『海へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『海へ』
夜の静かな海に1人の男の水に喘ぐ声と波の音。
波は男を弄ぶように右に左に押し流す。
男は少しでも空気を取り込もうと水面に顔を上げるが波が押し寄せ口に大量の水が入る。
男はたまらず咳き込む。
すると海は、急におもちゃに飽きた子供のようにこのゲームを終わらせる。
大きな波が男に押し寄せ岩礁に叩きつけられる。
骨が折れる鈍い音がし、一気に深海に引きずり込まれる。
呼吸が途絶え、心臓が止まる。
**
男は自分の家の前に立っていた。
太陽は傾き初め、辺りに紅い光を落としていた。
「死なないと」
波音響く 海へと歩み寄る
水際まで 足跡を描いて
ここから先は 遥かなる境界
あなたの領域
#海へ
純白のワンピースを纏う鴎。
君は藍色と青色の境界線を
縫うように羽ばたいていった。
ちっぽけな僕が出来るのは
それを見届けることだけ。
神様、どうかどうか--。
彼処に手が届くような
翼をください。
【海へ】#25
夢が叶った。川の中で新たに目を覚まし、それを実感する。体を動かせば光の差し込む美しい水中を自由に移動できる。両脇を通り過ぎていく同僚達は流れに従って下って行った。
私は魚になったのだ。
嫌なことから逃げるために魚になったのだ。
ここには私が嫌いなものは何もない。照らされた新緑の藻にまあるい石、それらは私の心を高らかに躍らせてくれた。
水中をたゆたいながら私は自由を謳歌する。水流の音だけが心地よい。
しかしそれは不意に雑音によって掻き消された。人の声、ああ忌まわしき人の声だ。
私は逃げるように水流に沿って前へ進む。煩わしいノイズから逃げる、ああ、逃げるのだ。かつてそれを悪と謗られたことを思い出して、記憶を振り払うように泳ぎ続けてる。
もっと先だ、人の居ない場所がいい。もう誰の声も聞きたくないんだ。
私が悪い、甘えている、何もできない、必要ない、価値がない。耳の蛸は海に流してしまおう。
声なんて誰にも届かない。陸じゃ声なんてあっても、誰も聞いてはくれない。声を奪われずとも、誰も、誰にも。
ああ、ならいっそ、このまま私は泡になろう。
はるか先の、その先へ。
海へ、
テーマ:海へ
タイトル:
憧れた人魚姫のような人生は、呪いだけが眼の前に
海は、広すぎて私達の目では境界線がはっきりしない。見えているようで、見えていない。そんな、曖昧な言葉でしか表現する事ができないのだ。
そのため、私は海に来るのだ。自分と海をはっきりと隔てている境界線も曖昧になれと想いを込めて、砂浜から海へと1歩を踏みだす。私の足は、海との境界線を無くしたように見えたが、浅さ故に私という存在は消えていなかった。私は、思わず口から残念と言葉を零してしまった。
海よ、君とは1つになれない。
お終い
海へ
波の音が頭に響く。
嗚咽を漏らしていても、大量の水が動く音が、すべてをかき消してくれる。
一定のリズムで行ったり来たり、慰めてくれているかのように、心を落ち着かせてくれる。
涙と同じ、塩辛い水。今までの泣いた分の涙を溜めたみたいで、寄り添ってくれるような物悲しく感じるような、そんな気持ちになる。
自分が初めて持った野望とは。
どれほど壮大な野望なのか。
計り知れないほど道のりは長い。
まだスタート地点。
どの方向に行けば良いかも分からない。
でもどの方向にも必ずゴールはある。
まずはヒントを探ろう。
色んな陸地に上陸しよう。
どこかに鍵はある。
壮大な旅へ。
海へ。
海は広い。
様々な所に陸地がありそこに上陸することも可能。
どこの陸地が自分にふさわしいか。
辿り着いてみないと分からない。
夢や野望みたいなものだろう。
海へ(実話)
今の私はとても小さなこと
いや私には大きなことで悩んでる。
最近、できたてほやほやのカップルになった私は
順調だったし、そりゃあもう
バカップルみたいだったの
だけどね、夏休み 彼氏が風邪ひいちゃって
寝込んじゃって夏休みは会ってなかったの
夏休み明けね、行ったら
久しぶりに会ったからかわかんないけど
あんまり話しかけれなくて、(緊張して)
どうしたらいいのかな、
でも、話してもあっちは不器用さんだから大会前で
少し、冷たくて
でもきっと、もう少ししたら
元に戻るよね、😭
2人の気持ちは全然変わってないから大丈夫
なんだけど、
周りがいっぱい「なんかあったの?
