこからは時がゆっくりで、いつだいつだと最後の景色を見渡した。そして、なかなか呼ばれないから、眠りにつこうとした。そんな瞬間だ。奴が来た。そして俺は察した。最後の眠りは今日の朝で終わりなのだ。
もう2度と眠気で眠りにつくことはないのだ。
「いくぞ」
連れられる部屋に文句も思い出話もしない。
「じゃあな。」
立たされたとこに、俺はもう死ぬんだな。と目を瞑った。
無彩色の世界。
「ククク、この世界の真実を教えてやろう!
この世界に意味あることなどない。
色とりどりの花々も、着飾る鳥たちも全てまやかし!
ただの、色のない、無色の世界なのだ!」
男は、荒廃し神殿で高らかに叫ぶ。
神をも冒涜する発言だが、それを咎めるに人間はここにはいない。
かつてこの場所は、白い基調で整えられ、神の居場所に恥じぬ神聖な空間であったのだろう。
だが放棄されて長い年月であちこちがくすみ、奉る神の名さえ分からず、装飾品ひとつ残っていない。
皮肉にも男の言う『無色の世界』を体現しているようであった……
「どうだ青年、この世界に絶望しただろう?
死んでも待っているのは無のみ……
私はその残酷なルールを変える」
男の演説はたった一人の青年に向けられていた。
何もかも意味が無いと豪語する男が、唯一意味を見出す存在……
これは他の誰にでもない、青年のための言葉なのだ。
最後の言葉から一拍置き、男は振り向く。
「どうだ?
お前も一緒に来ないか?
一緒に世界を変えよう」
そう言って、差し伸ばす手の先にには――
誰もおらず、ただ朽ちた女神像があるだけだった。
「ダメだな……」
男はがっくりとうなだれて、肩を落とす。
彼の渾身の演説を、青年が聞いていなかったことにではない。
確かに青年に向けられた言葉ではあるが、実は最初から青年はいない。
いるのはこの男一人だけ。
これは練習なのだ。
彼を説得するための、演説の練習……
こうして演説の練習をしているのには理由がある。
実はこの男、数日前に出会った青年に興味を持ち、親切にも世界の真理を教えようとした。
だがその青年は話を聞くどころか、問答無用で男に襲いかかったのだ。
男は、話を聞いてもらえなかったことに、ひどくショックを受けた。
次こそは聞いてもらうため、何がダメだったのかこうして模索している。
もっとも、この男は青年にとって両親の仇であるため、無駄な事なのだが……
そうとも知らず、男は頭を悩ませる。
「分からん。なぜあの青年はなぜ、話を聞かなかったのだ。真理だぞ。特別な人間しか知ることのできない、特別な――はっ」
その時男は天啓を得た。
何故聞いてもらえなかったのか、ついに気が付いたのだ。
「そうか」
男は天を仰ぎ見る。
気が付いてしまえば、非常に簡単で何の変哲もない理由だった。
「上から目線がダメなのか」
男は、青年と初めて会ったときのことを思い出していた。
最初に言った言葉は何か?
『もっと知りたくはないか?』
ああ、今思えばなんて傲慢な言葉なのだろう……
まるで自分が彼より上位の存在であるようではないか……
これはいけない。
誰しも初対面の人間からマウントを取られて、いい気分はしないう。
となれば、ある程度下手に出つつ、相手に興味を持ってもらうようにアプローチを変えねばならなない。
演説の根本から変える必要があるが、青年のためを思えば――
と、男が深い思考に入っていた時、彼の耳がこの場に近づく足音を捉える。
「まさか――」
まさか、青年がこの場所を突き止めたと言うのか!?
