『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「海の底」
海の底まで行けたら
何が見えるのだろう
暗くて苦しくて
光が恋しくなる
だから光の届く場所に
身を置いていたい
海の底から見る太陽は
きっと美しすぎて
目が焼けてしまうと思う
海の底まで深く深く潜れば、涙も寂しさも隠してくれるだろうか
title「海の底」 2026-01-21
飛び込もうぜと君が言うから飛び込んだ
埋もれていく、プールのコバルトブルー
海に沈んだらこうなるのかと
頭の悪い想像を膨らませる
ああ君と海に沈みたい
静かな貝となり君の隣にただ生かされていたい
そうして海面下から見えない月の光をみつめるのだ
君は月かもしれないだなんてはしゃいで
ぼくはそうかもしれないねだなんて返すのかもしれない
以前は
探検といえば
ジャングルの中に
入って行ったが
この頃は
洞窟の細い隙間に
入り込む冒険が多い
洞窟の中には
水が溜まっていたり
海につながるものもあるとか
いつの日か
探検といえば海底が主流に
なるやも
水際の海の底は、見ることができる。波にさらわれる砂と、たまに、ちらちら貝が揺れている。深い深い海の底はなかなか見ることがてきない。
船に乗って、海を眺めた。青のような緑のような色から、その奥行きの深さが感じられる。「あー、いっそのこと深海の魚になりたい」。思わずつぶやく。誰にも惑わされず、暗闇の中、一匹狼で生きていきたいなんて思う。
「そこはそこで大変だと思う。深海の中の生き物って、強い気がする。光のない世界で生きるために色々変わってきたのかもしれないから」と、君が言う。
そうか。どこも同じか。それにしても、君はいつも淡々としている。「感情がすごく動くことってある?」と聞くと「あるよ。でもそんな時は、それを海の底にポーンと捨てているから」。にっと笑う。やっぱり君はよくわからない。
「海の底」
「海の底」
ねぇ、海の底ってどのくらい深いのかな?
そういえば知らないなぁ
それにしても
どうしてこんなに重い気分になるのかな?
海の底まで潜ったことはないけれど、
そこにはどんな世界があるのだろう?
海の色はディープブルー?
それともコバルトブルー?
そして、
どんな色や光や闇があるのだろう?
Lily is me
"Bottom of the sea"
Hey, how deep is the ocean floor?
Come to think of it, I don't know
Even so,
Why do I feel so heavy?
Although I have never dived to the bottom of the ocean,
What kind of world is there?
Is the color of the sea deep blue?
Or cobalt blue?
And,
What kind of colors, light and darkness are there?
—海底の子守唄—
海の底には、文明がある。
数々の魚やタコ、イカ、さらには人魚もそこに住処をつくり、暮らしている。
「まさか、海底に文明があったなんて……」
深海生物の研究中、ある男が石でつまれた階段と、規則正しく並ぶ貝の灯りを見つけた。
近くから、美しい歌声が聴こえる。男はその方へ潜っていった。
「人魚⁈」
歌声の持ち主は、人魚だった。
「あら、ここに人が来るなんて珍しいわね」
「……どうも」
人魚は驚いた様子もなく、にっこりと微笑んだ。
「ゆっくりしていってくださいね」
その後も人魚は歌い続けた。研究に来ていた男は、目的を忘れて聞き続けた。
彼女の歌声は、まるで子守唄のように、優しく安心するものだった。
「そろそろ、戻らなくちゃな。素敵な歌をありがとう」男が言った。
人魚は何も言わず、ただ歌い続ける。
男が上へ上がろうとした時、体が動かないことに気がついた。
タコとイカの足が、男の両足を掴んでいたのだ。
「離せ、離せ!」