いつもと違うけど」みたいな風に言ってきて
少し、やだよね🥺
どーしたらいいんだろう。
『海へ祈りを』
今日も思い出の場所に来た。夕日が水面に反射している。
穏やかな波。あの日の荒々しさはどこへいったのだろう。
そんなふうにぼんやり海を見ていた。
でも、心のなかでは恐怖と、憎しみ、許せない、そんな感じがした。
奪っていったのだ、幸せを。
海は私の幸せを波に巻き込んで沈めていったのだ。
でも、大切な人は海にいると思うと、どうしても海が、恋しくなる。
悔しい。悔しい。この気持ちはなに?
近くの花屋で買ったピンクのゼラニウムを私は海に向かって思いっきり投げた。
大切な人が、最後にいった約束を、私は忘れない。
その約束がなければ私は今、ここにいなかった。私は忘れない。彼との約束。あの日のことを。
そうだ,海へ行こう
最初は白い砂浜,
次に青く輝く海,
最後に薄暗くとも照らしてくれる天体
そしてまだ底で眠ってる君に逢いに行くよ
随分と前になりますが
行き場の無い怒りや
叫び出したくなるような悲しみや
どうしようもない虚しさに襲われた時
一人でふらりと夜の港へ繰り出していました
そこには釣り人やカップルなどが来ていましたが
互いに素知らぬ顔で干渉せず
ゆったりとした時間が流れています
海は真っ黒で
向こう岸がほんのりと灯りがともり
わたしを落ち着かせてくれるようでした
今はもうそんな感情に囚われることもありません
海はわたしの中で何時も穏やかに迎えてくれます
また行こう、海へ
「私さ、明日この町、出ていくんだ」
『…ふーん』
「何よ、そのそっけない感じ!」
「心配するとか寂しいとか言えないの??」
『…いや、、』
「サイテー」
……懐かしいな。この砂浜。
昔、君とここで喧嘩したよね。
忘れもしない。君が町にいる最後の日だった。
あの時の僕は、君に会えるのが最後だって…
認めたくなくて、信じたくなくて。
嫌だって言いたかったけど、
言葉が詰まって言えなかった。
『好きだぁー!!!!!!!!!』
思いっきり叫んだ。
届かなくてもいい。聴こえなくてもいい。
何十年経っても、君を想ってるって
この波に乗せて、言いたいんだ。
ー海へー
海へ
海の果てを人は知らない。
海の底を人は知らない。
私のこの愛の行く先は、どこへ辿り着くだろう。
けれど待つのには、もう疲れてしまったから。
せめてこの愛を海に流してしまおう。
溶けて、混ざって、泡となって美しく消えてしまえ。
お題『海へ』
主様を水の都・ヴェリスにお連れしたことがある。
「悪魔執事の主の情操教育にいいのでは?」とフィンレイ様が言ってくださったおかげで、3歳だった主様ととある貴族のプライベートビーチに行ったのだった。
これはそのときの記憶。
衣装係のフルーレに手伝ってもらい、水着にお着替えした主様が登場した。その場にいた執事たちは全員両手で口を覆い、それからたっぷり3秒は置いて「かわいい……」とため息混じり。
その気持ちもよく分かる。俺も屋敷で水着を試着したお姿を見て膝から崩れ落ちた。ツーピースのデザインは、トップスがパフスリーブになっていて、そこにボリュームがあるので幼児体系特有のぽんぽこおなかをカバーしている。パンツもかぼちゃを彷彿とさせるラインで、こちらもまた体型補正として申し分ない。
そんな俺たちの視線などどこ吹く風、主様は早く海に入りたくてウズウズしている。
「主様に日焼け止めはもう塗った?」
フルーレに声をかければ、はい、と軽やかな返事。
「念入りに塗りましたから。さぁ、いつでも海へどうぞ」
楽しそうに歌う波しぶき。
真っ白に焼けた砂浜。
空高く響くカモメの鳴き声。
そして俺の左手には主様の右手。
俺にとって、この状況が楽しくないわけがない。いつものように片膝をついて主様を抱え上げようとした。
「さぁ、行きましょう。主様」
しかし主様は俺の抱っこを拒否する。
「どうされたのですか?」
「わたし、あるきたいきぶんなの」