それはマズイ。
まだ演説は完成していないのだ。
だが時間は待ってくれない。
残念だが、今回は予定通り『上から目線』バージョンを……
そう思いながら、足音の方に顔を向けるが、そこにいたのは青年ではなかった。
男の周りを、見慣れぬ鎧を身にまとった兵士たちが囲む。
彼らは裏の仕事を受け持つ、この国の特殊部隊である。
国民どころか有力な貴族でさえ知らず、国王子飼いの部隊だ。
この国の王は、男が知る真理を吐かせるため、こうして何度も刺客を送っている。
男はその執念には感服しつつも、溜息しか出なかった。
「ようやく見つけたぞ。この世界を吐いてもらおうか……
抵抗するなら痛い目を見るぞ」
リーダーと思わしき鎧の男が、剣を抜きながら脅しつける。
話さなければ、この剣で拷問するという事なのだろう。
しかし脅されようとも、男は真理を教える気は無かった。
青年に対してはおせっかいレベルで教えようとする彼であるが、彼らや国王のような凡人には興味が無い。
なので真理を教えることもなく、いつもは適当にけむに巻いて逃げるのだが、今の男は機嫌が悪かった。
青年の事を真摯に考えていたのに、それを鎧の男たちが台無しにしてくれたからだ。
「はあ――――つまらん」
男はため息をつくと、血で辺りが真っ赤に染まる。
そして一瞬の後、鎧の男たちの体が次々と地面に倒れていく。
男は自らの異能を持って、彼らを一瞬で殺したのだ。
彼らは自分が死んだことにすら気づいていない。
男は大して疲れた様子もなく、ため息をこぼす。
ただただ面倒だったなと思いながら……
それにしても、と青年の事を思い出す。
あの青年は良かった、と。
彼もまた無色のように見えたが、彼の中に色が見えた。
多くの人間とは違い、小さいが確かに色があった。
男が青年に興味を持つのはそれが理由である。
色のないこの世界で、なぜ彼だけが色を持っているのか……
興味は尽きない。
「この場所を変えるか、なかなか気に入っていたんだがな」
青年を迎えるために用意した場所だった。
しかし国王に場所を知られたのであれば、また刺客を送ってくることだろう。
またよい場所を探さねば……
男がしゃべらぬ死体となった騎士たちを、感情の無い顔で見つめる。
すると死体と血だまりが徐々に薄くなり、すでに手の先の方は完全に消えていた。
だが、男が何かをしたわけではない。
ただ自然の理《ことわり》として、この世界に死んだ者は長く存在できないのだ。
この世界に住む人々は不思議に思わない。
なぜなら、これは自然現象だから。
自然現象を誰も疑うことは無い。
ただ一人、この男を除いて……
まるで『いらなくなったから消す』と言わんばかりに、消えていく。
それこそ、ゴミを捨てるみたいに……
男はこの事に疑問を持ったことで文献を調べ、あることを突き詰めた。
『この世界は何者によって、自分勝手に管理されている』
これこそが男の言う真理なのだ。
男は死体が全て消えたことを確認した後、その場を去った。
あとに残されたのは、無色の世界だった。
空気は本当は透明で
水も真実は色無くて
指先の煌めきも
季節を意識した服も
それらの彩り全部全部が
ただの光の悪戯に過ぎないから
だから、本当は、私達は、
こんな姿で居なくても良かった筈なのだ
<無色の世界>
「不合格者の為に毎回散らされる花も切ねぇな」
「多分サクラサクの反対ってだけだろ……」
「てか春だから桜なんだろうが、冬だったら
椿落ちるになってたりしてな」
「不合格以上の不吉にしてやるなよ」
「だって見ろよこの状況さぁ」
「……言うなよ」
「最期まで、楽しいお喋りだけにさせてくれ」
<桜散る>
無色の世界
生まれたばかりの赤ちゃんの
世界のキャンバスはまだ何色にも
染まっていない
君の世界はどうなるのかな?
