『海へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
君との出会いは海の家だった。
誰かを待っているのか、
それとも一人で海に来たのか。
理由はわからないが、君は一人だった。
声をかけようか迷ってるうちに、
一緒にいた女好きの友達の亮太が声をかけた。
君はドキッとする。
そして、君は泣いている。
慌てふためく亮太をどけて、俺は君の頭を撫でた。
君は言う、「怖かったの」と。
亮太は必死に謝るが、君は違うと言った。
君はある男から逃げるためにこの海の家に来たらしい。
その男の声に亮太の声が似ていたのが
君を恐怖に陥れてしまった。
俺たちは君を匿うために俺の家に連れて行った。
事情を聞くと俺は条件付きで君と付き合うことにした。
条件。
それは、俺の妹として生まれ変わったことにすること
海へ行きたくなるのは
帰巣本能だろうか?
視界に入りきらない水と
終わらない波の音
漠然とわいてくる不安も
海から持ってきたんだろうなぁ
海へ。
漕ぎ出そう。
何があるかわからない場所へ。
漕ぎ出そう。
どこまで続くかわからない世界へ。
どこまでも君と一緒に。
一緒なら怖くない。きっと大丈夫。
『海へ』
瞳からこぼれる涙からほんの僅かに海の香りがする。体を巡る血の流れからほんの僅かに潮騒の音がする。海のない国に生まれ、海のない国の戦場で仰向けになって死を待つ自らの体に人が海から生まれた名残があることに今さらながら気がついた。重たさを増すまぶたに抗えず意識を手放す間際、空の青さに一目見ることもなかった海の青さを重ね合わせる。いつかは海というものを見てみたかった。海のない国で生まれて、国を出ることなく死にゆくときに思ったことはそれだった。
心の中のモヤモヤな気持ち 一つずつ減らしていこう。
海ってなんで青いんですかね。
綺麗な水色な海もありますよね。
青と水色だったら青の方が飲み込まれる感じがしますよね。なんでですかね。
夏になるとみんなは海に行きたくなる。
それと同じで
欲しいものがあれば買いたくなる。
孤独に襲われれば人肌を求めたくなる。
ストレスが溜まれば娯楽をやりたくなる。
夏になったから海へ行きたい。
それは人間の数々の欲望をあらわしているようだ。
海の仕事を生業にしていると、仕事仲間から不思議な話を聞くこともある。
海坊主と目があっただの、霧の向こうに幽霊船が浮かんでただの、神さまが現れただの、それを見た本人が言うものだから、そりゃあ臨場感があるもんだ。
おれたちはそれらを、聞いてるときはどんなにばかにしてたって、根っこの部分では信じてる。
そうしていたら、おれたちも見たんだ。
観音様の御神渡りだった。
おれも仲間も観音様のお顔をこの目で見た。
海で妖怪だか怪物だか神さまだかに蹂躙され、命からがら港に戻ってくる。そんなことがいつか自分の身に起きないとも限らないんだ。
海では、人間の命などちっぽけなものだと、肝に銘じておかなくてはならない。
『海へ』
《海へ》
太陽が眠りに就き、空には夜の帳が降りる。
帳の色を映し取った海は、優しく揺れる波間に青白く輝く月の光を受けて煌めいている。
それは、黒い海に注がれる月の光が溶けていくかのようだ。
僕は、波打ち際でそんな夜の海を眺め佇む彼女の背を見つめていた。
沖からの潮を含んだ風が、彼女の柔らかな髪をふわりと靡かせる。
その白銀は、月の光に透けて仄かに青や緑に輝きながら揺らめく。
美しく、不思議な髪の色だ。
彼女は、海へ引き寄せられるように二歩、三歩と足を進める。
そして小さな足から靴を脱ぎ外すと、それを手に取り足を波に浸す。
まるで、波に声無き言葉を乗せて海に語りかけているかのようだ。
そんな幻想的な光景を目の当たりにした僕は、胸が押し潰されそうになった。
彼女が、海へ溶けてしまうのではないか、と。
あの、波間に溶ける月の光のように。
恐れに囚われた僕は、気が付けば彼女の元へ足を進めていた。
「…帰りましょう。」
声を絞り出すように伝え、彼女の存在を確かめるように髪を一房手に取る。
その指通りの良さと輝きに、確かに彼女はここにいると安堵する。
彼女はそっと振り向き、そんな僕の手を慈しむように見つめる。
そして僕の目へその瞳を合わせ、今にも泣き出しそうな、それでも嬉しそうな微笑みで頷いてくれた。
泳ぎたくて、50歳女一人で近場の海に行って来た!