男は必死に振り解こうとするも、びくとも動かない。
しばらく時間が経ち、男は息ができなくなって抵抗をやめた。体が沈んでいく。
歌が、ふっと止んだ。
人魚は合図を上げた。
影に隠れていた数々の魚は姿を現し、歓声を上げた。
その時、海の底は震えるほど盛り上がった。
そして、また人魚は歌い出す。
新たな客を迎えるために——。
お題:海の底
『海の底』
海の底に沈んでいるような日々だった。
光は届かなくて、空気も入ってこない。
真っ暗で苦しくて、本当に何もなくて、
自分がどこにいるのかさえも検討がつかない。
自分の中の全ての空気が、
ボコボコと音を立てて泡になっていく。
力が抜けて、沈んでいくのを待つしかない日々。
それを懐かしいと思えている今は、
海の底ではないどこかにいるってことだと思う。
【海の底】
穏やかな深い海の色
海の底に眠る宝石
海の底は
まるで君みたい
私と話す君は
海より深い何かがあって
海底に眠る宝石みたいに
時折輝いてみせる
君の深い海に
潜り込んでいたいな
ただ、静かに
ゆらめいていたい
ただ、そこに在って
共にしていたい
そんな願いすら
気付かれることもなく
今日も片想い
深〜い深〜い海の底
魚たちが沢山泳いでる
皆が知らない魚も泳いでる
真っ暗で冷たくて
誰も行けてない深い海の底
海はまだまだ知らない場所
「海の底」
「私」だけになる方法です。
「海は綺麗。」という言葉に海の底は入っていないのでしょう。
未知が広がるその暗闇は、
海が1つのものだとしてもまるで別物のように感じさせます。
目を閉じ、海の底にいる私を想像します。
何も見えないのでまぶたは閉じたままでしょう。
その場所で足が底に着いているのは私だけ。
水の抵抗で遅れて動く手足は、私のものではないようです。
私は今、何も持っていません。
海の底さえ、
人々の認知の外ならば、私だけになれるでしょう。
「海の底」
"海の底"
夜の青さに沈んだ影を見ると、
海の底にいるような心地になる。
魚が水の外では生きられないように
人が水の中では生きられないように
それぞれが生まれ持った生きる場所というものがあるらしい。
生まれた場所に馴染めないのは、どんなに取り繕ったとしても、どうしようもなく悲しくて惨めな気分になるんだよ。
海の底には、何があると思う?
海底火山、海溝、名も知らぬ生き物、生物の死骸、沈没船なんてのもいいね
え?なんでこんなこと聞くのかって?
別に、理由なんてないよ
ただ聞きたかっただけ
でもさ、こういう、どうでもいいようなことを考えて、誰かと話すのも悪くないんじゃない?
こうした、どうでもいいことを考える時間が、今の僕たちには大切なのかもしれないね
で、君は海底に何があると思う?
海の底
地球は水の面積が約70%に対し陸地の面積は約40%程度に人が立ち暮らしている。
海の底もまた約95%が未解明の謎多き場所。
海に関して現代は昔に比べて解明された謎は増えたがそれにより新しい疑問も増えたと書籍には書き記されているのを目にした事がある。
未知とは魅惑的であり、探究心こそ人間としての活力を生み出すものだと言える。
だが、海底の水を触るには特殊な環境下を経験した人のみ保護スーツを着用した上で安全にが絶対条件だと専門家は言う。
専門家の意見を聞かず手を出すと、低体温は避けられず更には低温火傷といった傷を負うこと、死に至ることを覚悟しなければならない。
君にその覚悟がなければ清く身を引く事をオススメする
だが、好奇心が強い人はせめてもの感覚だけでも味わいたいだろう。
かくにも私も海について詳しく知りたい時期があった。
海の謎に関する手頃な動画をYouTubeから引っ張り出し時間がある時によく見漁ってたものだ。
だが、知識もない状態で素人が動画を見たところでかえって疑問が増えるだけだと思い、特殊な方法ではあるが、図書館で関連の本をみながら動画を聞く事にした。
すると解説動画と同じく自分なりに理解しながらみれて面白いと感じる。
でも海の底にしかいない生き物をマジかで見れる場所があるのはご存知かな?