〝無色の世界〟
アナウンスの声が聞こえ、慌てて階段を駆け上がる。
プシューッと、ドアの閉まる音。
耳が捉えたその音は、私の視界を無色の世界へ変えた。
改札を抜け、息をきらして階段を駆け降りる。
もちろん、そこに電車の姿はなかった。
#8『無色の世界』
無色の世界に色を付けてくれたのは、家族です。
ここまで育ててくれて、
毎日美味しいご飯を作ってくれ、
辛い時は側で一緒に泣いてくれました。
無色の世界に色を付けてくれたのは、友達です。
友達からも色んな話を聞き、
色んな場所に連れて行ってくれ、
沢山笑い合いました。
………でも
自分の無色の世界に1番濃く色を付けたのは、
自分の描いたイラストでした。
色のない世界、ではありますが。
これは、どの色か、本当にわかっていますか。
所詮、言葉で形成されている、概念に過ぎない。
言葉を捨て、見てみようか。
色って、何だと
変わらぬ水平線の世界
僕から見える景色は無色
透明で透き通った何も無い世界
君という色に憧れるけれど
僕の世界を染めるには足りない
僕は君を弱くする
無色な水のよう
僕の世界は美しい
"無色の世界"
色という概念を知らなければ、
この世界もそれなりに楽しかったのに。
あなたという色を知ってしまってから、
何も無い世界がとても退屈に思えるの。
作者の自我コーナー
残り時間5分とかで書き殴ったものです。
無色ってことは、黒もないんじゃない?無彩色のこと?
透明ってことかしら?って全然定まらなかったのでとっても抽象的な文になりました。最近お題がムズい。
二人で過ごした時間の中、ゆるりゆるりと風が流れた。
触れ合う事さえ無かったから、互いの温度も知らないまま、ただ無色の世界が柔らかだった。
「無色の世界」
私と「あなた」で作った世界
たくさんのものと星で彩られた素敵な場所
今では全て奪われてしまった
ただただ広がる無色の世界
温度もにおいもなにもない
隣に「あなた」はもういない
どうして私から居場所を奪うの?
どうして、貴方は私を置いていったの?
どうして、どうして?
「お忙しいところ悪いね!!!」
「あなたは……?」
「ボクかい?!!う〜む……マッドサイエンティストの端くれ……ってとこかな?!!」
「突然だが!!!キミ、ボクと組まないかい?!!」
「何が目的なの?」
「目的っていうかなんというか、ボクはキミの作ったあの空間に非常に興味があってね!!!ぜひ研究させてほしいんだ!!!」
「……思い出した。あなたはこの世界の全てを消したひと。そんなひとと仲間には、なれない。」
「まぁ、仕方ないか……。いーや!!!ボクだってこんな簡単に引き下がる訳にはいかない!!!」
「あの時は悪かったよ!!!あれはぱっと見消えたように見えているかもしれないが、実は何も失われていないのさ!!!つまり、復旧が可能ということだね!!!」
「……本当に、あなたを信じていいの?」
「もちろんさ!!!……交換条件として、こういうのはどうだい???」
「ボクがこの空間の復旧をするとともに、この世界をより頑丈なものにしよう!!!……そのかわり、この空間を共同で管理する権限をくれないかい?」
頑強に守られた、私のための世界。
「分かった……。でも、もう一つ条件を加えるわ。太陽と月が降った日に出会ったあの人をここに連れてきて。」
「……。難しいことを言われた気がするなあ……。まあでもそれも承知の上だよ!!!よろしく頼む!!!」
「それじゃあ(ボクが意図的に作った)ボクのうっかりでできてしまった脆弱なセキュリティポイントから入ろうか!!!」
01100100 01101111 00100000 01101110 01101111 01110100 00100000 01100110 01100101 01100101 01101100 00100000 01100010 01100001 01100100
「さて!!!それじゃあ復旧(じゃなくて実際はただのプロジェクションなんだけど)を始めようか!!!」
街が、空が甦る。
あの美しい世界が甦る。
「どうだい?!!なかなかうまく出来ただろう?!!この調子で進められたら完全復旧の日もそう遠くはない!!!」
あれだけ作るのに時間がかかった世界を、こんなに早く、どうやって?