まわりは家族連れや友達、カップルで来てる人が多くて、一人は気後れしたけど、入ってみたら、気持ちよくて楽しくてちょっと足がつかないとビビったり、まわりなんてどうでもよくなった!海ってほんとに気持ちいい。自然っていいね。太陽燦々とあびてるとしあわせ。
自分の気持ちに正直に海に行ってよかったー
またおひとりさまでも海行ってみよ。
パートナーとも行けるといいな。
海いい!
逃げ出したくなったとき、
何故か海へ行きたくなるの
ひどく深い青い海に呑まれて
誰もいない海の底に沈んでしまいたい
時を超えて、時代を超えて
原初の海にさえ帰ってしまいたい
そんなことを考えて、
逃げたふりをしている
【海へ】 '240824 08:20
『'230603 22:11 Kumano,Mie』
楽しい人生のはずなのに、何かをずっと追い求めている。
それを考え続けることに疲れて私は1週間だけ帰省した。
気兼ねなく話せる心友達と急遽会えることになり、
地元を1〜2時間ほどドライブして海についた。
時間は夜の21:30過ぎ、大きな満月の日だった。
特に、互いの近況を報告し合うわけでもなく、
久しぶりの手持ち花火を童心にかえって楽しんだ。
ただ、ただ、ひたすらに、ありのままの姿で
目の前のことを全力で楽しめた。
「私の求めていたものはこれだ。」
月明かりに照らされた夜の海は、
大きな波音ともに"何か"を全て運び去ってくれた。
EP.04
NANA
白く泡立つ波をぼんやり眺め
規則的な波音を聞いていると
どこにいるか分からなくなって
何も考えられなくなって
ただそこにいるだけになって
もとの姿に戻っていく気がする
海へ帰ろう
山だ、と言う。お前は山がないと生きていけない性分らしい。海は怖いのだと言う。大きく、深く、独力でその果てを見るには困難で、恐ろしいのだと。だから行くことにした。お前が辿り着けない海へ。
#海へ
次の日、剛輝と出会った海へ向かった。
あの時はものすごい寒い冬の夜。
今は夏へ移り変わろうとしていた。
「ねー剛輝?あの時この場所で歌ってた曲ってなに?」
『あの曲?まだ作詞途中なんやけどな
なんか頭にたくさんの文字が現れたんよなー。
それを頭に浮かんだメロディに乗せただけなんや』
「あの曲、、、すきだよ?最後までできたら
絶対に聴かせてね?」
『冬までには完成させたいなぁー。
題名は、梨雪と出会った時は冬の寒い時期で
雪が降ってたなぁー。そして満月、、、
題名を考えるのって難しいんやで?笑』
とぐしゃっと笑い頭をかいてる顔がとても愛おしかった。
「ねー?剛輝?またここに来よう?」
『当たり前なこと言わんで?
梨雪をまた連れてきたる。安心せい。
俺はどこにも行かんよ』
と言い肩を強く抱き寄せ頭をそっと撫でてくれた。
またここに来ようと約束をした。
暑いは暑いけど
海風が気持ち良いから
それほどでもないのです
そう教えてくれた
ギアを上げて
仕事をしているだろうか
本当は怖い人なんじゃないかと思ってた
大声出す体育会系は怖いから苦手だと言ったら
私も苦手だと教えてくれたけど、
あなたこそが、
大声を出す人なんじゃないか、って
違う世界の
怖くて
ワクワクする人
ここは
海底に沈んでいる気分
安心して言葉を綴れる
いつか言葉が途切れるまで
擦り切れ軽くなるまで
綴り続ける
海の底から
地上50mの別世界で働くあなたへ
短編小説『海へ』
日課の散歩の帰り道、いつもはひたすらにまっすぐ進むラブラドールのレイが珍しく草むらに鼻を突っ込んだ。もわりと羽虫が舞う。慌てて手で払い避けたとき、よろめいて草むらに足を踏み入れた。レイが私を見上げる。その足元に何かがある。
石? と拾いあげたのは巻き貝だった。
こんな草ぼうぼうのところに貝殻があるなんて。
不思議に思ってじっと貝殻を見つめているとレイが足元で鳴いた。くうん、と問いかけるような鳴き声。私の手元をじっと見ている。
これ? と聞きながら何気なく巻き貝を耳元で振ると、声がした。
「帰りたい……」
巻き貝が泣いた。
この声が、レイには聞こえていたのだろうか。