その場所はとても静かで落ち着く空間だ。
また、海の生物がのびのびと暮らしいているだけでなく実際に愛情を持って世話をしている人が沢山居ると聞く。 その人達に話を聞いてみるのも一つの手かもしれないと私は思う。
だが、決っしてポケットに料理本や捕食する為の道具を持ってくる事は無いようにだけ念を押しとこう。
最後に人間にとって良い情報がある。
それは、海底の音を聞くと高いリラックス効果とストレス軽減効果が科学的にも証明されていると聞く。
人間、誰しも顔が曇る瞬間や疲れが取れないなど体の不調が続く場合も現代は少なくない。
視覚で青い海をみて波の穏やかさに心を踊らせる。
聴覚で海のさざなみや砂の音を聴く。
嗅覚で海水の匂いを感じ自然の大きさを実感する。
味覚で魚達の生命を頂き改めて感謝する。
触覚で海の冷たさや魚の装飾を確かめる
人間の五感を癒す事も時として現代を生きる大事な役割だと私は思う。
海の底
『またここかぁ』
私は少しの浮遊感を感じながらもうずくまる
いつも見る夢
真っ暗で何もない場所に私は一人でいる
ここでは声を出すことができない
そして私が考えることはいつも同じである
バーミントさんのこと
小さい頃私は初めてバーミントさんのことを見て、魅了された
この人に近づきたい、この人みたいになりたい、それは強い憧れだった
それはまるで自分で自分を束縛しているよう
私の思考には自由がない
私はそんな不純な理由で軍へと入った
そこで運よくバーミントさんの側近として働かせてもらった
最近では休日まで共に過ごす日も増えていた
バーミントさんとの物理的な距離が近づくにつれて、本当の距離が遠いことに気づく
私はすごい人になんかなれない
「オリーブ!」
私は名前を呼ばれて目覚めた
「魔人が攻めてきた!すぐに支度をしてくれ」
バーミントさんのそんな言葉をきっかけに私は直ちに支度をする
この世界には神からの授かりものの『華』をもって生まれる女性が稀に現れる
その『華』とは、言わば魔王軍に立ち向かうための魔術、特殊能力なのである
私が住むこの小国にはそれをもって生まれた女性はいなかった
今目の前にいるバーミントさんにも華はない
しかし、バーミントさんは違っていた
華を持たずしても類まれなる身体能力、判断能力により、この国で最も強い剣士として名高い人物なのである
そしてその強さは、華を持たないこの国だけでなく、
華に溢れている世界においても、華を持たないバーミントさんが魔王に最も近い唯一の希望と見られている
それほどにバーミントさんは強い
世界最強の剣士なのである
私とバーミントさんは馬を走らせて、戦地へと到着した
朝だというのに空は真っ黒に染まっている
そこではもうすでに戦いが始まっていた
軍の仲間たちと、魔王軍の魔物たちとがそこらで戦っている
「私が来た!アンガス•バーミントだ!私が敵の首を取る!道を作れ!」
バーミントさんはそう猛々しく叫んだ
「「「おー!!」」」
バーミントさんの登場で戦況が一変したように感じた
仲間たちに活気が出て、バーミントさんが通る道を作るように攻め込んでいる
「さぁ行くぞ、オリーブ」
「はい!」
私はバーミントさんについていく
いつもそうだ
敵の首領、魔人がいる場所へと繋がる道を進む
私とバーミントさんはこの魔物たちの一団の首領と相対した
その姿はまるで人形のようだった
全身の節々にはわかりやすく関節が目立っており、その無機質な様相はまさしく人形劇の人形だった
それが私たちと変わらないようにそこに立っている様子は気持ち悪さを感じさせる
「キタナ、アンガス•バーミント、オマエ、サエ、イナケレバ、マオウグン、モ、セカイヲ、セイシタモ、ドウゼン」
