「無色の世界」
私と「あなた」で作った世界
たくさんのものと星で彩られた素敵な場所
今では全て奪われてしまった
ただただ広がる無色の世界
温度もにおいもなにもない
隣に「あなた」はもういない
どうして私から居場所を奪うの?
どうして、貴方は私を置いていったの?
どうして、どうして?
「お忙しいところ悪いね!!!」
「あなたは……?」
「ボクかい?!!う〜む……マッドサイエンティストの端くれ……ってとこかな?!!」
「突然だが!!!キミ、ボクと組まないかい?!!」
「何が目的なの?」
「目的っていうかなんというか、ボクはキミの作ったあの空間に非常に興味があってね!!!ぜひ研究させてほしいんだ!!!」
「……思い出した。あなたはこの世界の全てを消したひと。そんなひとと仲間には、なれない。」
「まぁ、仕方ないか……。いーや!!!ボクだってこんな簡単に引き下がる訳にはいかない!!!」
「あの時は悪かったよ!!!あれはぱっと見消えたように見えているかもしれないが、実は何も失われていないのさ!!!つまり、復旧が可能ということだね!!!」
「……本当に、あなたを信じていいの?」
「もちろんさ!!!……交換条件として、こういうのはどうだい???」
「ボクがこの空間の復旧をするとともに、この世界をより頑丈なものにしよう!!!……そのかわり、この空間を共同で管理する権限をくれないかい?」
頑強に守られた、私のための世界。
「分かった……。でも、もう一つ条件を加えるわ。太陽と月が降った日に出会ったあの人をここに連れてきて。」
「……。難しいことを言われた気がするなあ……。まあでもそれも承知の上だよ!!!よろしく頼む!!!」
「それじゃあ(ボクが意図的に作った)ボクのうっかりでできてしまった脆弱なセキュリティポイントから入ろうか!!!」
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「さて!!!それじゃあ復旧(じゃなくて実際はただのプロジェクションなんだけど)を始めようか!!!」
街が、空が甦る。
あの美しい世界が甦る。
「どうだい?!!なかなかうまく出来ただろう?!!この調子で進められたら完全復旧の日もそう遠くはない!!!」
あれだけ作るのに時間がかかった世界を、こんなに早く、どうやって?
「それは……キギョーヒミツってやつさ!!!」
「それじゃあ、今日はこの辺で!!!次会う時は……ここが完全復旧した日にしようか!!!そのうち連絡するから、それまで待っていてくれたまえ!!!」
安心したのか、知らないうちに私は眠ってしまう。
次目覚めたのは、貴方たちが来た時だった。
まだ眠くて動けない。
違う。動かない。
私の体が、動かない。
どうして、どうして?
その時ハッとして、この世界の編集権限を確認した。そして気づいたの。私には何の権限もないことに。
だから私は決めたのです。
貴方に仕返しをすることを。
なのに、それすらも上手くいかなかった。それどころか私の大事な情報が抜き取られてしまったの。
どうして貴方達は私から全てを奪おうとするの?
どうして、どうして……?
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すまない。キミに恨みがあるわけじゃないんだ。
だがキミのことがわかっていくにつれて、なおさらキミを「あるべき場所」に戻さなくてはならなくなった。
きっとキミのことも救ってみせるから、もう少し待っていてくれたまえ!!!
4/19/2024, 9:49:04 AM