レイは変わらずくうんと鳴きながら私の膝裏を鼻先で押してくる。まるでうながすように。
海。ここから歩いて三十分の距離。遠いと言えば遠いけれど、徒歩圏内に海があるのは幸せだ。子どもの頃はそう思っていたのにもう何年も海を見ていない。毎日の生活に追われて存在すら忘れていた。
「帰りたい……」
巻き貝がまた泣いた。
目を瞑る。海までの道を思い出す。
松の林の小道を下って海藻と小枝が散らばる砂浜を抜けて、波打ち際へ。
耳元で繰り返し打ち寄せる波の音が私を誘う。
「行こうか?」
傍らのレイに問いかけると嬉しそうに鳴いた。
海まで歩いてそれから家に連絡して車で迎えに来てもらおう。たぶんその頃なら車通勤の母も帰宅しているはず。
細かいことはあとでいい。今はまず。
海へ一歩。
踏み出したとたんに潮風に包まれた気がした。
「海へ」
いつも見ていた
海が
全てを奪った
町に向けられた海の牙は
襲う音は
もう二度耳にしたくない
海は時に海の恵みを与え
海は時に海の幸を与えてくれる
でも
時に牙を向ける
人間の力では
海の牙を抑えることなど
無理なこと
だから
せめても
大声で
海が危険な生き物だと
云うことを
「海へ行かない?」
「暑いしね……気持ちいいと思うよ?」
「行く……」
「うん、じゃあ行こうか」
ーーーー
ーーー
ーー
ー
〜海〜
「うわぁ〜、やっぱり綺麗だね」
「人も沢山いるけど大丈夫?」
「うん……」
「じゃあ下ろすからね」
「……」
「水着姿可愛いね」
「……」
「浜辺行こうか」
「海に浸かりたい?」
「(首を横に振る)」
「わかった、パラソルの下に降ろすね」
「ん……」
「……!」
【もぉ〜ちょっとまってよ!】
【ハハ、怒った顔も可愛いな〜】
【もぉ〜恥づかしいからやめてよぉ〜バカ!】
「何か飲みもの買ってくるけどかにがいi……!?」
「ちょ、どうしたの!?」
「どこか痛い???!」
「う…っう……ごめん…ぐすっ……なさい……」
「どうしたの?」
「歩けないから……迷惑かけてる……」
「全然そんなことないよ?」
「しょうがないよ……事故でそうなっちゃったんだし」
「嘘つかないでいいよ……」
「あなたの……ぐすっ……人生の負担になってるし」
「どこに行くにも……あなたに負担をかけて」
「わたしのことばっかり気にかけさせちゃって」
「こんな女となんて別れた方がいいよ……」
‘‘ギュッ!’’
「!」
「そんなことない」
「今凄く幸せだよ?」
「君が生きてただけで幸せだよ?」
「そばにいてくれるだけで僕は幸せだよ?」
「笑顔になってくれたらもっと幸せだなぁ〜」
「ほんと?」
「ほんと」
「だから、君の大好きな海にきたんだよ?」
「何が変わろうと好きな人には笑顔でいて欲しいな〜」
「ありがとうっ……っ……うっ」
「全然、彼氏として当たり前だよ」
「泣きたいなら泣いて?」
「泣き止むまで待ってあげる」
「泣き止んだら、海に入ろうね」
「……うんっ」
「……ずっーと大好きだよ……」
お題:海へ
テーマ 海へ
青い夏。青い海。青い空。青い世界好きだった。
「でももうそのセカイは無いんだ」
真っ赤な夏。真っ赤な海。真っ赤な空。真っ赤なセカイで染まっていた。
「海を見に行こう!」
そう病室で元気に言っていた。
「..そうだね」
君は海まで歩けるかな。
「ありがとね」
手紙に書かれた一言の文字。
「..海に行けなかったね」
ある日、海に行ってみた。真っ赤な海は海底を隠すように染まっていた。
「海に来れたよ」
君が見てくれると思って喋った。
君の死体を投げた。君は海に沈んだ。何も感情のない人形のように反応もしない君の姿を見ていた。
「セカイは変わってしまったんだ」
生きてるだけで精一杯の生活。もちろん食料を手に入れるだけで一日が終わる。お金なんてこのセカイでは通用しない。
「昔のほうがよかった」
そう誰しも口にすると僕は思う。けれどセカイはそんなに甘くない。セカイを変えるために命をかけてるか?と聞けば、沈黙が返ってくる。少なくとも僕はそうだ。
変えたいけどそこまでして変えたくない。わからない感情が僕を渦巻く。その中で僕達は生きている。
おわり