その話し方や動きは肌を舐められるように違和感と気色悪さがあった
「そうか」
バーミントさんは馬から飛び降り、その魔物へと剣を構える
「キョウ、ココデ、オマエ、」
魔人の首は宙を飛んでいた
そして気づけばバーミントさんは魔人の奥に佇んでいた
事は一瞬で片付いた
魔人に話す暇すら与えず、バーミントさんは首を取った
人形のような魔人の頭も体も地面に伏していた
バーミントさんはこちらへ駆けてきた
そして私の横まで来ると、戦いの終わりを告げる叫びを上げた
「みな!、、っ!」
しかし、それはできなかった
「ヒト、ノ、ハナシ、ハ、サイゴマデ、キカナイト、イケナイ」
地に伏していた魔人は立ち上がっていた
バーミントさんはもう一度魔人へと向き直り、剣を構える
「ソウ、オシエテ、モラッテイル、ダロ、マァ、ワタシハ、ヒトデハ、ナイガ」
そう言った魔物は最初と変わらぬまま体と頭は元通りとなっていた
「どんな魔術を使った!?オリーブ!見ていたか?」
バーミントさんは少し驚きつつも魔人から目も剣先も離さず、私に問いかける
「いや、見ていませんでした。すみません」
私は戦いが終わったと思い、気にしていなかった
「謝る前に構えろ!気を抜くなよ」
そう言われて、私も剣を構える
私とバーミントさんとでもう8度以上は首を切った
それでもこの魔人は起き上がり、頭と体はお互いに引き合ってくっつく
その不気味な光景を何度も見ていると吐き気がしてくる
そして、2人とも想像以上の長期戦に疲弊していた
人形のような魔人は奇妙な動きで近寄ってきては首を絞めようとしてくる
物理法則なんて無視したような動きは私たちを混乱させた
「なにか打開策を考えなければ」
首を絞められてはもう片方がその腕を切り落としてを繰り返していた
その時だった
「オリーブ!後ろ!」
私は後ろを振り向く
そこには今目の前にいたはずの人形の魔人がいた
私は首を絞められる
あまりにも速い移動速度とまだ慣れないその不気味な容姿を目の前にして驚きながらも、私はもがく
バーミントさんはこの人形の腕をなかなか切ってくれない
そしてもがきながらもバーミントさんの方を向くと、私は身の毛がよだつ
バーミントさんは何十体もの人形に囲まれていた
それに剣を振って、バーミントさんは交戦していた
それで手一杯で私の手助けができない様子だ
私はもがき続ける
強い力に振りほどくことができない、そして長期戦による疲弊でこちらは力が入らない
私はだんだんと意識が遠のいていく
『そうか、長期戦で疲弊させてから多勢で攻める。そういう作戦だったんだ。だからあえて何度も切られることに躊躇いがなかった』
今気づいたところでもう手遅れである
私の意識はもう途絶えていた
『またここかぁ』
私は少しの浮遊感を感じながらもうずくまる
いつも見る夢
真っ暗で何もない場所に私は一人でいる
ここでは声を出すことができない
『私、死んだのかな』
そんなときでも私が考えることはいつも同じ
『バーミントさんは大丈夫だろうか』
そう考え込んでいると、前から輝きを放った何かがこちらへと向かってくる
眩しくて目が霞む
「君はまだここに来るべきではない」
その光はそう告げる
『でも、私にはもうどうしようもない。あの魔人の倒し方なんてわからない』
声は出ないがそう心の中で言う
「それは関係ない。君は本当にこのままでいいと思っているのかい」
『だって、どうしようも、、、』
私はそこでやっと気づいた
自分の命なんかよりも、バーミントさんのことが心配なのだ
私の憧れのバーミントさん
憧れ、それはすなわち『好き』ということだ