近頃は前にも増して自己主張がはっきりしてきたので、それが間違った主張(例えば誰かを傷つけたり貶めたりするようなもの)でなければ、割と何でも聞き入れている。
「そうでございますか。それでは波打ち際まで一緒に歩きましょうね。足元にご注意ください」
キュッ、キュッ。
2、3歩歩くと足元で音が鳴り、主様の表情がぱあぁっと輝いた。
「きれいな砂浜は歩くと音が鳴るんです。お気に召していただけましたか?」
主様はコクコク頷きながら何度も何度もその場で足踏みを繰り返している。その様を浜辺待機組も水中待機組も頬を緩めながらのんびり見守っているらしく、誰も急かしたりなどしない。
しばらく足音を堪能していた主様も、いよいよ穏やかな波打ち際へと歩き始めた。
しかし主様は水面まで僅か1メートルほどのところで立ち止まってしまった。
「ふぇね、かえりゅ、」
「どうされたのですか?」
しゃがんで目の高さを主様に合わせると、今にもシーグラスのような涙がこぼれ落ちそうになっている。
「こわいぃぃぃ! かえるうぅぅぅ!」
主様が大泣きしていると、そこに、ザザーン、と大波がきた。危ないと思い咄嗟に抱きしめたけど、波が引いてしまえばふたりともずぶ濡れで……主様はきょとんとしている。
「主様、怖かったですか?」
このことがトラウマになったら可哀想だなぁ……という俺の思いは、いい意味で裏切られた。
「ううん! たのしい! わたしもふぇねすもびっしょり!」
いつになく大はしゃぎで、キャハキャハと笑っていらっしゃって、海にお連れしてよかったと心の底から嬉しくなった。
その日はお昼寝も忘れて遊んだので、夕方はぜんまいの切れたオルゴールのように静かになった。旅程は1週間、最初から飛ばしすぎたかな?
これは俺と主様の、大切な思い出。
お題『鳥のように』
――いつか、自由に飛んでみたいね。
――あの鳥みたいに?
――うん。あの鳥みたいに。
いつか。自由に。
あの日見た、美しい鳥のように。
いつか。いつか、飛んで。
自由に。
気楽に。
軽やかに飛ぶ、あの鳥のように。
ここではないどこかへ、飛んでいけたら。
――ねぇ。いつか、一緒に飛んでくれる?
――うん。飛ぼうね。
――約束だよ。
いつか、一緒に。
並んで飛び立った、あの鳥のように。
いつか、飛ぼうね、と。
一緒に。
二人で。
楽しそうな、あの鳥のように。
もっと、優しい世界へ。
――ねぇ。せーの、だよ。
――うん。せーの、ね。
「「せーの」」
いつか、自由に。
いつか、一緒に。
飛べば飛べる、と。
ここではない、どこか。
ここよりもっと、優しい場所へ。
あの鳥のように。
この屋上から。
二人で、並んで。
「せーの」の合図で、手を……。
手を、離せば、飛べた。
屋上の、フェンスの外側。
二人、並んで。
「せーの」が合図。
一緒に。
約束。約束をした。約束だから。約束が……。
落ちていく。
落ちていく。
一人で。
約束したのに。
手を、離せなかったから。
今からでも、この手を。
手を、離して。
間に合わなくても。一緒に。
約束を。
いつか。いつか、自由に。
軽やかに。美しく。
あの鳥のように。
あの鳥のように、飛びたかった。
「せーの」で飛んで、落ちていく。
巣から落ちた、飛べない鳥のように。
もう、あの鳥のようには、なれなかった。
―END―
全部終わったら、全部捨てて海へ行こう
あなたは脚のあいだから
私は指先から、血を流しながら
行こう
そう陽が私に言ってくる
青白く光る波打ち際を
サンダルを脱ぎ捨てて
帰ると母に砂を落とせと怒られるんだ
それでもまた行こう
世界
「噂には聞いている」
一匹の沢蟹がそう言った
他の沢蟹よりも一回り大きく、頭も良かった
今、何一つ不自由のない世界で
その一匹は確かめたかった
「さあ行くぞ」
※海へ
111
海へ1人で来た。波の音を聞きながら、青い海をぼーっと眺める。それだけでも、夏を感じられる。
海の水を全て飲み干してしまいたいと
一度だけ強く思ったことがある
そこに懐かしい町がある
助けたかった人がいる
結界のように押し寄せる波を踏みつけて
届かない手を伸ばしたことがある