「それは……キギョーヒミツってやつさ!!!」
「それじゃあ、今日はこの辺で!!!次会う時は……ここが完全復旧した日にしようか!!!そのうち連絡するから、それまで待っていてくれたまえ!!!」
安心したのか、知らないうちに私は眠ってしまう。
次目覚めたのは、貴方たちが来た時だった。
まだ眠くて動けない。
違う。動かない。
私の体が、動かない。
どうして、どうして?
その時ハッとして、この世界の編集権限を確認した。そして気づいたの。私には何の権限もないことに。
だから私は決めたのです。
貴方に仕返しをすることを。
なのに、それすらも上手くいかなかった。それどころか私の大事な情報が抜き取られてしまったの。
どうして貴方達は私から全てを奪おうとするの?
どうして、どうして……?
01001001 00100000 01100001 01101101 00100000 01110011 01101111 01110010 01110010 01111001
すまない。キミに恨みがあるわけじゃないんだ。
だがキミのことがわかっていくにつれて、なおさらキミを「あるべき場所」に戻さなくてはならなくなった。
きっとキミのことも救ってみせるから、もう少し待っていてくれたまえ!!!
ねぇ、知ってる?
君と離れてから
私の世界は無色になってしまったんだよ
いや、違うな
君と過ごした時間が
私の世界に色を付けてくれたんだ
今年も桜が咲いて
君のこと、待ってたけど
会えなかったね
ねぇ、知ってる?
私ね、まだ君のこと
忘れてないんだよ
無色の世界
それは、何色にも染まれる世界
いろんな色が混ざりあって
君だけの人生を彩れる
ぼくのいちばんの夢だった
昔々あるところに
将来を誓った ある二人がいました ある日の
夜中の白く眩しく 輝く太陽と月の中で
くちづけをかわし
のりとを交わしました
正式なめおととなった 二人は
重ねた手を握りしめて
いつしか 世界の中に溶けてしまいました
そうして
二人を形作っていた 世界は
消えてしまいました
お題:無色の世界
「あなたがいない」って意味でしょうね。
お題:無色の世界
テーマ 無色の世界
「ドウシマシタカ」
ワタクシハロボット。ハタラクノ。
「お願いね」
ロボットノワタクシハニンゲンノイウトオリニハタラカナキャイケナイノ。
「僕こんなのいやだ!感情がないじゃん!友達みたいな子がいい!」
ソウイッテイルコドモガイタ。カンジョウカ...
「遊び相手になってくれる?」
「ハイ。」
キョヒケンナドナイノデス。ジャアヒトハダヌぎますか。大人の人間が帰っていった。
「ヨロシくね」
ちょっと変えてみた。
「!!!」
目を見開いてびっくりしていた。
「そうそう!そんな感じ!」
?
「コンな感じ?」
「そうそう!あとーーーー」
「ーーーーー」
楽しい日々が続いた。感情はずっとある。
ー 中学生に ー
あの子が中学生になった。でも私と遊んでくれる。あのときとはまるで違う。彩の世界。でも、そろそろだ。
「ねぇねぇ」
「ん?珍しいね」
「話したいことがあるの」
「うん」
私は息を呑んだ。
「もう寿命なんダ」
「.....え」
驚きが隠せてない。しょうガナイヨネ。
「オシアワセに」
ソウイッテプログラムガキエテイッタ。モウワタシハドコニモイナイ。
おわり
ほんのひとつまみの邪気をこぼして、きみの故郷がみたいと言った すきのひと言 それすらほぐしてあいまいにして そのくせ きのうもきみのそばかすにキスする夢をみた
題目「無色の世界」
後日書くためのKEEP用の文章です
今いる世界が無色なら
その外側はどうなのだろう
眼を見開いて
よく凝らして見てみれば
ひょっとして
もしかして
彩り豊かな世界が
広く遠く無限に
存在しているかも
と想像しながら
無色の世界を今日もゆく
#20『無色の世界』