そんな最愛のバーミントさんを死なせたくない
そう思った瞬間、光輝くそれが鮮明に見えた
それは魚だった
そして、それに気づいたと同時に周りにたくさんの淡い光がいくつも現れる
それはまるで、月
そこにはクラゲが無数に浮遊していた
その光景は夜空の星のようにきれいだった
「ここは海の底?」
私は声を出せた
「もう大丈夫だね」
光輝く魚はそう言った
私の体は浮かび上がる
それはまるでクラゲのように浮かび上がる
そしてそのまま勢いよく上昇していく
私は水面から飛び出した
「オリーブ!」
私は名前を呼ばれて目覚めた
「なに?これ、どういうこと」
私は困惑した
私の体は空へと浮かび上がっている
下には魔物たちと戦う仲間たちや人形たちと戦うバーミントさんが小さく見える
その光景が見えて、今の状況の危険さにやっと気づく
「落ちる?!」
私はこの高さから落ちたら死ぬと思った
「えっ、なにこれ」
私の足は空で止まる
まるで空を地として立っているように足元にだけ安心感がある
そして、一歩を出す
私は空を歩いている
「これは、華?」
こんな異常現象はそう捉えるしかなかった
そして私は空を歩きながら違和感に気づいた
バーミントさんが戦う人形たちには糸が伸びていた
その糸は真っ黒に染まる空へと繋がっていた
それを客観的に見た時に感じた
下で動くマリオネットと真っ黒な空は操演者である
「これが本体か」
私は剣を構える
そしてまるで自分のものにしたように、空を駆ける
私は黒い空を真っ二つに斬った
黒い空を斬ると、そこには眩しい太陽、そして永遠に広がる青い空があった
下を見れば、バーミントさんを取り囲んでいた人形はすべて消えていた
「オリーブ!大丈夫か?!何があった!」
下からバーミントさんが呼びかけてくれた
私にもまだ理解しきれなかった
それでも青くなった空をさらに歩いてみる
私は気持ちが高揚していた
空を歩くことが楽しかった
そしてバーミントさんへと報告する
「私!自由になったみたいです!」
先代ルリビタキのお話、昔々の疑似長編も、そろそろ終わりを迎えようとしております。
前回掲載分で、とうとう副部長になった「当時のツバメ」、「現在のルリビタキ」。
すなわち、ドラゴンです。
世界線管理局なる厨二ふぁんたじー組織
お仕事も給料も増えましたが、
ぶっちゃけドラゴンはドラゴンなので、シモジモの地位や現金には興味が無いのです。
食い物は当時のルリビタキのオタベオタベで、完全に、十分に足りてるし、
人間のオシャレなんてよく分かりません。
「ツバメ」の名前を貰ったドラゴンは、
取り敢えず味噌汁と七味と一味と、それから何が美味しいのか分からぬタバコを覚えたので、
自分の給料はもっぱら、タバコ買って味噌汁を開拓して、残りは全部、放っとくのでした。
で、そんなこんな、あんなどんな。
副部長職を続けて◯年のツバメが、その日も特殊即応部門のオフィスに向かっておると、
「やめろッ!やめろよー!何するんだ!!」
おやおや、ツバメの世界の恩人、ルリビタキの悲鳴がオフィスの中から聞こえます。
ツバメの目に飛び込んできたのは、
まずミドルサイズの冷蔵庫、
それを撤去しようと「浮遊のランタン」で浮かせて引っ張っている、収蔵部収蔵課の「ランタンの魔女」アンゴラ、
浮いてる冷蔵庫にしがみついてイヤイヤしているルリビタキ、
それから「カラス」ことハシボソガラス主任と、
もうひとり、人間の男性が、アワアワおろおろ……?
「研修終えて、今日からウチに配属になったひな鳥ちゃんだよん」
やめろー!持ってくな!
それけっこう高かったんだぞ!
海の底の温度の安定感くらい、高価値なんだぞ!
ルリビタキがギャーギャーヒィヒィ叫ぶ中、気にせずカラスが言いました。
「面倒見が良さそうだからってことで、ツバメに預けるってさ。しっかり教育してあげてねー」
はいはい、良い授業料になったわねぇ。
海の底の温度の安定感と、バイバイしましょうね。
アンゴラが気にせず浮遊のランタンを掲げて冷蔵庫を持っていく中、
カラスが「人間の男」をツバメに突き出しました。
「あっ、あの、本日付けで着任しました、スズメです!」
冷蔵庫問答にすっかりアワアワしていた人間。
ツバメの前に突き出されて、緊張で上ずった声で、ツバメに挨拶しました。
「至らない点、多々あろうかと思いますが、よろしくお願いします!」
彼こそ、後の「ツバメ」でした。
彼こそ、後の「ウチの部長がすいません」であり、直近の投稿で焚き火したりコーヒー飲んだりの、アイツなのでした。
昔々のこの当時は、
現在「ルリビタキ」のビジネスネームを管理局から貸与されておるドラゴンが「ツバメ」で、
現在「ツバメ」のビジネスネームを管理局から貸与されておる人間の男が「スズメ」で、
現在「先代」として、法務部から籍が消えてる男、海の底の隠し冷蔵庫保有者が「ルリビタキ」。
これがどうして現在の名前に落ち着いたかは、
次の次もしくは次の次の次あたりのお題でご紹介。
…——で、隠し冷蔵庫保有者のおはなしです。
管理局法務部、執行課実動班、特殊即応部門長のルリビタキ(当時)です。
隠し冷蔵庫は1個だけではなかったらしく、
数ヶ月後、またもや別の冷蔵庫を、
ガッツリ、押収されてしまうのです。
「ふふふ。この程度で僕の、局内に20個置いてある、隠し冷蔵庫の包囲網を崩せると思うな」
どうやら全然、懲りていない様子。
だってルリビタキ部長は別に、法務部の資金を横領して隠し冷蔵庫を設置しているワケでもないし、
特応部門の予算を水増ししてキッチンの設備を増設しているワケでもないのです。
すべて自腹、すべて自分の給料。
だから経緯を報告する程度で、まだ許されておるのです。 多分。
「許してるワケないでしょ。これから全部記録する予定よ」
おやおや。今日は特応部門のオフィスに、法務部門長のオネェが訪問中の様子。
「アンタが勝手に設置した冷蔵庫の位置、勝手に給湯室からキッチンに改造された部屋、勝手に大規模農場にした難民シェルターの区画!
アンタ、今以上に増やしたら、罰としてアタシの仕事手伝わせるわよ」
バチクソに怒っています。
オネェ部長のタコ足が、3本くらいウネウネぎりぎり、ルリビタキの体に巻き付いてゆきます。
苦しいから離して。くるしい。助けてツバメ。
ルリビタキはオネェのタコ足をポンポン叩き、ツバメの方をじっと見ますが、
ツバメときたら、ルリビタキの視線を既読無視。
「いいか、スズメ。ウチは『特殊即応部門』だ。
すべての緊急行動において、決裁も許可も後回しにできるが、その分責任がともなう」
ツバメは新しく特応に入ってきた新人スズメに、特応の何たるかを語っています。
「ツバメ、つばめ。お前の故郷を救ってやった借りを、今返してほしいんだけど」
「今タコじめされているのが、ウチの部長だが、あいつから『メシは食ったのか』と聞かれても絶対に『いいえ』とは答えるな。
『ハラが減った』とも言うな。絶対だ」
「ツバメ。つば、め、」
ギリギリ、ぎゅーぎゅー。オネェにタコじめされたルリビタキは、「ごめんなさい」と言うまでシメられておりました。
当時のルリビタキの意識はモヤモヤ、もはやまさしくお題のとおり、ほぼ海の底。
その日の管理局は平和でした。
その日の管理局「は」、まだ平和だったのでした。
どこまでいっても終わりのない悲しみを沈めたの
海の底
『サブメカノフォビア』
暗く深く
沈んだ街
海の底へ
呼ばれる
精一杯に
振り払う
あかるい
世界へと
『海の底』
海の底には街がある。
人間には知られない、隠された人魚だけの街だ。
○○○
深い、深い海の底。
人間の目には到底暗闇で見えない中、人魚の目には地上と同じく鮮やかな青が浮かび上がっていた。
真っ青な空を鳥が羽ばたくように、群青色の海を人魚達の尾びれが泳いでいる。白、オレンジ、紫、ピンク、ライトグリーン。様々な鱗を持つ人魚たち。さながら、空に棚引く風で吹かれた鯉のぼりのようだと、人間がみたら称するだろう。
真っ白いギリシャ神殿の崩れた跡地。昔、海神の怒りを勝って街一つが飲み込まれた。この街は、そうして昔の産物を利用して作られた海神の加護がある人魚の街、人魚だけの街だ。
「あら、アナタ。また、外のことについて、考えているのネ?」
「ええ。だって、外の世界は素敵だったんだもの」
「あらあら。ワタシには分からないワ? けど、アナタが嬉しくてワタシも嬉しい。どうか、ニンゲンには気をつけてネ」
私が街の外れでずっと上の、陸にある人間の世界について想いを馳せていると、紫の鱗を持ったオネェさんの人魚が声を掛けてくれた。彼女は、私がこの街に来てからというもの、随分と私を気にかけて街に馴染めるようにサポートしてくれた。
……そう、私はこの街で生まれた人魚ではない。
人魚と人間の間に生まれた、中途半端な人魚(ハーフマーメイド)。
元々、陸にある人間の街で人間として暮らしていたのだ。
私の母は、随分と好奇心の強い人魚だったらしい。
とは、先程の紫の鱗をもつオネェさん人魚から聞いた。どうやら、母と親友だったそうだ。
その母はある日、陸の世界に憧れて、寿命と引き換えに人間の姿を手に入れて人間の世界へと足を踏み入れたらしい。
そうして、海の学者をしていた父と出会い、恋に落ち……私が生まれた。
正直、私は母の事をよく知らない。なぜなら、私が物心ついたときには、母は既に居なかった。死んだのか、別れたのか。父は話してはくれなかった。
父は穏やかな人だった。母と同じぐらい好奇心は強い人だった。私のことを大事に大事にしてくれた。
あるとき、私に鱗が発現した。陸で呼吸をしていると、どうにも辛かった。水に入っていないと、身体がもぞもぞする衝動に駆られるようになった。
……私は人魚である母の血を濃く継いでしまっていたのだ。
私をどうにかするべく父は頑張ってくれた。
そして、この隠された人魚の街を探し出し、私に地図を授けたあと……死んだ。無理をし過ぎていた。私のためだった。
私は、私の事を狙うイカれた人間達から隠れるように、海の世界へと旅立った。
陸に私の世界はなかった。人魚に、人権はないのだ。
……ただ、一つ。未練があった。
幼馴染みが居た。いつか大人になったら結婚しようと約束した。
世界が、周りが、人間達が敵になって私を追いかけ回したときにも、私の味方をしてくれた。そんな幼馴染みの男の子。
どんな大人になって居るのだろう。
そもそも生きているのだろうか。
海の中は時間の経過が分かりにくい。それも海の底にある街では尚更だ。
生きているなら、一目会いたい。
死んでいるなら、墓に花を備えてお礼を言いたい。
ただ、それだけだった。
ただそれだけのために、私は外の世界へ。陸にある人間の世界に行きたかった。
……よし、行こう!
「ねぇ、私やっぱり行くわ」
「! ……そう、そんな気がしていたワ。アナタに後悔がありませんことヲ、アナタの航海が善きものでありますようニ。アナタに海神の加護があらんことヲ。人間には気をつけてネ?」
「ええ! 本当にありがとう!!」
私は飛び出した。
海の底から、太陽に向かって泳ぎ出す。
これは、私の。たった一人の人魚の物語。
海底の人魚が、海の底から陸を目指す話。
おわり
『海の底』
沈む沈む
独りでも
私だけじゃない
底にいる
中途半端な冷たさが
どこかの波とざわめく内が
沈みきったらまた底へ
いっそこのまま、眠ってしまえば